はじめに
レガシー開発から脱却し、モダン開発をリードできるようになることを目指し、Microsoft Azureの学習を始めて約7か月が経ちました。 Microsoft資格(MCP)の取得だけでなく、Power Platformのアプリ開発、Azure AI Serviceの性能比較、AIエージェントの構築にも携わり、この一年、AI技術の進化の速さを実感しています。 身の回りで活用しているものだけでも、GitHub CopilotやAzure AI Foundryなどがあり、こうした変化に迅速に適応できるよう、今後も継続的な学習と実践を積み重ねていきたいと考えています。
Microsoftのキャンペーンでトップ学習者に選出され、AIツアーのVIPパスを頂いたため、Microsoft AI Tour Tokyo 2025に参加しました。 非常に刺激的なイベントだったため、会場の様子をレポートにまとめました。ご参考にしていただければ幸いです。
Microsoft AI Tour Tokyo 2025とは
AIの最新技術や活用事例を紹介するイベントで、ビジネスリーダーや技術者が集い、AIの未来について議論します。基調講演やワークショップを通じて、AIの可能性を探る場となります。今年はMicrosoft創立50周年ということで、見どころ満載のイベントになっていました。
参加方法
上記の特設サイトから登録を行います。メールで参加用QRコードが送られてきますのでGoogleウォレットやAppleウォレットに入れて、会場の受付で提示します。行列に並ぶようなことはなくすぐ受付できました。
登録しても参加確定ではなく、抽選に外れてしまった方も多数いらっしゃるようです。しかし外れてしまった場合でも、Microsoft AI Tour Tokyo Afternoon Access [特別枠]が用意されており午後からの入場が可能でした。一緒に参加したメンバーはこのチケットを利用して入場できました。
https://msevents.microsoft.com/event?id=3383512253
イベントスケジュール
イベントはざっくり4つのプログラムで構成されていました。
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Stage:基調講演やブレイクアウトセッションが行われるメイン会場
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Theater:Stageより小規模で、シアターセッションが開催されるエリア
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ブース:Microsoftやパートナー企業が出展し、最新技術やサービスを紹介
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ワークショップ:PCを持ち込み、ハンズオン形式で学習・体験できるセッション
事前にセッションスケジュールをもとに計画を立てていたものの、ブースには興味を引かれるテーマが多く、盛り上がりすぎた結果、目当てのシアターセッションを見逃してしまいました。また、Workshopは第一希望が満席だったため、第二希望のセッションに滑り込む形で参加しました。予定通りとはいきませんでしたが、非常に充実した情報収集ができました。
ちなみに、昼食が提供されるため、会場を一時離脱する必要はありません。時間が限られているうえ、机の数も少ないため、多くの方がセッションを聞きながら食事をしていました。また、係の方からは「ステージ席も使用OK」と案内がありました。
当日参加できたセッションやワークショップ
すべてのセッションは先着順です。会場受付で発行される首下げチケットにはQRコードが印字されており、それをセッションの入口やブースで提示する形式でした。
生成AI活用による製造DXへの挑戦 ~日立とマイクロソフト、最前線から見た勘所~
製造業におけるAIエージェントの活用事例を拝聴しました。特に印象に残ったのはインタビューAIです。熟練作業員のノウハウをヒアリングし、形式知として蓄積・学習することで、初めて遭遇する問題でも解析が可能になるとのことでした。労働人口が減少する未来において、熟練の技術を後世に受け継ぎ、活用できる意義のある取り組みだと感じました。
AI 変革の時代をリードする ( Leading in the age of AI transformation )

Microsoftのサティア・ナデラCEOによるキーノートを、最前列で拝聴しました。イヤホンによる同時通訳のおかげで、スムーズに理解でき、とても助かりました。 このイベントの中心ともいえるCopilotが、今まさにビジネスを大きく変革している様子を、動画やスライドを駆使した活用事例とともに紹介いただきました。 さらに、日本のデータセンター増強や量子コンピュータチップ「マヨラナ1」、Microsoftの今後のビジョンについても伺うことができました。 内容の充実度はもちろんのこと、スモーク演出など細部まで練り込まれたプレゼンには圧倒され、ぜひどこかで参考にしたいと思いました。
Azure AI Foundryで始める日本語軽量LLM『tsuzumi』の活用術

2024年11月からAzureのMarketplaceで提供されているSLMですが、他のLLMとのベンチマーク比較でも遜色ない性能を発揮しているとのことでした。 ブースでは「LITRON」ブランドとしてSmartAgentが展示されており、個別のペルソナを設定したエージェントを組み合わせることで、マーケティングなど高度な分析を実現できるとのこと。 さらに、ブースの社員の方には親切に説明していただきました。 マルチエージェント構造を持つ生成AIという特性を踏まえると、Manusなども類似するものとして考えられるのではないでしょうか。
多様性が生むイノベーションと社会課題解決をめざして:女性のためのスキリングプログラムCode; Without Barriers のご紹介

「Code; Without Barriers」は、労働人口の減少、企業内における女性デジタル人材の比率向上、そして男女間の賃金格差の是正といった社会課題の解決を目指す取り組みです。 近年の雇用トレンドでは、AI活用スキルの重要性が高まっており、その習得機会を提供することで、こうした障壁を取り除こうとしています。 私も個人的によく利用している『Microsoft Learn』が紹介されました。私も頻繁に利用しているので、その充実したコンテンツが無料で学べることを改めてありがたく感じました。現在は女性を主な対象としていますが、今後はシニア層にも焦点を広げる考えがあるようです。地方においては高齢化が進んでいることもあり、ぜひ継続的に活動を続けていただきたいと感じました。
Azure AI Foundry でモデルとエージェントを操作する

PC持参型のワークショップでは、ラボ環境を活用し、Azure AI Foundryのプレイグラウンド上でチャットボットの構築、画像生成、エージェント作成を行いました。 講師の方からは、生成AIの仕組み(Top PやTemperatureの概念)、トークン数の計算方法などについて解説があり、知識を深める貴重な機会となりました。思わず「知ったかぶりして誰かに教えたくなる」ほど興味深い内容で、時間があっという間に過ぎました。 なお、ワークショップ会場はホールから離れた場所にあるため、移動時間に余裕を持つことをおすすめします。どのワークショップも非常に人気がありました。
MicroSoft様やパートナー企業様のブース
すべてをご紹介しきれませんが、多くの貴重なお話を伺うことができました。 身の回りの課題への解決策を教えていただいたり、知らなかった便利なサービスを紹介してもらったりしました。 さらに、セールストークではなく実際の経験に基づいた率直な意見を聞くことができ、とても参考になりました。

総括・感想
イベントは大盛況で、会場は多くの人で賑わっていました。自身の得意分野(と思っている)Power Platformのブースには立ち寄れなかったものの、GitHub CopilotやAzure AI Agent Serviceの情報を実機を通じて収集できたため、非常に満足しています。 会場で最も耳にしたのは、やはり「エージェント」という言葉でした。
ラグを考慮したドキュメント検索であればチャットボットで十分ですが、アプリやデータ連携が必要な場合はシングルエージェント、さらに複雑な連携や自律的な処理を行う場合はマルチエージェントが適しています。しかし、こうした違いを意識せず、総称として「エージェント」と捉えられる場面が多かったように感じました。
AI活用が進んでいる企業の話を聞くと、システム成熟度に応じた区別はあるものの、AIの利用形態は徐々に確立されつつあり、大きく3つのタイプに分類されるように理解しました。特定の目的に応じてエージェントを使い分ける形です。 GitHub Copilotは、コーディング補助によって開発スピードを加速させる点を考えると、業務特化型のエージェントと言えるでしょうか。
社内ドキュメント検索型:社内情報を効率的に検索するエージェント
汎用型:特定の用途に限定せず、幅広いタスクに対応できるエージェント
業務特化型:特定の業種や業務に最適化され、専門的な作業を支援するエージェント
また、「エージェント」以外で気になったのはChatGPT Operatorです。プロンプトだけでSeleniumやUiPathのような操作が可能というのは驚きです。実際の業務でどこまで活用できるのか、ぜひ検証してみたいと思いました。
といった具合で、大変刺激を受けたイベントでした。今後も、AI技術の進化とその活用方法の変化を追いかけながら、実際の業務でどのように取り入れていけるのかを考えていきたいと思います。新たなツールや概念が次々と登場する中で、企業としてどのように適応し、効率を最大化できるのかが問われる時代になっていると感じました。今回のイベントで得た知見を活かし、より実践的な形でAIを活用できるよう、引き続き学びと検証を続けていきます。今後の展開が楽しみです!
おまけ
ブースを訪問すると、スタンプ(QRコード)を集めることができ、10個集めると記念グッズがもらえます。 各ブースを回ることで、さまざまな情報を得るだけでなく、特典も楽しめる仕組みになっているのが魅力ですね。

以上です。ご精読いただき、ありがとうございました。