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OSSデータベース調査 NoSQLデータベース編

Last updated at Posted at 2019-01-23

はじめに

2018 年の新規導⼊データベースが70%はOSSというガートナー調査結果にあるように、OSSデータベースの採用が増えています。

OSS_DB.jpg

OSS データベースを選択する際には、機能及び性能以外のライセンス、サポート、導入実績、コミュニティの活動状況等といった要因も重要なポイントになります。
データベースの種類に着目すると、RDBMS ( Relational Database Management System ) 以外に、NoSQL データベースなど RDBMS の⽋点であるスケーラビリティや⾮構造化データの扱いの部分を補完するデータベースも登場して、利用も増えてきています。

DB_market.jpg

そこで、今回は各種 OSS NoSQL 型データベースについてライセンス、サポート、導入実績、コミュニティの視点からまとめてみました。
RDBMSについては、OSSデータベース調査 RDBMS編をご覧下さい。

調査対象となる OSS NoSQLデータベースについて

NoSQL データベースはデータ構造の違いから Key/Value 型、ドキュメント指向型、カラム指向型、グラフ
型、時系列型など様々なデータベースが存在します。DB-Engines Ranking を見ると、Key/Value 型は Redis、ドキュメント指向型は MongoDB、カラム指向型は Cassandra、HBase、グラフ型は Neo4J、時系列は InfluxDB が人気が高いです。
また、国産 OSS NoSQLデータベース GridDB の動向は気になっています。

そこで、まずは Redis、MongoDB、Cassandra、HBase、Neo4J、InfluxDB、GridDB の7つの OSS NoSQL型データベースについて調査してみました。
NoSQL データベースの中でも、時系列データベースに関しては、時系列データベースの比較で掘り下げて調査していますのでご覧下さい。

Redis

Key-Value 型の NoSQL DB。Redis はメモリ上で保持ため、高速に読み書き可能とします。

参照:NOSQLの基本知識

基本情報

項目 内容
ホームページ https://redis.io/
最新バージョン Redis 5.0.3 ( 2018-12-11 )
開発言語 ANSI C
https://redis.io/topics/introduction
動作環境 CPU:ビッグエンディアン、リトルエンディアン、32ビット、64ビットのアーキテクチャに対応
メモリ:フットプリント 3 ~ 4MB、インメモリであるためデータ量応じてメモリ使用量も大きくなります。
OS:Linux, macOSX, OpenBSD, NetBSD, FreeBSD
参照 : Introduction to Redis
Windows版は以下のリポジトリで提供されていますが、最新に追従されていません。
https://github.com/MicrosoftArchive/redis
ライセンス BSD License
https://redis.io/topics/license
Redis Labsが提供する一部の拡張モジュールのライセンスはCommon Clouse付Apache v2ライセンス
https://redislabs.com/community/licenses/
特徴 Redis は永続化可能なインメモリデータベースです。データモデルは Key-Value 型だが、Value はStrings, Lists, Sets, Sorted Sets, Hashes, HyperLogLogs, Bitmaps をサポートしています。
クラスタ構成を容易に構築できるため高可用性の提供が可能です。
トランザクション、非同期レプリケーション、Pub/Sub、Luaスクリプト、有効期限付きKEY、KEY の LRU エビクション、自動フェールオーバなどの機能も備えています。
C/C++, C#, Java PHP, Perl, Python, Ruby, Lua など多くのプログラミング言語から使用することが可能です。
参照 : Introduction to Redis
適している利用シーン 高速性が求められるデータキャッシュなどでの利用。インメモリであるため、一般的なデータベースより性能面で優位です。
参照 : Redis FAQ
適していない利用シーン データベースの ACID 特性 ( 原子性、一貫性、独立性、永続性 ) を遵守する必要があるシステム/アプリケーション。特にインメモリであるため、電源段などのトラブルに弱いです。
Redis FAQ

開発情報

項目 内容
開発主体 Redis Labs
開発体制 Salvatore Sanfilippo 氏を中心に 100名の Contributor で開発
https://github.com/antirez/redis/graphs/contributors
参加企業 過去 Vmware, Pivotal, Linode, Slicehost などの企業がサポート
参照 : Redis Sponsors
リポジトリ https://github.com/antirez/redis
開発コミュニティ メーリングリスト、Github が提供されています。
参照 : Community
開発コミュニティ活動状況 月間約 20件のソースコード・コミット、約 25件のチケット発行があります。
https://github.com/antirez/redis/graphs/commit-activity
https://github.com/antirez/redis/pulse/monthly

サポート情報

項目 内容
コミュニティサポート メーリングリスト、Stack Overflow、Local Meetup が提供されています。
参照 : Community
コミュニティ活動状況 Stack Overflow で月間 約 340 の Q&A
https://stackoverflow.com/questions/tagged/redis
サポート企業 Redis Labs がサポートを提供しています。
参照 : Support
NRI は各種 OSS サポートの中で Redis を対応しています。
参照 : Redis最新情報
サポートメニュー/費用 Redis Labs:Enterprise 向けにサポートメニュー有、費用は要問い合わせ
参照 : Redis Enterprise Software Pricing

歴史

項目 内容
開発開始時期 2010-03 VMWare の内部プロジェクトで Redis 開発を開始
参照 : antirez weblog
開発の経緯 リアルタイム・ログ解析 Web アプリケーション LLOOGG の要求で Redis の開発を開始
参照 : LLOOGG realtime log analyzer web app
2009~2013-05は、VMware の Salvatore Sanfilippo 氏と Pieter Noordhuis 氏が開発
2013-05~2015-06 Pivotal がスポンサーとなり、Salvatore Sanfilippo 氏が開発
2015-06 Redis Labs がスポンサーとなり、Salvatore Sanfilippo 氏が開発
参照 : Redis Sponsors
最近のメジャーリリース履歴 2015-07-06 Redis 3.0.0 Redis Cluster をサブセットとして実装
2016-05-17 Redis 3.2.0 BITFIELDコマンド、各種フォーマットの追加
2017-07-14 Redis 4.0.0 モジュール機能の追加 ( モジュールをロードしてRedisから使用 )
2018-10-17 Redis 5.0.0 Streamデータ型、新しいモジュールAPI ( Timers, Cluster )など
https://github.com/antirez/redis/blob/5.0/00-RELEASENOTES
リリース頻度 年間 10回程度のリリース。メジャ・リリースは年1回程度
https://github.com/antirez/redis/blob/5.0/00-RELEASENOTES

適用状況

項目 内容
適用システム クラウドサービスのデータキャッシュ機能 ( Redis Cloud, Amazon ElastiCache, Azure Redis Cache )
動画放送、スマートフォン向けゲーム ( ニコニコ動画, 戦国炎舞 )
適用数 2017年OSS データベースサーバの世界シェアは3%。
https://jelastic.com/blog/software-stacks-statistics-within-jelastic-cloud-2017/
適用企業 Twitter, GitHub, Weibo, Pinterest, Snapchat, StackOverflow, Flickr などの企業
参照 : Who's using Redis?

MongoDB

ドキュメント指向型の NoSQL データベースです。スキーマ設計が不要で、ドキュメントをデータとして格納MongoDB はシャーディングと呼ばれる負荷分散によって性能の向上を実現しています。
参照:NOSQLの基本知識

基本情報

項目 内容
ホームページ https://www.mongodb.com/
最新バージョン Release 4.0.2 ( 2018-12-19 )
開発言語 開発言語:C++
参照 : Build Mongodb From Source
動作環境 CPU:x86_64, ARM64, PPC64LE, s390x
メモリ:256MB以上
OS:Windows, Linux, MacOS, Solaris
参照 : Production Notes/
ライセンス MongoDB DB:MongoDB, Inc.の Server Side Public License(2018/10/16以前のバージョンはAGPL v3.0), 製品ライセンスのデュアルライセンスです。MongoDB, Inc.から製品ライセンスの提供が可能です。
ドライバ: Apache License v2.0.
参照 : MongoDB Licensing
特徴 MongoDB は単体のサーバの実装も、複数拠点での分散開発も、実用化できるように設計されています。レプリケーション、自動フェールオーバの機能も MongoDB に統合されています。
参照 : MongoDB
また、MySQL のようにストレージ・エンジン選択することが可能です。
参照 : FAQ: MongoDB Storage
C, C++, C#, Java, python, ruby, PHP, Node.js, scala から使用することが可能です。
参照 : MongoDB Driver
適している利用シーン ドキュメントなどのスキーマレスなデータの格納、スケールアウト性が必要な Big Data の格納、コンテンツの管理、配信
参照 : MongoDB - Advantages
適していない利用シーン RDBMS のような列データ間に関連があり、結合が必要なデータ。トランザクションを使用して厳密な一貫性が必要なシステム
参照 : Why MongoDB Is a Bad Choice for Storing Our Scraped Data

開発情報

項目 内容
開発主体 MongoDB Inc.
開発体制 コアの Contributor が 36名、MongoDB ServerのContoributor 360名
コードをContribute したい場合、Contributor Agreement を結ぶ必要があります。
参加企業 IBM, NUXEO, NetApp などの企業がイベントスポンサー
リポジトリ https://github.com/mongodb/mongo
開発コミュニティ MongoDB 開発者 Wiki
MongoDB 開発コミュニティ
開発コミュニティ活動状況 MongoDB Server だけでも約300件のチケットが発行されて活動している。その他、ドライバ毎にチケット管理がされています。
https://jira.mongodb.org/projects/SERVER/issues/SERVER-33106?filter=allopenissues

サポート情報

項目 内容
コミュニティサポート コミュニティでイベント紹介、webinars、ユーザグループ、Universityが提供
コミュニティ活動状況 3ヶ月で6回のイベントを開催
サポート企業 MongoDB Inc.がサポートを提供。NRIは各種OSSサポートの中でMongoDBを対応
サポートメニュー/費用 保守を含むサブスクリプションライセンスの他にバージョンアップグレード、ヘルスチェック、パフォーマンス調査・チューニング、トレーニングなどがあります。費用は問い合わせ。
参照 : Global Consulting Services
NRI は MongoDBをサポート
参照 : MongoDB のサブスクリプション

歴史

項目 内容
開始時期 2007年 Dwight Merriman 氏, Eliot Horowitz 氏, Kevin Ryan 氏が設立
参照 : About Us
開発の経緯 10gen という企業が 2007年から MongoDB の開発に着手。MongoDB は当初、PaaS ( Platform as a service )として開発。
2009-02 1st パブリック・リリース
2013-08 社名を 10gen から MongoDB,Inc. に変更。 MongoDB 開発だけに専念
参照 : State of MongoDB March, 2010
参照 : 10gen Announces Company Name Change to MongoDB, Inc.
最近のメジャーリリース履歴 2015-12 3.2.0:ストレージ・エンジンの追加
2016-11 3.4.0:Aggregation, View ソートの改善, Apache Spark コネクタの追加
2017-12 3.6.0:Aggregation の改善, 配列を扱いやすくする機能改善
2018-06 4.0.0 : マルチドキュメント・トランザクション
参照 : Release Notes
リリース頻度 年間 10回程度のリリース。メジャ・リリースは年 1回程度

適用状況

項目 内容
適用システム McAfee:Global Threat Intelligence ( GTI ) ( セキュリティサービスのBig Data解析 )
参照 : McAfee is Improving Global Cybersecurity With MongoDB
サイバーエージェント:アメーバピグ ( ソーシャルゲーム )
参照 : Ameba の MongoDB 活用事例
適用数 2017年OSS データベースサーバの世界シェアは5.4%。
https://jelastic.com/blog/software-stacks-statistics-within-jelastic-cloud-2017/
適用企業 Google, CISCO, EA, Expedia, facebook, ebay, GAP, Verizon, TREND MICRO, SAP, NOKIA, BOSCH など多くの企業で採用
参照 : Our Customers

Cassandra

高性能、高いスケーラブル性、フォルトトレランス(単一故障点がない)な分散データベースです。従来の RDBMS ベンダーがサポートすることができないニーズを Google Bigtable と Amazon Dynamo の長所を組み合わせたカラム指向データベースです。

基本情報

項目 内容
ホームページ http://cassandra.apache.org/
最新バージョン Apache Cassandra release 3.11.3 ( 2017-06-31 )
開発言語 Java
https://github.com/apache?q=cassandra&type=&language
動作環境 CPU:マルチコア CPU ( 8コア以上を推奨 )
メモリ:4GB以上 ( Cassandra の Heap で 2GBを最低でも使用 )、32GB以上を推奨
ストレージ:RAID1 または RAID5 構成 ( SSDを推奨 )
JVM:不明
参照 : Hardware Choices
ライセンス Apache License 2.0
https://github.com/apache/cassandra-builds/blob/master/LICENSE
商用版パッケージとして DataStax Enterprise が存在します。
特徴 単一障害点のない高度なスケーラビリティと可用性、NoSQL のカラム・ファミリの実装、極めて優れた書き込みスループットと優れた書き込みスループット、SQL ライクな問い合わせ言語およびセカンダリー・インデックスによる検索のサポート、調整可能な一貫性とレプリケーションのサポート、柔軟なスキーマ
参照 : Apache Cassandra データベースについての検討
適している利用シーン 高可用性と大容量への対応が求められるアプリケーションに非常に適しています。
参照 : ORACLE.COM/JAVAMAGAZINE Cassandraの概要
適していない利用シーン ACID 特性 ( 原子性、一貫性、独立性、永続性 ) を必要とするアプリケーション。小規模なアプリケーション。

開発情報

項目 内容
開発主体 Apache Software Foundation
開発体制 PMC ( Project Management Committee ) Chair 1名 ( Nate McCall氏 )、PMC 31名, Committers 51名、Contoributors 273名
参照 : Apache Cassandra Committee
参加企業 Apache Software Foundation
リポジトリ https://github.com/apache/cassandra
開発コミュニティ Developers 用メーリングリストCommit 用メーリングリストを提供
開発コミュニティ活動状況 開発者用メーリングリストの投稿月間約76件、GitHubでソースコード・コミット月間46件

サポート情報

項目 内容
コミュニティサポート ユーザ用のメーリングリストを提供
コミュニティ活動状況 メーリングリストに月間約 300件の投稿
サポート企業 DATASTAX, IMETUS Technologies, ONZRA, Cubet Technologiesなど
参照 : ThirdPartySupport
サポートメニュー/費用 例:ウルシステムズの DataStax Enterprise サービス ( DATASTAX社と提携 )
技術問い合わせ、アーキテクチャ設計やチューニングに関する知見の提供、Cassandra を使ったシステムの構築、トレーニング、運用・監視などサービスがあります。
参照 : DataStax Enterprise / Apache Cassandra サポート

歴史

項目 内容
開発開始時期 2008年 Facebookが開発開始
開発の経緯 2008/03 Avinash Lakshman氏 ( Amazon の Dynamo ) と Prashant Malik 氏が Facebook の InBox 検索機能のために開発を開始
2008/07 Google codeにソースコードを公開
2009/03 Apacheインキュベイタ・プロジェクトへ昇格
2010/02 Apache トップレベル・プロジェクトへ昇格
参照 : The History of Cassandra
最近のメジャーリリース履歴 2014-09 2.1 ユーザ定義タイプ、コレクションインデックス
2015/07 2.2 JSON 対応、Windows 対応
2015-11 3.0 ストレージ・エンジンのリファクタリング、マテリアライズド・ビュー
2017-02 3.10 DURATION 型、SELECT 文で GROUP BY が可能
2017-06 3.11 非主キーカラムのフィルタリングによるマテリアライズド・ビュー
https://github.com/apache/cassandra/releases
リリース頻度 年間 14回のリリース

適用状況

項目 内容
適用システム オンラインビデオプラットフォーム、ホテル予約システム、ぐるなび(レストラン検索)
参照 : 事例で学ぶApache CassandraCassandra導入事例と現場視点での苦労したポイント
適用数 多くの企業で採用(適用企業を参照)
適用企業 マクドナルド、eBay、マイクロソフト、CISCO など
参照 : Customers

HBase

HBase は、Hadoop のデータベース ( 分散、スケーラブル、ビッグデータ・ストア ) です。カラム指向型のNoSQL データベースで数十億レコード、数百万列のデータを格納可能です。

基本情報

項目 内容
ホームページ https://hbase.apache.org/
最新バージョン 2.1.2 ( 2018-10-31 )
開発言語 Java
https://github.com/apache?q=hbase&type=&language
動作環境 推奨環境
運用管理サーバ 3台:CPU 2コア以上、メモリ 16GB 以上、ディスク RAID1
マスタノード 3台 : CPU 8コア以上、メモリ 24GB 以上
スレーブノード 4台以上:CPU 8コア以上、メモリ 32GB以上
JVM:Java 7 以上
参照 : HBase 導入時の検討項目と推奨構成、および設計ノウハウ
ライセンス Apache License Version 2.0
https://github.com/apache/hbase/blob/master/LICENSE.txt
特徴 リニアなスケーラビリティ、厳密な一貫性のある読み込み書き込み、自動シャーディングによるデータ分割、Apache Hadoop MapReduce のジョブから HBase のテーブルを参照可能、Java APIクライアント、リアルタイム・クエリのためのブロックキャッシュ、ブルームフィルタなどが特徴
適している利用シーン リアルタイムでランダムリード&ライトを行える機能により、HDFS のメリットをさらに拡大するため、メッセージングサービス、セッション化、リアルタイムなメトリクスとアナリティクス(広告、オークションなど)、グラフデータIoTアプリケーションなど
参照 : Apache HadoopのためのHbase 分散データストア
適していない利用シーン 複数台のマシンを用意できない、厳密なトランザクション処理が必要、外部インデックスが必要、SQL で複雑な検索をしたいなどの要件に合致する場合、適していません。
参照 : HBase導入時の検討項目と推奨構成、および設計ノウハウ

開発情報

項目 内容
開発主体 Apache Software Foundation
開発体制 PMC ( Project Management Committee ) Chair 1名 ( Misty Stanley-Jones 氏 )、PMC 44名、Committers 78名、Contoributors 210名
参照 : Apache HBase Committee
参加企業 Apache Software Foundation
リポジトリ https://github.com/apache/hbase
開発コミュニティ 開発者用メーリングリスト
開発コミュニティ活動状況 開発者用メーリングリストの投稿月間約 500件、GitHub でソースコード・コミット月間約 150件

サポート情報

項目 内容
コミュニティサポート ユーザ用メーリングリストでサポート
コミュニティ活動状況 ユーザ用メーリングリストに月間約 100件の投稿
サポート企業 Cloudera、Hortonworks など
サポートメニュー/費用 上記企業は Hadoop とセットでサポートを行っています。
例:Hortonworks HDP エンタープライズ
24H7days、電話/ウェブでの対応、遠隔トラブルシューティング、アップグレード/パッチへのアクセス、インストールや設定/クラスタ管理/パフォーマンスの診断、アプリケーション開発のアドバイス
参照 : エンタープライズ サポート サブスクリプション

歴史

項目 内容
開発開始時期 2006年 Powerset 社が Google BigTable 論文に影響を受けて開発を開始
参照 : HBase: structured storage of sparse data for Hadoop
開発の経緯 2006年 Google が BigTable 論文を発表
2006年 HBase 開発開始
2007年 HBase をリリース
2008年 Hadoop のサブプロジェクトになる
2010年 Apache のトップレベル・プロジェクトへ昇格
参照 : Apache HBase Reference Guide
最近のメジャーリリース履歴 2015/02 v1.0.0 : 新しい API、 HBase クラスタおよびそのクライアントの安定化、HBase クラスタおよびそのクライアントの安定化
2018-04 v2.0.0 : 非同期オペレーション向けに管理インターフェイス、コンパクションの強化、バックアップとレストアの強化
https://apache.org/dist/hbase/2.0.4/RELEASENOTES.md
リリース頻度 年間 33回のリリース(β版なども含む)
https://github.com/apache/hbase/releases

適用状況

項目 内容
適用システム 医療系ITシステム、Cloudera サポートシステム、広告運用統合プラットフォーム、メッセージシステム
参照 : HBase活用事例
適用数 ホームページでは 46の企業での採用が紹介されています。
参照 : Powered By Apache HBase
適用企業 Adobe, Facebook, Pacific Northwest National Laboratory, Yahoo! など
参照 : Powered By Apache HBase

Neo4J

グラフ型の NoSQL データベースです。ノード ( 頂点 )、リレーションシップ ( エッジ )、プロパティ ( 属性 ) という 3つの基本構成要素により、オブジェクトでありノード間の関係性を表現します。
参照:NOSQLの基本知識

基本情報

項目 内容
ホームページ https://neo4j.com/
最新バージョン Neo4j 3.5.1 ( 2018-12-20 )
開発言語 Java
https://github.com/neo4j
動作環境 CPU:Intel Core i3以上 ( 推奨:Intel Core i7, IBM POWER8 )
メモリ:2GB 以上 ( 推奨:16-32GB 以上 )
ストレージ:10GB SATA ( 推奨:SSD w/ SATA )
OS:Ubuntu 14.04/16.04, Debian 8/9, CentOS 6/7, Fedora, Red Hat, Amazon Linux, Windows Server 2012/2016
ファイルシステム:ext4, ZFS
JVM:OpenJDK 8, Oracle Java 8, IBM Java 8
参照 : System requirements
ライセンス Community edition は GPL v3、Enterprise edition は OSSプロジェクトの場合、AGPLv3、それ以外は Neo Technology の製品ライセンス
https://github.com/neo4j/neo4j
特徴 データベースエンジンをグラフデータベースとしての用途に特化している。トランザクションの一貫性を ( 即時ではない ) 保証する点も、他の NoSQL とは異なるところである。Neo4j のクエリ言語 Cypher は、直接実行だけでなく、Neo4j の REST API を介しても実行できる。一般的な開発言語や開発フレームワークにも対応。
参照 : グラフデータベースはどんな用途に向いている? (2/2)
適している利用シーン 経路やインデックスにより、例えば「知人を探す」、「知人の知人を探す」、「最短経路を探す」といったクエリの結果を得るために最適化されているので、SNS、通信ネットワーク、電力のグリッド網の検索に向いている。
参照 : グラフデータベースはどんな用途に向いている? (1/2)
適していない利用シーン 厳密なトランザクション処理を求めるシステム。大量データ処理。グラフ構造が必要ないよう一般的なケース。

開発情報

項目 内容
開発主体 Neo Technology
開発体制 開発チームには Admin, Component maintainer, Committer, Patch submitter の役割がある。Contributor は 153名
参照 : Contributing Code
Contributor は Neo4j Contributor License Agreement を締結する必要があります。
参加企業 Neo Technology
リポジトリ https://github.com/neo4j/neo4j
開発コミュニティ GitHub の Issues で開発のディスカッションを実施
https://github.com/neo4j/neo4j/issues
開発コミュニティ活動状況 GitHub で Issues 月間約 50件、ソースコード・コミット月間約 30件

サポート情報

項目 内容
コミュニティサポート Stackoverflow, Google Group でコミュニティ形成。
https://neo4j.com/community/
コミュニティ活動状況 stackoverflow で月間 200以上の問い合わせ
https://stackoverflow.com/questions/tagged/neo4j?page=8&sort=newest
サポート企業 Neo Technology, 日本では、クリエーションラインがサポート。また、多くのパートナー企業がサポート
参照 : The Neo4j Partner Ecosystem
サポートメニュー/費用 Neo Technology がエンタープライズ版サブスクリプションでサービスを提供(24H7Days)
参照 : Support
クリエーションラインサポートが、(1)サブスクリプションライセンス販売及び保守サポート、(2)導入支援コンサルティング/トレーニングサービス、(3)導入インテグレーションサービスを行っています。費用は要問い合わせ。
参照 : クリエーションラインがグラフデータベース“Neo4j”の 日本国内事業を開始

歴史

項目 内容
開発開始時期 2000年 開発開始
参照 : Company
開発の経緯 2000年 RDBMS に関する性能上の問題に遭遇し、Neo4j プロトタイプを開発開始
2002年 Neo4j の最初のバージョンを開発
2007年 GPLラインセンスで OSS化
2010年 Neo4j 1.0 をリリース
2015年 200万ダウンロード達成
2016年 Neo4j 3.0 をリリース
参照 : Company
最近のメジャーリリース履歴 2016-12 v3.1.0 : RAFT プロトコルベースの新クラスタリング技術
2017-05 v3.2.0 : マルチデータセンタをサポート
2017-10 v3.3.0 : 書き込み性能を50%向上
2018-05 v3.4.0 : マルチクラスタリング、時空間向け新しいデータタイプ
2018-11 v3.5.0 : ネイティブインデックス、全文検索
Neo4j Release Notes
リリース頻度 年間約 50回のリリース

適用状況

項目 内容
適用システム eBay:リテール+C2Cディスカバリ、accenture:荷物配達ルート管理、glassdoor:ソーシャル/レコメンデーション、SFR:ネットワーク管理、Deutsche Telekom:ソーシャルゲーミングなど
参考 : Neo4j導入事例
適用数 多くの企業で採用
適用企業 Walmart, eBay, HP, IBM, cisco, Microsoft, Adobe, Accenture など多数
参照 : Neo4j Customers

InfluxDB

InfluxDBは外部依存性がない OSS 時系列データベースです。高い書き込み/問い合わせ性能性でメトリクス、イベントの格納、データ解析に長けています。

基本情報

項目 内容
ホームページ https://www.influxdata.com/time-series-platform/influxdb
最新バージョン InfluxDB v1.7.3 ( 2019-01-14 )
開発言語 Go Programming Language
https://github.com/influxdata
動作環境 CPU:2-4コア以上
メモリ:4GB 以上
ストレージ:500 IOPS 以上のデバイス
OS:Linux ( Ubuntu, Debian, RedHat, CentOS, SLES, openSUSE ), MacOS, FreeBSD
参照 : Hardware sizing guidelines, Installing InfluxDB OSS
ライセンス シングル構成は MIT ライセンス。クラスタ構成は製品版
https://github.com/influxdata/influxdb/blob/master/LICENSE
ソフトウェア・ライセンス・サブスクリプション契約があります。
特徴 時系列データのための高機能データストアです。高スループット、高データ圧縮、リアルタイム問い合わせを可能とします。HTTP/S API、InfluxQL という SQL ライクなクエリ言語を提供しています。InfluxQL は時系列データに特化した正規表現、演算式、データ処理をサポートしています。毎秒数百万データポイントを扱うことが可能です。
参照 : Understanding InfluxDB & the TICK Stack
適している利用シーン データストアとして、DevOps モニタリング、アプリケーション・メトリクス、IoT センサー・データおよびリアルタイム解析を含む大きな量のタイムスタンプされたデータに関する利用シーンに適しています。
参照 : Understanding InfluxDB & the TICK Stack
適していない利用シーン 少量規模データ、複雑な構造型データ、列が多いデータ ( カラムにインデックスを付与できない、Having, サブクエリ, Order byが使えない )

開発情報

項目 内容
開発主体 InfluxData, Inc.
開発体制 Contributor は 293名
Contributor は Contributor License Agreement を締結する必要があります。
参加企業 InfluxData, Inc.
リポジトリ https://github.com/influxdata/influxdb
開発コミュニティ GitHubのIssuesで開発のディスカッションを実施
開発コミュニティ活動状況 GitHub で Issues 月間約 50件、ソースコード・コミット月間約 180件

サポート情報

項目 内容
コミュニティサポート Influxdata の技術的な質問に関するコミュニティ
Gopher Slack コミュニティの InfluxDB チャンネル
コミュニティ活動状況 月間約 100件の技術的な問い合わせ
サポート企業 Influxdata
パートナー企業:ContainerShip, IBM, MESOSPHERE, RANCHER, docker, AWS, redhat, Grafana Labs, ThingWorx
サポートメニュー/費用 電話、チケット、メールでのサポート。メジャー、マイナー、メンテナンスのリリースあり。サービスレベル ( 1~3 ) によってサービス内容が異なります。
参考 : Support Policy

歴史

項目 内容
開発開始時期 2013年 Errplane 社が開発を開始
開発の経緯 2013年 Paul Dix 氏, Todd Persen 氏, John Shahid 氏 の3名が Errplane 社を設立し、データのモニタリングのために開発開始
2015年 Errplane は InfluxData Inc.と名称変更
2016年 OSSでリリース
参照 : InfluxDB Overview, Database of Databases InfluxDB
最近のメジャーリリース履歴 2017-01 V1.2.0:サブクエリのパフォーマンス向上、書き込み性能50%改善
2017-06 V1.3.0:継続的クエリ統計
2017-11 V1.4.0:tsi1インデックス性能改善
2018-03 V1.5.0 : デフォルト・ロギングフォーマットの変更
2018-07 V1.6.0 : プロメーテウスとの連携
2018-11 v1.7.0 : GOクライアントV2にチャンククエリを追加
参照 : InfluxDB 1.7 release notes
リリース頻度 年間 約20回のリリース

適用状況

項目 内容
適用システム IBM Trusteer ( サイバー犯罪詐欺防止ソリューション )、CISCO eコマースアプリケーションのモニタソリューション、eBay DevOps モニタリングとリアルタイム解析 ( Elasticsearch クラスタインスタンスのヘルスメトリクスを格納 )、シーメンス 風力発電及びガスタービンのモニタリングサービス
参照 : Customer success in DevOps & IoT Monitoring
適用数 400社以上の顧客、110,000以上のインストール
参照 : Customer success in DevOps & IoT Monitoring
適用企業 CISCO, eBay, IBM, シーメンスなど
参照 : About Our Time Series Platform

GridDB

Key-Value を発展させた Key-Container 型のデータモデルの分散 NoSQL データベースです。データをすべてメモリに配置するインメモリデータベースです。
参照 : GridDB テクニカルリファレンス

基本情報

項目 内容
ホームページ https://griddb.net/ja/
最新バージョン v4.0.1 ( 2018-6-20 )
開発言語 C++
https://github.com/griddb
動作環境 CPU:x86_64
メモリ:32GB 以上
ストレージ:100GB 以上
OS:RHEL 6.2 / 6.3 / 6.4 / 6.5, CentOS 6.2 / 6.3 / 6.4 / 6.5
参照 : Supported OS, Platforms and System Requirements
ライセンス Community Edition:サーバは AGPL、Java クライアントとオプショナル・コマンドは Apache License version 2.0
https://github.com/griddb/griddb_nosql
Standard Edition, Advanced Edition:パーペチュアルライセンス ( 永続使用可 )、サブスクリプションライセンス ( 契約期間使用可 )
参照 : GridDB 製品ラインアップ
特徴 トランザクションは、コンテナ単位で ACID 特性 ( 原子性、一貫性、独立性、永続性 ) を保証して、また時系列データのアグリゲーション ( 集約 ) やサンプリング、期限解放などをサポートします。インメモリ指向型のアーキテクチャが、並列処理による高速化とオーバーヘッドの削減を実現して、多様なデータ構造をサポートします。容量や性能に応じて簡単に拡張・縮退が可能です。障害が発生しても無停止運用を実現します。
参照 : GridDB Developers
適している利用シーン マシンやデバイスに設置したセンサーなどから大量のデータが集まる IoT の分野での膨大な時系列データ処理
参照 : ビッグデータ IoT向けデータベース GridDB
適していない利用シーン 小規模データ、複雑な構造データ、列に関連のあるデータ

開発情報

項目 内容
開発主体 東芝デジタルソリューションズ
開発体制 Contributor は 6名。GridDB Contributor License Agreementを締結する必要があります。
参加企業 東芝デジタルソリューションズ
リポジトリ https://github.com/griddb/griddb_nosql
開発コミュニティ GitHub の Issues, PullRquest で開発コミュニティを形成
https://github.com/griddb
開発コミュニティ活動状況 年間 30~40 件のソースコードコミット
https://github.com/griddb/griddb_nosql/commits/master

サポート情報

項目 内容
コミュニティサポート GitHubのIssuesデベロッパーフォーラム でコミュニティをサポート。
コミュニティ活動状況 GitHub の Issues に40件投稿があって、デベロッパーフォーラムは数件の投稿があります。
サポート企業 東芝デジタルソリューションズ
サポートメニュー/費用 サポートを受ける場合、Standard Edition、Advanced Edition のパーペチュアルライセンスを購入後、保守契約を締結するか、サブスクリプションライセンスを締結するか、どちらかでサポートを受けられます。サービスメニュー及び費用は要問い合わせ
参照 : GridDB 製品ラインアップ

歴史

項目 内容
開発開始時期 2011年、GridDB の前身 GridStore の開発開始
参照 : オープンソースカンファレンス2017 Tokyo/Fall : 何を基準に選定すべきなのか!? ~ビッグデータ×IoT×AI時代の オープンソース・データベースの アーキテクチャとメカニズムの比較~
開発の経緯 ビッグデータ向けに大量のデータを高速、かつ拡張性をもって処理できるデータベースが求められていたことから2011年にスケールアウト型データベースの開発に着手
2013年 GridDB 製品化
2016年 GitHub でソースコードを公開 ( OSS化 )
参照 : オープンソースカンファレンス2018 Tokyo/Fall : 日本発オープンソース!!スケールアウト型データベースGridDB入門
最近のメジャーリリース履歴 2016/02 v2.8.0:GridDB Community Edition のファーストリリース
2016/10 v3.0.0:クラスタ構成及びクライアント接続、圧縮関数
2017/04 v3.0.1:バグフィックス版
https://github.com/griddb/griddb_nosql/releases
リリース頻度 年間数回のリリース

適用状況

項目 内容
適用システム フランス リヨン 太陽光発電 監視・診断システム、クラウドBEMS、石巻スマートコミュニティ プロジェクト、電力会社 低圧託送業務システム、神戸製鋼所 産業用コンプレッサ稼働監視システム、DENSO International America 次世代の車両管理システムの構築
参照 : dbtech showcase Tokyo 2018 : もうSQLとNoSQLを選ぶ必要はない!? ~両者を備えたスケールアウトデータベースGridDB~
適用数 東芝SPINEX や Digital TWIN で利用し、複数の産業用メーカーが利用しています。
適用企業 国内電力会社、神戸製鋼所、DENSO International America
参照 : IoT産業におけるGridDB導入事例、 自動車産業におけるGridDB導入事例

最後に

今回調査対象とした OSS NoSQL データベースはデータ構造の違いが使用用途と関係するので、まずは使用用途からデータベースを選択することをお勧めします。
データベースによっては、既に多くの導入実績がありコミュニティの活動も活発なことから、導入対象としての選択肢としては、十分に対象となると考えられます。ただし、ライセンス面では、Redis 以外はデュアルライセンスなどのマルチライセンスであったり、製品版があったりします。ライセンスによって機能や性能が異なる場合があるので、導⼊する際にはライセンス条項を確認する必要があります。

もし、記述について誤りがあったり、気になることがあれば、編集リクエストやコメントでフィードバックしていただけると助かります。

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