目的
- ITエンジニアとして働くにあたり、技術的側面以外にも「IT労働」についての知識をつけたいと思い購入。
- 読んでも忘れてしまうので、ざっくりメモ程度に振り返られるように
#第1章 これから変わる働き方
-
労働三法
- 労働基準法
- 労働組合法
- 労働関係調整法
-
働き方改革法案
- 労働時間に関する制度の見直し
- 同一労働・同一賃金
- 年次有給休暇の強制利用
#第2章 入社の「困った!」 -後悔なく仕事を始めるために
入社までの基本的な流れ
- 内定連絡への返信
- 条件の再確認・入社諾否の意思表示
- 入社日の決定・退職日の調整
- 雇用契約の締結・入社手続き
- 初出社
入社手続きでの提出書類
- 雇用保険被保険者票
- 年金手帳
- 前職分の源泉徴収票
- 扶養控除等異動申告書
- 健康保険扶養者異動届(扶養親族がいる場合)
入社に関する各種書類
- 内定通知書・採用通知書
- 入社承諾書
- 労働条件通知書・雇用契約書
内定通知書
内定通知書の発行には法的義務がない。記載事項は会社によって様々で、書面以外にも、口頭やメールで連絡する企業もある。
労働条件通知書
会社は労働基準法に基づいて**「労働条件通知書」を交付する義務**がある。会社が一方的に労働条件を通知する書面なので、この段階で労働者の同意は必要なし。
- 記載すべき項目例
- 雇用期間
- 業務する場所・内容
- 就業時間や休憩・休憩時間・休日・休暇・残業の有無
- 給与に関する項目
- 退職に関する項目
- 昇給に関する事項:絶対記載事項と相対記載事項
雇用契約書
「労働条件通知書」に書かれている内容について、労働者と会社双方が同意し契約を交わしたことを証明する書類。法的な罰則規定はないが、争いを避けるため、証拠書類をするのが一般的。現状は、「雇用契約書」の書面に「労働条件の通知事項」を記載し、1つにまとめるケースが多い。
Q&A
Q. 求人内容と採用後の労働条件が異なるのは違法??
A. 必ずしも違法とは言えない
求人広告の掲載は、法的には「労働契約の申し込みの誘引」という性質のものなので、あくまでも見込みということになる。
Q. 週休二日制と完全週休二日制ってどう違うの??
A. 週休二日制⇨「月に最低1回、二日休みがある週」があればよい。週一休みのケースもあるし、土日休みである必要はない。
完全週休二日制⇨「毎週二日は休みがある」が、土日休みとは限らない。
#第3章 退職・転職の「困った!」 ー辞めるなら円満に
退職の基本的な流れ
- 退職の意思を伝える
- 退職日の調整・決定
- 退職届を提出
- 退職手続き
退職願と退職届
「退職願」⇨会社に対して退職を願い出るための書類。(却下される可能性もある)法律上は、受理されてから2週間で退職が認められる。
「退職届」⇨会社に退職の可否を問わず、自分の退職を通知するための書類で、一度受理されると自分の意思で退職を撤回することはできなくなる。法律上は、原則として退職の自由が認められており、会社側の都合で退職を拒むことはできない。どうしても退職を拒まれた場合は「退職届」で退職の意思を会社に伝える。
受け取るもの
- 年金手帳(企業が保管している時)
- 雇用保険被保険者票(企業が保管している時)
- 厚生年金基金加入員証(基金に加入している時)
- 健康保険被保険者資格喪失証明書(次の転職日まで間があくときは国民健康保険への加入が必要となるため)
- 退職証明書(退職後に健康保険状の被扶養者になる場合)
- 雇用保険離職票(退職後に失業保険給付をもらう場合)
- 退職する年の源泉徴収票
返却するもの
- 健康保険被保険者証
- 会社の身分証、IDカード
- 制服や作業服など貸与されているもの
- 在籍中に取引先等から受け取った名刺
- 会社から貸与されたPCや事務用品
#第4章 労働時間・労働形態の「困った!」 ー生活と仕事の両立を実現するために
労働時間、休憩、休日の基本
労働時間
- 労働基準法では、1日8時間以内、1週間で40時間以内と定めている。⇨法定労働時間
- 法廷堂々時間以内で任意に会社が定めた時間⇨所定労働時間
- 法定労働時間を超過した場合⇨一定率の割増賃金を支払う
休憩時間
- 1日の労働時間が6時間を超える場合、少なくとも45分
- 1日の労働時間が8時間を超える場合、少なくとも60分
- 休憩時間は自由にして良いものなので、電話対応や来客対応を支持されている場合は労働時間とみなされる。
休日
- 毎週少なくとも1回、もしくは4週間を通じて4日以上の休日を与える⇨法定休日
- 土日を休日としている場合は、どちらか一方を法定休日とし一方を所定休日とする
- あらかじめ休日に働く日と平日の出勤を振替える⇨振替休日(休日労働扱い外となる)
- 振替休日としない場合は休日労働となり、所定の割増賃金が支払われる
- 休日労働をした後に休みを与える⇨代休(必ず与えなければならない訳でも、いつまでに与えなければならないというものでもない)
### 年次有給休暇
-
所定の休日以外に仕事を休んでも賃金を払ってもらうことができる休暇のこと。
-
次の条件をクリアすれば、正社員以外でも付与される
- 6ヵ月間の継続勤務
- 出勤率8割以上
- 週5日以上の勤務
-
原則として、利用目的を問われることなく取得できる。
-
会社の正常な運営を妨げるようなことになる時に限り、休暇日を変更させることができます。⇨時季変更権
手待時間
使用者の指示があれば直ちに作業に従事しなければならない状態にある時間を指し、労働時間としてカウントされます。
第6章 給与福利厚生の「困った!」 ー適正な対価を受けるために
##給与の中身
給与(法律上は賃金)は労働条件の中でも最も重要なものである。
###最低賃金法
会社が支払わなければならない賃金の最低額を定めている。
たとえ、労働者が同意したとしても、これより低い賃金での契約は認められない。
対象:正社員、非正社員問わず全ての労働者
東京都の最低賃金:1013円(2019年10月時点)
###給与の支払いルール(賃金支払いの5原則)
賃金の支払いについても法律で定められている。
- 通貨払いの原則:賃金は、原則通貨で支払わなければならない
- 直接払いの原則:賃金は、労働者本人に支払わなければならない
- 全額払いの原則:賃金は、その全額が支払わなければならない
- 毎月一回以上支払いの原則:賃金は、毎月一回以上、支払わなければならない(賞与など臨時的な賃金は除く)
- 一定期日払いの原則:賃金は、期日を決めて支払わなければならない(賞与など臨時的な賃金は除く)
###給与体系
賃金の支払われ方のこと。
####1.定額制
-
月給制:毎月のベースとなる給与項目が月額固定で決まっている
- 日給月額制:「ノーワーク・ノーペイの原則」に基づき、遅刻・欠勤・早退などの不就労分を控除するもの(多くの会社では「月給制」と称して、こちらを採用している)
- 完全月給制:遅刻・欠勤・早退などの不就労分があったとしても控除しない
- 日給制:労働者ごと、1日あたりの単価 * 出勤日数 = 給与額
- 時給制:1時間あたりの単価 * 実働時間 = 給与額
####2.出来高制
仕事をした分だけ賃金が支払われる給与形態。保有スキルや経験によって単価が大きく異なる。
- 単価請負制:単価個数あたりの賃金単価を決定し、出来高数量に応じて算出
- 時間請負制単位出来高に対する標準作業時間と時間単価を決定し、出来高に応じた標準作業時間を基準として算出
####3.年俸制
1年単位で給与総額を決定・双方合意し、毎年更改していく給与形態のこと。
最低12分割をし、月1回以上支払わなければならない。年俸制であっても、時間外手当の支払いは必要となる。
###給与体系
給与明細に記載されている項目をまとめた総称のこと。
- 基準内賃金:所定労働時間に労働した対価(基本給、資格手当、皆勤手当、役職手当など)残業手当の単価計算に用いられる
- 基準外賃金:それ以外の対価(割増賃金など、変動的部分の賃金のこと)
####割増賃金
法定労働時間を超えて労働した場合、時間帯に応じて割増賃金の支払いが義務付けられている。
- 時間外勤務手当:割増賃金基礎単価*1.25*時間数
- 深夜残業手当:割増賃金基礎単価*0.25*時間数(22:00~05:00)
- 休日出勤手当:割増賃金基礎単価*1.35*時間数
####固定残業代(みなし残業)
あらかじめ一定時間分の時間外労働に対する割増賃金分を基本給や手当に含めておくという賃金の支払い方法のこと。実際に残業がなかったとしても給与に含まれて支給される。
#####メリット
-
労働者にとって
- 定時で上がればみなし分だけ得をする
- 効率よく仕事をした人がその分報われる制度といえる。
-
会社にとって
- 残業代の計算が楽になる
- みなし残業代制度の下でも、会社は各労働者の実労働時間を把握し、これに基づいて割増賃金額を計算するという処理は必要。よって会社にはあまりメリットはない?
- 固定支給の残業代を賃金に上乗せすることで、労働条件や待遇をよく見せることができる(求人の際に有利となる)ということがあるかも。きちんと求人の際に固定支給の残業代を含む金額であることを適切に明示していれば、これ自体は特に不当でも違法でもない。
#####デメリット
- 未払い残業代の温床になる
- みなし残業代が支払われる分は何が何でも残業しなければならないという制度ではない。
- 法令上支払われるべき割増賃金額がみなし残業代を上回る場合には、当該超過分は必ず精算されなければならない。
####賞与(ボーナス)
必ず支給しなければならない斧ではないため、業績が悪い時は支給されないケースも少なくない。賞与の制度そのものがない会社もある。
##Q&A
Q. 給与と給料の違いって何??
A. 「給料」は、基本給のこと。「給与」は、残業代は諸手当、賞与といったものが含まれ、給料よりも広く捉えられており、会社から受け取る報酬はすべて「給与」となる。
#第7章 職場環境の「困った!」 -健やかに働き続けるために
エンジニアにありがちな3つの性格タイプ
-
人見知りタイプ
- 誰に対しても無口で、当たらず障らずという雰囲気の人。好きな技術については熱心に話す傾向。
-
1つのことに対して異常に打ち込むタイプ
- 一度集中し始めると時間を忘れて仕事に打ち込むタイプの人。ワーカーホリック体質。知らないうちに過重労働になってしまう
-
我が道を突き進むタイプ
- 人の話を全く聞かず、天然といってもいいくらい自由。
労災の基礎知識
####労災者災害補償保険
就業中や通勤途中など業務上の事故や災害による怪我、仕事が原因の病気などの補償を行う。「労災」と略される。社員を雇用している会社は必ず労災保険に加入していなければならない。
####セクハラ・パワハラを受けた時
相談をして自分の現状や気持ちを話すのと並行して、セクハラやパワハラを受けていたという証拠を集める。ポイントは、客観的に確認できる証拠を一つでも多く残すこと。信憑性の高い証拠を集めることが、相手にセクハラやパワハラの実態を理解してもらうためにもとても重要である。
#読んで見て思ったこと
労働三法とか中学生の時には全くピンと来なかったけど、今思えば重要なことを学んでいたんだなと実感した。他にも、入社・退社の流れなど民間での就職経験がない自分にとっては初めて知ることが多かった。特に労働や給与についての知識はこれからも活かしていけると思った。この本自体は浅く広く「働くうえで知っておきたい最低限の知識」を得ることができる書籍だと思う。その中で知りたいと思った知識をそれぞれ深掘りしていけばいいはず。