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RasPBXの導入(ひかり電話編)

Last updated at Posted at 2017-04-22
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前回の記事(RasPBXの導入(内線通話ができるまで))で、RasPBXに接続した2台のソフトフォン同士の内線通話ができるようにしました。
今回は、ひかり電話を外線として使えるようにします。


ひかり電話とは

  • ひかり電話は、光回線で使えるIP電話サービスで、NTT(フレッツ光)や光コラボ事業者との契約で使用可能となります。
  • ひかり電話対応機器(ルータ)を宅内に設置しますが、このルータのLAN側に接続された端末からはSIPサーバに見えます。
    • このSIPサーバに、RasPBXをレジストして使用することになります。

PJSIPのインストール

  • 結論から言うと、必要ありませんでした。FreePBXの画面でPJSIPの設定が見えなかったのは、「高度な設定」で、「SIP Channel Driver」を「chan_sip」から「both」に変更していなかったからでした。
    • ウチで使っている2016-03-06版では、Asterisk11が組み込まれていて、別途PJSIP込みのAsterisk13をインストールする必要がありました。
    • 新しい2017−01-28版では、Asterisk13が組み込まれていて、PJSIPも組み込まれているようです。前々回の記事で、PJSIPが組み込まれているか不明としていたんですが、ちゃんと組み込まれていました。
  • PJSIPを組み込んだAsterisk13のビルド手順も示しておきます。新しい版のRasPBXを使用している方は読み飛ばしてください。

PJSIPのインストール(古いRasPBX向け)

  • ひかり電話HGWパッチをあてて、Asteriskをビルドする方法もありますが、PJSIPをインストールすることにします。
    • ウチでも、最初はパッチをあててたんですが、後でブラステルを使うことになって、結局はPJSIP必須となってしまいました。
  • 手順は、以下の通り。
  1. Asterisk13のソースをダウンロードして、解凍。

    root@raspbx:~# cd /usr/src
    root@raspbx:/usr/src# wget http://downloads.asterisk.org/pub/telephony/asterisk/asterisk-13-current.tar.gz
    root@raspbx:/usr/src# tar zxvf asterisk-13-current.tar.gz
    root@raspbx:/usr/src# ls
    asterisk-13-current.tar.gz  asterisk-13.14.0
    root@raspbx:/usr/src# 
    
  2. インストール済みのAsterisk13を削除。

    root@raspbx:/usr/src# apt-get purge asterisk13
    パッケージリストを読み込んでいます... 完了
    :
    root@raspbx:/usr/src# apt-get autoremove
    パッケージリストを読み込んでいます... 完了
    :
    root@raspbx:/usr/src# 
    
  3. PJSIPを含む、依存ライブラリ群をインストール。

    • だいぶ試行錯誤したので、不要なライブラリもあるかもしれません。
    root@raspbx:/usr/src# apt-get install ncurses-dev libxml2 libxml2-dev sqlite libsqlite3-dev libssl-dev
    root@raspbx:/usr/src# apt-get install uuid uuid-runtime uuid-dev
    root@raspbx:/usr/src# apt-get install libjansson4 libjansson-dev
    root@raspbx:/usr/src# apt-get install libclalsadrv2 libclalsadrv-dev
    root@raspbx:/usr/src# apt-get install libpjsip-simple2 libpjsip-ua2 libpjsip2 libpjproject-dev libsrtp-dev srtp-utils
    root@raspbx:/usr/src# apt-get install subversion
    root@raspbx:/usr/src# 
    
  4. PJSIPを組み込むようにして、Makefileを作成。

    • 当初、pjproject-2.5.5.tar.bz2をダウンロードしようとして、失敗していました。
      • 原因は、UTMのせいでした。
      • ウチのネットワーク構成として、ルータ(ひかり電話対応)とLANの間にSophos UTM Home Editionを置いていますが、これを通さずに、ルータにラズパイを直結したら成功しました。同様の環境の方は多くないと思いますが、一応書き残しておきます。
    root@raspbx:/usr/src# cd asterisk-13.14.0
    root@raspbx:/usr/src/asterisk-13.14.0# ./configure --with-pjproject-bundled
    checking build system type... armv7l-unknown-linux-gnueabihf
    checking host system type... armv7l-unknown-linux-gnueabihf
    :
               .$$$$$$$$$$$$$$$=..      
            .$7$7..          .7$$7:.    
          .$$:.                 ,$7.7   
        .$7.     7$$$$           .$$77  
     ..$$.       $$$$$            .$$$7 
    ..7$   .?.   $$$$$   .?.       7$$$.
    $.$.   .$$$7. $$$$7 .7$$$.      .$$$.
    .777.   .$$$$$$77$$$77$$$$$7.      $$$,
    $$$~      .7$$$$$$$$$$$$$7.       .$$$.
    .$$7          .7$$$$$$$7:          ?$$$.
    $$$          ?7$$$$$$$$$$I        .$$$7 
    $$$       .7$$$$$$$$$$$$$$$$      :$$$. 
    $$$       $$$$$$7$$$$$$$$$$$$    .$$$.  
    $$$        $$$   7$$$7  .$$$    .$$$.   
    $$$$             $$$$7         .$$$.    
    7$$$7            7$$$$        7$$$      
    $$$$$                        $$$       
    $$$$7.                       $$  (TM)     
    $$$$$$$.           .7$$$$$$  $$      
     $$$$$$$$$$$$7$$$$$$$$$.$$$$$$      
       $$$$$$$$$$$$$$$$.                
    configure: Package configured for: 
    configure: OS type  : linux-gnueabihf
    configure: Host CPU : armv7l
    configure: build-cpu:vendor:os: armv7l : unknown : linux-gnueabihf 
     :
    configure: host-cpu:vendor:os: armv7l : unknown : linux-gnueabihf 
     :
    root@raspbx:/usr/src/asterisk-13.14.0# 
    
  5. Asrerisk13のビルドとインストール

    • まず、「make menuselect」で、組み込むモジュールを選択する。
      • 名称に「PJSIP」を含むものを組み込んでおけば間違いないと思います。
      • ついでに、日本語の音声を組み込んでおくとよいかもしれません。
        • 「Core Sound Modules」
          • CORE-SOUNDS-JA-ULAW
          • CORE-SOUNDS-JA-GSM
    root@raspbx:/usr/src/asterisk-13.14.0# make menuselect
     :
    Generating input for menuselect ...
    menuselect changes saved!
    make[1]: Leaving directory '/usr/src/asterisk-13.14.0'
    root@raspbx:/usr/src/asterisk-13.14.0# make
    CC="cc" CXX="g++" LD="" AR="" RANLIB="" CFLAGS="" LDFLAGS="" make -C menuselect CONFIGURE_SILENT="--silent" makeopts
     :
    +--------- Asterisk Build Complete ---------+
    + Asterisk has successfully been built, and +
    + can be installed by running:              +
    +                                           +
    +                make install               +
    +-------------------------------------------+
    root@raspbx:/usr/src/asterisk-13.14.0# make install
    CC="cc" CXX="g++" LD="" AR="" RANLIB="" CFLAGS="" LDFLAGS="" make -C menuselect CONFIGURE_SILENT="--silent" makeopts
     :
    +---- Asterisk Installation Complete -------+
    +                                           +
    +    YOU MUST READ THE SECURITY DOCUMENT    +
    +                                           +
    + Asterisk has successfully been installed. +
    + If you would like to install the sample   +
    + configuration files (overwriting any      +
    + existing config files), run:              +
    +                                           +
    + For generic reference documentation:      +
    +    make samples                           +
    +                                           +
    + For a sample basic PBX:                   +
    +    make basic-pbx                         +
    +                                           +
    +                                           +
    +-----------------  or ---------------------+
    +                                           +
    + You can go ahead and install the asterisk +
    + program documentation now or later run:   +
    +                                           +
    +               make progdocs               +
    +                                           +
    + **Note** This requires that you have      +
    + doxygen installed on your local system    +
    +-------------------------------------------+
    root@raspbx:/usr/src/asterisk-13.14.0# 
    

ひかり電話対応機器の設定

  • ウチでは、PR−400NEを使っています。違う機種の場合は、画面の表現が異なるかもしれません。
    • 画面左側の「電話設定」ー「内線設定」をクリック。
    • 端末属性が「IP端末(音声専用)」となっている行の「編集」をクリック。
    • ユーザIDとパスワードが設定されているので、それぞれ控えておいてください。
      • パスワードは、設定し直す方が望ましいかもしれません。
      • ここでは、ユーザIDを「0004」、パスワードを「0004pass」として説明します。

RasPBXの設定(レジストと着信設定)

  • WebブラウザでRasPBXにアクセスします。
  • RasPBX Administrationをクリックして、管理者でログインします。
    • デフォルト設定は、ユーザ名:admin、パスワード:admin
  • 上部のボタンで、設定ー高度な設定
    • ダイヤルプランと操作可能
      • SIP Channel Driverを「both」に。
      • 画面右下の「送信」ボタンをクリック。
  • 上部のボタンで、設定ーAsterisk SIP 設定
    • 「Chan PJSIP Settings」タブ
      • Show Advanced Settingsを「はい」
      • 「udp - 192.168.1.120 - eth0\」を「はい」(192.168.1.120はRasPBXのIPアドレス)
      • 「Port to Listen On」に「5061」
  • 上部のボタンで、接続ートランク
    • 「トランクを追加」ボタンから、「SIP(Chan_PJSIP)トランクを追加」
      • 「General」、「ダイヤル番号の操作ルール」、「pjsip設定」の各タブを設定します。具体値は下表の通りです。特に明記していない設定項目は、デフォルトのままとしてください。
      • 右上の「設定適用」ボタンで設定内容を反映します。
      • ここまでで、ひかり電話対応機器にレジストできているはずです。(この後の設定完了まで通話はできません)
タブ 設定項目 設定値 備考
General トランク名 hikari_denwa(pj) 何でもよい
General アウトバウンドCID 1234567890 ひかり電話の電話番号
General 最大チャネル数 1
pjsip設定 ユーザ名 0004 控えておいたユーザID
pjsip設定 Secret 0004pass 控えておいたパスワード
pjsip設定 SIP Server 192.168.1.1 ひかり電話対応機器(ルータ)のIPアドレス
pjsip設定 Transport 192.168.1.120-udp 192.168.1.120はRasPBXのIPアドレス
pjsip設定 From Domain 192.168.1.1
pjsip設定 From User 4
pjsip設定 クライアントURI sip:4@192.168.1.1
  • 上部のボタンで、アプリケーションー着信グループ
    • 「着信グループを追加」ボタン
      • 具体値は下表の通りです。特に明記していない設定項目は、デフォルトのままとしてください。
      • 右上の「設定適用」ボタンで設定内容を反映します。
設定項目 設定値 備考
着信グループ 600
グループの説明 hikari-grp(600) 何でもよい
内線リスト 101、102 右側にある「User Quick Select」ボタンで選択可能
応答がない場合の転送先 「通話終了」、「発信者が切電するまで呼出し音を再生します」
  • 上部のボタンで、接続ーインバウンドルート
    • 「インバウンドルートを追加」ボタン
      • 「General」、「高度な設定」、「プライバシー」、「Other」の各タブを設定します。具体値は下表の通りです。特に明記していない設定項目は、デフォルトのままとしてください。
      • 右上の「設定適用」ボタンで設定内容を反映します。
      • ここまでで、着信だけは可能になっているはずです。
タブ 設定項目 設定値 備考
General 説明 hikari-in
General ダイヤルイン番号 1234567890 ひかり電話の電話番号
General 宛先をセット 「着信グループ」、「600 hikari-grp(600)」 着信グループで設定したもの
高度な設定 RINGINGシグナル はい

着信確認

  • 携帯電話などでひかり電話に電話をかけてみます。

    • なぜか、子機に着信せず、RasPBXの自動応答(英語音声)となってしまいます。
    • CDRレポートを見ても、「Playback」となっており、自動応答が働いたことがわかります。
    • 発信先が「s [from-pstn]」となっていて、着信グループが反応できていないことが原因だと思われます。
      • 着信グループは、対応するインバウンドルートで設定したダイヤルイン番号によって振り分けられるようです。 スクリーンショット 2017-04-22 17.30.42.png
  • 対処としては、extensions_custom.confを少しいじる必要があるようです。

  • 上部のボタンで、アドミンーConfig Edit

    • 「Config Edit」はデフォルトでインストールされていないかもしれません。その場合は、「アドミンーモジュール管理」から追加してください。
    • extensions_custom.confを選択して、下記の通りに設定します。

      • 「保存」ボタンで保存します。
      [from-pjsip-custom]
      exten => _.,1,Goto(from-pstn,${CUT(CUT(PJSIP_HEADER(read,To),@,1),:,2)},1)
      
      • さらに、トランク設定も必要となります。
  • 上部のボタンで、接続ートランク
    • 「hikari_denwa(pj)」を編集
      • 下表の設定を追加し、「設定適用」ボタンで反映させます。
タブ 設定項目 設定値 備考
pjsip設定 コンテキスト from-pjsip-custom
  • ここで、再度ひかり電話に電話をかけてみると、今度は子機に電話がかかりました。
    • CDRレポートを見ると、発信先に「600」と着信グループ番号が入っています。 スクリーンショット 2017-04-22 18.18.26.png

RasPBXの設定(発信設定)

  • 上部のボタンで、接続ーアウトバウンドルート
    • 「アウトバウンドルートを追加」ボタン
      • 「経路設定」、「Dial Patterns」、「パターンをインポート・エクスポート」、「詳細設定」の各タブを設定します。具体値は下表の通りです。特に明記していない設定項目は、デフォルトのままとしてください。
      • 右上の「設定適用」ボタンで設定内容を反映します。
タブ 設定項目 設定値 備考
経路設定 経路名 hikari-out 何でもよい
経路設定 一致したルートのトランクシーケンス hikari-denwa(pj) トランクとの紐付け
Dial Patterns match patten 上から順に、「0120XXXXXX」「1XX」「0N0XXXXXXXX」「0ZZXXXXXXX」「0ZZXXXXXXXX」 このパターンに当てはまる電話番号に発信しようとした場合に、このアウトバウンドルートが使用される
  • ここまでの設定で、子機からの発信が可能となっているはずです。
    • ただし、上記match patterに合致する電話番号なので、国内に限ります。(いきなり、国際電話で実験しようとする方はあまり居ないとは思いますが、一応。)
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