ブラックボックステスト
ブラックボックステストは、ソフトウェアの内部構造や実装の詳細に関係なく、ソフトウェアの機能や動作を検証するテスト手法です。つまり、テストを行う際に、ソフトウェアを「ブラックボックス」と見なし、外部からの入力と出力のみを考慮します。
ブラックボックステストでは、以下のようなアプローチが取られます。
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機能のテスト
ソフトウェアが要求された機能を満たしているかどうかを確認します。つまり、ユーザーが期待する通りの動作をするかどうかをテストします。
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ユーザビリティのテスト
ソフトウェアが使いやすいかどうかを評価します。ユーザーが直感的に操作できるか、UIがわかりやすいかなどを検証します。
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性能のテスト
ソフトウェアが要求されたパフォーマンスレベルを満たしているかどうかを確認します。応答時間、負荷に対する耐性などを評価します。
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セキュリティのテスト
ソフトウェアがセキュリティ要件を満たしているかどうかを確認します。機密性、データの整合性、認証機能などを検証します。
ブラックボックステストは、ユーザーの視点からソフトウェアをテストするため、実際の使用状況に近い状況でテストを実行することができます。また、開発者がテストする際に、実装の詳細にとらわれることなく、ユーザーの視点に立って検証することができます。
同値クラステスト
同値クラステストは、ソフトウェアテストの手法の一つで、入力値の同値クラスからテストケースを選択する方法です。同値クラスは、同じような入力値が同じような結果をもたらすグループのことです。同値クラステストでは、各同値クラスから少なくとも1つのテストケースを選択して、そのクラスの動作をテストします。
同値クラステストは、テストケースの網羅性を高め、テストの効率性を向上させるのに役立ちます。同値クラステストは一般的に手動で行われ、テストケースの数を最小限に抑えながら、テストのカバレッジを確保します。
理解を深めるために、JavaScriptを使用して同値クラステストの例を示します。以下の関数を考えてみましょう。
function isEven(number) {
return number % 2 === 0;
}
この関数は、与えられた数が偶数かどうかを判定します。これを同値クラステストでテストしてみましょう。
まず、入力値の同値クラスを特定します。
- 偶数の場合
- 奇数の場合
次に、各同値クラスから少なくとも1つのテストケースを選択します。以下は、それぞれの同値クラスから1つのテストケースを選択した例です。
// 偶数の場合
console.log(isEven(4)); // 出力: true
// 奇数の場合
console.log(isEven(7)); // 出力: false
このように、同値クラステストでは、各同値クラスから少なくとも1つのテストケースを選択して、関数の振る舞いを確認します。
境界値テスト
境界値テストは、ソフトウェアの境界付近での動作を検証するテスト手法です。境界値テストでは、入力値が境界付近にある場合に発生するエラーや不正確な動作を特定することが目的です。
これにより、関数が境界値付近で正しく動作するかどうかを確認します。境界値テストは、一般的にユニットテストや統合テストの一部として行われます。境界値テストを行うことで、プログラムのロジックエラーや不正確な動作を特定し、ソフトウェアの品質を向上させることができます。
境界値テストの例として、0から100の範囲の数値を受け取り、その数値が50以上ならば「合格」、50未満ならば「不合格」という結果を返す関数を JavaScript で書いてみましょう。
function checkScore(score) {
if (score >= 50) {
return "合格";
} else {
return "不合格";
}
}
console.log(checkScore(49)); // 出力: 不合格 (境界値の直前の値)
console.log(checkScore(50)); // 出力: 合格 (境界値)
console.log(checkScore(51)); // 出力: 合格 (境界値の直後の値)
このコードでは、境界値の直前の値である49、境界値である50、および境界値の直後の値である51のテストケースを含んでいます。これにより、関数が境界付近で正しく動作するかどうかを確認することができます。
ソフトウェアテストのためのテストケースを設計する際に目指すべきことは、現実的に実行できるレベルの量までテストケースを削減しつつ、少ないテストケースでも品質を保証できるように最適なテストケースを設計することです。そのための知識がソフトウェアテスト技法です。
ホワイトボックステスト
ホワイトボックステストは、ソフトウェアの内部構造や実装の詳細を知っている状態で、その内部を検証するテスト手法です。つまり、テストを行う際に、ソフトウェアを「ホワイトボックス」と見なし、内部のコードやロジックに焦点を当てます。
ホワイトボックステストでは、以下のようなアプローチが取られます。
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コードの分析:
ソフトウェアのコードを読み込み、条件分岐、ループ、変数、関数などの内部構造を理解します。
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ロジックのテスト:
ソフトウェアの内部ロジックをテストし、特定の条件下で正しく動作するかどうかを確認します。これには、条件分岐の網羅率やループの正常性を確認するテストが含まれます。
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コードカバレッジの評価:
テストがソフトウェアのどの部分をカバーしているかを評価し、コードの網羅率を確認します。主なカバレッジ指標には、行カバレッジ、分岐カバレッジ、関数カバレッジなどがあります。
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データフローのテスト:
ソフトウェア内のデータの流れをテストし、変数やデータの整合性、安全性を確認します。データフローのテストは、データの定義、使用、変更、削除などを検証します。
ホワイトボックステストは、主に開発者やテストエンジニアによって行われます。開発者がコードの品質や正確性を確保するために行うテストの一環として使用されることが一般的です。ホワイトボックステストは、ソフトウェアの品質を向上させ、バグの早期発見と修正に貢献します。