1. はじめに
基板アートワーク用 CAD である PCBE は、1996年に公開され、
現在もアップデートされている息の長いフリーウェアです。
回路図 CAD とネットリストで連携するのは難しいですが、
簡単なパターン設計には非常に有用で、方眼紙に鉛筆で書くような手軽さで
基板設計ができます。
以前から PCBE で作成していた基板データが多数あり、
Quadcept で外形やパターンの流用を行うため、
ガーバーデータで Quadcept に受け渡しを行いたいと思います。
PCBE のインストーラに、サンプルデザインとして含まれている Sample-3 を例題にします。
PCBE は最新バージョン(0.63.13 以降)を使用してください。
ガーバー出力の書式が変更されて、Quadcept で直接読めるようになりました。
2. 使用環境
Windows 10 Pro 64bit (21H2)
Quadcept Professional 10.6.4.0
PCBE 0.63.13
3. PCBE でガーバーデータの出力
PCBE で Sample-3 を開いたら、メニューバーから
ファイル - ガーバー出力
を選択します。
ガーバー出力設定はデフォルトのままで良いです。
出力レイヤとしてチェックを入れるのは、
1: パターン-A
2: パターン-B
3: シルク-A
4: シルク-B
5: レジスト-A
6: レジスト-B
7: 外形
8: 孔
42: 孔(NO-TH)
になります。
4. ガーバーデータのリネーム
そのままだと出力ファイル名がわかりづらいので、
バッチファイルで処理してわかりやすくします。
バッチファイルは、Kuni/JA1UZG 氏が公開されているものに手を加えています。
http://blog1.bakw.sub.jp/?eid=1088622
REM PCBE to Fusion PCB setup
SET PCBNAME=Sample-3
REM Fusion PCB用旧ファイル削除
for %%a in (GTL GBL GTS GBS GTO GBO TXT GRB GML) do if exist %PCBNAME%.%%a.gbr del %PCBNAME%.%%a.gbr
REM Fusion PCB用ドリルデータ削除
for %%a in (_TH _NTH) do if exist %PCBNAME%%%a.TXT.drl del %PCBNAME%%%a.TXT.drl
REM PCBEの作製した旧ファイル残骸削除
for %%a in (gout.lst hout.lst hole.hol) do if exist %%a del %%a
REM Top layer 部品面 xx.GTL
REN pattern-A.grb %PCBNAME%.GTL.gbr
REM Bottom layer ハンダ面 xx.GBL
REN pattern-B.grb %PCBNAME%.GBL.gbr
REM Solder Stop Mask top 部品面のレジスト層 xx.GTS
REN resist-A.grb %PCBNAME%.GTS.gbr
REM Solder Stop Mask Bottom ハンダ面のレジスト層 xx.GBS
REN resist-B.grb %PCBNAME%.GBS.gbr
REM Silk Top 部品面シルク xx.GTO
REN silk-A.grb %PCBNAME%.GTO.gbr
REM Silk Bottom ハンダ面のシルク xx.GBO
REN silk-B.grb %PCBNAME%.GBO.gbr
REM 外形 xx.GML
REN board.grb %PCBNAME%.GML.gbr
REM NC Drill NCドリル情報(スルーホール有り) xx_TH.TXT
REN hole.grb %PCBNAME%_TH.TXT.drl
REM NC Drill NC ドリル情報(スルーホール無し) xx_NTH.TXT
REN noth-hole.grb %PCBNAME%_NTH.TXT.drl
SET PCBNAME=
5. リネーム後のレイヤ内容
リネーム後の拡張子が示すレイヤは次の通りです。
GBL.gbr: ボトム面 銅箔
GBO.gbr: ボトム面 シルク
GBS.gbr: ボトム面 ソルダマスク(レジスト)
GML.gbr: 外形
GTL.gbr: トップ面 銅箔
GTO.gbr: トップ面 シルク
GTS.gbr: トップ面 ソルダマスク(レジスト)
NTH.TXT.drl: 非スルーホール ドリル
TH.TXT.drl: スルーホール ドリル
6. Quadcept で読み込み
Quadcept PCB Designer を開いたら、ファイル - 入力 - ガーバー/NC ドリル
を選択して、.gbr と .drl ファイルを全て読み込みます。
ガーバー入力のダイアログで、該当する層と層種類に設定して OK を押します。
ドリルデータについては、ガーバー入力で System/Drill 層に読み込む方法が無いため、
とりあえず Other/Keepout と Oher/DesignRule層に読み込みます。
7. 結果
正常に読み込むことができました。
ネットリストと連携されていないので、フリーハンドで各層に描画したのと同じ状態です。
PCBE のベタは多角形ではなく、閉鎖図形内をラインで埋める方式です。
PCBE 側でベタを解除してから Quadcept に持ち込んだ方が、
分かりやすいかもしれないですね。