はじめに
皆さんこんにちは。コードクリサリスのコファウンダー&CEOのカニ・ムニダサです。このブログではなぜ私がこの日本でプログラミングブートキャンプを立ち上げたのかをお話したいと思います。
なぜ日本でプログラミングブートキャンプを始めたのか
1992年に私は東京農工大学の機械システム工学科に入学したのですが、日本の大学を選んだのは、当時エンジニアリング業界では日本が世界でリーダーシップを取る国々の一員だったからです。電気・電子工学、モビリティ産業やロボティクス産業において、世界をリードしていました。
卒業後4年間日本で働いてから、チャンスに恵まれてアメリカに渡り仕事をしてきました。様々な仕事をしてあっという間に月日が立ち、2015年のある日に気づいたのは20数年間で日本がエンジニアリングにおいて世界に遅れをとっているという事実でした。完全にリーダーシップポジションを失ってしまった産業もあれば、失いかけている分野もある。そこで私がなにかできることはないかと思い、この日本でプログラミングブートキャンプを立ち上げました。
なぜ日本はエンジニアリング業界において世界で遅れをとってしまったのか。私の仮説では、日本はソフトウェア開発ができることを過小評価している、もしくはできることを知らず、ハードウェアだけに重きを置いた結果が今ではないかと考えています。日本ではITは
- 自動化等、なにか作業を楽にしてくれるものとしか思っていない
- なにか新しいものを生み出せるものということに気づいていない
のではないかと考えています。
UBER、AirBnB、Facebook, Alibabaを見てみてください。UBERは車を一台も所有していない。AirBnBは不動産を一軒も所有していない。Facebookは自分でメディア・コンテンツを書いていない。Alibabaは在庫を持っていない。彼らはソフトウェア開発の力で価値を創出して名を知らしめています。このような会社はいろいろな国々からも出てきていますが、日本からはなかなか出てきていない。私はこのような会社を日本から生み出すことを目標としています。
これからの日本に必要な要素
では日本に必要なものは何でしょうか。私は2つの要素があると考えています。
- あらゆる会社はインハウスでソフトウェア開発を行うべき
- エンジニアから起業家に転身する例をたくさん作る
ソフトウェア開発のインハウス化
インハウスが必要な理由
まずあらゆる会社はインハウスでソフトウェア開発を行うべきです。なぜならインハウスでソフトウェア開発をできるということは、ユーザーのフィードバックに基づいて自分たちのプロダクトを創り、改善するというサイクルを高速で回せることを意味するからです。これからの時代はスピードが命です。昔はアイディア勝負だったかもしれませんが、今の時代はそのアイディアをどれだけ速く形にできるか。そしてどれだけ速く検証を重ねて改善できるかです。
日本ではアイディアが思いついたらマーケットリサーチして本当にこれで売れるのかを仮説に仮説を重ね、そしてSIer等のエンジニアリングできる会社に発注するでしょう。もうその間にどんどん時間は過ぎ去っていく上に、契約、要件定義、設計、開発、試験というリードタイムがどんどん積み重なっていく。そしてここにはアイディアを具現化したプロダクトそのものが他者に依存しているという事実もある。ビジネスとしてはリスクしかありません。
そうではなく、アイディアを小さな形=MVP : Minimal Viable Product で良いから具現化し、ユーザーに当てて検証してその学びからさらにMVPを磨いてプロダクトにすることで、プロダクトを創りながらマーケットインさせていく。Product out with customer voiceが必要です。現代のユニコーンと言われる企業は皆このやり方を採用しています。
あえて"ソフトウェア開発"をインハウスで行うというのは、ソフトウェアエンジニアがいれば良いというわけではありません。会社の営みとして、MVPを創り、世の中に当てていくサイクルを高速に回す考え方を持ち、体現することが必要なのです。
今後のSIerの生き方
ここでSIerは今後どうやって生きていくのかという疑問を持たれる方もいるでしょう。正直に言えばもちろん既存のビジネスにインパクトはあるでしょう。今まであらゆる産業のシステムを開発してきたものが、あらゆる産業自体がソフトウェア開発の力をつけると当然自分たちで開発するので、その分ビジネスの規模は少なくならざるを得ません。そしてこの事態が起こるのは時間の問題だと考えます。
SIerは、「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教える」べきなのです。
Pivotalという会社が六本木ヒルズにあります。彼らは顧客に対して、二度とPivotalに来なくて良いように手法を伝授します。自分たちでビジネスを続けられるように体得して帰ってもらう。これからのSIerはこうあるべきです。技術はどんどん新しいものが生まれます。SIerはこういった新しい技術を試し、その技術を実際に使われるまでに落とし込むことが得意なはずです。これを実際の産業に使ってもらえるようにする。こうやって新しい技術と実際に使われる技術の架け橋を掛ける存在になれると考えます。
エンジニア出身の起業家
そしてもう一つ、日本ではソフトウェアエンジニアから生まれる起業家が圧倒的に少ない。元商社マンや銀行マン等、お金を扱ってきたりコネを持ってきたりする人が起業するパターンが非常に多い。もちろんそういった方たちが起業することを否定するものでは全くありませんが、アメリカではソフトウェアエンジニアから生まれる起業家がとてもとても多いことを考えると、日本でもそういった起業家をたくさん生み出したいし、そういった方たちをサポートできるエコシステムを生み出したいと考えています。
MBAに行って経営やマーケットを勉強してから起業しようと考える人も多い。もちろんそれらは経営するのに必要な知識ですが、経営しながらでも学べます。もっとソフトウェア開発中心で起業する人が出てきてほしい。会社の経営自体がアジャイルで、日本発のユニコーンを生み出したいと考えています。
まとめ
日本では2030年までに790,000人にものぼるソフトウェアエンジニア不足に直面すると言われています。ソフトウェアエンジニアの養成が日本には必要不可欠ですし、個人からしたら今からプログラミングを学ぶことで必要とされる人材になれることをこの数字は示しています。
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