概要
AWS 認定ソリューションアーキテクト – プロフェッショナルに合格したので、その経験をもとに勉強方法や戦略について紹介します。
対象者はAWSを学び始めて1年前後で、ソリューションアーキテクトアソシエイトに合格できる程度の実力のある方です。
学習期間および学習時間
本エントリで紹介する内容をこなすのに70時間程度かかります。
筆者は学習期間として2カ月割きましたが、余裕を見て3カ月程度を見ておくことをおすすめします。
AWS公式が実施している下記の無料キャンペーンを利用することもおすすめです。
AWS公式の作成した学習スケジュールに基づいて、メールでリマインドしてくれたり、Googleカレンダーに予定をインポートしたりできます。
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戦略
AWSの実務経験はそれほど無い人が、遠回りせずに試験に一発合格したい場合、利用すべき学習リソースは以下の通りです。
- クラスルームトレーニング
- Exam Readiness
- ホワイトペーパー
- AWS Black Beltオンラインセミナー
- 模擬試験
各リソースの詳細については、後述します。各リソースで学習する際に意識すべきことは、AWS Well-Architectedフレームワークで定義されている5つの柱(覚えていますか)と、それを実現するためのベストプラクティスとは何かということです。これらについては、AWSのエキスパートは常識として身に付けているものです。プロフェッショナル試験は、短時間で膨大な量の情報の中から正答を見つけ出す必要があるため、勘所として是非とも押さえておく必要があります。AWSビギナーである我々は、試験合格のためにこれらについて短期間で身に付ける必要があります。
クラスルームトレーニング
AWS-Jが開催している「Advanced Architecting on AWS」の受講を検討して下さい。
AWS-Jのテクニカルトレーナーの方による3日間の研修で、座学および演習(ハンズオン・グループワーク)からなります。内容は良いですが、試験範囲に1対1に対応している訳ではないので注意して下さい。
研修のテキストとして配布される700ページ超のスライド資料が、分かりやすく非常に参考になります。
30万近くかかる高額な研修なので、会社に負担して貰えない場合は、必ずしも受講する必要はないでしょう。
Advanced Architecting on AWS
Exam Readiness
試験対策の超本命です!必ず受講しましょう。
Exam Readinessは、Advanced Architecting on AWSとは異なり、試験に即応しています。試験の出題分野ごとに求められる知識のまとめ、およびサンプル問題が含まれています。コンテンツがインタラクティブでリッチです。
サンプル問題数はそこそこ多いです。解説動画があるので、サンプル問題を確実に解けるようになるまで繰り返しましょう。
Exam Readiness: AWS Certified Solutions Architect – Professional (Japanese)
ホワイトペーパー
試験対策の中でもホワイトペーパーは特に重要です。
ホワイトペーパーは種類も量も膨大なので、読みこなすにはかなりの時間が必要です。PDFをスマートフォンの電子書籍アプリに取り込む等の工夫によって、スキマ時間で取り組めるようにすると良いでしょう。
Well-Architectedフレームワーク等の有名ところのホワイトペーパーは翻訳されていますが、英語のみの物も多いため、多少の英語力は必要です。 しかしながら、平易な英文で執筆されているので、必要以上に恐れる必要はありません。読むのに慣れてくれば、逆に日本語版の機械的な翻訳文の方が分かり辛く感じるようになるでしょう。
ホワイトペーパーを読むことで、AWSクラウドのベースとなる思想への理解が深まり、クラウドシステムの設計時のベストプラクティスとアンチパターンが何となく判断できるようになってきます。ただし、試験に回答するために必要な、AWSの各サービスの細々とした知識はホワイトペーパーには記載されていないので、適宜マニュアルやAWS Blackbeltの資料を参照する等して補いましょう。
マニュアル等のホワイトペーパー以外のドキュメントは、リファレンスとして必要に応じてつまみ読むだけで良いでしょう。
筆者が試験対策として読んだホワイトペーパーのリストを次節に記載しました。数が多いので、各ホワイトペーパーをMustとOptionalの2種類に分類しています。
まずはMustのホワイトペーパーを一通り読んで、自分に不足している分野について、Optionalのホワイトペーパーをピックアップして読むようにすると良いでしょう。
Must
- AWS Well-Architected フレームワーク
- AWS セキュリティのベスト
プラクティス - Practicing Continuous
Integration and Continuous
Delivery on AWS
- Implementing Microservices
on AWS
Optional
- Best Practices Design Patterns:
Optimizing Amazon S3
Performance - AWS Storage Services
Overview - AWS Governance at Scale
- Amazon Web Services: Overview
of Security Processes - AWS サーバーレス
多層アーキテクチャ - Fault-Tolerant Components on
AWS
- AWS Migration Whitepaper
- AWS でのビッグデータ
分析オプション - AWS Best Practices for
DDoS Resiliency
AWS Black Beltオンラインセミナー
AWS Black Beltオンラインセミナーは、AWS-Jが主催しているWebセミナーです。セミナーで使用された資料と映像がアーカイブされているので、これらを試験対策に利用します。
AWS Black Beltでは、AWSの提供する各サービスについて初級~中級レベルの解説が行われています。1~2時間程度で各サービスについてざっくりとした説明がなされているので、マニュアルを頭から読むよりも時間短縮になります。EC2やS3等の定番かつ試験で頻出なサービスについて、本教材で改めて学習することをおすすめします。意外と知らなかった知識が得られたりします。
模擬試験
Web環境で、本番同様の形式で模擬試験を受験することができます。60分間で20問のサンプル問題に解答します。
一通り学習が終了し、直前期の追い込みをかける手前くらいのタイミングで受験すると良いでしょう。
受験後、回答の正答率がメールで通知されます。問題毎の正誤や正答は公開されないので、受験後に自分でマニュアル等によって調べる必要があります。ただし、調べても何が正解なのか分からない問題が結構な率であると思いますので、力試しだと思って受験するのが良いでしょう。
模擬試験は1回受ければ十分です。筆者は模擬試験が無料で受けられるバウチャを2枚持っていたので2回受験しましたが、2回とも全く同じ問題でした。
試験本番
本試験では170分で80問に回答する必要があります。したがって1問あたり2分ちょっとで回答する必要があります。アソシエイト試験のような一問一答の問題ではなく、長文を読ませる問題のため、時間内に全問解答するだけでもかなりタフな試験になります。
分からない問題にフラグを立てて、後で見直すために利用することができますが、時間の問題から後で見直しができるとは考えない方が良いでしょう。設問を読み直して、問われている内容を思い出すだけでもかなりの時間を消費してしまいます。
本試験は1000点満点のうち、750点以上の得点で合格ですので、単純計算すると20問までは不正解でも合格することができます。分からない問題は潔く切って時間を浪費しないようにしましょう。
終わりに
偉そうに書いてきましたが、筆者はギリギリ合格です。
本エントリが、これから試験を受験される方の参考になれば幸いです。
2020年もAWS道を邁進していきましょう!