ご挨拶
こんにちは。株式会社サイバーエージェントの経営推進本部という組織に所属している片岡です。
2005年に中途入社し、最近は「リスキリングセンター」という全社横断施策で、主にエンジニア社員の育成施策を企画設計運用する仕事に大半の時間を費やしています。
その他「あした会議」や、技術者版あした会議の「CA BASE SUMMIT」を設計運営する仕事などもやっています。
「あした会議」とは、弊社の役員や事業責任者が新規事業や課題解決について提案・決議する場です。
「CA BASE SUMMIT」とは、弊社のエンジニアとクリエーターが社内制度や課題解決について提案・決議する場です。
「リスキリングセンター」は「あした会議」の場で決議された社内施策です。
という書き出しで、先日(2024/3/27)弊社の公式技術ブログである「Cyberagent Developers Blog」で記事を公開しました。
入社19年目にして初めて会社公式の技術ブログを書くまでの経緯
私の経歴を少し説明
新卒で入社した会社から3回の転職を経験し、4社目の現在の株式会社サイバーエージェントへ2005年に入社しました。
入社してしばらくの間は、一般的に「業務系のシステムエンジニア」と呼ばれるような仕事をやっていました。
そのころは、まだ会社公式の技術ブログのようなものは存在しておらず、残念ながら書きようもありませんでした。
入社して19年目の現在に至るまで、いくつかの部署を異動し、「あした会議」形式の会議を運営したり、その決議を目的に沿って滞りなく進捗させる仕事に携わるようになりました。
弊社では、こういう役割の仕事を「推進担当」と表現します。
「あした会議」とその決議について少し説明
弊社には「本家の」と呼ばれる「あした会議」があります。役員や事業責任者が、新規事業や社内制度などを提案し決議する場で、毎年開催されています。
2021年に、本家の「あした会議」で決議された提案の一つに「リスキリングセンター」というものがあり、私は翌年の2022年からこの社内施策に関わり始めました。
私が関わる前に推進担当もいたのですが、現在のところ、私は「リスキリングセンター」についてほぼ本業のような範囲の業務を担当し、稼働を割いてます。
一般的に「リスキリング」というと、職種変更やベテランの再教育の研修に使われる言葉ですが、平均年齢が30歳代の弊社ではそういうニーズは少なく、どちらかというと世の中のトレンドに乗り遅れないよう、常に新しい技術をエンジニア社員に身に着けてもらうためにやっている社内研修を「リスキリング」と呼んでます。そのうち全社的な規模のものを「リスキリングセンター」でやってます。
余談になりますが、ベテランの再教育という観点で見ると、私自身がその年齢にあてはまります。「リスキリングセンター」という仕事をやることが私自身の「リスキリング」にもなっていると感じてます。
話を戻します。
「本家の」と呼ばれる「あした会議」があるので、弊社には他にも多数のあした会議形式の会議があります。技術者版あした会議「CA BASE SUMMIT」もその一つです。
2023年に実施した「CA BASE SUMMIT」の場で決議されたいくつかの提案の一つに「生成AI徹底理解リスキリング」という全社的なAI人材育成プロジェクトがありました。
あした会議形式の会議では、提案された内容が、その場で審査員により採点されランキングされるのですが、2023年の「CA BASE SUMMIT」で最も得点の高かったのがこの「生成AI徹底理解リスキリング」でした。実行すれば会社への貢献度が最も高いであろうという評価です。
「リスキリングセンター」に本業のように関わっていたということもあり、私は「生成AI徹底理解リスキリング」の実行メンバーに招集されました。
「生成AI徹底理解リスキリング」でやったことを少し説明
「生成AI徹底理解リスキリング」については、この記事を書いている現在(2024年3月)まで2つの大規模な社内研修を実施しました。
第一弾「生成AI徹底理解リスキリング for Everyone」
全ての職種向けに、オリジナル教材を使った研修を、全社員必須で実施し、ほぼ全社員の6000名以上がやりきりました。
第二弾「生成AI徹底理解リスキリング for Developers」
エンジニア職向けに、市販の教材+オリジナルの1Day開発イベントを組み合わせた研修を、社内公募で165名のエンジニア社員に受講してもらいました。
準備段階で、研修を運営するチームへ、AIの技術に詳しいエンジニアに入ってもらい、教材の選定を担当してもらいました。
前半の市販の教材にはUdemyを使いました。OpenAIやGoogleやDeepLや、その他もろもろの世の中の生成AI用のAPIを使った機能を、Pythonでコーディングするハンズオン動画を選びました。
最大200名ほどの受講者を想定していていたため、その規模の社員の稼働を使うことを考えると、教材選定をまるっと人任せには出来ません。生成AIコーディング未経験者のサンプルとしてうってつけの自分の時間を使って、ハンズオン動画をさらってみました。
Pythonは随分前にhello worldしたぐらいの記憶しかなく、コードを書くこと自体も久しぶりだったのですが、やり進めると『え、こんな短いコードで動画の音声から文字起こしも翻訳もできるし、高精細な絵も描けるし、チャットボットも作れる・・・』と驚き、おかげで少しだけ世の中の技術の進歩に追いつけた気がします。
「生成AI徹底理解リスキリング for Developers」の為に社内に貼りだすポスターの画像も、ハンズオン動画をさらっているついでに作れてしまいました。
from openai import OpenAI
with open("key.txt", "r") as f:
OpenAI.api_key = f.read()
client = OpenAI(api_key = OpenAI.api_key)
response = client.images.generate(
model="dall-e-3",
prompt="a block llama with glasses",
size="1024x1792",
quality="hd",
n=1,
)
image_url = response.data[0].url
from PIL import Image
import requests
from io import BytesIO
response = requests.get(image_url)
img = Image.open(BytesIO(response.content))
img
ハンズオン動画の選定を終え、1Day開発イベントの設計に移りました。
募集要項に所属や経歴の制限を設けていなかったので、様々な担当業務や、個々のレベルに対応できるように、周到に設計しました。
実際に公募した結果
- 広告、ゲーム、メディアなど全ての弊社事業をまんべんなく網羅
- 社歴でいうと新卒1年目から入社10年超まで
- 職位・スキルも駆け出しから社内トップレベルまで
という幅広い層のエンジニア社員に応募してもらえました。
1Day開発イベントは当日のフレキシブルな対応もできて、受講者の大半に満足してもらえるものになり、9割超の受講者が最後までやり終えてゴールできました。
この経験で、私の人材育成能力も伸びたと思います。
で・・・・・ここまでやったら、普通の社内研修であれば
- 運営チームで振り返り会
- 結果をまとめて上層部に報告
- 関係者を集めて打ち上げしてお疲れ様。終わり
です
しかし、技術者版あした会議「CA BASE SUMMIT」の場で、弊社の社長、執行役員、主席エンジニアなどで構成する審査員が決議した全社施策「生成AI徹底理解リスキリング」には
サイバーエージェントグループが生成AIで業界を牽引している状態を目指す
という壮大な目的を定めています。
入社19年目にして初めて会社公式の技術ブログを書いた理由
おまたせしました、最後にこの記事の本題です。
サイバーエージェントグループが生成AIで業界を牽引している状態を目指す
という「生成AI徹底理解リスキリング 」の壮大な目的に一歩でも近づくためには、今回成し遂げたことを世の中の皆様にお知らせして、認知して頂かなくてはいけません。
まずは、社員であれば、たいていは記事を載せてもらえる自社のメディアを通じて、世の中に伝えることにしました。
ということで、入社19年目にして初めて会社公式の技術ブログを書くチャンスがめぐってきました
せっかくのチャンスなので、少しでも世の中のお役にも立てるように、「生成AI徹底理解リスキリング for Developers」で得たノウハウを中心に記事を書きました。
ココまで読んで興味を持っていただけた方は、
約1カ月の研修期間でエンジニア社員がLLMを組み込んだ機能を大量に実装出来た理由 ー「生成AI徹底理解リスキリング」の第二弾について
を是非ご覧頂ください