#Linuxインストールに必要なパーティション
ハードディスクはパーティションという区画に分割して利用することができる。Linuxをインストールするためには、少なくとも次の2つのパーティションが必要になる。
##最低限必要なパーティション
- ルートファイルシステムに割り当てるルートパーティション
- スワップ領域
実際には、さらにいくつかのパーティションに分割して利用することが以下の理由で推奨されている。
- 柔軟なシステム管理を行うことができる
- ディスクに障害が発生した時の被害を抑えることができる
- 障害発生時にスムーズな復旧作業ができる
##主要なディレクトリ群
以下のディレクトリ群は、独立したパーティションに割り当てるのが一般的。
ディレクトリ群 | 説明 |
---|---|
/home | 一般ユーザーがそれぞれ利用するファイルが格納されている。ファイルサーバーなど、多数のユーザーが利用するシステムの場合は、とりわけ専用のパーティションに分割する必要がある。/homeを別パーティションにて管理する事で、ディストリビューションを変更したり、再インストールする際、環境を引き継ぐ事ができるため便利となる。 |
/var | 各種ログファイルやメールスプールなど更新頻度の高いファイルが格納される。ログが大量に生成されログファイルが肥大化するとファイルシステムの容量を超えてしまう恐れがある。ルートファイルに/varがあると、ログがルートシステムに溢れてしまい、システム全体に影響を与えてしまう。/varを別パーティションにすることによって、被害を最小限にすることができる。 |
/usr | プログラムやライブラリ、ドキュメントが置かれている。後からプログラムを追加することがなければ、運用中に容量が増えることは基本的にない。NFSを使ってコマンドやプログラムを共有する場合には、/usrを読み込み専用でマウントしておくことによりセキュリティを高めることができる。 |
/boot | システムによってはディスクの先頭パーティションとして数100MB程度を/bootパーティションに割り当てた方が良い場合がある。例えば、RAIDを利用する場合、内蔵ハードディスク内に/bootパーティションが必要とされることもある。 |
スワップ領域 | スワップ領域は仮想メモリ領域として利用される。仮想メモリとは、物理メモリが不足した場合に、ディスクの一部を一時的にメモリの延長として使うことができる機能。スワップ領域のサイズの目安は、搭載されている物理メモリの1〜2倍。つまり、物理メモリを1GB搭載している場合は、スワップ領域を1GB程度確保する。 |
/ | 上記以外は、ルートファイルシステムになる。ルートファイルシステムは、ファイルシステムに障害が発生した時の復旧を容易にするため、できるだけ小さくした方が良い。 |
#パーティションのレイアウト設計
ディスクのパーティションレイアウトを設計する場合、次の点を考慮する必要がある。
- システムの用途
- ディスクの容量
- バックアップ方法
##レイアウト例
###20GBのハードディスクと512MBのメモリを搭載している場合
- スワップ|512MG(物理メモリと同程度にする)
- /(ルート)|19GB
###200GBのディスクと1GBのメモリを搭載し、ユーザー100人が利用するファイルサーバーを構築する場合(/home配下)
- スワップ|1GB
- /boot|100MB
- /usr|10GB
- /var|10GB
- /(ルート)|1GB
- /home|約180GB
###Webサーバーを構築する場合(ディスク:100GB, メモリ:4GB, Webサーバー:Apache)
- スワップ|1GB
- /boot|100MB
- /usr|10GB
- /var|20GB
- /var/log|50GB(Apacheのログファイルが容量を必要とするため)
- /(ルート)|15GB
##論理ボリューム
最近では、LVM(Logical Volume Management)を使った柔軟なディスク管理が行われている。
LVMは、パーティション場にそのままファイルシステムを作成するのではなく、ボリュームグループという仮想ディスクを作成し、その上に仮想的なパーティションを作成する仕組み。LVMを利用すると、ディスクの取り扱いや、バックアップなどをより柔軟に実施することができる。