はじめに
単相200Vって単相100Vが2つあってできてるんでしょ? という思想を捨てましょう。
逆です。単相200Vから単相100Vが2つ取り出せます。
図ではAC200V電源を書きましたが、そこがトランスだろうが話は同じです。
単相200Vの間を同一負荷2つ用意し、その間に中性線を作ってあげればオームの法則に従い100Vになる。当然ですね。
(ここで納得できないのであれば別途オームの法則から勉強してください)
この図の悪いところを挙げると、どちらかで作った100Vコンセントに何かを繋いだら負荷の均衡がずれて100Vじゃなくなるだろってところですかね。
現実に即してトランスの2次側巻線中点から取ればその問題はクリアされると思います。
AC電源だとしても用意する負荷を限りなく抵抗の小さな負荷にすれば電圧の按分という意味では問題ない気がしますが、現実的にはそこに大電流が流れていけない気がします。
逆相とか同相とか
本質的な理解については「はじめに」の内容で全てなのですが、しばしば問題になる話題として(図で描いたところの)RとSが逆相だから100Vと100Vを足せて200Vになる、みたいな話があります。
正解は同相
話を混乱させても面倒なので、正解は同相と表現する方が正しいようです。
何故、逆相と思ってしまうのか
逆相だと信じている人にとって逆相でないと思うことはわりと難しいことな気がします。自分がそうなので。
そこでなんで自分がこれを逆相だと思ったのか考え、その考えが無理筋であるかを説き伏せようと思います。
スタート地点の誤り
はじめにで書いたように、単相100Vが2つあってそれを合成してできるんでしょ?
と思っていたので、頭の中にこんなグラフがありました。
中性線に対するR、Sの電圧の時間推移グラフです。…①
考えとして間違っていないとは思います。
ほら、2つの電圧が逆向きにかかってるじゃん。逆相でしょ。
これが2つの100Vが逆相と考える唯一最大の理由だと思います。
位相とは
ところで、位相ってなんでしたっけ。
自分は未だに電圧や電流の時間的な進みとか遅れとかそういうふんわりした理解しかしていません。
ただまあ数学的に表現してみると2つの電圧が正弦波141sinΘt+141sin(Θt+α)
で表現される事は直感的に分かるんじゃないでしょうか。(100V交流のピーク電圧は100*√2)…②
さて、ここで2つの正弦波の合成後の大きさが200Vになることを考えましょう。
sinΘt+sin(Θt+α)
を計算した結果、2 * sin(Θ+β)
となるような電圧だと良いわけです。
つまりα = β = 0
だったら良いんですよね。
R-NとS-Nが両方sinΘt
と表現できる。
R-NとS-Nはつまり同相じゃないか? となるわけです。
さっき書いたグラフと違う
ここで誰もが思うでしょう。
これだとさっき書いたグラフと違うじゃん、と。
さっき書いたグラフはサインカーブが2つ逆向きにあったけど、今度は重なるようなサインカーブしか描けないじゃん、と。
はい、その通りです。
なんでこんな現象が起こったのでしょうか。
最初から同相だと知っていた人にはアホかと思われるかもしれませんが、①と②って同じことをしてるようで致命的に違う部分があるんですよ。
はい、①は引き算をしていて②は足し算をしているという点です。
合成についての認識が甘かった
そういうことです。
合成という言葉を数式的に捉えていれば加算だと思えるのに、グラフ上で眺めていると引き算して合成してしまうことがあるのです。
そして、引き算して合成した結果倍の出力を得られるという事はそもそも「同相」という話でした。
おわりに
書いていて悲しくなるくらいアホな勘違いを色々としていました。
なんなら最初の最初は3相200Vの120°ズレを何かしらのギミックで180°ずらしているのかと思ってました。ほんとにアホなんでしょうね。
中点で中性線取り出せば半分こできるじゃん、って思い至らないアホが電気触ってるの怖いよ。
…
なぜなら電圧の定義として低い方(相回転の遅い方)の電位を基準とし、高い方(相回転の速い方)との電位差をプラスとして考える事が適宜されているからである。当然逆位相であればL1-L2であるため(100V)-(100V)=0Vであり、200Vは取り出す事ができない。
これWikipediaの説明で同相・逆相について触れている文章で、似たような文言を知恵袋みたいなところでも見かけたのだけれど、逆相と言いたい人の気持ちを何も分かっていない回答だと思う。
合成という演算子が(無意識に)減算だと思いこんでいる人に、オペランド側の正負について説いても誤解が解けると思えない。