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これは何?

これは自分への戒めと宣言を込めた記事です。

どんなに素晴らしいプロダクトでも、その基盤となるのは日々の小さな積み重ねです。
ソフトウェア開発において、その積み重ねの最も小さな単位の一つがコミットメッセージなのではないでしょうか。

コードを書き終えた後に軽い気持ちで「fix issue」や「update」といった適当なコミットメッセージをつけていませんか?
(自分は「fix rubocop」とかやっちゃうことあります…)

実は、この些細に見える一手間が、チームやプロダクトの未来を大きく変える力を持っています
良いコミットメッセージを書くことは、コードの品質を向上させるだけでなく、設計への意識を高め、結果として優れたプロダクトを生み出すための第一歩です。

この記事では、「なぜコミットメッセージが重要なのか」「どうすれば良いコミットを実現できるのか」について深掘りし、その実践方法を具体的にご紹介します。

自動コミットメッセージ生成ツールの便利さと限界

最近はauto-commitopencommitなどの自動コミットメッセージ生成ツールを使って、コミットメッセージを自動生成することが可能になっています。

これらのツールは、使用者の文章生成の手間を大幅に削減し、大変便利です。特に、美しく設計された実装においてはその価値を存分に発揮します。

ただし、設計が不十分な場合には限界があることも理解しておく必要があります。

  • 目的やスコープが抽象的なメッセージとなって履歴の役割を真っ当できない:

    • 同じ目的の範囲にない変更を1つのコミットにまとめたり、抽象度が高すぎる目的を設定すると、後で履歴を追うのが困難になります。
  • 影響範囲が大きくなり、取り消しにくくなる:

    • 意図が曖昧なコミットだと、何か問題があった時に影響範囲が広がり、リバート作業が複雑化します。

だからこそ、コミットメッセージを単なる形式的なものとしてではなく、実装の意図や設計を考えるきっかけとして活用するべきなのです。

最初にコミットメッセージを考えるアプローチ

実装を始める前に、「このコミットで何を達成したいのか」を明確に言語化することは、設計を意識した実装を可能にします。

例えば、「ログイン処理にOAuth2を導入し、トークンリフレッシュ機能を追加する」場合を考えてみます。
あらかじめ実装ステップを分解しておくとコミットメッセージは以下のように考えられます。

1.現行の認証コードを整理し、OAuth2の導入に対応しやすい基盤を作る。

refactor(auth): introduce unified interface for authentication
- Add strategy pattern for authentication
- Extract common logic for error handling
- Prepare placeholder for OAuth2 integration

2.OAuth2ログイン機能を実装する。

feat(auth): add OAuth2 login flow

- Implement OAuth2 login process
- Add error handling for OAuth-specific issues
- Update user session management for token-based auth

3.トークンリフレッシュ機能を実装する。

feat(auth): implement token refresh mechanism

- Add background token refresh process
- Handle token expiration gracefully
- Update documentation for session management

1つ1つのコミットの目的、スコープが限定されていてわかりやすいですね。

コミットメッセージの規約を導入して基準を作ろう

良いコミットメッセージを習慣化するためには、チーム全体で統一された規約を導入することが効果的です。以下のようなメリットがあります。

  1. コードレビューが効率化
    意図が明確であるため、レビュワーが「何を」「なぜ変更したのか」を一目で理解できます。結果として、レビューの質とスピードが向上します。

  2. 履歴がドキュメント代わりになる
    過去の変更を追いやすくなり、特にバグ修正時やリファクタリング時に役立ちます。

  3. チーム全体の品質向上
    規約を守ることで、設計意識が高まり、全員が一貫性のあるコードを作る文化が醸成されます。

コミットメッセージ規約の例

  • Angular Commit Message Guidelines:
    Angularプロジェクトで採用されているコミットメッセージ規約です。
    コミットメッセージを以下の形式で記述することを推奨しています:
type(scope): subject
body
footer
  • type例: feat(新機能)、fix(バグ修正)、refactor(リファクタリング)など。
  • scope例: 変更対象のモジュールやコンポーネント名。
  • subject: 変更内容を簡潔に記述(50文字以内)。

詳細: Angular Commit Message Guidelines

  • Conventional Commits:
    こちらは、広く採用されている規約で、以下のような形式を推奨しています:
<type>[optional scope]: <description>
[optional body]
[optional footer(s)]
  • type例: featfixdocs(ドキュメントの変更)など。
  • description: 簡潔に変更内容を記述。
  • footer: 必要に応じてBREAKING CHANGEやIssue番号を記載。

詳細: Conventional Commits

負債をコミットしないためにpre-commitに入れるべきもの

ここまで読んでくださったみなさんは「コミット頑張ろう🔥」となっていることでしょう。
しかし、仕組み化しないと、人は忘れます。
pre-commitを使ってなるべく変なコミットをしないようにしておきましょう。

  1. コミットメッセージの検証
    メッセージが規約に従っているかをチェック。
    例: commitlintを使用する
  2. コードスタイルの自動修正
    誤ったコードフォーマットを直し、可読性を上げる。
    例: rubocop (Ruby), prettier (JavaScript/TypeScript)を活用して自動フォーマット。
  3. 静的解析
    型エラーや依存関係の問題を防ぐ。
    例: sorbet(Ruby)
  4. テストコードチェック
    アプリケーションコードの変更時に、テストコードの変更がない場合はエラーを出す。
  5. Typoチェック
    スペルミスを検出し、未然に修正。
    例: cspell

良いコミットの習慣を今日から始めよう

良いコミットメッセージは、コードベースを進化させる原動力です。設計を意識したコミットの積み重ねが、プロダクトの品質を高め、チーム全体の効率を向上させます。
ここまで書いた自分も、これらを遵守したエンジニアになると誓います。
この記事を読んだ皆さんも、ぜひ1つのコミットメッセージを意識することから始めてみてください!
自身を含め、未来に携わるエンジニアが感謝してくれるはずです!

参考文献

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