はじめに
最近、海外発のOSSプロジェクトのチームからスカウトされ、個人開発者として開発のお手伝いをしています。
お試しということで時給20米ドルで契約しており、3月が終わり4月に入ったので3月分の報酬を請求することにしました。
海外企業に英語で請求書を書くのは初めてだったので、ここにまとめておきます。
海外送金について
従来インターネットを介した海外送金はPayPal一択でしたが、近年は海外送金手数料が高騰していることもあり、代替サービスも視野に入ってきました。
今回は送金手段にWiseを使うことにしました。
なお、Wiseを始め海外送金サービスは個人身分確認や銀行口座の照会が必要になるため、サインインしてすぐに使えるわけではありません。事前準備が必要です。
海外からWiseで現金を受け取る方法その1 ~Wiseアカウント直通~
Wiseを利用する場合、Wiseアカウント同士で直接送金するのが最も手っ取り早く、なおかつ手数料も安くなります。
アカウント同士で送金するには事前に互いのアカウントが『受取人』欄に入っている必要があります。今回はそのような準備ができていないため、やむを得ず インバイトリンクをプロジェクトマネージャーに送り、様子を見ることにしました。
送金者のWiseアカウント -> (Wiseの外貨両替) -> 自分のWiseアカウント
となり、リアルタイムかつ非常に低コストで海外送金を受け取れます。
海外からWiseで現金を受け取る方法その2 ~アメリカ国内にWise受取用銀行口座を作る~
今回の契約では米ドル支払いですので、Wiseのサービスを通してアメリカ国内に受取用銀行口座を作ることにしました。
Wiseのサービス内の『USD』と書かれているリンクをクリックすると『お客様のUSD口座情報』というリンクがあるのでそこをクリックすると、あなたのWiseアカウント用の受取用口座情報が書かれていると思います。それをコピペしてメール本文に貼ればOKです。
この場合、
送金者の銀行口座 -> (銀行振込) -> Wiseの米国内銀行口座 -> (Wiseの外貨両替) -> 自分のWiseアカウント
という送金経路となるため[1]よりは手数料効率が悪く、日数もかかります。
今回の請求書では[1][2]の両方を提示し、どちらかを選ぶように要求しました。
請求書の書式
このページを参考に請求書を書きました。特にPDF化はしなくても、平文のEメールで十分なようです。
- 【英語の請求書】伝わる例文と送付メールの書き方は?(MakeLeaps)
まず、請求書のタイトルを決めます。『何年何月の誰々からの請求書』で十分伝わるでしょう。
Subject: Invoice for March 2022 from kanryu
宛名とまえがきを書きます。請求書の請求目的、及び相手国でEmailの請求書が法的に有効かがわからないので、有効性を主張する。まあこんな感じでしょうか?
Hi, John
I worked according to the contract I made with you during March and achieved good results, so I will charge you the prescribed amount by this email.
I don't know how email will be treated in your country, but treat this email as a formal invoice.
ジョン、こんにちは。
3月を契約通りに働き、良い結果が出ましたので、このメールで所定の金額を請求させていただきます。
あなたの国でメールがどのように扱われるかはわかりませんが、このメールは正式な請求書として扱われます。
次に主題となる項目を箇条書きで列挙していきます。
英語では『項目名:内容』という形で1項目ごとに改行して並べていくのが一般的な書式です。適度に空行を入れたりして読みやすくしましょう。
- 請求日付(Date)
- 請求書番号(#)
- 請求側にしか意味のない情報ですが、一応入れておきます。相手に複数回請求する場合には番号を書き換えて請求します。
- 支払期日(Out Date)
- 請求先(Bill to)
- 相手のフルネームがわからないのでメールアドレスにしておきました。
- 支払先(Ship to)
- 電話番号(Tel)
- 国際電話番号は日本の場合は(+81)から始まります。
- メールアドレス(E-mail)
Date: April 3, 2022
#0001017
Out Date: April 17, 2022
Bill to: john@oss-project.com
Ship to: YOUR Name
Tel: +81 80 1234 5678
E-mail: xxx@yyyy.com
請求内容詳細
Description:
March 23, 2022 8 hours for 'Zoom feature'.
March 30, 2022 to March 31, 2022 12 hours for 'Feature/range'.
Total working hours: 20 hours.
Hourly wage: 20 USD.
Billed amount: 400 USD.
- 明細
- 2022年3月23日、8時間。「Zoom feature」の開発
- 2022年3月30日から2022年3月31日にかけて、12時間。「Feature/range」の開発
- 合計20時間
- 時給 20米ドル
- 請求額 400米ドル
送金方法の指定
相手から見て日本人は未知の国、未知の相手となりますので、こちらから適切な送金手段を提示すべきだと思います。上に書いたように、今回はWiseサービスを利用することにしました。
Remittance method of 1:
Please use Wise as a money transfer service.
You can transfer money directly to my Japanese bank account, but it will incur a very high fee.
Please send money directly between Wise accounts.
You need to have your own Wise account, but it will be easy to send money.
My Wise Account:
https://wise.com/invite/a/xxxxxxxx
Remittance method of 2:
If you are sending money from within the United States by bank, please send it to this course.
Account holder: YOUR NAME
Routing number: 444444444
Account number: 9999999999999999
Account type: Checking
Wise address:
33 W Times Street
New York NY 10010
United States
Remittance method of 3:
If you are sending money from outside the United States to a US bank, please send it here.
Account holder: YOUR NAME
SWIFT / BIC: CCCCCCCCC
Account number: 9999999999999999
Wise address:
33 W Times Street
New York NY 10010
United States
- 送金方法1
- 送金サービスとしてWiseをご利用ください。日本の銀行口座に直接送金することもできますが、非常に高い手数料がかかります。Wiseアカウント間で直接送金してください。あなた自身のWiseアカウントが必要ですが、送金は簡単です。
- 私のWiseアカウント
- インバイトリンク
- 送金方法2
- 米国内から銀行で送金する場合は、このコースに送金してください。
- 口座所有者
- ルーティングナンバー
- 口座番号
- 口座種別: チェッキング
- Wise住所
- 送金方法3
- 米国外から米国の銀行に送金する場合は、こちらから送金してください。
- 口座所有者
- SWIFT
- 口座番号
- Wise住所
※番号やリンクは適当に潰していますので、その部分はあなたの情報で書き換えてください。
注釈、メールの締め
Please let me know that fact in reply to this email after you have paid to my bank account mentioned above.
Take the above as an invoice. The payer must not deduct from the billed amount for any reason, including the payer's corporate rules, service fee, and the tax laws of that country.
The claimant will not make any other cash request to the payer for the purposes of this invoice, even if there is an obligation to pay taxes.
Regards,
Kanryu
上記の私の銀行口座に支払いを済ませた後、このメールに返信してその事実を知らせてください。
上記を請求書として受け取ること。支払人は、支払人の会社規則、サービス料およびその国の税法を含むいかなる理由でも、請求額から控除してはなりません。
申立人は、税金を支払う義務がある場合でも、この請求書の目的で支払人に他の現金要求を行うことはありません。
Kanryuより
Hi, XXXX
............
Regards,
YYYY
という風に書くのが、現代の英語圏でYYYYからXXXX宛にメールを送る際の一般的な構文になります。
最後に
この記事は現在進行系の内容です。今のところ相手先からは理解できていると返事が来ています。続報があれば追記します。
追記(2022-05-01)
送金はその後一度失敗しました。原因をWise様と分析したところ、米国内の銀行から米国外国際送金用の口座に送金したために送金が失敗したことが判明しました。その後、米国内用の口座番号を改めて先方に通知し、2回目は送金に成功しました。
本文では既に米国内用と米国外用を区別する形で反映済みです。
ということで、この記事の内容で海外プロジェクトから報酬を受け取れることが確かめられましたので、請求書作成用の資料としてご活用いただけると思います。