はじめに
コードの可読性は、開発の生産性に直結する重要な要素です。なぜなら、コードは書く時間よりも読む時間の方が圧倒的に長いからです。
コードを読んで理解する時間が短縮されれば、それだけ作業も効率的に進みます。この記事では、可読性を向上させるための具体的なポイントを紹介します。
シンプルで意図が明確なコードを書く
コードはできるだけ単純で、意図が明確であるべきです。読み手が「何をしたいのか」を瞬時に理解できるコードを書くことが重要です。また、コードは可能な限り独立性が高く、再利用しやすい構造にするのが理想です。
命名規則の徹底
命名は可読性の要です。変数や関数名は、以下のポイントに留意しましょう。
• 正確で説明的: 名前はその変数や関数が示す意味と一致している必要があります。たとえば、isVisibleは「視覚的に見える」ことを示し、聴覚的な意味は持ちません。また、短縮形よりも説明的な名前を使うことで、名前を見ただけで意味がわかるようにします(例: w → width、h → height)。
• 文法に則った命名: クラスや変数は名詞で、関数は動詞と名詞を組み合わせた命令文のように命名します。これにより、名前からその役割が自然に理解できます。
• 重要な単語は最後に: 関数名や変数名では、重要な意味を持つ単語を最後に置くとより読みやすくなります。
• 前置詞の適切な活用: 特にローカル変数には、前置詞を使って意味を明確にしましょう。ただし、スコープが広い変数では過剰な前置詞は避けます。
コメントの適切な活用
コメントは、必要最小限に留め、具体的な説明はドキュメントやイシューへのリンクで補完します。冗長なコメントはかえって読みづらくするので、コメントの内容は簡潔にするのが望ましいです。
不変な状態の活用
状態は可能な限り不変(immutable)に保つことで、予期しないバグや副作用を防ぎます。不変な状態は、読み取り専用であることを意味しませんが、コードの安全性や可読性を高める一助になります。
関数設計のポイント
関数も「単一責任の原則」に従うべきです。つまり、1つの関数が1つのことだけを行うように設計します。責任が多重になると、関数が複雑になり、再利用や保守が困難になります。判断基準として、関数の動作を要約するドキュメントを書いてみて、説明が2つ以上に分かれる場合は、責任が多すぎる可能性があります。
• コマンド・クエリ分離の原則: コマンド(操作)とクエリ(取得)を分けることで、コードの意図が明確になります。
• 良い関数の特徴:細かい挙動を理解しなくても、全体の流れが理解できる。重要な部分が一目でわかる。条件分岐が多くても、理解に苦しむことがない。
ネスト構造は複雑になりがちですが、必ずしもすべて解消する必要はありません。場合によっては、メソッドチェインやネストの分解が効果的です。
これらのポイントを意識することで、より読みやすく、メンテナンスしやすいコードを書くことができます。ぜひ日常のコーディングに取り入れてみてください。