みなさん、こんにちは。Qiitaへの初の投稿では、弊社のExcelアドイン「生成AIツール for Excel」の画期的な新機能であるBB.MAJORITY関数を紹介します。この関数は、AIの多数決により、大量のテキストデータをExcel内で直接分類できます。以下では、この革新的な手法の可能性と課題を述べます。
BB.MAJORITYの可能性
BB.MAJORITY関数を使うと、人間には分類や検証が不可能な量のテキストを扱えるようになり、分類の妥当性を説明可能になります。カスタマーサポート履歴やアンケートの回答が数千あろうが数万あろうが、Excelシート内の数秒から数分の作業で分類できます。しかもAIによる多数決により、ひとつのAIに回答させることの恣意性を排除できます。
たとえば、BB.MAJORITYを使って「バナナは食事ですか?それともおやつですか?」という我が国の長年の議論に決着を付けましょう。
『先生!バナナはおやつに含まれますか?』 -- この問題は法律入門書のテーマにすらなっている
従順な国民の育成を目的にした我が国の学校教育では、山や公園への遠足にもルールがあります。手作り弁当の他に、500円以内のおやつを持参できるとして、生徒が食事の一部としてバナナを持参した場合、さらに500円のおやつを持参できるかが問題になるのです。子どもたちにとっては重大な問題です。教師がバナナはおやつではないと宣言した場合、生徒はバナナと500円のおやつの両方を持って行けるからです。
この問題は、
=BB.MAJORITY({"gpt-3.5-turbo","You are a liberal elementary school teacher.";"gemini-1.0-pro","You are a centrist elementary school teacher.";"claude-2.1","You are a conservative elementary school teacher."},"バナナ",{"食事","おやつ"},2)
というExcel式で解決できます。
この例では、AIの多数決により「バナナはおやつである」と分類された
上記の例では、BB.MAJORITY関数は、ChatGPT、Gemini、ClaudeのAPIにリクエストを送信します。関数の最後の引数「2」は、2/3以上のAIが同じ判定を返した場合に、その分類を関数の出力とせよ、の意味です。
このようにBB.MAJORITY関数は多数決によって分類を決定するため、たとえ各AIの判断が偏っていても「客観的な分類」に近づきます。テキストを分類できれば、感情分析やその他の手法と組み合わせて、フリーテキストを定量的に分析できます。
BB.MAJORITYの挑戦
ただし、AIによる多数決には、潜在的な問題が4つあります。
- 過半数に達しないこともある
- 過半数のAIが間違えることもある
- すべてのAIから応答があるとは限らない
- 決定過程が不透明
まず、AIによる分類はそれぞれのAIのクセが反映されます。AIが多数意見を形成できない場合、BB.MAJORITY関数は失敗となり、#N/Aエラー(AIなのにExcelぽい)を返します。この場合は人間が判断することになります。
また、現在のAIは非常に人間に近い判断をしますが、「分類」とは本質的に恣意的であり、必ずしも期待どおりに分類されるとは限りません。数十件なら人間がAIによる分類を検証できますが、数百以上になるとまず検証できません。議会制民主主義と同様、AIに多数決させたからといって、一貫して合理的な結果が保証されるわけではありません。
英語圏では「バナナはおやつか?」に相当するのは「トマトは野菜か?」問題である
さらに、各社のAIのAPIには、異なるポリシーが適用されます。文章によっては回答が拒否されることもある。また、AIシステムが過負荷になると、出席人数が足りずに、過半数に達しないこともある。現在の実装では、応答を返したAIが75%未満の場合、エラーを返す。
最後に、AIがなぜそう判断したのかは明らかにされません。人間社会の民主主義では、議論を通じて結論が正当化されますが、AIの意思決定はブラックボックスです。
結論
BB.MAJORITY関数は、人間には不可能なスケールでテキストを迅速に分類できる革新的なExcel関数です。課題はあるものの、AI多数決は、主観的な分類の決定をより客観的にする新しい方法として、非常に有望だと考えています。
フリーテキストは定量的に分析しにくいとされてきましたが、分類できれば、分析の可能性が大きく広がります。BB.MAJORITYを含む「生成AIツール for Excel」アドインは無料で利用できます。ぜひ試してみて、大量のテキストの分類と分析を試してみることをお勧めします。
AI多数決はまだ進化中のテクノロジーです。しかし、改良を続けることで、より信頼性の高い分類を実現できるはずです。AIの意思決定の透明性を向上させることは重要な課題であり、皆様からのフィードバックをもとに、テクノロジーの可能性を最大限に突き詰めて参ります。ご期待ください。
※この投稿はMediumの記事の翻訳です