私自身業務の一環で Google Analytics を使用する身なのですが、GA 界隈の皆さんは御存知の通り、ユニバーサルアナリティクス(通称 UA)は2023 年 7 月 1 日をもってサポートが終了します。そこで私自身、UA からその後継となる GA4 への移管を進めているわけですが、その過程で知った UA と GA4 の基本的な差分について記していきます。
留意点
- 本記事の情報は 2022 年 5 月 19 日時点の情報を元に記載しています
- Web での GA4 利用を前提に記載しています
イベントが主体のツールとなる
UA と GA4 のある 1 つの決定的な違い、それはイベントを主軸としたツールに様変わりすることです。
例えば、UA では[行動] > [サイトコンテンツ]といった画面で計測 URL 一覧を把握することが出来ました。また、[コンバージョン] > [目標]といった画面で任意の到達ページやイベントなどをコンバージョンとみなして計測・確認することが出来ました。
しかしながら、GA4 では概念が一新されて計測 URL の確認は page_view
イベントと呼ばれるもので行われるようになり、コンバージョンもイベントの一種となりました。多くの機能が イベント という機能に集約され、イベントによって管理することとなります。
イベントの仕様も変わる
GA4 では重要となるそのイベントですが、その仕様も大きく変化しています。詳しくは公式リファレンスに情報がまとめられていますので、あわせて目を通すことをおすすめします。
階層構造の変化
から引用します。
ユニバーサル アナリティクスでは、収集されたデータの基本単位は「ヒット」と呼ばれます。ヒットとは、基本的にはユーザー操作を記録するためにアナリティクス サーバーに送信される記述子のまとまりです。
ユニバーサル アナリティクスでは、ページビューとイベントという 2 つのヒットタイプがよく使用されます。デフォルトのトラッキング スニペット(gtag.js または analytics.js)は、ページビュー ヒットを自動的に送信します。Google タグ マネージャーでは、Google アナリティクス: ユニバーサル アナリティクスのデフォルトのタグタイプである「ページビュー」がデフォルトのトラッキング タイプとなります。
ユニバーサル アナリティクスで記録する他のほとんどのユーザー操作(動画再生回数、ファイルのダウンロード、ウィジェットのクリック数など)については、イベントを生成する必要があります。ユニバーサル アナリティクスでイベント トラッキングを実装している場合は、操作に使用できる 3 つの記述子、イベント カテゴリ(動画など)、イベント アクション(進行状況など)、イベントラベル(75% など)におそらく馴染みがあるでしょう。
つまり、UA では「ヒット」という概念があり、その中に「ページビュー」や「イベント」といった概念が内包されていました。そしてイベントという概念は以下の構造を採っていました。
- イベント
- イベントカテゴリ
- イベントアクション
- イベントラベル
- イベントアクション
- イベントカテゴリ
一方で、GA4 のイベントは 1 つのイベント名に複数のパラメータを保有する構造に変更されました。
- イベント
- パラメータ 1
- パラメータ 2
- パラメータ 3
- ・・・
複数あるイベント種類
に列挙されている通り、イベントには複数の種類が存在します。
- 自動収集イベント
- 自動的に収集されるイベント
- 測定機能の強化イベント
- 測定機能の強化を有効にしている場合に自動的に収集されるイベント
- 推奨イベント
- 追加実装する必要があるものの、あらかじめ定義された名前とパラメータを持つイベント
- カスタム イベント
- 自由に設定できるイベント
例えば、自動収集イベントは下記公式リファレンスに整理されています。
先程名前だけ出した page_view イベントはパラメータとして page_location(ページの URL)、page_referrer(前のページの URL)、engagement_time_msec を持つとされています。下記の構造を有するということです。
- page_view イベント
- page_location パラメータ
- page_referrer パラメータ
- engagement_time_msec パラメータ
上記構造を自動で有するイベントであり、page_view イベントを 1 件計測すれば、その page_location や page_referrer の情報も自動で GA4 に蓄積されます。これら 2 つを組み合わせることで各ページのビューをイベントで計測することができるようになります。では、この新しいイベントはどのように設定すれば良いのでしょうか。
イベントの作成方法
下記の仮想シチュエーションを例に作成方法を記します。
或る EC サイトのマーケティング部署で GA4 を導入して各画面の計測を行うこととなった。そこでまずはコンバージョンを計測するために、注文完了画面 /thank_you_order/ のページビュー数をイベントに設定したい。
-
[GA4 トップ画面] > [設定] > [イベント] > [イベントを作成] で作成画面に進みます。
-
カスタムイベント名に任意の名称を記載します。
-
ページビュー数を計測したいので
event_name
の値にpage_view
と記載します。これは GA4 で自動収集されるイベント名です。 -
ページビューを計測したい URL は
/thank_you_order/
なのでその情報も記載します。page_view
イベントはデフォルトでpage_location
パラメータを有しますのでそのように設定します。 -
[作成]ボタンを押下します。
このようにして設定したイベントは、[レポート] > [リアルタイム]の画面でリアルタイムに閲覧が可能です。実際に画面にアクセスすることでイベントが発火することを確かめてみましょう。
なお、注意点ですが[設定] > [イベント]のイベント一覧画面に表示されるまでに、数時間~ 1 日程度のタイムラグがあります。 リアルタイム計測は出来たにもかかわらず、一覧画面には即時反映されないので戸惑いますが、気長に待ちましょう。
※イベントの作成方法は公式リファレンスにも記載されています。
コンバージョンの設定方法
本記事では最後にコンバージョンの設定方法を記して終わりとします。冒頭述べたように コンバージョンもイベントの一種 という概念に変わりました。そのため、コンバージョンを設定するためには上記のイベント作成をまずは行う必要があります。
イベントの作成が終わってイベント一覧画面([設定] > [イベント])に、コンバージョンとして扱いたいイベント名が表示されたら後は簡単です。イベント一覧の右側にある[コンバージョンとしてマークを付ける]のスイッチをオンにするだけです。有効にすることで、そのイベントはコンバージョンとして取り扱われることになります。
※公式リファレンスの情報はこちらです。
おわりに
本記事では UA と GA の大きな違いであるイベントの概念とその設定方法について整理しました。GA4 の基本的な事柄を扱っただけではありますが誰かの参考になれば幸いです。