Mirantis OpenStackのトレーニングを受けてきました。
とてもおすすめできるトレーニングでしたので受講した内容を主観的に投稿したいと思います。
お先に感想から
受けてみた感想は、Linuxを操作したことある人であれば、比較的スムーズに理解できるレベルでした。
概要レベルだけなく、各コンポーネントの役割、通信の方法、アーキテクチャも含めて体系的に説明してくれたので初心者の方にとっては3日間でOpenStackを理解できるスタートアップに活用できるトレーニングだと考えます。
特定のベンダーに依存しないトレーニングである点も個人的に惹かれました。
これからOpenStack関係のプロジェクトに参入する方に是非ともおすすめできるトレーニングプログラムです。
次の写真は会場の雰囲気がわかる写真です。講師の方に許可をいただいて写真を撮らせていただきました。
オフィスができたばかりで、とてもきれいなセミナールームでした。
それでは、トレーニングの一覧を確認してみましょう。
▼ミランティスジャパン(トレーニング概要):
https://www.mirantis.co.jp/training/
1.トレーニングコース一覧
トレーニングコースは、下記の5種類のトレーニングがありました。
OS50
OpenStack やクラウドコンピューティングに関する基礎知識を身につけ、実際に利用体験を行う1日の速習コース。
OS100
OpenStackに関する基礎的な知識はスキル習得を目的とする、ITプロフェッショナルを対象とした3日間のトレーニングコース。
OS110
OpenStackの操作に関連する基礎的な知識やスキル習得を目的とする、ITプロフェッショナル対象のトレーニング(OS100)加え、最終日にミランティス社認定試験を受験する3.5日間のトレーニングコース。
OS200
OpenStackのマニュアル・デプロイメントを通じて、OpenStackに関するより深い知識を習得することを目的とします。マニュアル・デプロイメント過程を通じて、問題発生時の問題箇所特定やその対処方法にその対処方法について知見を深める3日間のトレーニング。
FUEL100
OpenStackデプロイメント・管理ツールであるFUELを使用して、OpenStack環境のインストール、設定、管理を行うことを目的としており、FUELによるOpenStack管理に加え、Sahara、Murano、Cephを取り扱う計2日間のトレーニングコース。
今回は、OS110(OpenStack管理基礎+ミランティス社認定試験)の3.5日間コースを受けてきました。
OSS100とOS110の違いはミランティス社認定試験あり・なしの違いだけのようです。
OpenStackのプロジェクトに参加していて、構築経験および動作検証などを行ったことがある方にとって、OS110は簡単に取れるレベルだと思います。
もし一つでも動かしたことがない営業の方だったり、初めて仮想環境を触るといった方は、OS110を受けますとOpenStackを体系的に学ぶことができるので、中途半端な知識にならず、まとまった知識を得ることができます。
せっかく研修を受けたので認定試験も受けておきたいところですね。
それでは、OS110のアジェンダを見てみましょう。
2. OSS110 アジェンダ
1日目(OS110)
・イントロダクション、自己紹介
・OpenStackコミュニティーとエコシステム
・OpenStack概要
・OpenStackアーキテクチャー
・LAB1:トレーニングハンズオンの確認
・LAB2:Dashboard(Horizon)
・LAB3:Compute Service(Nova)
・LAB4:Image Service(Glance)
・LAB5:Block Storage(Cinder)
・LAB6:Identity(Keystone)
1日目の前半に座学は集中していましたが、***午後はLAB1~6まではハンズオン(実習)***でした。
実際に手を動かして学ぶ時間が多かったので、非常に記憶に残りやすくてよかったです。
また、講習進行中、または終了後に関わらず随時質問を受けてくれます。
不明点はその場で手を挙げて質問するような感じです。(会場でお知り合いになった方に撮影頂きました。)
前半の座学では、
「OpenStackとは?」から説明があり、Nova、Cinder、Swiftといった各コンポーネントが何を示すものなのか、詳細な説明と、どれだけOpenStackが人気があるのか、トレンドやソースのコミット数、コントリビュータ数の状況のお話がありました。
OpenStackのGoogleトレンド(検索ワード)の状況って、OpenStackはダントツで1位なんですね。
また、UnixからLinuxへ2000年ごろから2015年までのシェア率の説明もありました。15年かけて90%以上がLinuxに一変した光景があり、***OpenStackもこのように変貌するのではないか?***とのことでした。
また、各コンポーネントの内部動作まで説明してくれます。HTTP の POST 通信を用いていたり、Keystone によるトークン認証の方式の説明、Nova コンポーネントの内部メッセージング処理(キュー)の説明、Nova Scheduler のフィルタリングの種類の説明(重み付け)、Neutron と Nova Network の利用における注意点、Cinder ドライバーの種類の説明、Glance の説明がありました。
図式化された資料でしたのでイメージし易かったですね。
OpenStack の全体構成を学ぶにはもってこいの資料だと思いました。
重要なポイントをおさえた資料でとてもわかりやすかったです。
ハンズオンでは、
教材が英語でした。英語が不慣れな私ですが、読めるレベルでしたので難しいことはなかったです。Horizon に関しては、明確にボタンを押すところまで画面キャプチャで示されているので、止ることなくハンズオンを進めることができました。また、Nova や Glance などに関しても難しいコマンドはなく、一つ一つコマンドを打ち込んで確認作業を進めるので難しいことはなかったですね。
実際に仮想マシンをCLIを使って起動させてマシンにログインすることから、Glanceにイメージをアップロードさせてみたり、Cinderを使ってブロックストレージを切り出してインスタンスにアタッチさせるところまで、一通りのオペレーションを実行できました。
2日目(OS110)
・LAB7:ロードバランサー
・LAB8:Networking(Neutron)
・LAB9:外部ネットワークから仮想マシンへのアクセス
・LAB10:Neutronの内部構成
・Swift
・LAB11:ObjectStorage(Swift)
2日目からはハンズオン(実習)がメインです。ネットワーク(Neutron)とオブジェクトストレージ(Swift)をどっぷり使ってハンズオンで学びます。
各ネットワークマネージャ機能、プラグイン、エージェント、エージェントスケジューリングの説明もありました。
▼Nova Network Manager
・FlatManager
・FlatDHCPManager
・VlanManager
▼Neutron Plugin
・LinuxBridge
・OpenvSwitch
- FLATモード
- VLANモード
- TUNNELモード
・ModularLayer2(ML2)
▼Neutron Agent
・L3
・DHCP
・LBaaS
▼Neutron Agent scheduling
・L3 HA
・DVR
なぜNovaネットワークだけではなく、Neutronが必要となったのか、その背景も説明がありました。
みなさん、Neutronがなぜ必要かわかりますか?
もしご存じでなければぜひ研修でご理解を深めてはいかがでしょうか。
今後、GREやVXLANなどの知識も確実に必要な知識になるでしょう。
OpenStackのネットワークにトポロジが用意されています。
Horizonにアクセスすれば図的にネットワーク構成を目視して理解することができます。
Horizonでネットワークをデプロイする方法も学べました。
また、ネットワークの疎通確認時にはPingを用いますが、設定状況を確認するために、IPコマンドを用いて確認します。
コマンドの設定状況を確認する方法までハンズオンに書かれているので、コマンドの知見がない人にとってはスキル向上に繋がります。
2日目だけの講習だけでも、なんとなく理解していたネットワークの知識も、明確に理解できるようになると思います。(私にとっては確実に知らない知識も獲得できました)
OpenStackで用いられるストレージの種類に何があるかご存知でしょうか?
・エフェメラルストレージ
・ブロックストレージ
・オブジェクトストレージ
なのですが、これのオブジェクトストレージがSwiftで管理されるというお話から、ファイルレプリケーション、アカウントサーバとコンテナサーバの役割を学ぶことができます。
3日目(OS110)
・Ceilometer
・LAB12:Metering(Ceilometer)
・Heat
・LAB13:Orchestration(Heat)
・Fuel概要
・総合演習(ハンズオンによる復習)
・アンケート
3日目はCeilometerについてアーキテクチャからTelemetryの主な機能とTelemetryの取り組みについて学び、Ceilometerの各Agentの役割、通知の種類、Pipelineのカスタマイズなどを勉強できます。
Heatのアーキテクチャ、オーケストレーションのテンプレートからStackを作成するお話、Heatのオートスケーリングについて学ぶことができます。
オートスケーリングする意味はなんだと思われますか?
そういった理由まで説明してくださいます。
認定試験
認定試験の内容はここでは書けませんが、ハンズオンで実施した内容がほぼ出題されるので、ハンズオンをしっかりと繰り返していれば認定されると思います。受験者の実力が明確に出ると感じました。
出題範囲:
https://training.mirantis.com/mca200-exam-requirements
MCA200と書かれていますが、OS110用の試験範囲となっています。
「CLIを使って様々なオプションを用いて敏速に打てるか。」
ということが主に書かれていますね。
ここまでの内容をお読みになってわかるとおり、Mirantis OpenStack とは言いつつも、トレーニングの内容はMirantisに特化している個所はほとんどなく、OpenStackの認定試験と言ってもいいのではないでしょうか。
また、認定試験に合格すると、下記のロゴを名刺に使用する権利を得ることができます。
認定試験が始まる前の会場の雰囲気です。
最後に
今後、OpenStackに関わる方は、ぜひ受けて欲しい試験です。
また網羅的に学ぶこともできますから、例えばNetworkのNeutronについてちょっと自信がないという知識がありましたら、それを克服する意味でトレーニングを受けてみてもいいのではないでしょうか。
「マルチエンジニアの育成」にという意味にも繋がるトレーニングと考えます。
一緒に受講した方々は、幅広い業界の人もいらしていますし、営業からのご出身の方がもいらっしゃいました。
このトレーニングを機会にOpenStack関係のお仕事に参入されてみてはいかがでしょうか。