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所得税法

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所得税法(昭和四十年法律第三十三号)
https://laws.e-gov.go.jp/law/340AC0000000033
社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律(令和七年法律第七十四号)

目次

第一編 総則
第一章 通則(第一条―第四条)
第二章 納税義務(第五条・第六条)
第二章の二 法人課税信託の受託者等に関する通則(第六条の二・第六条の三)
第三章 課税所得の範囲(第七条―第十一条)
第四章 所得の帰属に関する通則(第十二条―第十四条)
第五章 納税地(第十五条―第二十条)
第二編 居住者の納税義務
第一章 通則(第二十一条)
第二章 課税標準及びその計算並びに所得控除
第一節 課税標準(第二十二条)
第二節 各種所得の金額の計算
第一款 所得の種類及び各種所得の金額(第二十三条―第三十五条)
第二款 所得金額の計算の通則(第三十六条―第三十八条)
第三款 収入金額の計算(第三十九条―第四十四条の三)
第四款 必要経費等の計算
第一目 家事関連費、租税公課等(第四十五条・第四十六条)
第二目 資産の評価及び償却費(第四十七条―第五十条)
第三目 資産損失(第五十一条)
第四目 引当金(第五十二条―第五十五条)
第五目 親族が事業から受ける対価(第五十六条・第五十七条)
第六目 給与所得者の特定支出(第五十七条の二)
第四款の二 外貨建取引の換算(第五十七条の三)
第五款 資産の譲渡に関する総収入金額並びに必要経費及び取得費の計算の特例(第五十七条の四―第六十二条)
第六款 事業を廃止した場合等の所得計算の特例(第六十三条・第六十四条)
第七款 収入及び費用の帰属の時期の特例(第六十五条―第六十七条)
第八款 リース取引(第六十七条の二)
第九款 信託に係る所得の金額の計算(第六十七条の三)
第十款 贈与等により取得した資産に係る利子所得等の金額の計算(第六十七条の四)
第十一款 各種所得の範囲及びその金額の計算の細目(第六十八条)
第三節 損益通算及び損失の繰越控除(第六十九条―第七十一条の二)
第四節 所得控除(第七十二条―第八十八条)
第三章 税額の計算
第一節 税率(第八十九条―第九十一条)
第二節 税額控除(第九十二条―第九十五条の二)
第四章 税額の計算の特例(第九十六条―第百三条)
第五章 申告、納付及び還付
第一節 予定納税
第一款 予定納税(第百四条―第百六条)
第二款 特別農業所得者の予定納税の特例(第百七条―第百十条)
第三款 予定納税額の減額(第百十一条―第百十四条)
第四款 予定納税額の納付及び徴収に関する特例(第百十五条―第百十九条)
第二節 確定申告並びにこれに伴う納付及び還付
第一款 確定申告(第百二十条―第百二十三条)
第二款 死亡又は出国の場合の確定申告(第百二十四条―第百二十七条)
第三款 納付(第百二十八条―第百三十条)
第四款 延納(第百三十一条―第百三十七条)
第五款 納税の猶予(第百三十七条の二・第百三十七条の三)
第六款 還付(第百三十八条―第百四十二条)
第三節 青色申告(第百四十三条―第百五十一条)
第六章 期限後申告及び修正申告等の特例(第百五十一条の二―第百五十一条の六)
第七章 更正の請求の特例(第百五十二条―第百五十三条の六)
第八章 更正及び決定(第百五十四条―第百六十条)
第三編 非居住者及び法人の納税義務
第一章 国内源泉所得(第百六十一条―第百六十三条)
第二章 非居住者の納税義務
第一節 通則(第百六十四条)
第二節 非居住者に対する所得税の総合課税
第一款 課税標準、税額等の計算(第百六十五条―第百六十五条の六)
第二款 申告、納付及び還付(第百六十六条・第百六十六条の二)
第三款 更正の請求の特例(第百六十七条)
第四款 更正及び決定(第百六十八条・第百六十八条の二)
第三節 非居住者に対する所得税の分離課税(第百六十九条―第百七十三条)
第三章 法人の納税義務
第一節 内国法人の納税義務(第百七十四条―第百七十七条)
第二節 外国法人の納税義務(第百七十八条―第百八十条の二)
第四編 源泉徴収
第一章 利子所得及び配当所得に係る源泉徴収(第百八十一条・第百八十二条)
第二章 給与所得に係る源泉徴収
第一節 源泉徴収義務及び徴収税額(第百八十三条―第百八十九条)
第二節 年末調整(第百九十条―第百九十三条)
第三節 給与所得者の源泉徴収に関する申告(第百九十四条―第百九十八条)
第三章 退職所得に係る源泉徴収(第百九十九条―第二百三条)
第三章の二 公的年金等に係る源泉徴収(第二百三条の二―第二百三条の七)
第四章 報酬、料金等に係る源泉徴収
第一節 報酬、料金、契約金又は賞金に係る源泉徴収(第二百四条―第二百六条)
第二節 生命保険契約等に基づく年金に係る源泉徴収(第二百七条―第二百九条)
第三節 定期積金の給付補塡金等に係る源泉徴収(第二百九条の二・第二百九条の三)
第四節 匿名組合契約等の利益の分配に係る源泉徴収(第二百十条・第二百十一条)
第五章 非居住者又は法人の所得に係る源泉徴収(第二百十二条―第二百十五条)
第六章 源泉徴収に係る所得税の納期の特例(第二百十六条―第二百十九条)
第七章 源泉徴収に係る所得税の納付及び徴収(第二百二十条―第二百二十三条)
第五編 雑則
第一章 支払調書の提出等の義務(第二百二十四条―第二百三十一条)
第二章 その他の雑則(第二百三十二条―第二百三十七条)
第六編 罰則(第二百三十八条―第二百四十三条)
附則

第一編 総則

第一章 通則

(趣旨)

第一条 この法律は、所得税について、納税義務者、課税所得の範囲、税額の計算の方法、申告、納付及び還付の手続、源泉徴収に関する事項並びにその納税義務の適正な履行を確保するため必要な事項を定めるものとする。

(定義)

第二条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 国内 この法律の施行地をいう。
二 国外 この法律の施行地外の地域をいう。
三 居住者 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有する個人をいう。
四 非永住者 居住者のうち、日本の国籍を有しておらず、かつ、過去十年以内において国内に住所又は居所を有していた期間の合計が五年以下である個人をいう。
五 非居住者 居住者以外の個人をいう。
六 内国法人 国内に本店又は主たる事務所を有する法人をいう。
七 外国法人 内国法人以外の法人をいう。
八 人格のない社団等 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものをいう。
八の二 株主等 株主又は合名会社、合資会社若しくは合同会社の社員その他法人の出資者をいう。
八の三 法人課税信託 法人税法(昭和四十年法律第三十四号)第二条第二十九号の二(定義)に規定する法人課税信託をいう。
八の四 恒久的施設 次に掲げるものをいう。ただし、我が国が締結した所得に対する租税に関する二重課税の回避又は脱税の防止のための条約において次に掲げるものと異なる定めがある場合には、その条約の適用を受ける非居住者又は外国法人については、その条約において恒久的施設と定められたもの(国内にあるものに限る。)とする。
イ 非居住者又は外国法人の国内にある支店、工場その他事業を行う一定の場所で政令で定めるもの
ロ 非居住者又は外国法人の国内にある建設若しくは据付けの工事又はこれらの指揮監督の役務の提供を行う場所その他これに準ずるものとして政令で定めるもの
ハ 非居住者又は外国法人が国内に置く自己のために契約を締結する権限のある者その他これに準ずる者で政令で定めるもの
九 公社債 公債及び社債(会社以外の法人が特別の法律により発行する債券を含む。)をいう。
十 預貯金 預金及び貯金(これらに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)をいう。
十一 合同運用信託 信託会社(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)により同法第一条第一項(兼営の認可)に規定する信託業務を営む同項に規定する金融機関を含む。)が引き受けた金銭信託で、共同しない多数の委託者の信託財産を合同して運用するもの(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第二条第二項(定義)に規定する委託者非指図型投資信託及びこれに類する外国投資信託(同条第二十四項に規定する外国投資信託をいう。第十二号の二及び第十三号において同じ。)並びに委託者が実質的に多数でないものとして政令で定める信託を除く。)をいう。
十二 貸付信託 貸付信託法(昭和二十七年法律第百九十五号)第二条第一項(定義)に規定する貸付信託をいう。
十二の二 投資信託 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第三項に規定する投資信託及び外国投資信託をいう。
十三 証券投資信託 投資信託及び投資法人に関する法律第二条第四項に規定する証券投資信託及びこれに類する外国投資信託をいう。
十四 オープン型の証券投資信託 証券投資信託のうち、元本の追加信託をすることができるものをいう。
十五 公社債投資信託 証券投資信託のうち、その信託財産を公社債に対する投資として運用することを目的とするもので、株式(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項に規定する投資口を含む。第二十四条(配当所得)、第二十五条(配当等とみなす金額)、第五十七条の四第三項(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)、第百七十六条第一項及び第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)、第二百二十四条の三第二項第一号(株式等の譲渡の対価の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項第二号(支払調書及び支払通知書)において同じ。)又は出資に対する投資として運用しないものをいう。
十五の二 公社債等運用投資信託 証券投資信託以外の投資信託のうち、信託財産として受け入れた金銭を公社債等(公社債、手形その他の政令で定める資産をいう。)に対して運用するものとして政令で定めるものをいう。
十五の三 公募公社債等運用投資信託 その設定に係る受益権の募集が公募(金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二条第三項(定義)に規定する取得勧誘のうち同項第一号に掲げる場合に該当するものとして政令で定めるものをいう。)により行われた公社債等運用投資信託(法人税法第二条第二十九号ロ(2)に掲げる投資信託に該当するものに限る。)をいう。
十五の四 特定目的信託 資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第十三項(定義)に規定する特定目的信託をいう。
十五の五 特定受益証券発行信託 法人税法第二条第二十九号ハに規定する特定受益証券発行信託をいう。
十六 棚卸資産 事業所得を生ずべき事業に係る商品、製品、半製品、仕掛品、原材料その他の資産(有価証券、第四十八条の二第一項(暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)に規定する暗号資産及び山林を除く。)で棚卸しをすべきものとして政令で定めるものをいう。
十七 有価証券 金融商品取引法第二条第一項に規定する有価証券その他これに準ずるもので政令で定めるものをいう。
十八 固定資産 土地(土地の上に存する権利を含む。)、減価償却資産、電話加入権その他の資産(山林を除く。)で政令で定めるものをいう。
十九 減価償却資産 不動産所得若しくは雑所得の基因となり、又は不動産所得、事業所得、山林所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供される建物、構築物、機械及び装置、船舶、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で償却をすべきものとして政令で定めるものをいう。
二十 繰延資産 不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に関し個人が支出する費用のうち支出の効果がその支出の日以後一年以上に及ぶもので政令で定めるものをいう。
二十一 各種所得 第二編第二章第二節第一款(所得の種類及び各種所得の金額)に規定する利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得及び雑所得をいう。
二十二 各種所得の金額 第二編第二章第二節第一款に規定する利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、退職所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額、一時所得の金額及び雑所得の金額をいう。
二十三 変動所得 漁獲から生ずる所得、著作権の使用料に係る所得その他の所得で年々の変動の著しいもののうち政令で定めるものをいう。
二十四 臨時所得 役務の提供を約することにより一時に取得する契約金に係る所得その他の所得で臨時に発生するもののうち政令で定めるものをいう。
二十五 純損失の金額 第六十九条第一項(損益通算)に規定する損失の金額のうち同条の規定を適用してもなお控除しきれない部分の金額をいう。
二十六 雑損失の金額 第七十二条第一項(雑損控除)に規定する損失の金額の合計額が同項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超える場合におけるその超える部分の金額をいう。
二十七 災害 震災、風水害、火災その他政令で定める災害をいう。
二十八 障害者 精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者、失明者その他の精神又は身体に障害がある者で政令で定めるものをいう。
二十九 特別障害者 障害者のうち、精神又は身体に重度の障害がある者で政令で定めるものをいう。
三十 寡婦 次に掲げる者でひとり親に該当しないものをいう。
イ 夫と離婚した後婚姻をしていない者のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(1) 扶養親族を有すること。
(2) 第七十条(純損失の繰越控除)及び第七十一条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合における第二十二条(課税標準)に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下この条において「合計所得金額」という。)が五百万円以下であること。
(3) その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
ロ 夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、イ(2)及び(3)に掲げる要件を満たすもの
三十一 ひとり親 現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、次に掲げる要件を満たすものをいう。
イ その者と生計を一にする子で政令で定めるものを有すること。
ロ 合計所得金額が五百万円以下であること。
ハ その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
三十二 勤労学生 次に掲げる者で、自己の勤労に基づいて得た事業所得、給与所得、退職所得又は雑所得(以下この号において「給与所得等」という。)を有するもののうち、合計所得金額が七十五万円以下であり、かつ、合計所得金額のうち給与所得等以外の所得に係る部分の金額が十万円以下であるものをいう。
イ 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条(学校の範囲)に規定する学校の学生、生徒又は児童
ロ 国、地方公共団体又は私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条(定義)に規定する学校法人、同法第百五十二条第五項(私立専修学校等)の規定により設立された法人若しくはこれらに準ずるものとして政令で定める者の設置した学校教育法第百二十四条(専修学校)に規定する専修学校又は同法第百三十四条第一項(各種学校)に規定する各種学校の生徒で政令で定める課程を履修するもの
ハ 職業訓練法人の行う職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第三項(職業訓練の認定)に規定する認定職業訓練を受ける者で政令で定める課程を履修するもの
三十三 同一生計配偶者 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するもの(第三十三号の四において「青色事業専従者等」という。)を除く。)のうち、合計所得金額が四十八万円以下である者をいう。
三十三の二 控除対象配偶者 同一生計配偶者のうち、合計所得金額が千万円以下である居住者の配偶者をいう。
三十三の三 老人控除対象配偶者 控除対象配偶者のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
三十三の四 源泉控除対象配偶者 居住者(合計所得金額が九百万円以下であるものに限る。)の配偶者でその居住者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く。)のうち、合計所得金額が九十五万円以下である者をいう。
三十四 扶養親族 居住者の親族(その居住者の配偶者を除く。)並びに児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第二十七条第一項第三号(都道府県の採るべき措置)の規定により同法第六条の四(定義)に規定する里親に委託された児童及び老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第十一条第一項第三号(市町村の採るべき措置)の規定により同号に規定する養護受託者に委託された老人でその居住者と生計を一にするもの(第五十七条第一項に規定する青色事業専従者に該当するもので同項に規定する給与の支払を受けるもの及び同条第三項に規定する事業専従者に該当するものを除く。)のうち、合計所得金額が四十八万円以下である者をいう。
三十四の二 控除対象扶養親族 扶養親族のうち、次に掲げる者の区分に応じそれぞれ次に定める者をいう。
イ 居住者 年齢十六歳以上の者
ロ 非居住者 年齢十六歳以上三十歳未満の者及び年齢七十歳以上の者並びに年齢三十歳以上七十歳未満の者であつて次に掲げる者のいずれかに該当するもの
(1) 留学により国内に住所及び居所を有しなくなつた者
(2) 障害者
(3) その居住者からその年において生活費又は教育費に充てるための支払を三十八万円以上受けている者
三十四の三 特定扶養親族 控除対象扶養親族のうち、年齢十九歳以上二十三歳未満の者をいう。
三十四の四 老人扶養親族 控除対象扶養親族のうち、年齢七十歳以上の者をいう。
三十五 特別農業所得者 その年において農業所得(米、麦、たばこ、果実、野菜若しくは花の生産若しくは栽培又は養蚕に係る事業その他これに類するものとして政令で定める事業から生ずる所得をいう。以下この号において同じ。)の金額が総所得金額の十分の七に相当する金額を超え、かつ、その年九月一日以後に生ずる農業所得の金額がその年中の農業所得の金額の十分の七を超える者をいう。
三十六 予定納税額 第百四条第一項(予定納税額の納付)又は第百七条第一項(特別農業所得者の予定納税額の納付)(これらの規定を第百六十六条(申告、納付及び還付)において準用する場合を含む。)の規定により納付すべき所得税の額をいう。
三十七 確定申告書 第二編第五章第二節第一款及び第二款(確定申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書(当該申告書に係る期限後申告書を含む。)をいう。
三十八 期限後申告書 国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第十八条第二項(期限後申告)に規定する期限後申告書をいう。
三十九 修正申告書 国税通則法第十九条第三項(修正申告)に規定する修正申告書をいう。
四十 青色申告書 第百四十三条(青色申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定により青色の申告書によつて提出する確定申告書及び確定申告書に係る修正申告書をいう。
四十の二 更正請求書 国税通則法第二十三条第三項(更正の請求)に規定する更正請求書をいう。
四十一 確定申告期限 第百二十条第一項(確定所得申告)(第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいい、年の中途において死亡し、又は出国をした場合には、第百二十五条第一項(年の中途で死亡した場合の確定申告)又は第百二十七条第一項(年の中途で出国をする場合の確定申告)(これらの規定を第百六十六条において準用する場合を含む。)の規定による申告書の提出期限をいう。
四十二 出国 居住者については、国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしないで国内に住所及び居所を有しないこととなることをいい、非居住者については、同項の規定による納税管理人の届出をしないで国内に居所を有しないこととなること(国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有するものについては、恒久的施設を有しないこととなることとし、国内に居所を有しない非居住者で恒久的施設を有しないものについては、国内において行う第百六十一条第一項第六号(国内源泉所得)に規定する事業を廃止することとする。)をいう。
四十三 更正 国税通則法第二十四条(更正)又は第二十六条(再更正)の規定による更正をいう。
四十四 決定 第十九条(納税地指定の処分の取消しがあつた場合の申告等の効力)、第四十四条の二(免責許可の決定等により債務免除を受けた場合の経済的利益の総収入金額不算入)、第五十二条(貸倒引当金)、第五十七条の四(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)、第百五十一条の四(相続により取得した有価証券等の取得費の額に変更があつた場合等の修正申告の特例)、第百五十九条(更正等による源泉徴収税額等の還付)、第百六十条(更正等による予納税額の還付)及び第二百二十八条の二(新株予約権の行使に関する調書)の場合を除き、国税通則法第二十五条(決定)の規定による決定をいう。
四十五 源泉徴収 第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)の規定により所得税を徴収し及び納付することをいう。
四十六 附帯税 国税通則法第二条第四号(定義)に規定する附帯税をいう。
四十七 充当 第百九十条(年末調整)及び第百九十一条(過納額の還付)の場合を除き、国税通則法第五十七条第一項(充当)の規定による充当をいう。
四十八 還付加算金 国税通則法第五十八条第一項(還付加算金)に規定する還付加算金をいう。
2 この法律において、「相続人」には、包括受遺者を含むものとし、「被相続人」には、包括遺贈者を含むものとする。

(居住者及び非居住者の区分)

第三条 国家公務員又は地方公務員(これらのうち日本の国籍を有しない者その他政令で定める者を除く。)は、国内に住所を有しない期間についても国内に住所を有するものとみなして、この法律(第十条(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税)、第十五条(納税地)及び第十六条(納税地の特例)を除く。)の規定を適用する。
2 前項に定めるもののほか、居住者及び非居住者の区分に関し、個人が国内に住所を有するかどうかの判定について必要な事項は、政令で定める。

(人格のない社団等に対するこの法律の適用)

第四条 人格のない社団等は、法人とみなして、この法律(別表第一を除く。)の規定を適用する。

第二章 納税義務

(納税義務者)

第五条 居住者は、この法律により、所得税を納める義務がある。
2 非居住者は、次に掲げる場合には、この法律により、所得税を納める義務がある。
一 第百六十一条第一項(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得(次号において「国内源泉所得」という。)を有するとき(同号に掲げる場合を除く。)。
二 その引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得(第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補塡金、利息、利益、差益、利益の分配又は賞金をいう。以下この条において同じ。)の支払を国内において受けるとき又は当該信託財産に帰せられる外国法人課税所得(国内源泉所得のうち第百六十一条第一項第四号から第十一号まで又は第十三号から第十六号までに掲げるものをいう。以下この条において同じ。)の支払を受けるとき。
3 内国法人は、国内において内国法人課税所得の支払を受けるとき又はその引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる外国法人課税所得の支払を受けるときは、この法律により、所得税を納める義務がある。
4 外国法人は、外国法人課税所得の支払を受けるとき又はその引受けを行う法人課税信託の信託財産に帰せられる内国法人課税所得の支払を国内において受けるときは、この法律により、所得税を納める義務がある。
(源泉徴収義務者)
第六条 第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者は、この法律により、その支払に係る金額につき源泉徴収をする義務がある。
第二章の二 法人課税信託の受託者等に関する通則

(法人課税信託の受託者に関するこの法律の適用)

第六条の二 法人課税信託の受託者は、各法人課税信託の信託資産等(信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用をいう。以下この章において同じ。)及び固有資産等(法人課税信託の信託資産等以外の資産及び負債並びに収益及び費用をいう。次項において同じ。)ごとに、それぞれ別の者とみなして、この法律(前章(納税義務)及び第五章(納税地)並びに第六編(罰則)を除く。次条において同じ。)の規定を適用する。
2 前項の場合において、各法人課税信託の信託資産等及び固有資産等は、同項の規定によりみなされた各別の者にそれぞれ帰属するものとする。
(受託法人等に関するこの法律の適用)
第六条の三 受託法人(法人課税信託の受託者である法人(その受託者が個人である場合にあつては、当該受託者である個人)について、前条の規定により、当該法人課税信託に係る信託資産等が帰属する者としてこの法律の規定を適用する場合における当該受託者である法人をいう。以下この条において同じ。)又は法人課税信託の委託者若しくは受益者についてこの法律の規定を適用する場合には、次に定めるところによる。
一 法人課税信託の信託された営業所、事務所その他これらに準ずるもの(次号において「営業所」という。)が国内にある場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は、内国法人とする。
二 法人課税信託の信託された営業所が国内にない場合には、当該法人課税信託に係る受託法人は、外国法人とする。
三 受託法人(会社でないものに限る。)は、会社とみなす。
四 法人課税信託の受益権(公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益権及び社債的受益権(資産の流動化に関する法律第二百三十条第一項第二号(特定目的信託契約)に規定する社債的受益権をいう。第二十四条第一項(配当所得)、第百七十六条第一項及び第二項(信託財産に係る利子等の課税の特例)、第二百二十四条の三(株式等の譲渡の対価の受領者等の告知)並びに第二百二十五条第一項(支払調書)において同じ。)を除く。)は株式又は出資とみなし、法人課税信託の受益者は株主等に含まれるものとする。この場合において、その法人課税信託の受託者である法人の株式又は出資は当該法人課税信託に係る受託法人の株式又は出資でないものとみなし、当該受託者である法人の株主等は当該受託法人の株主等でないものとする。
五 法人課税信託について信託の終了があつた場合又は法人課税信託(法人税法第二条第二十九号の二ロ(定義)に掲げる信託に限る。)に第十三条第一項(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。次号及び第七号において「受益者等」という。)が存することとなつた場合(同法第二条第二十九号の二イ又はハに掲げる信託に該当する場合を除く。)には、これらの法人課税信託に係る受託法人の解散があつたものとする。
六 法人課税信託(法人税法第二条第二十九号の二ロに掲げる信託を除く。以下この号において同じ。)の委託者がその有する資産の信託をした場合又は第十三条第一項の規定により受益者等がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託が法人課税信託に該当することとなつた場合には、これらの法人課税信託に係る受託法人に対する出資があつたものとみなす。
七 法人課税信託(法人税法第二条第二十九号の二ロに掲げる信託に限る。以下この号において同じ。)の委託者がその有する資産の信託をした場合又は第十三条第一項の規定により受益者等がその信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされる信託が法人課税信託に該当することとなつた場合には、これらの法人課税信託に係る受託法人に対する贈与により当該資産の移転があつたものとみなす。
八 法人課税信託の収益の分配は資本剰余金の減少に伴わない剰余金の配当と、法人課税信託の元本の払戻しは資本剰余金の減少に伴う剰余金の配当とみなす。
九 前各号に定めるもののほか、受託法人又は法人課税信託の委託者若しくは受益者についてのこの法律の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第三章 課税所得の範囲
(課税所得の範囲)
第七条 所得税は、次の各号に掲げる者の区分に応じ当該各号に定める所得について課する。
一 非永住者以外の居住者 全ての所得
二 非永住者 第九十五条第一項(外国税額控除)に規定する国外源泉所得(国外にある有価証券の譲渡により生ずる所得として政令で定めるものを含む。以下この号において「国外源泉所得」という。)以外の所得及び国外源泉所得で国内において支払われ、又は国外から送金されたもの
三 非居住者 第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分に応じそれぞれ同項各号及び同条第二項各号に定める国内源泉所得
四 内国法人 国内において支払われる第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補塡金、利息、利益、差益、利益の分配及び賞金
五 外国法人 第百六十一条第一項(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得のうち同項第四号から第十一号まで及び第十三号から第十六号までに掲げるもの
2 前項第二号に掲げる所得の範囲に関し必要な事項は、政令で定める。
(納税義務者の区分が異動した場合の課税所得の範囲)
第八条 その年において、個人が非永住者以外の居住者、非永住者又は第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分のうち二以上のものに該当した場合には、その者がその年において非永住者以外の居住者、非永住者又は当該各号に掲げる非居住者であつた期間に応じ、それぞれの期間内に生じた前条第一項第一号から第三号までに掲げる所得に対し、所得税を課する。

(非課税所得)

第九条 次に掲げる所得については、所得税を課さない。
一 当座預金の利子(政令で定めるものを除く。)
二 学校教育法第一条(学校の範囲)に規定する小学校、中学校、義務教育学校、高等学校若しくは中等教育学校又は同法第七十六条(特別支援学校の部別)に規定する特別支援学校の小学部、中学部若しくは高等部の児童又は生徒が、その学校の長の指導を受けて預入し又は信託した預貯金(前号に規定するものを除く。)又は合同運用信託で政令で定めるものの利子又は収益の分配
三 恩給、年金その他これらに準ずる給付で次に掲げるもの
イ 恩給法(大正十二年法律第四十八号)に規定する増加恩給(これに併給される普通恩給を含む。)及び傷病賜金その他公務上又は業務上の事由による負傷又は疾病に基因して受けるこれらに準ずる給付で政令で定めるもの
ロ 遺族の受ける恩給及び年金(死亡した者の勤務に基づいて支給されるものに限る。)
ハ 条例の規定により地方公共団体が精神又は身体に障害のある者に関して実施する共済制度で政令で定めるものに基づいて受ける給付
四 給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、若しくは転任に伴う転居のための旅行をした場合又は就職若しくは退職をした者若しくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるもの
五 給与所得を有する者で通勤するもの(以下この号において「通勤者」という。)がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとして通常の給与に加算して受ける通勤手当(これに類するものを含む。)のうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定めるもの
六 給与所得を有する者がその使用者から受ける金銭以外の物(経済的な利益を含む。)でその職務の性質上欠くことのできないものとして政令で定めるもの
七 国外で勤務する居住者の受ける給与のうち、その勤務により国内で勤務した場合に受けるべき通常の給与に加算して受ける在勤手当(これに類する特別の手当を含む。)で政令で定めるもの
八 外国政府、外国の地方公共団体又は政令で定める国際機関に勤務する者で政令で定める要件を備えるものがその勤務により受ける俸給、給料、賃金、歳費、賞与及びこれらの性質を有する給与(外国政府又は外国の地方公共団体に勤務する者が受けるこれらの給与については、その外国がその国において勤務する日本国の国家公務員又は地方公務員で当該政令で定める要件に準ずる要件を備えるものが受けるこれらの給与について所得税に相当する税を課さない場合に限る。)
九 自己又はその配偶者その他の親族が生活の用に供する家具、じゆう器、衣服その他の資産で政令で定めるものの譲渡による所得
十 資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合における国税通則法第二条第十号(定義)に規定する強制換価手続による資産の譲渡による所得その他これに類するものとして政令で定める所得(第三十三条第二項第一号(譲渡所得)の規定に該当するものを除く。)
十一 オープン型の証券投資信託の収益の分配のうち、信託財産の元本の払戻しに相当する部分として政令で定めるもの
十二 皇室経済法(昭和二十二年法律第四号)第四条第一項(内廷費)及び第六条第一項(皇族費)の規定により受ける給付
十三 次に掲げる年金又は金品
イ 文化功労者年金法(昭和二十六年法律第百二十五号)第三条第一項(年金)の規定による年金
ロ 日本学士院から恩賜賞又は日本学士院賞として交付される金品
ハ 日本芸術院から恩賜賞又は日本芸術院賞として交付される金品
ニ 学術若しくは芸術に関する顕著な貢献を表彰するものとして又は顕著な価値がある学術に関する研究を奨励するものとして国、地方公共団体又は財務大臣の指定する団体若しくは基金から交付される金品(給与その他対価の性質を有するものを除く。)で財務大臣の指定するもの
ホ ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品
ヘ 外国、国際機関、国際団体又は財務大臣の指定する外国の団体若しくは基金から交付される金品でイからホまでに掲げる年金又は金品に類するもの(給与その他対価の性質を有するものを除く。)のうち財務大臣の指定するもの
十四 オリンピック競技大会又はパラリンピック競技大会において特に優秀な成績を収めた者を表彰するものとして財団法人日本オリンピック委員会(平成元年八月七日に財団法人日本オリンピック委員会という名称で設立された法人をいう。)、財団法人日本障害者スポーツ協会(昭和四十年五月二十四日に財団法人日本身体障害者スポーツ協会という名称で設立された法人をいう。)その他これらの法人に加盟している団体であつて政令で定めるものから交付される金品で財務大臣が指定するもの
十五 学資に充てるため給付される金品(給与その他対価の性質を有するもの(給与所得を有する者がその使用者から受けるものにあつては、通常の給与に加算して受けるものであつて、次に掲げる場合に該当するもの以外のものを除く。)を除く。)及び扶養義務者相互間において扶養義務を履行するため給付される金品
イ 法人である使用者から当該法人の役員(法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員をいう。ロにおいて同じ。)の学資に充てるため給付する場合
ロ 法人である使用者から当該法人の使用人(当該法人の役員を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者の学資に充てるため給付する場合
ハ 個人である使用者から当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族(当該個人と生計を一にする者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
ニ 個人である使用者から当該個人の使用人(当該個人の営む事業に従事する当該個人の配偶者その他の親族を含む。)の配偶者その他の当該使用人と政令で定める特別の関係がある者(当該個人と生計を一にする当該個人の配偶者その他の親族に該当する者を除く。)の学資に充てるため給付する場合
十六 国又は地方公共団体が保育その他の子育てに対する助成を行う事業その他これに類する事業で財務省令で定めるものにより、その業務を利用する者の居宅その他財務省令で定める場所において保育その他の日常生活を営むのに必要な便宜の供与を行う業務又は児童福祉法第五十九条の二第一項(認可外保育施設の届出)に規定する施設その他の財務省令で定める施設の利用に要する費用に充てるため支給される金品(前号に規定する学資に充てるため給付される金品を除く。)
十七 相続、遺贈又は個人からの贈与により取得するもの(相続税法(昭和二十五年法律第七十三号)の規定により相続、遺贈又は個人からの贈与により取得したものとみなされるものを含む。)
十八 保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約に基づき支払を受ける保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む。)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により資産に加えられた損害に基因して取得するものその他の政令で定めるもの
十九 公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)の適用を受ける選挙に係る公職の候補者が選挙運動に関し法人からの贈与により取得した金銭、物品その他の財産上の利益で、同法第百八十九条(選挙運動に関する収入及び支出の報告書の提出)の規定による報告がされたもの
2 次に掲げる金額は、この法律の規定の適用については、ないものとみなす。
一 前項第九号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の第三十三条第三項に規定する取得費及びその譲渡に要した費用の額の合計額(以下この項において「取得費等の金額」という。)に満たない場合におけるその不足額
二 前項第十号に規定する資産の譲渡による収入金額がその資産の取得費等の金額又は第三十二条第三項(山林所得)に規定する必要経費に満たない場合におけるその不足額
(障害者等の少額預金の利子所得等の非課税)
第十条 国内に住所を有する個人で、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十五条第四項(身体障害者手帳)の規定により身体障害者手帳の交付を受けている者、国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第三十七条の二第一項(遺族の範囲)に規定する遺族基礎年金を受けることができる妻である者、同法第四十九条第一項(支給要件)に規定する寡婦年金を受けることができる同項に規定する妻である者その他これらの者に準ずる者として政令で定めるもの(以下この条において「障害者等」という。)が、金融機関その他の預貯金の受入れ若しくは信託の引受けをする者、金融商品取引業者又は登録金融機関で政令で定めるものの営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下この条において「金融機関の営業所等」という。)において預貯金(前条第一項第一号又は第二号の規定に該当するものその他政令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)、合同運用信託(同号の規定に該当するものその他政令で定めるものを除く。以下この条において同じ。)、公募公社債等運用投資信託(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第二項(定義)に規定する委託者非指図型投資信託に限るものとし、政令で定めるものを除く。以下この条において「特定公募公社債等運用投資信託」という。)又は有価証券(公社債及び投資信託(同項に規定する委託者非指図型投資信託を除く。)又は特定目的信託の受益権のうち、政令で定めるものに限る。以下この条において同じ。)の預入、信託又は購入(以下この条において「預入等」という。)をする場合において、政令で定めるところにより、その預入等の際その預貯金、合同運用信託、特定公募公社債等運用投資信託又は有価証券につきこの項の規定の適用を受けようとする旨、その者の氏名、生年月日及び住所並びに障害者等に該当する旨その他必要な事項を記載した書類(以下この条において「非課税貯蓄申込書」という。)を提出したときは、次の各号に掲げる場合に限り、当該各号に定めるものについては、所得税を課さない。
一 その預貯金の元本とその金融機関の営業所等において非課税貯蓄申込書を提出して預入した他の預貯金の元本との合計額が、その預貯金の利子の計算期間を通じて、その個人がその金融機関の営業所等を経由して提出した第三項に規定する非課税貯蓄申告書に記載された同項第三号に掲げる最高限度額(第四項に規定する非課税貯蓄限度額変更申告書の提出があつた場合には、その提出の日以後においては、その変更後の最高限度額。以下この項において同じ。)を超えない場合 その預貯金の当該計算期間に対応する利子
二 その合同運用信託又は特定公募公社債等運用投資信託(以下この号において「合同運用信託等」という。)の元本とその金融機関の営業所等において非課税貯蓄申込書を提出して信託した他の合同運用信託等の元本との合計額が、その合同運用信託等の収益の分配の計算期間を通じて、その個人がその金融機関の営業所等を経由して提出した第三項に規定する非課税貯蓄申告書に記載された同項第三号に掲げる最高限度額を超えない場合(その合同運用信託等が貸付信託又は特定公募公社債等運用投資信託である場合には、その収益の分配の計算期間を通じて社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)に規定する振替口座簿への記載又は記録その他の政令で定める方法により管理されている場合に限る。) その合同運用信託等の当該計算期間に対応する収益の分配
三 その有価証券につき、その利子、収益の分配又は剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。以下この号において同じ。)の計算期間を通じて(その有価証券が当該計算期間の中途において購入したものである場合には、その購入の日の属する計算期間については、同日から当該計算期間の終了の日までの期間を通じて。以下この号において同じ。)、社債、株式等の振替に関する法律に規定する振替口座簿への記載又は記録その他の政令で定める方法により管理されており、かつ、その有価証券の額面金額又はこれに準ずる金額として政令で定めるもの(以下この条において「額面金額等」という。)とその金融機関の営業所等において非課税貯蓄申込書を提出して購入した他の有価証券の額面金額等との合計額が、当該計算期間を通じて、その個人がその金融機関の営業所等を経由して提出した第三項に規定する非課税貯蓄申告書に記載された同項第三号に掲げる最高限度額を超えない場合 その有価証券の当該計算期間に対応する利子、収益の分配又は剰余金の配当
2 非課税貯蓄申込書は、次項に規定する非課税貯蓄申告書の提出の際に経由した金融機関の営業所等に対してのみ提出することができるものとし、その提出に当たつては、当該金融機関の営業所等の長にその者の身体障害者福祉法第十五条第四項の規定により交付を受けた身体障害者手帳、国民年金法第十五条第三号(給付の種類)に掲げる遺族基礎年金の年金証書その他の政令で定める書類の提示又は当該書類の提示に代えて政令で定めるところにより行う署名用電子証明書等(電子署名等に係る地方公共団体情報システム機構の認証業務に関する法律(平成十四年法律第百五十三号)第三条第一項(個人番号カード用署名用電子証明書の発行)に規定する署名用電子証明書(第五項において「署名用電子証明書」という。)その他の電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他の人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。第五項において同じ。)であつて財務省令で定めるものをいう。)の送信をしなければならないものとする。
3 第一項の規定は、個人が、最初に同項の規定の適用を受けようとする預貯金、合同運用信託、特定公募公社債等運用投資信託又は有価証券の預入等をする日までに、次に掲げる事項を記載した申告書(以下この条において「非課税貯蓄申告書」という。)をその預入等をする金融機関の営業所等を経由し、その者の住所地の所轄税務署長に提出した場合に限り、適用する。
一 提出者の氏名、生年月日、住所及び個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第五項(定義)に規定する個人番号をいう。以下同じ。)、障害者等に該当する旨並びに当該金融機関の営業所等の名称及び所在地
二 第一項の規定の適用を受けようとする預貯金、合同運用信託、特定公募公社債等運用投資信託又は有価証券の別
三 当該金融機関の営業所等において預入等をする預貯金、合同運用信託、特定公募公社債等運用投資信託又は有価証券で第一項の規定の適用を受けようとするものの現在高(有価証券にあつては、額面金額等により計算した現在高)に係る最高限度額
四 既に他の金融機関の営業所等を経由して非課税貯蓄申告書を提出している場合には、当該他の金融機関の営業所等ごとの名称及び当該申告書に記載した前号の最高限度額(次項の規定による申告書を提出した場合には、変更後の最高限度額)
4 非課税貯蓄申告書を提出した個人が、当該申告書に記載した前項第三号に掲げる最高限度額(既にこの項の規定による申告書を提出している場合には、当該申告書に記載した変更後の最高限度額)を変更しようとする場合には、その個人は、政令で定めるところにより、その旨並びに変更後の前項第三号に掲げる最高限度額及び同項第四号に掲げる最高限度額の合計額その他必要な事項を記載した申告書(以下この条において「非課税貯蓄限度額変更申告書」という。)を、当該非課税貯蓄申告書の提出の際に経由した金融機関の営業所等を経由して、その者の住所地の所轄税務署長に提出するものとする。
5 非課税貯蓄申告書又は非課税貯蓄限度額変更申告書を提出する個人は、政令で定めるところにより、その提出をしようとする際、第三項又は前項に規定する金融機関の営業所等の長に、その者の身体障害者福祉法第十五条第四項の規定により交付を受けた身体障害者手帳、国民年金法第十五条第三号に掲げる遺族基礎年金の年金証書その他の政令で定める書類の提示又は当該書類の提示に代えて政令で定めるところにより行う署名用電子証明書等(署名用電子証明書その他の電磁的記録であつて財務省令で定めるものをいう。)の送信をして氏名、生年月日、住所及び個人番号並びに障害者等に該当する旨を告知し、当該告知をした事項につき確認を受けなければならない。
6 第三項又は第四項の場合において、非課税貯蓄申告書又は非課税貯蓄限度額変更申告書がこれらの規定に規定する税務署長に提出されたときは、これらの規定に規定する金融機関の営業所等においてその受理がされた日にその提出があつたものとみなす。
7 第一項に規定する個人は、次に掲げる非課税貯蓄申告書又は非課税貯蓄限度額変更申告書に該当する申告書については、これを提出することができないものとし、第三項又は第四項に規定する金融機関の営業所等の長は、当該申告書又は既に非課税貯蓄申告書を受理した個人から重ねて提出された非課税貯蓄申告書(政令で定めるものを除く。)については、これを受理することができない。
一 第三項第三号に掲げる最高限度額(非課税貯蓄限度額変更申告書にあつては、変更後の同号に掲げる最高限度額)が三百万円を超える金額の記載のある非課税貯蓄申告書若しくは非課税貯蓄限度額変更申告書又は当該最高限度額に同項第四号に掲げる最高限度額の合計額を加算した金額が三百万円を超える金額の記載のある非課税貯蓄申告書若しくは非課税貯蓄限度額変更申告書
二 第五項の規定による確認を受けていない非課税貯蓄申告書又は非課税貯蓄限度額変更申告書
8 第一項、第三項又は第四項に規定する個人は、これらの規定による申込書又は申告書の提出に代えて、これらの規定に規定する金融機関の営業所等に対し、これらの申込書又は申告書に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。)により提供することができる。この場合において、当該個人は、これらの申込書又は申告書を当該金融機関の営業所等に提出したものとみなす。
9 前項の規定の適用がある場合における第六項の規定の適用については、同項中「又は非課税貯蓄限度額変更申告書」とあるのは「に記載すべき事項又は非課税貯蓄限度額変更申告書に記載すべき事項」と、「受理がされた日」とあるのは「提供を受けた日」とする。
10 第二項から前項までに定めるもののほか、第一項の元本及び額面金額等の計算の方法、非課税貯蓄申込書の提出、保存及び管理に関する事項、非課税貯蓄申告書の提出に関する事項、非課税貯蓄申告書を提出した個人がその提出後当該申告書に記載した事項を変更した場合又は同項の規定の適用を受けることをやめようとする場合における申告に関する事項その他同項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(公共法人等及び公益信託等に係る非課税)
第十一条 別表第一に掲げる内国法人が支払を受ける第百七十四条各号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる利子等、配当等、給付補塡金、利息、利益、差益及び利益の分配(貸付信託の受益権の収益の分配にあつては、当該内国法人が当該受益権を引き続き所有していた期間に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する部分に限る。)については、所得税を課さない。
2 公益信託ニ関スル法律(大正十一年法律第六十二号)第一条(公益信託)に規定する公益信託又は社債、株式等の振替に関する法律第二条第十一項(定義)に規定する加入者保護信託の信託財産につき生ずる所得(貸付信託の受益権の収益の分配に係るものにあつては、当該受益権が当該公益信託又は当該加入者保護信託の信託財産に引き続き属していた期間に対応する部分の額として政令で定めるところにより計算した金額に相当する部分に限る。)については、所得税を課さない。
3 前二項の規定のうち公社債又は貸付信託、投資信託若しくは特定目的信託の受益権で政令で定めるもの(以下この項において「公社債等」という。)の利子、収益の分配又は第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当(以下この項において「利子等」という。)に係る部分は、これらの規定に規定する内国法人又は公益信託若しくは加入者保護信託の受託者が、公社債等につき社債、株式等の振替に関する法律に規定する振替口座簿への記載又は記録その他の政令で定める方法により管理されており、かつ、政令で定めるところにより、当該公社債等の利子等につきこれらの規定の適用を受けようとする旨その他財務省令で定める事項を記載した申告書を、当該公社債等の利子等の支払をする者(次項において「支払者」という。)を経由して税務署長に提出した場合に限り、適用する。
4 前項に規定する内国法人又は公益信託若しくは加入者保護信託の受託者は、同項の規定による申告書の提出に代えて、同項の支払者に対し、当該申告書に記載すべき事項を前条第八項に規定する電磁的方法により提供することができる。この場合において、当該内国法人又は公益信託若しくは加入者保護信託の受託者は、当該申告書を当該支払者に提出したものとみなす。
第四章 所得の帰属に関する通則
(実質所得者課税の原則)
第十二条 資産又は事業から生ずる収益の法律上帰属するとみられる者が単なる名義人であつて、その収益を享受せず、その者以外の者がその収益を享受する場合には、その収益は、これを享受する者に帰属するものとして、この法律の規定を適用する。
(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)
第十三条 信託の受益者(受益者としての権利を現に有するものに限る。)は当該信託の信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなし、かつ、当該信託財産に帰せられる収益及び費用は当該受益者の収益及び費用とみなして、この法律の規定を適用する。ただし、集団投資信託、退職年金等信託又は法人課税信託の信託財産に属する資産及び負債並びに当該信託財産に帰せられる収益及び費用については、この限りでない。
2 信託の変更をする権限(軽微な変更をする権限として政令で定めるものを除く。)を現に有し、かつ、当該信託の信託財産の給付を受けることとされている者(受益者を除く。)は、前項に規定する受益者とみなして、同項の規定を適用する。
3 第一項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 集団投資信託 合同運用信託、投資信託(法人税法第二条第二十九号ロ(定義)に掲げる信託に限る。)及び特定受益証券発行信託をいう。
二 退職年金等信託 法人税法第八十四条第一項(退職年金等積立金の額の計算)に規定する確定給付年金資産管理運用契約、確定給付年金基金資産運用契約、確定拠出年金資産管理契約、勤労者財産形成給付契約若しくは勤労者財産形成基金給付契約、国民年金基金若しくは国民年金基金連合会の締結した国民年金法第百二十八条第三項(基金の業務)若しくは第百三十七条の十五第四項(連合会の業務)に規定する契約又はこれらに類する退職年金に関する契約で政令で定めるものに係る信託をいう。
4 受益者が二以上ある場合における第一項の規定の適用、第二項に規定する信託財産の給付を受けることとされている者に該当するかどうかの判定その他第一項及び第二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第十四条 削除

第五章 納税地

(納税地)

第十五条 所得税の納税地は、納税義務者が次の各号に掲げる場合のいずれに該当するかに応じ当該各号に定める場所とする。
一 国内に住所を有する場合 その住所地
二 国内に住所を有せず、居所を有する場合 その居所地
三 前二号に掲げる場合を除き、恒久的施設を有する非居住者である場合 その恒久的施設を通じて行う事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものの所在地(これらが二以上ある場合には、主たるものの所在地)
四 第一号又は第二号の規定により納税地を定められていた者が国内に住所及び居所を有しないこととなつた場合において、その者がその有しないこととなつた時に前号に規定する事業に係る事務所、事業所その他これらに準ずるものを有せず、かつ、その納税地とされていた場所にその者の親族その他その者と特殊の関係を有する者として政令で定める者が引き続き、又はその者に代わつて居住しているとき。 その納税地とされていた場所
五 前各号に掲げる場合を除き、第百六十一条第一項第七号(国内源泉所得)に掲げる対価(船舶又は航空機の貸付けによるものを除く。)を受ける場合 当該対価に係る資産の所在地(その資産が二以上ある場合には、主たる資産の所在地)
六 前各号に掲げる場合以外の場合 政令で定める場所

(納税地の特例)

第十六条 国内に住所のほか居所を有する納税義務者(第十八条第一項(納税地の指定)の規定により納税地の指定を受けている納税義務者を除く。次項において同じ。)は、前条第一号の規定にかかわらず、その住所地に代え、その居所地を納税地とすることができる。
2 国内に住所又は居所を有し、かつ、その住所地又は居所地以外の場所にその営む事業に係る事業場その他これに準ずるもの(以下この項において「事業場等」という。)を有する納税義務者は、前条第一号又は第二号の規定にかかわらず、その住所地又は居所地に代え、その事業場等の所在地(その事業場等が二以上ある場合には、これらのうち主たる事業場等の所在地)を納税地とすることができる。
3 納税義務者が死亡した場合には、その死亡した者の所得税の納税地は、その相続人の所得税の納税地によらず、その死亡当時におけるその死亡した者の所得税の納税地とする。

(源泉徴収に係る所得税の納税地)

第十七条 第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等の支払をする者その他第四編第一章から第六章まで(源泉徴収)に規定する支払をする者(以下この条において「給与等支払者」という。)のその支払につき源泉徴収をすべき所得税の納税地は、当該給与等支払者の事務所、事業所その他これらに準ずるものでその支払事務を取り扱うもの(以下この条において「事務所等」という。)のその支払の日における所在地(当該支払の日以後に当該給与等支払者が国内において事務所等を移転した場合には、当該事務所等の移転後の所在地その他の政令で定める場所)とする。ただし、公社債の利子、内国法人(第六条の三第一号(受託法人等に関するこの法律の適用)の規定により内国法人とされる同条に規定する受託法人を含む。)が支払う第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当その他の政令で定めるものについては、その支払をする者の本店又は主たる事務所の所在地その他の政令で定める場所とする。

(納税地の指定)

第十八条 第十五条(納税地)又は第十六条(納税地の特例)の規定による納税地が納税義務者の所得の状況からみて所得税の納税地として不適当であると認められる場合には、その納税地の所轄国税局長(政令で定める場合には、国税庁長官。以下この条において同じ。)は、これらの規定にかかわらず、その所得税の納税地を指定することができる。
2 前条の規定による納税地が同条に規定する支払をする者の支払事務の形態その他の状況からみて同条の所得税の納税地として不適当であると認められる場合には、その納税地の所轄国税局長は、同条の規定にかかわらず、その所得税の納税地を指定することができる。
3 国税局長は、前二項の規定により所得税の納税地を指定したときは、これらの規定に規定する納税義務者又は支払をする者に対し、書面によりその旨を通知する。
(納税地指定の処分の取消しがあつた場合の申告等の効力)
第十九条 再調査の請求についての決定若しくは審査請求についての裁決又は判決により、前条第一項又は第二項の規定による納税地の指定の処分の取消しがあつた場合においても、その処分の取消しは、その取消しの対象となつた処分のあつた時からその取消しの時までの間に、その取消しの対象となつた納税地をその処分に係る納税地として同条第一項に規定する納税義務者の所得税又は同条第二項に規定する支払をする者の同項の所得税に関してされた申告、申請、請求、届出その他書類の提出及び納付並びに国税庁長官、国税局長又は税務署長の処分(その取消しの対象となつた処分を除く。)の効力に影響を及ぼさないものとする。
第二十条 削除

第二編 居住者の納税義務

第一章 通則

(所得税額の計算の順序)

第二十一条 居住者に対して課する所得税の額は、次に定める順序により計算する。
一 次章第二節(各種所得の金額の計算)の規定により、その所得を利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得又は雑所得に区分し、これらの所得ごとに所得の金額を計算する。
二 前号の所得の金額を基礎として、次条及び次章第三節(損益通算及び損失の繰越控除)の規定により同条に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算する。
三 次章第四節(所得控除)の規定により前号の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から基礎控除その他の控除をして第八十九条第二項(税率)に規定する課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を計算する。
四 前号の課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額を基礎として、第三章第一節(税率)の規定により所得税の額を計算する。
五 第三章第二節(税額控除)の規定により配当控除、分配時調整外国税相当額控除及び外国税額控除を受ける場合には、前号の所得税の額に相当する金額からその控除をした後の金額をもつて所得税の額とする。
2 前項の場合において、居住者が第四章(税額の計算の特例)の規定に該当するときは、その者に対して課する所得税の額については、同章に定めるところによる。

第二章 課税標準及びその計算並びに所得控除

第一節 課税標準

第二十二条 居住者に対して課する所得税の課税標準は、総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額とする。
2 総所得金額は、次節(各種所得の金額の計算)の規定により計算した次に掲げる金額の合計額(第七十条第一項若しくは第二項(純損失の繰越控除)又は第七十一条第一項(雑損失の繰越控除)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。
一 利子所得の金額、配当所得の金額、不動産所得の金額、事業所得の金額、給与所得の金額、譲渡所得の金額(第三十三条第三項第一号(譲渡所得)に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び雑所得の金額(これらの金額につき第六十九条(損益通算)の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額
二 譲渡所得の金額(第三十三条第三項第二号に掲げる所得に係る部分の金額に限る。)及び一時所得の金額(これらの金額につき第六十九条の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)の合計額の二分の一に相当する金額
3 退職所得金額又は山林所得金額は、それぞれ次節の規定により計算した退職所得の金額又は山林所得の金額(これらの金額につき第六十九条、第七十条又は第七十一条の規定の適用がある場合には、その適用後の金額)とする。
第二節 各種所得の金額の計算
第一款 所得の種類及び各種所得の金額
(利子所得)
第二十三条 利子所得とは、公社債及び預貯金の利子(公社債で元本に係る部分と利子に係る部分とに分離されてそれぞれ独立して取引されるもののうち、当該利子に係る部分であつた公社債に係るものを除く。)並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配(以下この条において「利子等」という。)に係る所得をいう。
2 利子所得の金額は、その年中の利子等の収入金額とする。

(配当所得)

第二十四条 配当所得とは、法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。)から受ける剰余金の配当(株式又は出資(公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益権及び社債的受益権を含む。次条において同じ。)に係るものに限るものとし、資本剰余金の額の減少に伴うもの並びに分割型分割(同法第二条第十二号の九に規定する分割型分割をいい、法人課税信託に係る信託の分割を含む。以下この項及び次条において同じ。)によるもの及び株式分配(同法第二条第十二号の十五の二に規定する株式分配をいう。以下この項及び次条において同じ。)を除く。)、利益の配当(資産の流動化に関する法律第百十五条第一項(中間配当)に規定する金銭の分配を含むものとし、分割型分割によるもの及び株式分配を除く。)、剰余金の分配(出資に係るものに限る。)、投資信託及び投資法人に関する法律第百三十七条(金銭の分配)の金銭の分配(出資総額等の減少に伴う金銭の分配として財務省令で定めるもの(次条第一項第四号において「出資等減少分配」という。)を除く。)、基金利息(保険業法第五十五条第一項(基金利息の支払等の制限)に規定する基金利息をいう。)並びに投資信託(公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託を除く。)及び特定受益証券発行信託の収益の分配(法人税法第二条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係るものを除く。以下この条において「配当等」という。)に係る所得をいう。
2 配当所得の金額は、その年中の配当等の収入金額とする。ただし、株式その他配当所得を生ずべき元本を取得するために要した負債の利子(事業所得又は雑所得の基因となつた有価証券その他政令で定めるものを取得するために要した負債の利子を除く。以下この項において同じ。)でその年中に支払うものがある場合は、当該収入金額から、その支払う負債の利子の額のうちその年においてその元本を有していた期間に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額の合計額を控除した金額とする。
(配当等とみなす金額)
第二十五条 法人(法人税法第二条第六号(定義)に規定する公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この項において同じ。)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(同条第十二号の十五に規定する適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の同条第十六号に規定する資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は金銭の分配とみなす。
一 当該法人の合併(法人課税信託に係る信託の併合を含むものとし、法人税法第二条第十二号の八に規定する適格合併を除く。)
二 当該法人の分割型分割(法人税法第二条第十二号の十二に規定する適格分割型分割を除く。)
三 当該法人の株式分配(法人税法第二条第十二号の十五の三に規定する適格株式分配を除く。)
四 当該法人の資本の払戻し(株式に係る剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち分割型分割によるもの及び株式分配以外のもの並びに出資等減少分配をいう。)又は当該法人の解散による残余財産の分配
五 当該法人の自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第五十七条の四第三項第一号から第三号まで(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)
六 当該法人の出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、当該法人の出資の払戻し、当該法人からの社員その他の出資者の退社若しくは脱退による持分の払戻し又は当該法人の株式若しくは出資を当該法人が取得することなく消滅させること。
七 当該法人の組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をした当該法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限る。)
2 合併法人(法人税法第二条第十二号に規定する合併法人をいう。以下この項において同じ。)又は分割法人(同条第十二号の二に規定する分割法人をいう。以下この項において同じ。)が被合併法人(同条第十一号に規定する被合併法人をいう。)の株主等又は当該分割法人の株主等に対し合併又は分割型分割により株式(出資を含む。以下この項において同じ。)その他の資産の交付をしなかつた場合においても、当該合併又は分割型分割が合併法人又は分割承継法人(同条第十二号の三に規定する分割承継法人をいう。以下この項において同じ。)の株式の交付が省略されたと認められる合併又は分割型分割として政令で定めるものに該当するときは、政令で定めるところによりこれらの株主等が当該合併法人又は分割承継法人の株式の交付を受けたものとみなして、前項の規定を適用する。
3 第一項に規定する株式又は出資に対応する部分の金額の計算の方法その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(不動産所得)

第二十六条 不動産所得とは、不動産、不動産の上に存する権利、船舶又は航空機(以下この項において「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
2 不動産所得の金額は、その年中の不動産所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。
(事業所得)
第二十七条 事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。
2 事業所得の金額は、その年中の事業所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とする。
(給与所得)
第二十八条 給与所得とは、俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与(以下この条において「給与等」という。)に係る所得をいう。
2 給与所得の金額は、その年中の給与等の収入金額から給与所得控除額を控除した残額とする。
3 前項に規定する給与所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 前項に規定する収入金額が百八十万円以下である場合 当該収入金額の百分の四十に相当する金額から十万円を控除した残額(当該残額が五十五万円に満たない場合には、五十五万円)
二 前項に規定する収入金額が百八十万円を超え三百六十万円以下である場合 六十二万円と当該収入金額から百八十万円を控除した金額の百分の三十に相当する金額との合計額
三 前項に規定する収入金額が三百六十万円を超え六百六十万円以下である場合 百十六万円と当該収入金額から三百六十万円を控除した金額の百分の二十に相当する金額との合計額
四 前項に規定する収入金額が六百六十万円を超え八百五十万円以下である場合 百七十六万円と当該収入金額から六百六十万円を控除した金額の百分の十に相当する金額との合計額
五 前項に規定する収入金額が八百五十万円を超える場合 百九十五万円
4 その年中の給与等の収入金額が六百六十万円未満である場合には、当該給与等に係る給与所得の金額は、前二項の規定にかかわらず、当該収入金額を別表第五の給与等の金額として、同表により当該金額に応じて求めた同表の給与所得控除後の給与等の金額に相当する金額とする。
第二十九条 削除

(退職所得)

第三十条 退職所得とは、退職手当、一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下この条において「退職手当等」という。)に係る所得をいう。
2 退職所得の金額は、その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の二分の一に相当する金額(当該退職手当等が、短期退職手当等である場合には次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とし、特定役員退職手当等である場合には当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額に相当する金額とする。)とする。
一 当該退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額が三百万円以下である場合 当該残額の二分の一に相当する金額
二 前号に掲げる場合以外の場合 百五十万円と当該退職手当等の収入金額から三百万円に退職所得控除額を加算した金額を控除した残額との合計額
3 前項に規定する退職所得控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「勤続年数」という。)が二十年以下である場合 四十万円に当該勤続年数を乗じて計算した金額
二 勤続年数が二十年を超える場合 八百万円と七十万円に当該勤続年数から二十年を控除した年数を乗じて計算した金額との合計額
4 第二項に規定する短期退職手当等とは、退職手当等のうち、退職手当等の支払をする者から短期勤続年数(前項第一号に規定する勤続年数のうち、次項に規定する役員等以外の者としての政令で定める勤続年数が五年以下であるものをいう。第七項において同じ。)に対応する退職手当等として支払を受けるものであつて、次項に規定する特定役員退職手当等に該当しないものをいう。
5 第二項に規定する特定役員退職手当等とは、退職手当等のうち、役員等(次に掲げる者をいう。)としての政令で定める勤続年数(以下この項及び第七項において「役員等勤続年数」という。)が五年以下である者が、退職手当等の支払をする者から当該役員等勤続年数に対応する退職手当等として支払を受けるものをいう。
一 法人税法第二条第十五号(定義)に規定する役員
二 国会議員及び地方公共団体の議会の議員
三 国家公務員及び地方公務員
6 次の各号に掲げる場合に該当するときは、第二項に規定する退職所得控除額は、第三項の規定にかかわらず、当該各号に定める金額とする。
一 その年の前年以前に他の退職手当等の支払を受けている場合で政令で定める場合 第三項の規定により計算した金額から、当該他の退職手当等につき政令で定めるところにより同項の規定に準じて計算した金額を控除した金額
二 第三項及び前号の規定により計算した金額が八十万円に満たない場合(次号に該当する場合を除く。) 八十万円
三 障害者になつたことに直接基因して退職したと認められる場合で政令で定める場合 第三項及び第一号の規定により計算した金額(当該金額が八十万円に満たない場合には、八十万円)に百万円を加算した金額
7 その年中に一般退職手当等(退職手当等のうち、短期退職手当等(第四項に規定する短期退職手当等をいう。以下この項において同じ。)及び特定役員退職手当等(第五項に規定する特定役員退職手当等をいう。以下この項において同じ。)のいずれにも該当しないものをいう。以下この項において同じ。)、短期退職手当等又は特定役員退職手当等のうち二以上の退職手当等があり、当該一般退職手当等に係る勤続年数、当該短期退職手当等に係る短期勤続年数又は当該特定役員退職手当等に係る役員等勤続年数に重複している期間がある場合の退職所得の金額の計算については、政令で定める。

(退職手当等とみなす一時金)

第三十一条 次に掲げる一時金は、この法律の規定の適用については、前条第一項に規定する退職手当等とみなす。
一 国民年金法、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)、国家公務員共済組合法(昭和三十三年法律第百二十八号)、地方公務員等共済組合法(昭和三十七年法律第百五十二号)、私立学校教職員共済法(昭和二十八年法律第二百四十五号)及び独立行政法人農業者年金基金法(平成十四年法律第百二十七号)の規定に基づく一時金その他これらの法律の規定による社会保険又は共済に関する制度に類する制度に基づく一時金(これに類する給付を含む。以下この条において同じ。)で政令で定めるもの
二 石炭鉱業年金基金法(昭和四十二年法律第百三十五号)の規定に基づく一時金で同法第十六条第一項(坑内員に関する給付)又は第十八条第一項(坑外員に関する給付)に規定する坑内員又は坑外員の退職に基因して支払われるものその他同法の規定による社会保険に関する制度に類する制度に基づく一時金で政令で定めるもの
三 確定給付企業年金法(平成十三年法律第五十号)の規定に基づいて支給を受ける一時金で同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者の退職により支払われるもの(同法第三条第一項(確定給付企業年金の実施)に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて拠出された掛金のうちに当該加入者の負担した金額がある場合には、その一時金の額からその負担した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する一時金として政令で定めるもの

(山林所得)

第三十二条 山林所得とは、山林の伐採又は譲渡による所得をいう。
2 山林をその取得の日以後五年以内に伐採し又は譲渡することによる所得は、山林所得に含まれないものとする。
3 山林所得の金額は、その年中の山林所得に係る総収入金額から必要経費を控除し、その残額から山林所得の特別控除額を控除した金額とする。
4 前項に規定する山林所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。
(譲渡所得)
第三十三条 譲渡所得とは、資産の譲渡(建物又は構築物の所有を目的とする地上権又は賃借権の設定その他契約により他人に土地を長期間使用させる行為で政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)による所得をいう。
2 次に掲げる所得は、譲渡所得に含まれないものとする。
一 たな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)の譲渡その他営利を目的として継続的に行なわれる資産の譲渡による所得
二 前号に該当するもののほか、山林の伐採又は譲渡による所得
3 譲渡所得の金額は、次の各号に掲げる所得につき、それぞれその年中の当該所得に係る総収入金額から当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額を控除し、その残額の合計額(当該各号のうちいずれかの号に掲げる所得に係る総収入金額が当該所得の基因となつた資産の取得費及びその資産の譲渡に要した費用の額の合計額に満たない場合には、その不足額に相当する金額を他の号に掲げる所得に係る残額から控除した金額。以下この条において「譲渡益」という。)から譲渡所得の特別控除額を控除した金額とする。
一 資産の譲渡(前項の規定に該当するものを除く。次号において同じ。)でその資産の取得の日以後五年以内にされたものによる所得(政令で定めるものを除く。)
二 資産の譲渡による所得で前号に掲げる所得以外のもの
4 前項に規定する譲渡所得の特別控除額は、五十万円(譲渡益が五十万円に満たない場合には、当該譲渡益)とする。
5 第三項の規定により譲渡益から同項に規定する譲渡所得の特別控除額を控除する場合には、まず、当該譲渡益のうち同項第一号に掲げる所得に係る部分の金額から控除するものとする。
(一時所得)
第三十四条 一時所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得及び譲渡所得以外の所得のうち、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得で労務その他の役務又は資産の譲渡の対価としての性質を有しないものをいう。
2 一時所得の金額は、その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする。
3 前項に規定する一時所得の特別控除額は、五十万円(同項に規定する残額が五十万円に満たない場合には、当該残額)とする。

(雑所得)

第三十五条 雑所得とは、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得及び一時所得のいずれにも該当しない所得をいう。
2 雑所得の金額は、次の各号に掲げる金額の合計額とする。
一 その年中の公的年金等の収入金額から公的年金等控除額を控除した残額
二 その年中の雑所得(公的年金等に係るものを除く。)に係る総収入金額から必要経費を控除した金額
3 前項に規定する公的年金等とは、次に掲げる年金をいう。
一 第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定に基づく年金その他同条第一号及び第二号に規定する制度に基づく年金(これに類する給付を含む。第三号において同じ。)で政令で定めるもの
二 恩給(一時恩給を除く。)及び過去の勤務に基づき使用者であつた者から支給される年金
三 確定給付企業年金法の規定に基づいて支給を受ける年金(第三十一条第三号に規定する規約に基づいて拠出された掛金のうちにその年金が支給される同法第二十五条第一項(加入者)に規定する加入者(同項に規定する加入者であつた者を含む。)の負担した金額がある場合には、その年金の額からその負担した金額のうちその年金の額に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額に相当する部分に限る。)その他これに類する年金として政令で定めるもの
4 第二項に規定する公的年金等控除額は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額とする。
一 その年中の公的年金等の収入金額がないものとして計算した場合における第二条第一項第三十号(定義)に規定する合計所得金額(次号及び第三号において「公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額」という。)が千万円以下である場合 次に掲げる金額の合計額(当該合計額が六十万円に満たない場合には、六十万円)
イ 四十万円
ロ その年中の公的年金等の収入金額から五十万円を控除した残額の次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額
(1) 当該残額が三百六十万円以下である場合 当該残額の百分の二十五に相当する金額
(2) 当該残額が三百六十万円を超え七百二十万円以下である場合 九十万円と当該残額から三百六十万円を控除した金額の百分の十五に相当する金額との合計額
(3) 当該残額が七百二十万円を超え九百五十万円以下である場合 百四十四万円と当該残額から七百二十万円を控除した金額の百分の五に相当する金額との合計額
(4) 当該残額が九百五十万円を超える場合 百五十五万五千円
二 その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が千万円を超え二千万円以下である場合 次に掲げる金額の合計額(当該合計額が五十万円に満たない場合には、五十万円)
イ 三十万円
ロ 前号ロに掲げる金額
三 その年中の公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が二千万円を超える場合 次に掲げる金額の合計額(当該合計額が四十万円に満たない場合には、四十万円)
イ 二十万円
ロ 第一号ロに掲げる金額
第二款 所得金額の計算の通則
(収入金額)
第三十六条 その年分の各種所得の金額の計算上収入金額とすべき金額又は総収入金額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その年において収入すべき金額(金銭以外の物又は権利その他経済的な利益をもつて収入する場合には、その金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額)とする。
2 前項の金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額は、当該物若しくは権利を取得し、又は当該利益を享受する時における価額とする。
3 無記名の公社債の利子、無記名の株式(無記名の公募公社債等運用投資信託以外の公社債等運用投資信託の受益証券及び無記名の社債的受益権に係る受益証券を含む。第百六十九条第二号(分離課税に係る所得税の課税標準)、第二百二十四条第一項及び第二項(利子、配当等の受領者の告知)並びに第二百二十五条第一項及び第二項(支払調書及び支払通知書)において「無記名株式等」という。)の剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。)又は無記名の貸付信託、投資信託若しくは特定受益証券発行信託の受益証券に係る収益の分配については、その年分の利子所得の金額又は配当所得の金額の計算上収入金額とすべき金額は、第一項の規定にかかわらず、その年において支払を受けた金額とする。

(必要経費)

第三十七条 その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。
2 山林につきその年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、その山林の植林費、取得に要した費用、管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)

第三十八条 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は、別段の定めがあるものを除き、その資産の取得に要した金額並びに設備費及び改良費の額の合計額とする。
2 譲渡所得の基因となる資産が家屋その他使用又は期間の経過により減価する資産である場合には、前項に規定する資産の取得費は、同項に規定する合計額に相当する金額から、その取得の日から譲渡の日までの期間のうち次の各号に掲げる期間の区分に応じ当該各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。
一 その資産が不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務の用に供されていた期間 第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)の規定により当該期間内の日の属する各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入されるその資産の償却費の額の累積額
二 前号に掲げる期間以外の期間 第四十九条第一項の規定に準じて政令で定めるところにより計算したその資産の当該期間に係る減価の額
第三款 収入金額の計算
(たな卸資産等の自家消費の場合の総収入金額算入)
第三十九条 居住者がたな卸資産(これに準ずる資産として政令で定めるものを含む。)を家事のために消費した場合又は山林を伐採して家事のために消費した場合には、その消費した時におけるこれらの資産の価額に相当する金額は、その者のその消費した日の属する年分の事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
(たな卸資産の贈与等の場合の総収入金額算入)
第四十条 次の各号に掲げる事由により居住者の有するたな卸資産(事業所得の基因となる山林その他たな卸資産に準ずる資産として政令で定めるものを含む。以下この条において同じ。)の移転があつた場合には、当該各号に掲げる金額に相当する金額は、その者のその事由が生じた日の属する年分の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
一 贈与(相続人に対する贈与で被相続人である贈与者の死亡により効力を生ずるものを除く。)又は遺贈(包括遺贈及び相続人に対する特定遺贈を除く。) 当該贈与又は遺贈の時におけるそのたな卸資産の価額
二 著しく低い価額の対価による譲渡 当該対価の額と当該譲渡の時におけるそのたな卸資産の価額との差額のうち実質的に贈与をしたと認められる金額
2 居住者が前項各号に掲げる贈与若しくは遺贈又は譲渡により取得したたな卸資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、次に定めるところによる。
一 前項第一号に掲げる贈与又は遺贈により取得したたな卸資産については、同号に掲げる金額をもつて取得したものとみなす。
二 前項第二号に掲げる譲渡により取得したたな卸資産については、当該譲渡の対価の額と同号に掲げる金額との合計額をもつて取得したものとみなす。

(農産物の収穫の場合の総収入金額算入)

第四十一条 農業を営む居住者が農産物(米、麦その他政令で定めるものに限る。)を収穫した場合には、その収穫した時における当該農産物の価額(以下この条において「収穫価額」という。)に相当する金額は、その者のその収穫の日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
2 前項の農産物は、同項に規定する時にその収穫価額をもつて取得したものとみなす。

(発行法人から与えられた株式を取得する権利の譲渡による収入金額)

第四十一条の二 居住者が株式を無償又は有利な価額により取得することができる権利として政令で定める権利を発行法人から与えられた場合において、当該居住者又は当該居住者の相続人その他の政令で定める者が当該権利をその発行法人に譲渡したときは、当該譲渡の対価の額から当該権利の取得価額を控除した金額を、その発行法人が支払をする事業所得に係る収入金額、第二十八条第一項(給与所得)に規定する給与等の収入金額、第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等の収入金額、一時所得に係る収入金額又は雑所得(第三十五条第三項(雑所得)に規定する公的年金等に係るものを除く。)に係る収入金額とみなして、この法律(第二百二十四条の三(株式等の譲渡の対価の受領者等の告知)、第二百二十五条(支払調書及び支払通知書)及び第二百二十八条(名義人受領の株式等の譲渡の対価の調書)並びにこれらの規定に係る罰則を除く。)の規定を適用する。
(国庫補助金等の総収入金額不算入)
第四十二条 居住者が、各年において固定資産(山林を含む。以下この条及び次条において同じ。)の取得又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金又は給付金その他政令で定めるこれらに準ずるもの(以下この条及び次条において「国庫補助金等」という。)の交付を受けた場合(その国庫補助金等の返還を要しないことがその年十二月三十一日(その者がその年の中途において死亡し、又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この項及び同条第一項において同じ。)までに確定した場合に限る。)において、その年十二月三十一日までにその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をしたときは、その交付を受けた国庫補助金等の額に相当する金額(その固定資産がその年の前年以前の各年において取得又は改良をした減価償却資産である場合には、当該国庫補助金等の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額)は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。
2 居住者が各年において国庫補助金等の交付に代わるべきものとして交付を受ける固定資産を取得した場合には、その固定資産の価額に相当する金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。
3 前二項の規定は、確定申告書にこれらの規定の適用を受ける旨、これらの規定により総収入金額に算入されない金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。
4 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項又は第二項の規定を適用することができる。
5 第一項又は第二項の規定の適用を受けた居住者が第一項の規定の適用を受けた固定資産又はその取得した第二項に規定する固定資産について行うべき第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の計算及びその者がその固定資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
(条件付国庫補助金等の総収入金額不算入)
第四十三条 居住者が、各年において固定資産の取得又は改良に充てるための国庫補助金等の交付を受ける場合において、その国庫補助金等の返還を要しないことがその年十二月三十一日までに確定していないときは、その国庫補助金等の額に相当する金額は、その者のその年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。
2 前項の規定の適用を受けた居住者が交付を受けた同項の国庫補助金等の全部又は一部の返還を要しないことが確定した場合には、その国庫補助金等の額のうちその確定した部分に相当する金額は、その国庫補助金等の交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良に充てられた金額のうち政令で定める金額を除き、その者のその確定した日の属する年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
3 第一項の規定の適用を受けた居住者が交付を受けた同項の国庫補助金等の全部又は一部の返還をすべきことが確定した場合には、その国庫補助金等の額のうちその確定した部分に相当する金額は、その者のその確定した日の属する年分の各種所得の金額の計算上、必要経費又は支出した金額に算入しない。
4 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、同項の規定により総収入金額に算入されない金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。
5 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
6 第一項の規定の適用を受けた居住者が国庫補助金等により取得し、又は改良した固定資産について行うべき第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の計算及びその者がその固定資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
(移転等の支出に充てるための交付金の総収入金額不算入)
第四十四条 居住者が、国若しくは地方公共団体からその行政目的の遂行のために必要なその者の資産の移転、移築若しくは除却その他これらに類する行為(固定資産の改良その他政令で定める行為を除く。以下この項において「資産の移転等」という。)の費用に充てるため補助金の交付を受け、又は土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)の規定による収用その他政令で定めるやむを得ない事由の発生に伴いその者の資産の移転等の費用に充てるための金額の交付を受けた場合において、その交付を受けた金額をその交付の目的に従つて資産の移転等の費用に充てたときは、その費用に充てた金額は、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。ただし、その費用に充てた金額のうち各種所得の金額の計算上必要経費に算入され又は譲渡に要した費用とされる部分の金額に相当する金額については、この限りでない。

(免責許可の決定等により債務免除を受けた場合の経済的利益の総収入金額不算入)

第四十四条の二 居住者が、破産法(平成十六年法律第七十五号)第二百五十二条第一項(免責許可の決定の要件等)に規定する免責許可の決定又は再生計画認可の決定があつた場合その他資力を喪失して債務を弁済することが著しく困難である場合にその有する債務の免除を受けたときは、当該免除により受ける経済的な利益の価額については、その者の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。
2 前項の場合において、同項の債務の免除により受ける経済的な利益の価額のうち同項の居住者の次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額(第一号から第四号までに定める金額にあつては当該経済的な利益の価額がないものとして計算した金額とし、第五号に定める金額にあつては同項の規定の適用がないものとして総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額を計算した場合における金額とする。)の合計額に相当する部分については、同項の規定は、適用しない。
一 不動産所得を生ずべき業務に係る債務の免除を受けた場合 当該免除を受けた日の属する年分の不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額
二 事業所得を生ずべき事業に係る債務の免除を受けた場合 当該免除を受けた日の属する年分の事業所得の金額の計算上生じた損失の金額
三 山林所得を生ずべき業務に係る債務の免除を受けた場合 当該免除を受けた日の属する年分の山林所得の金額の計算上生じた損失の金額
四 雑所得を生ずべき業務に係る債務の免除を受けた場合 当該免除を受けた日の属する年分の雑所得の金額の計算上生じた損失の金額
五 第七十条第一項又は第二項(純損失の繰越控除)の規定により、当該債務の免除を受けた日の属する年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する純損失の金額がある場合 当該控除する純損失の金額
3 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、同項の規定により総収入金額に算入されない金額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。
4 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
(減額された外国所得税額の総収入金額不算入等)
第四十四条の三 居住者が第九十五条第一項から第三項まで(外国税額控除)の規定の適用を受けた年の翌年以後七年内の各年においてこれらの規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となつた同条第一項に規定する外国所得税の額が減額された場合には、その減額された金額のうちその減額されることとなつた日の属する年分における同条の規定による外国税額控除の適用に係る部分に相当する金額として政令で定める金額は、その者の当該年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額、一時所得の金額又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。この場合において、その減額された金額から当該政令で定める金額を控除した金額は、その者の当該年分の雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。

第四款 必要経費等の計算

第一目 家事関連費、租税公課等

(家事関連費等の必要経費不算入等)

第四十五条 居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
一 家事上の経費及びこれに関連する経費で政令で定めるもの
二 所得税(不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を行う居住者が納付する第百三十一条第三項(確定申告税額の延納に係る利子税)、第百三十六条(延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税)、第百三十七条の二第十二項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)又は第百三十七条の三第十四項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)の規定による利子税で、その事業についてのこれらの所得に係る所得税の額に対応するものとして政令で定めるものを除く。)
三 所得税以外の国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税並びに印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税
三の二 森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律(平成三十一年法律第三号)の規定による森林環境税及び森林環境税に係る延滞金
四 地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による道府県民税及び市町村民税(都民税及び特別区民税を含む。)
五 地方税法の規定による延滞金、過少申告加算金、不申告加算金及び重加算金
六 前号に掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの
七 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
八 損害賠償金(これに類するものを含む。)で政令で定めるもの
九 国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金
十 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
十一 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
十二 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金
十三 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)の規定による課徴金及び延滞金
十四 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定による課徴金及び延滞金
2 居住者が供与をする刑法(明治四十年法律第四十五号)第百九十八条(贈賄)に規定する賄賂又は不正競争防止法(平成五年法律第四十七号)第十八条第一項(外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)に規定する金銭その他の利益に当たるべき金銭の額及び金銭以外の物又は権利その他経済的な利益の価額(その供与に要する費用の額がある場合には、その費用の額を加算した金額)は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。
3 その年において不動産所得、事業所得若しくは山林所得を生ずべき業務を行う居住者又はその年において雑所得を生ずべき業務を行う居住者でその年の前々年分の当該雑所得を生ずべき業務に係る収入金額が三百万円を超えるものが、隠蔽仮装行為(その所得の金額又は所得税の額の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装することをいう。)に基づき確定申告書(その申告に係る所得税についての調査があつたことにより当該所得税について決定があるべきことを予知して提出された期限後申告書を除く。以下この項において同じ。)を提出しており、又は確定申告書を提出していなかつた場合には、これらの確定申告書に係る年分のこれらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額(資産の販売又は譲渡における当該資産の取得に直接に要した額及び資産の引渡しを要する役務の提供における当該資産の取得に直接に要した額として政令で定める額を除く。以下この項において「売上原価の額」という。)及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用の額(その居住者がその年分の確定申告書を提出していた場合には、これらの額のうち、その提出した当該確定申告書に記載した第百二十条第一項第一号(確定所得申告)に掲げる金額又は当該確定申告書に係る修正申告書(その申告に係る所得税についての調査があつたことにより当該所得税について更正があるべきことを予知した後に提出された修正申告書を除く。)に記載した国税通則法第十九条第四項第一号(修正申告)に掲げる課税標準等の計算の基礎とされていた金額を除く。)は、その者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額及び雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。ただし、次に掲げる場合に該当する当該売上原価の額又は費用の額については、この限りでない。
一 次に掲げるものにより当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引が行われたこと及びこれらの額が明らかである場合(災害その他やむを得ない事情により、当該取引に係るイに掲げる帳簿書類の保存をすることができなかつたことをその居住者において証明した場合を含む。)
イ その居住者が第百四十八条第一項(青色申告者の帳簿書類)又は第二百三十二条第一項若しくは第二項(事業所得等を有する者の帳簿書類の備付け等)に規定する財務省令で定めるところにより保存する帳簿書類
ロ イに掲げるもののほか、その居住者がその住所地その他の財務省令で定める場所に保存する帳簿書類その他の物件
二 前号イ又はロに掲げるものにより、当該売上原価の額又は費用の額の基因となる取引の相手方が明らかである場合その他当該取引が行われたことが明らかであり、又は推測される場合(同号に掲げる場合を除く。)であつて、当該相手方に対する調査その他の方法により税務署長が、当該取引が行われ、これらの額が生じたと認める場合
4 第一項第二号から第八号までに掲げるものの額又は第二項に規定する金銭の額及び金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の価額は、第一項又は第二項の居住者の一時所得の金額の計算上、支出した金額に算入しない。

(所得税額から控除する外国税額の必要経費不算入)

第四十六条 居住者が第九十五条第一項(外国税額控除)に規定する控除対象外国所得税の額につき同条又は第百三十八条第一項(源泉徴収税額等の還付)の規定の適用を受ける場合には、当該控除対象外国所得税の額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額若しくは雑所得の金額又は一時所得の金額の計算上、必要経費又は支出した金額に算入しない。

第二目 資産の評価及び償却費

(棚卸資産の売上原価等の計算及びその評価の方法)

第四十七条 居住者の棚卸資産につき第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日(その者が年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時。以下この条から第五十条までにおいて同じ。)において有する棚卸資産(以下この項において「期末棚卸資産」という。)の価額は、棚卸資産の取得価額の平均額をもつてその年十二月三十一日において有する棚卸資産の評価額とする方法その他の政令で定める評価の方法のうちからその者が当該期末棚卸資産について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。
2 前項の選定をすることができる評価の方法の特例、評価の方法の選定の手続、棚卸資産の評価額の計算の基礎となる棚卸資産の取得価額その他棚卸資産の評価に関し必要な事項は、政令で定める。
(有価証券の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)
第四十八条 居住者の有価証券につき第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日において有する有価証券の価額は、その者が有価証券について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。
2 前項の選定をすることができる評価の方法の種類、その選定の手続その他有価証券の評価に関し必要な事項は、政令で定める。
3 居住者が二回以上にわたつて取得した同一銘柄の有価証券につき第三十七条第一項の規定によりその者の雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は第三十八条第一項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定によりその者の譲渡所得の金額の計算上取得費に算入する金額は、政令で定めるところにより、それぞれの取得に要した金額を基礎として第一項の規定に準じて評価した金額とする。
(暗号資産の譲渡原価等の計算及びその評価の方法)
第四十八条の二 居住者の暗号資産(資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第十四項(定義)に規定する暗号資産をいう。以下この条において同じ。)につき第三十七条第一項(必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日において有する暗号資産の価額は、その者が暗号資産について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。
2 前項の選定をすることができる評価の方法の種類、その選定の手続その他暗号資産の評価に関し必要な事項は、政令で定める。

(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)

第四十九条 居住者のその年十二月三十一日において有する減価償却資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日及びその種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法その他の政令で定める償却の方法の中からその者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。
2 前項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。
(繰延資産の償却費の計算及びその償却の方法)
第五十条 居住者のその年十二月三十一日における繰延資産につきその償却費として第三十七条(必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その繰延資産に係る支出の効果の及ぶ期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とする。
2 前項に定めるもののほか、繰延資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。

第三目 資産損失

(資産損失の必要経費算入)

第五十一条 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
2 居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる債権の貸倒れその他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
3 災害又は盗難若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
4 居住者の不動産所得若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され又はこれらの所得の基因となる資産(山林及び第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く。)の損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第一項若しくは第二項又は第七十二条第一項(雑損控除)に規定するものを除く。)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
5 第一項及び前二項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
第四目 引当金
(貸倒引当金)
第五十二条 不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者が、その有する売掛金、貸付金、前渡金その他これらに準ずる金銭債権(債券に表示されるべきものを除く。次項において同じ。)で当該事業の遂行上生じたもの(以下この項において「貸金等」という。)のうち、更生計画認可の決定に基づいて弁済を猶予され、又は賦払により弁済されることその他の政令で定める事実が生じていることによりその一部につき貸倒れその他これに類する事由による損失が見込まれるもの(当該貸金等に係る債務者に対する他の貸金等がある場合には、当該他の貸金等を含む。以下この項及び次項において「個別評価貸金等」という。)のその損失の見込額として、各年(事業の全部を譲渡し、又は廃止した日の属する年を除く。次項において同じ。)において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、その年十二月三十一日(その者が年の中途において死亡した場合には、その死亡の時。次項において同じ。)において当該個別評価貸金等の取立て又は弁済の見込みがないと認められる部分の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その者のその年分の不動産所得、事業所得又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。ただし、その者が死亡した場合において、その相続人が当該事業を承継しなかつたときは、この限りでない。
2 青色申告書を提出する居住者で事業所得を生ずべき事業を営むものが、その有する売掛金、貸付金その他これらに準ずる金銭債権で当該事業の遂行上生じたもの(個別評価貸金等を除く。以下この項において「一括評価貸金」という。)の貸倒れによる損失の見込額として、各年において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、その年十二月三十一日において有する一括評価貸金の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その者のその年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する。ただし、その者が死亡した場合において、その相続人が当該事業を承継しなかつたとき、その他政令で定める場合は、この限りでない。
3 前二項の規定によりその繰入れをした年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入された貸倒引当金勘定の金額は、その繰入れをした年の翌年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
4 第一項及び第二項の規定は、確定申告書に貸倒引当金勘定に繰り入れた金額の必要経費への算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。
5 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項又は第二項の規定を適用することができる。
6 第一項又は第二項に規定する居住者が死亡した場合において、これらの規定によりその者の死亡の日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入された貸倒引当金勘定の金額があるときにおける当該貸倒引当金勘定の金額の処理に関し必要な事項は、政令で定める。
第五十三条 削除
(退職給与引当金)
第五十四条 青色申告書を提出する居住者で事業所得を生ずべき事業を営むもののうち、政令で定める退職給与規程を定めているものが、その事業に係る使用人(その居住者と生計を一にする配偶者その他の親族を除く。以下この条において同じ。)の退職により支給する退職給与に充てるため、各年において退職給与引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、その年十二月三十一日(その居住者が年の中途において死亡した場合には、その死亡の時)において在職するその事業に係る使用人の全員が自己の都合により退職するものと仮定して計算した場合に退職給与として支給されるべき金額の見積額のうちその年において増加したと認められる部分の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その居住者のその年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
2 退職給与引当金勘定の金額(前項の規定によりその繰入れをした年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されたものに限るものとし、既にこの項の規定により取りくずすべきこととなつたものを除く。以下この条において同じ。)を有する居住者は、前項の使用人が退職した場合、青色申告書の提出の承認を取り消された場合その他政令で定める場合には、政令で定めるところにより、その退職給与引当金勘定の金額を取りくずさなければならない。
3 前項の規定により取りくずすべきこととなつた退職給与引当金勘定の金額又は同項の規定に該当しないで取りくずした退職給与引当金勘定の金額は、それぞれその取りくずすべきこととなつた日又は取りくずした日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。
4 第一項の規定は、確定申告書に退職給与引当金勘定に繰り入れた金額の必要経費への算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。
5 税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
6 第二項から前項までに定めるもののほか、退職給与引当金勘定の金額を有する居住者が死亡した場合における当該退職給与引当金勘定の金額の処理その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第五十五条 削除

第五目 親族が事業から受ける対価

(事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例)

第五十六条 居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。

(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)

第五十七条 青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「青色事業専従者」という。)が当該事業から次項の書類に記載されている方法に従いその記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間、労務の性質及びその提供の程度、その事業の種類及び規模、その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況その他の政令で定める状況に照らしその労務の対価として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。
2 その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容及び給与の金額並びにその給与の支給期その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。
3 居住者(第一項に規定する居住者を除く。)と生計を一にする配偶者その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く。)で専らその居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす。
一 次に掲げる事業専従者の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ その居住者の配偶者である事業専従者 八十六万円
ロ イに掲げる者以外の事業専従者 五十万円
二 その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数に一を加えた数で除して計算した金額
4 前項の規定の適用があつた場合には、各事業専従者につき同項の規定により必要経費とみなされた金額は、当該各事業専従者の当該年分の各種所得の金額の計算については、当該各事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなす。
5 第三項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨及び同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がない場合には、適用しない。
6 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第三項の規定を適用することができる。
7 第一項又は第三項の場合において、これらの規定に規定する親族の年齢が十五歳未満であるかどうかの判定は、その年十二月三十一日(これらの規定に規定する居住者がその年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡又は出国の時)の現況による。ただし、当該親族がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。
8 青色事業専従者又は事業専従者の要件の細目、第二項の書類に記載した事項を変更する場合の手続その他第一項又は第三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第六目 給与所得者の特定支出
(給与所得者の特定支出の控除の特例)
第五十七条の二 居住者が、各年において特定支出をした場合において、その年中の特定支出の額の合計額が第二十八条第二項(給与所得)に規定する給与所得控除額の二分の一に相当する金額を超えるときは、その年分の同項に規定する給与所得の金額は、同項及び同条第四項の規定にかかわらず、同条第二項の残額からその超える部分の金額を控除した金額とする。
2 前項に規定する特定支出とは、居住者の次に掲げる支出(その支出につきその者に係る第二十八条第一項に規定する給与等の支払をする者(以下この項において「給与等の支払者」という。)により補塡される部分があり、かつ、その補塡される部分につき所得税が課されない場合における当該補塡される部分及びその支出につき雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)第十条第五項(失業等給付)に規定する教育訓練給付金、母子及び父子並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第三十一条第一号(母子家庭自立支援給付金)に規定する母子家庭自立支援教育訓練給付金又は同法第三十一条の十(父子家庭自立支援給付金)において準用する同号に規定する父子家庭自立支援教育訓練給付金が支給される部分がある場合における当該支給される部分を除く。)をいう。
一 その者の通勤のために必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のための支出で、その通勤の経路及び方法がその者の通勤に係る運賃、時間、距離その他の事情に照らして最も経済的かつ合理的であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもののうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定める支出
二 勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅行であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたものに通常要する支出で政令で定めるもの
三 転任に伴うものであることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた転居のために通常必要であると認められる支出として政令で定めるもの
四 職務の遂行に直接必要な技術又は知識を習得することを目的として受講する研修(人の資格を取得するためのものを除く。)であることにつき、財務省令で定めるところにより、給与等の支払者により証明がされたもののための支出又はキャリアコンサルタント(職業能力開発促進法第三十条の三(業務)に規定するキャリアコンサルタントをいう。次号において同じ。)により証明がされたもののための支出(教育訓練(雇用保険法第六十条の二第一項(教育訓練給付金)に規定する教育訓練をいう。同号において同じ。)に係る部分に限る。)
五 人の資格を取得するための支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして、財務省令で定めるところにより、給与等の支払者により証明がされたもの又はキャリアコンサルタントにより証明がされたもの(教育訓練に係る部分に限る。)
六 転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とすることとなつた場合その他これに類する場合として政令で定める場合に該当することにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた場合におけるその者の勤務する場所又は居所とその配偶者その他の親族が居住する場所との間のその者の旅行に通常要する支出で政令で定めるもの
七 次に掲げる支出(当該支出の額の合計額が六十五万円を超える場合には、六十五万円までの支出に限る。)で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもの
イ 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものとして政令で定めるもの及び制服、事務服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服で政令で定めるものを購入するための支出
ロ 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出
3 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書(次項において「申告書等」という。)に第一項の規定の適用を受ける旨及び同項に規定する特定支出の額の合計額の記載があり、かつ、前項各号に掲げるそれぞれの特定支出に関する明細書及びこれらの各号に規定する証明の書類の添付がある場合に限り、適用する。
4 第一項の規定の適用を受ける旨の記載がある申告書等を提出する場合には、同項に規定する特定支出の支出の事実及び支出した金額を証する書類として政令で定める書類を当該申告書等に添付し、又は当該申告書等の提出の際提示しなければならない。
5 前三項に定めるもののほか、第二項に規定する特定支出の範囲の細目その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第四款の二 外貨建取引の換算
(外貨建取引の換算)
第五十七条の三 居住者が、外貨建取引(外国通貨で支払が行われる資産の販売及び購入、役務の提供、金銭の貸付け及び借入れその他の取引をいう。以下この条において同じ。)を行つた場合には、当該外貨建取引の金額の円換算額(外国通貨で表示された金額を本邦通貨表示の金額に換算した金額をいう。次項において同じ。)は当該外貨建取引を行つた時における外国為替の売買相場により換算した金額として、その者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
2 不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務を行う居住者が、先物外国為替契約等(外貨建取引によつて取得し、又は発生する資産若しくは負債の金額の円換算額を確定させる契約として財務省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)により外貨建取引によつて取得し、又は発生する資産若しくは負債の金額の円換算額を確定させた場合において、当該先物外国為替契約等の締結の日においてその旨を財務省令で定めるところによりその者の当該業務に係る帳簿書類その他の財務省令で定める書類に記載したときは、当該資産又は負債については、当該円換算額をもつて、前項の規定により換算した金額として、その者の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は雑所得の金額を計算するものとする。
3 前項に定めるもののほか、外貨建取引の換算の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第五款 資産の譲渡に関する総収入金額並びに必要経費及び取得費の計算の特例

(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)

第五十七条の四 居住者が、各年において、その有する株式(以下この項において「旧株」という。)につき、その旧株を発行した法人の行つた株式交換(当該法人の株主に法人税法第二条第十二号の六の三(定義)に規定する株式交換完全親法人(以下この項において「株式交換完全親法人」という。)又は株式交換完全親法人との間に当該株式交換完全親法人の発行済株式若しくは出資(当該株式交換完全親法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の全部を直接若しくは間接に保有する関係として政令で定める関係がある法人のうちいずれか一の法人の株式(出資を含む。以下この項において同じ。)以外の資産(当該株主に対する剰余金の配当として交付された金銭その他の資産及び株式交換に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。)により当該株式交換完全親法人に対し当該旧株の譲渡をし、かつ、当該株式の交付を受けた場合又はその旧株を発行した法人の行つた特定無対価株式交換(当該法人の株主に株式交換完全親法人の株式その他の資産が交付されなかつた株式交換で、当該法人の株主に対する株式交換完全親法人の株式の交付が省略されたと認められる株式交換として政令で定めるものをいう。)により当該旧株を有しないこととなつた場合には、第二十七条(事業所得)、第三十三条(譲渡所得)、第三十五条(雑所得)又は第五十九条(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)の規定の適用については、これらの旧株の譲渡又は贈与がなかつたものとみなす。
2 居住者が、各年において、その有する株式(以下この項において「旧株」という。)につき、その旧株を発行した法人の行つた株式移転(当該法人の株主に法人税法第二条第十二号の六の六に規定する株式移転完全親法人(以下この項において「株式移転完全親法人」という。)の株式以外の資産(株式移転に反対する当該株主に対するその買取請求に基づく対価として交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されなかつたものに限る。)により当該株式移転完全親法人に対し当該旧株の譲渡をし、かつ、当該株式移転完全親法人の株式の交付を受けた場合には、第二十七条、第三十三条又は第三十五条の規定の適用については、当該旧株の譲渡がなかつたものとみなす。
3 居住者が、各年において、その有する次の各号に掲げる有価証券を当該各号に定める事由により譲渡をし、かつ、当該事由により当該各号に規定する取得をする法人の株式(出資を含む。以下この項において同じ。)又は新株予約権の交付を受けた場合(当該交付を受けた株式又は新株予約権の価額が当該譲渡をした有価証券の価額とおおむね同額となつていないと認められる場合を除く。)には、第二十七条、第三十三条又は第三十五条の規定の適用については、当該有価証券の譲渡がなかつたものとみなす。
一 取得請求権付株式(法人がその発行する全部又は一部の株式の内容として株主等が当該法人に対して当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合の当該株式をいう。) 当該取得請求権付株式に係る請求権の行使によりその取得の対価として当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該請求権の行使
二 取得条項付株式(法人がその発行する全部又は一部の株式の内容として当該法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件として当該株式の取得をすることができる旨の定めを設けている場合の当該株式をいう。) 当該取得条項付株式に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合(その取得の対象となつた種類の株式の全てが取得をされる場合には、その取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式及び新株予約権のみが交付される場合を含む。)の当該取得事由の発生
三 全部取得条項付種類株式(ある種類の株式について、これを発行した法人が株主総会その他これに類するものの決議(以下この号において「取得決議」という。)によつてその全部の取得をする旨の定めがある場合の当該種類の株式をいう。) 当該全部取得条項付種類株式に係る取得決議によりその取得の対価として当該取得をされる株主等に当該取得をする法人の株式(当該株式と併せて交付される当該取得をする法人の新株予約権を含む。)以外の資産(当該取得の価格の決定の申立てに基づいて交付される金銭その他の資産を除く。)が交付されない場合の当該取得決議
四 新株予約権付社債についての社債 当該新株予約権付社債に付された新株予約権の行使によりその取得の対価として当該取得をする法人の株式が交付される場合の当該新株予約権の行使
五 取得条項付新株予約権(新株予約権について、これを発行した法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件としてこれを取得することができる旨の定めがある場合の当該新株予約権をいい、当該新株予約権を引き受ける者に特に有利な条件又は金額で交付された当該新株予約権その他の政令で定めるものを除く。) 当該取得条項付新株予約権に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる新株予約権者に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該取得事由の発生
六 取得条項付新株予約権(新株予約権について、これを発行した法人が一定の事由(以下この号において「取得事由」という。)が発生したことを条件としてこれを取得することができる旨の定めがある場合の当該新株予約権をいう。)が付された新株予約権付社債 当該取得条項付新株予約権に係る取得事由の発生によりその取得の対価として当該取得をされる新株予約権者に当該取得をする法人の株式のみが交付される場合の当該取得事由の発生
4 前三項の規定の適用がある場合における居住者が取得した有価証券の取得価額の計算その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例)
第五十八条 居住者が、各年において、一年以上有していた固定資産で次の各号に掲げるものをそれぞれ他の者が一年以上有していた固定資産で当該各号に掲げるもの(交換のために取得したと認められるものを除く。)と交換し、その交換により取得した当該各号に掲げる資産(以下この条において「取得資産」という。)をその交換により譲渡した当該各号に掲げる資産(以下この条において「譲渡資産」という。)の譲渡の直前の用途と同一の用途に供した場合には、第三十三条(譲渡所得)の規定の適用については、当該譲渡資産(取得資産とともに金銭その他の資産を取得した場合には、当該金銭の額及び金銭以外の資産の価額に相当する部分を除く。)の譲渡がなかつたものとみなす。
一 土地(建物又は構築物の所有を目的とする地上権及び賃借権並びに農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)第二条第一項(定義)に規定する農地(同法第四十三条第一項(農作物栽培高度化施設に関する特例)の規定により農作物の栽培を耕作に該当するものとみなして適用する同法第二条第一項に規定する農地を含む。)の上に存する耕作(同法第四十三条第一項の規定により耕作に該当するものとみなされる農作物の栽培を含む。)に関する権利を含む。)
二 建物(これに附属する設備及び構築物を含む。)
三 機械及び装置
四 船舶
五 鉱業権(租鉱権及び採石権その他土石を採掘し、又は採取する権利を含む。)
2 前項の規定は、同項の交換の時における取得資産の価額と譲渡資産の価額との差額がこれらの価額のうちいずれか多い価額の百分の二十に相当する金額を超える場合には、適用しない。
3 第一項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨、取得資産及び譲渡資産の価額その他財務省令で定める事項の記載がある場合に限り、適用する。
4 税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと又はその記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。
5 第一項の規定の適用を受けた居住者が取得資産について行うべき第四十九条第一項(減価償却資産の償却費の計算及びその償却の方法)に規定する償却費の計算及びその者が取得資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
(贈与等の場合の譲渡所得等の特例)
第五十九条 次に掲げる事由により居住者の有する山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産の移転があつた場合には、その者の山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その事由が生じた時に、その時における価額に相当する金額により、これらの資産の譲渡があつたものとみなす。
一 贈与(法人に対するものに限る。)又は相続(限定承認に係るものに限る。)若しくは遺贈(法人に対するもの及び個人に対する包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)
二 著しく低い価額の対価として政令で定める額による譲渡(法人に対するものに限る。)
2 居住者が前項に規定する資産を個人に対し同項第二号に規定する対価の額により譲渡した場合において、当該対価の額が当該資産の譲渡に係る山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上控除する必要経費又は取得費及び譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは、その不足額は、その山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
(贈与等により取得した資産の取得費等)
第六十条 居住者が次に掲げる事由により取得した前条第一項に規定する資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が引き続きこれを所有していたものとみなす。
一 贈与、相続(限定承認に係るものを除く。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。)
二 前条第二項の規定に該当する譲渡
2 前項の場合において、同項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した次の各号に掲げる資産を譲渡したときにおける当該資産の取得費については、同項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。
一 配偶者居住権の目的となつている建物 当該建物に配偶者居住権が設定されていないとしたならば当該建物を譲渡した時において前項の規定により当該建物の取得費の額として計算される金額から当該建物を譲渡した時において当該配偶者居住権が消滅したとしたならば次項の規定により配偶者居住権の取得費とされる金額を控除する。
二 配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地(土地の上に存する権利を含む。以下この号及び次項第二号において同じ。) 当該建物に配偶者居住権が設定されていないとしたならば当該土地を譲渡した時において前項の規定により当該土地の取得費の額として計算される金額から当該土地を譲渡した時において当該土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利が消滅したとしたならば次項の規定により当該権利の取得費とされる金額を控除する。
3 第一項の場合において、同項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した次の各号に掲げる権利が消滅したときにおける譲渡所得の金額の計算については、同項の規定にかかわらず、当該各号に定めるところによる。この場合において、第三十八条第二項(譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定は、適用しない。
一 配偶者居住権 当該相続又は遺贈により当該配偶者居住権を取得した時において、その時に当該配偶者居住権の目的となつている建物を譲渡したとしたならば当該建物の取得費の額として計算される金額のうちその時における配偶者居住権の価額に相当する金額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額により当該配偶者居住権を取得したものとし、当該金額から当該配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額をもつて当該配偶者居住権の第三十八条第一項に規定する取得費とする。
二 配偶者居住権の目的となつている建物の敷地の用に供される土地を当該配偶者居住権に基づき使用する権利 当該相続又は遺贈により当該権利を取得した時において、その時に当該土地を譲渡したとしたならば当該土地の取得費の額として計算される金額のうちその時における当該権利の価額に相当する金額に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額により当該権利を取得したものとし、当該金額から当該配偶者居住権の存続する期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額をもつて当該権利の第三十八条第一項に規定する取得費とする。
4 居住者が前条第一項第一号に掲げる相続又は遺贈により取得した資産を譲渡した場合における事業所得の金額、山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その者が当該資産をその取得の時における価額に相当する金額により取得したものとみなす。
(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)
第六十条の二 国外転出(国内に住所及び居所を有しないこととなることをいう。以下この条において同じ。)をする居住者が、その国外転出の時において有価証券又は第百七十四条第九号(内国法人に係る所得税の課税標準)に規定する匿名組合契約の出資の持分(株式を無償又は有利な価額により取得することができる権利を表示する有価証券で第百六十一条第一項(国内源泉所得)に規定する国内源泉所得を生ずべきものその他の政令で定める有価証券を除く。以下この条から第六十条の四まで(外国転出時課税の規定の適用を受けた場合の譲渡所得等の特例)において「有価証券等」という。)を有する場合には、その者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その国外転出の時に、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額により、当該有価証券等の譲渡があつたものとみなす。
一 当該国外転出をする日の属する年分の確定申告書の提出の時までに国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をした場合、同項の規定による納税管理人の届出をしないで当該国外転出をした日以後に当該年分の確定申告書を提出する場合又は当該年分の所得税につき決定がされる場合 当該国外転出の時における当該有価証券等の価額に相当する金額
二 前号に掲げる場合以外の場合 当該国外転出の予定日から起算して三月前の日(同日後に取得をした有価証券等にあつては、当該取得時)における当該有価証券等の価額に相当する金額
2 国外転出をする居住者が、その国外転出の時において決済していない金融商品取引法第百五十六条の二十四第一項(免許及び免許の申請)に規定する信用取引又は発行日取引(有価証券が発行される前にその有価証券の売買を行う取引であつて財務省令で定める取引をいう。)(以下この条から第六十条の四までにおいて「未決済信用取引等」という。)に係る契約を締結している場合には、その者の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その国外転出の時に、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額の利益の額又は損失の額が生じたものとみなす。
一 前項第一号に掲げる場合 当該国外転出の時に当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額
二 前項第二号に掲げる場合 当該国外転出の予定日から起算して三月前の日(同日後に契約の締結をした未決済信用取引等にあつては、当該締結の時)に当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額
3 国外転出をする居住者が、その国外転出の時において決済していない金融商品取引法第二条第二十項(定義)に規定するデリバティブ取引(以下この条から第六十条の四までにおいて「未決済デリバティブ取引」という。)に係る契約を締結している場合には、その者の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その国外転出の時に、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額の利益の額又は損失の額が生じたものとみなす。
一 第一項第一号に掲げる場合 当該国外転出の時に当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額
二 第一項第二号に掲げる場合 当該国外転出の予定日から起算して三月前の日(同日後に契約の締結をした未決済デリバティブ取引にあつては、当該締結の時)に当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額
4 国外転出の日の属する年分の所得税につき前三項(第八項(第九項において準用する場合を含む。第一号において同じ。)又は第十項の規定により適用する場合を含む。)の規定の適用を受けた個人(その相続人を含む。)が、当該国外転出の時に有していた有価証券等又は契約を締結していた未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引の譲渡(これに類するものとして政令で定めるものを含む。第八項において同じ。)又は決済をした場合における事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、次に定めるところによる。ただし、同日の属する年分の所得税につき確定申告書の提出及び決定がされていない場合における当該有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引、同日の属する年分の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上第一項各号、第二項各号又は前項各号に掲げる場合の区分に応じ第一項各号、第二項各号又は前項各号に定める金額が総収入金額に算入されていない有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引並びに第六項本文(第七項の規定により適用する場合を含む。)の規定の適用があつた有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引については、この限りでない。
一 その有価証券等については、第一項各号に定める金額(第八項の規定により第一項の規定の適用を受けた場合には、当該有価証券等の第八項に規定する譲渡に係る譲渡価額又は限定相続等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額)をもつて取得したものとみなす。
二 その未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済があつた場合には、当該決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額(以下この号において「決済損益額」という。)から当該未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る第二項各号若しくは前項各号に定める利益の額に相当する金額を減算し、又は当該決済損益額に当該未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る第二項各号若しくは前項各号に定める損失の額に相当する金額を加算するものとする。
5 前各項の規定は、国外転出をする時に有している有価証券等並びに契約を締結している未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引の当該国外転出をする時における次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額が一億円未満である居住者又は当該国外転出をする日前十年以内に国内に住所若しくは居所を有していた期間として政令で定める期間の合計が五年以下である居住者については、適用しない。
一 第一項第一号に掲げる場合 同号に定める金額、第二項第一号に定める金額及び第三項第一号に定める金額の合計額
二 第一項第二号に掲げる場合 同号に定める金額、第二項第二号に定める金額及び第三項第二号に定める金額の合計額
6 国外転出の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けるべき個人が、当該国外転出の時に有していた有価証券等又は契約を締結していた未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引のうち次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定めるものについては、第一項から第三項までの居住者の当該年分の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上これらの規定により行われたものとみなされた有価証券等の譲渡、未決済信用取引等の決済及び未決済デリバティブ取引の決済の全てがなかつたものとすることができる。ただし、当該有価証券等の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額若しくは雑所得の金額、当該未決済信用取引等の決済による事業所得の金額若しくは雑所得の金額又は当該未決済デリバティブ取引の決済による事業所得の金額若しくは雑所得の金額(以下この項において「有価証券等に係る譲渡所得等の金額」という。)につきその計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、かつ、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき確定申告書を提出し、又は確定申告書を提出していなかつたことにより、当該個人の当該国外転出の日から五年を経過する日までに決定若しくは更正がされ、又は期限後申告書若しくは修正申告書を提出した場合(同日までに期限後申告書又は修正申告書の提出があつた場合において、その提出が、所得税についての調査があつたことにより当該所得税について決定又は更正があることを予知してなされたものでないときを除く。)における当該隠蔽し、又は仮装した事実に基づく有価証券等に係る譲渡所得等の金額に相当する金額については、この限りでない。
一 当該個人が、当該国外転出の日から五年を経過する日までに帰国(国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて一年以上居所を有することとなることをいう。以下この項及び次条第六項において同じ。)をした場合 当該帰国の時まで引き続き有している有価証券等又は決済していない未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引
二 当該個人が、当該国外転出の日から五年を経過する日までに当該国外転出の時に有していた有価証券等又は締結していた未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約を贈与により居住者に移転した場合 当該贈与による移転があつた有価証券等、未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引
三 当該国外転出の日から五年を経過する日までに当該個人が死亡したことにより、当該国外転出の時に有していた有価証券等又は締結していた未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の相続(限定承認に係るものを除く。以下この号において同じ。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。以下この号において同じ。)による移転があつた場合において、次に掲げる場合に該当することとなつたとき 当該相続又は遺贈による移転があつた有価証券等、未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引
イ 当該国外転出の日から五年を経過する日までに、当該相続又は遺贈により有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の移転を受けた相続人及び受遺者である個人(当該個人から相続又は遺贈により当該有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の移転を受けた個人を含む。ロにおいて同じ。)の全てが居住者となつた場合
ロ 当該個人について生じた第百五十一条の六第一項(遺産分割等があつた場合の修正申告の特例)に規定する遺産分割等の事由により、当該相続又は遺贈により有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の移転を受けた相続人及び受遺者である個人に非居住者(当該国外転出の日から五年を経過する日までに帰国をした者を除く。)が含まれないこととなつた場合
7 国外転出の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた個人で第百三十七条の二第二項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定により同条第一項の規定による納税の猶予を受けているものに係る前項の規定の適用については、同項中「五年」とあるのは、「十年」とする。
8 国外転出の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた個人で第百三十七条の二第一項(同条第二項の規定により適用する場合を含む。第十項において同じ。)の規定による納税の猶予を受けているもの(その相続人を含む。)が、その納税の猶予に係る同条第一項に規定する満了基準日までに、当該国外転出の時から引き続き有している有価証券等又は決済していない未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡(その譲渡の時における価額より低い価額によりされる譲渡その他の政令で定めるものを除く。以下この項及び次項において同じ。)若しくは決済又は限定相続等(贈与、相続(限定承認に係るものに限る。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものに限る。)をいう。以下この項及び次項において同じ。)による移転をした場合において、当該譲渡に係る譲渡価額若しくは当該限定相続等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額若しくは当該限定相続等の時に当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額若しくは損失の額に相当する金額(次条第八項において「限定相続等時みなし信用取引等損益額」という。)若しくは当該限定相続等の時に当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額若しくは損失の額に相当する金額(次条第八項において「限定相続等時みなしデリバティブ取引損益額」という。)が次に掲げる場合に該当するときにおける当該個人の当該国外転出の日の属する年分の所得税に係る第一項から第三項までの規定の適用については、第一項中「次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額」とあるのは「当該有価証券等の第八項に規定する譲渡に係る譲渡価額又は限定相続等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額」と、第二項中「次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額の利益の額又は損失の額」とあるのは「第八項に規定する決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額又は限定相続等時みなし信用取引等損益額」と、第三項中「次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額の利益の額又は損失の額」とあるのは「第八項に規定する決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額又は限定相続等時みなしデリバティブ取引損益額」とすることができる。
一 当該有価証券等の譲渡に係る譲渡価額又は限定相続等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額が当該国外転出の時における第一項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める価額に相当する金額(当該国外転出の時後に当該有価証券等を発行した法人の合併、分割その他の政令で定める事由が生じた場合には、当該金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額。第十項第一号において同じ。)を下回るとき。
二 当該未決済信用取引等の決済によつて生じた利益の額に相当する金額又は限定相続等時みなし信用取引等利益額(当該限定相続等の時に当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額に相当する金額をいう。次条第八項第二号において同じ。)が、国外転出時みなし信用取引等利益額(当該国外転出の時における第二項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める利益の額に相当する金額をいう。第四号並びに第十項第二号及び第四号において同じ。)を下回るとき。
三 信用取引等損失額(当該未決済信用取引等の決済によつて生じた損失の額に相当する金額又は限定相続等時みなし信用取引等損失額(当該限定相続等の時に当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した損失の額に相当する金額をいう。次条第八項第三号において同じ。)をいう。次号において同じ。)が、国外転出時みなし信用取引等損失額(当該国外転出の時における第二項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める損失の額に相当する金額をいう。第十項第三号において同じ。)を上回るとき。
四 信用取引等損失額が生じた未決済信用取引等につき、国外転出時みなし信用取引等利益額が生じていたとき。
五 当該未決済デリバティブ取引の決済によつて生じた利益の額に相当する金額又は限定相続等時みなしデリバティブ取引利益額(当該限定相続等の時に当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額に相当する金額をいう。次条第八項第五号において同じ。)が、国外転出時みなしデリバティブ取引利益額(当該国外転出の時における第三項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める利益の額に相当する金額をいう。第七号並びに第十項第五号及び第七号において同じ。)を下回るとき。
六 デリバティブ取引損失額(当該未決済デリバティブ取引の決済によつて生じた損失の額に相当する金額又は限定相続等時みなしデリバティブ取引損失額(当該限定相続等の時に当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した損失の額に相当する金額をいう。次条第八項第六号において同じ。)をいう。次号において同じ。)が、国外転出時みなしデリバティブ取引損失額(当該国外転出の時における第三項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める損失の額に相当する金額をいう。第十項第六号において同じ。)を上回るとき。
七 デリバティブ取引損失額が生じた未決済デリバティブ取引につき、国外転出時みなしデリバティブ取引利益額が生じていたとき。
9 前項の規定は、国外転出の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けるべき個人でその国外転出の時までに国税通則法第百十七条第二項の規定による納税管理人の届出をしているものが、同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、同日から引き続き有している有価証券等又は決済していない未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転をした場合について準用する。
10 国外転出の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた個人で第百三十七条の二第一項の規定による納税の猶予を受けているもの(その相続人を含む。)が、同日から五年を経過する日(その者が同条第二項の規定により同条第一項の規定による納税の猶予を受けている場合にあつては、十年を経過する日。以下この項において同じ。)においてその国外転出の時から引き続き有している有価証券等又は決済していない未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引が次に掲げる場合に該当するときにおける当該個人の当該国外転出の日の属する年分の所得税に係る第一項から第三項までの規定の適用については、これらの規定中「当該国外転出の時」とあり、「当該国外転出の予定日から起算して三月前の日(同日後に取得をした有価証券等にあつては、当該取得時)」とあり、「当該国外転出の予定日から起算して三月前の日(同日後に契約の締結をした未決済信用取引等にあつては、当該締結の時)」とあり、及び「当該国外転出の予定日から起算して三月前の日(同日後に契約の締結をした未決済デリバティブ取引にあつては、当該締結の時)」とあるのは、「当該国外転出の日から五年を経過する日(その者が第百三十七条の二第二項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定により同条第一項の規定による納税の猶予を受けている場合にあつては、十年を経過する日)」とすることができる。
一 当該五年を経過する日における当該有価証券等の価額に相当する金額が当該国外転出の時における第一項各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める価額に相当する金額を下回るとき。
二 当該五年を経過する日に当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額に相当する金額が、国外転出時みなし信用取引等利益額を下回るとき。
三 当該五年を経過する日に当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した損失の額に相当する金額(次号において「五年経過日みなし信用取引等損失額」という。)が、国外転出時みなし信用取引等損失額を上回るとき。
四 当該五年経過日みなし信用取引等損失額が生じた未決済信用取引等につき、国外転出時みなし信用取引等利益額が生じていたとき。
五 当該五年を経過する日に当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額に相当する金額が、国外転出時みなしデリバティブ取引利益額を下回るとき。
六 当該五年を経過する日に当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した損失の額に相当する金額(次号において「五年経過日みなしデリバティブ取引損失額」という。)が、国外転出時みなしデリバティブ取引損失額を上回るとき。
七 当該五年経過日みなしデリバティブ取引損失額が生じた未決済デリバティブ取引につき、国外転出時みなしデリバティブ取引利益額が生じていたとき。
11 第六項から前項までの規定の適用については、個人が国外転出の時後に次に掲げる事由により取得した有価証券等は、その者が引き続き所有していたものとみなす。
一 第一項の居住者が有する株式を発行した法人の行つた第五十七条の四第一項(株式交換等に係る譲渡所得等の特例)に規定する株式交換又は同条第二項に規定する株式移転
二 第一項の居住者が有する第五十七条の四第三項第一号に規定する取得請求権付株式、同項第二号に規定する取得条項付株式、同項第三号に規定する全部取得条項付種類株式、同項第四号に規定する新株予約権付社債、同項第五号に規定する取得条項付新株予約権又は同項第六号に規定する取得条項付新株予約権が付された新株予約権付社債のこれらの号に定める請求権の行使、取得事由の発生、取得決議又は行使
三 前二号に掲げるもののほか、政令で定める事由
12 第六項から前項までに規定するもののほか、第一項から第五項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例)
第六十条の三 居住者の有する有価証券等が、贈与、相続又は遺贈(以下この条において「贈与等」という。)により非居住者に移転した場合には、その居住者の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、別段の定めがあるものを除き、その贈与等の時に、その時における価額に相当する金額により、当該有価証券等の譲渡があつたものとみなす。
2 居住者が締結している未決済信用取引等に係る契約が、贈与等により非居住者に移転した場合には、その居住者の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その贈与等の時に、当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額が生じたものとみなす。
3 居住者が締結している未決済デリバティブ取引に係る契約が、贈与等により非居住者に移転した場合には、その居住者の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その贈与等の時に、当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額が生じたものとみなす。
4 贈与の日又は相続の開始の日(以下この条において「贈与等の日」という。)の属する年分の所得税につき前三項(第八項(第十項において準用する場合を含む。第一号において同じ。)又は第十一項の規定により適用する場合を含む。)の規定の適用を受けた居住者から有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の移転を受けた個人(その相続人を含む。)が、当該有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡(前条第四項に規定する譲渡をいう。第九項において同じ。)又は決済をした場合における事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、次に定めるところによる。ただし、当該贈与等の日の属する年分の所得税につき確定申告書の提出及び決定がされていない場合における当該有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引、当該贈与等の日の属する年分の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上有価証券等の当該贈与等の時における価額に相当する金額又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引の利益の額若しくは損失の額に相当する金額が総収入金額に算入されていない当該有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引並びに第六項前段(第七項の規定により適用する場合を含む。)の規定の適用があつた有価証券等、未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引については、この限りでない。
一 その有価証券等については、第一項の贈与等があつた時における当該有価証券等の価額に相当する金額(第八項の規定により第一項の規定の適用を受けた場合には当該有価証券等の第八項に規定する譲渡に係る譲渡価額又は限定相続等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額とし、第十一項の規定により第一項の規定の適用を受けた場合には第十一項に規定する五年を経過する日における当該有価証券等の価額に相当する金額とする。)をもつて取得したものとみなす。
二 その未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済があつた場合には、当該決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額(以下この号において「決済損益額」という。)から当該未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る第二項若しくは前項に規定する利益の額に相当する金額を減算し、又は当該決済損益額に当該未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る第二項若しくは前項に規定する損失の額に相当する金額を加算するものとする。
5 前各項の規定は、贈与等の時に有している有価証券等並びに契約を締結している未決済信用取引等及び未決済デリバティブ取引の当該贈与等の時における有価証券等の価額に相当する金額並びに未決済信用取引等の第二項に規定する利益の額若しくは損失の額に相当する金額及び未決済デリバティブ取引の第三項に規定する利益の額若しくは損失の額に相当する金額の合計額が一億円未満である居住者又は当該贈与等の日前十年以内に国内に住所若しくは居所を有していた期間として政令で定める期間の合計が五年以下である居住者については、適用しない。
6 贈与等の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けるべき居住者から、当該贈与等により非居住者である受贈者、相続人又は受遺者に移転した有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約のうち、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定めるものについては、第一項から第三項までの居住者の当該年分の事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上これらの規定により行われたものとみなされた有価証券等の譲渡、未決済信用取引等の決済及び未決済デリバティブ取引の決済の全てがなかつたものとすることができる。この場合においては、前条第六項ただし書の規定を準用する。
一 当該非居住者である受贈者又は同一の被相続人から相続若しくは遺贈により財産を取得した全ての非居住者(以下この号において「受贈者等」という。)が、当該贈与等の日から五年を経過する日までに帰国をした場合 当該受贈者等が当該帰国の時まで引き続き有している有価証券等又は決済していない未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引
二 当該贈与等に係る非居住者である受贈者、相続人又は受遺者が、当該贈与等の日から五年を経過する日までに当該贈与等により移転を受けた有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約を贈与により居住者に移転した場合 当該贈与による移転があつた有価証券等、未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引
三 当該贈与等の日から五年を経過する日までに当該贈与等に係る非居住者である受贈者、相続人又は受遺者が死亡したことにより、当該贈与等により移転を受けた有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の相続(限定承認に係るものを除く。以下この号において同じ。)又は遺贈(包括遺贈のうち限定承認に係るものを除く。以下この号において同じ。)による移転があつた場合において、次に掲げる場合に該当することとなつたとき 当該相続又は遺贈による移転があつた有価証券等、未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引
イ 当該贈与等の日から五年を経過する日までに、当該相続又は遺贈により有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の移転を受けた相続人及び受遺者である個人(当該個人から相続又は遺贈により当該有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の移転を受けた個人を含む。ロにおいて同じ。)の全てが居住者となつた場合
ロ 当該非居住者について生じた第百五十一条の六第一項(遺産分割等があつた場合の修正申告の特例)に規定する遺産分割等の事由により、当該相続又は遺贈により有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の移転を受けた相続人及び受遺者である個人に非居住者(当該贈与等の日から五年を経過する日までに帰国をした者を除く。)が含まれないこととなつた場合
7 贈与の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた個人(次項において「適用贈与者」という。)で第百三十七条の三第三項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定により同条第一項の規定による納税の猶予を受けているもの又は相続の開始の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた個人(次項及び第十一項において「適用被相続人等」という。)でその者の相続人が同条第三項の規定により同条第二項の規定による納税の猶予を受けているものに係る前項の規定の適用については、同項中「五年」とあるのは、「十年」とする。
8 適用贈与者で第百三十七条の三第一項(同条第三項の規定により適用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による納税の猶予を受けているもの(次項及び第十一項において「猶予適用贈与者」という。)の受贈者又は適用被相続人等の相続人で同条第二項(同条第三項の規定により適用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による納税の猶予を受けているもの(第十一項及び第十二項において「猶予適用相続人」という。)が、その納税の猶予に係る基準日(同条第一項に規定する贈与満了基準日又は同条第二項に規定する相続等満了基準日をいう。次項において同じ。)までに、その贈与等により非居住者に移転があつた有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡(前条第八項に規定する譲渡をいう。以下この項及び第十項において同じ。)若しくは決済又は前条第八項に規定する限定相続等(以下この項から第十項までにおいて「限定相続等」という。)による移転をした場合において、当該譲渡に係る譲渡価額若しくは当該限定相続等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額又は当該決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額若しくは当該限定相続等に係る限定相続等時みなし信用取引等損益額若しくは限定相続等時みなしデリバティブ取引損益額が次に掲げる場合に該当するときにおける当該適用贈与者又は適用被相続人等の当該贈与等の日の属する年分の所得税に係る第一項から第三項までの規定の適用については、第一項中「その時における価額に相当する金額」とあるのは「当該有価証券等の第八項に規定する譲渡に係る譲渡価額又は限定相続等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額」と、第二項中「当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額」とあるのは「第八項に規定する決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額又は限定相続等時みなし信用取引等損益額」と、第三項中「当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額又は損失の額に相当する金額」とあるのは「第八項に規定する決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額又は限定相続等時みなしデリバティブ取引損益額」とすることができる。
一 当該有価証券等の譲渡に係る譲渡価額又は限定相続等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額が当該贈与等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額(当該贈与等の時後に前条第八項第一号に規定する事由が生じた場合には、当該金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額。第十一項第一号において同じ。)を下回るとき。
二 当該未決済信用取引等の決済によつて生じた利益の額に相当する金額又は限定相続等時みなし信用取引等利益額が、贈与等時みなし信用取引等利益額(当該贈与等の時における第二項に規定する利益の額に相当する金額をいう。第四号並びに第十一項第二号及び第四号において同じ。)を下回るとき。
三 信用取引等損失額(当該未決済信用取引等の決済によつて生じた損失の額に相当する金額又は限定相続等時みなし信用取引等損失額をいう。次号において同じ。)が、贈与等時みなし信用取引等損失額(当該贈与等の時における第二項に規定する損失の額に相当する金額をいう。第十一項第三号において同じ。)を上回るとき。
四 信用取引等損失額が生じた未決済信用取引等につき、贈与等時みなし信用取引等利益額が生じていたとき。
五 当該未決済デリバティブ取引の決済によつて生じた利益の額に相当する金額又は限定相続等時みなしデリバティブ取引利益額が、贈与等時みなしデリバティブ取引利益額(当該贈与等の時における第三項に規定する利益の額に相当する金額をいう。第七号並びに第十一項第五号及び第七号において同じ。)を下回るとき。
六 デリバティブ取引損失額(当該未決済デリバティブ取引の決済によつて生じた損失の額に相当する金額又は限定相続等時みなしデリバティブ取引損失額をいう。次号において同じ。)が、贈与等時みなしデリバティブ取引損失額(当該贈与等の時における第三項に規定する損失の額に相当する金額をいう。第十一項第六号において同じ。)を上回るとき。
七 デリバティブ取引損失額が生じた未決済デリバティブ取引につき、贈与等時みなしデリバティブ取引利益額が生じていたとき。
9 猶予適用贈与者から贈与により有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の移転を受けた非居住者で当該猶予適用贈与者(その相続人を含む。以下この項において同じ。)からその贈与の日の属する年分の所得税につき第百三十七条の三第一項又は第二項の規定による納税の猶予を受けている旨及び当該納税の猶予に係る基準日の通知を受けたもの(その相続人を含む。)が、当該有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約を、その贈与の日から当該納税の猶予に係る基準日までの間に、譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転をした場合には、その者は、その譲渡若しくは決済又は限定相続等の日(当該限定相続等に係る相続人にあつては、その相続の開始があつたことを知つた日)から二月以内に、当該猶予適用贈与者に、当該有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転をした旨、その譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転をした有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の種類、銘柄及び数その他参考となるべき事項を通知しなければならない。
10 前二項の規定は、次の各号に掲げる者が、それぞれ当該各号に定める期限までに、その贈与等により非居住者に移転があつた有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転をした場合について準用する。この場合において、前項中「猶予適用贈与者から」とあるのは「次項第一号に規定する個人から」と、「受けた非居住者で当該猶予適用贈与者(その相続人を含む。以下この項において同じ。)からその贈与の日の属する年分の所得税につき第百三十七条の三第一項又は第二項の規定による納税の猶予を受けている旨及び当該納税の猶予に係る基準日の通知を受けたもの」とあるのは「受けた非居住者」と、「当該納税の猶予に係る基準日まで」とあるのは「同号に定める期限まで」と、「当該猶予適用贈与者に」とあるのは「当該個人に」と読み替えるものとする。
一 贈与の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けるべき個人の受贈者 当該個人の同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限
二 相続の開始の日の属する年分の所得税につき第一項から第三項までの規定の適用を受けるべき個人(当該譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転の時において、当該個人から相続又は遺贈により有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の移転を受けた非居住者の全てが政令で定めるところにより国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしている場合における当該個人に限る。)の相続人 当該個人の同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限
11 猶予適用贈与者の受贈者又は猶予適用相続人が、その贈与等の日から五年を経過する日(当該猶予適用贈与者又は猶予適用相続人が第百三十七条の三第三項の規定により同条第一項又は第二項の規定による納税の猶予を受けている場合にあつては、十年を経過する日。以下この項において同じ。)においてその贈与等の日から引き続き有している有価証券等又は決済していない未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引が次に掲げる場合に該当するときにおける当該猶予適用贈与者又は猶予適用相続人の適用被相続人等の当該贈与等の日の属する年分の所得税に係る第一項から第三項までの規定の適用については、これらの規定中「その贈与等の時」とあるのは、「当該贈与等の日から五年を経過する日(当該贈与等に係る第十一項に規定する猶予適用贈与者又は猶予適用相続人が第百三十七条の三第三項(贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)の規定により同条第一項又は第二項の規定による納税の猶予を受けている場合にあつては、十年を経過する日)」とすることができる。
一 当該五年を経過する日における当該有価証券等の価額に相当する金額が当該贈与等の時における当該有価証券等の価額に相当する金額を下回るとき。
二 当該五年を経過する日に当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額に相当する金額が、贈与等時みなし信用取引等利益額を下回るとき。
三 当該五年を経過する日に当該未決済信用取引等を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した損失の額に相当する金額(次号において「五年経過日みなし信用取引等損失額」という。)が、贈与等時みなし信用取引等損失額を上回るとき。
四 当該五年経過日みなし信用取引等損失額が生じた未決済信用取引等につき、贈与等時みなし信用取引等利益額が生じていたとき。
五 当該五年を経過する日に当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した利益の額に相当する金額が、贈与等時みなしデリバティブ取引利益額を下回るとき。
六 当該五年を経過する日に当該未決済デリバティブ取引を決済したものとみなして財務省令で定めるところにより算出した損失の額に相当する金額(次号において「五年経過日みなしデリバティブ取引損失額」という。)が、贈与等時みなしデリバティブ取引損失額を上回るとき。
七 当該五年経過日みなしデリバティブ取引損失額が生じた未決済デリバティブ取引につき、贈与等時みなしデリバティブ取引利益額が生じていたとき。
12 第六項から前項までの規定の適用については、これらの規定に規定する受贈者、相続人、受遺者又は猶予適用相続人がこれらの規定に規定する贈与等の日後に前条第十一項各号に掲げる事由により取得した有価証券等は、当該受贈者、相続人、受遺者又は猶予適用相続人が引き続き所有していたものとみなす。
13 第六項から前項までに規定するもののほか、第一項から第五項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

(外国転出時課税の規定の適用を受けた場合の譲渡所得等の特例)

第六十条の四 居住者が外国転出時課税の規定の適用を受けた有価証券等の第六十条の二第四項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)に規定する譲渡をした場合における事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算については、その外国転出時課税の規定により課される外国所得税(第九十五条第一項(外国税額控除)に規定する外国所得税をいう。次項及び第三項において同じ。)の額の計算において当該有価証券等の譲渡をしたものとみなして当該譲渡に係る所得の金額の計算上収入金額に算入することとされた金額をもつて、当該有価証券等の取得に要した金額とする。
2 居住者が外国転出時課税の規定の適用を受けた未決済信用取引等又は未決済デリバティブ取引の決済をした場合における事業所得の金額又は雑所得の金額の計算については、当該決済によつて生じた利益の額若しくは損失の額(以下この項において「決済損益額」という。)からその外国転出時課税の規定により課される外国所得税の額の計算において当該未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引の決済をしたものとみなして算出された利益の額に相当する金額を減算し、又は当該決済損益額に当該外国所得税の額の計算において当該決済をしたものとみなして算出された損失の額に相当する金額を加算する。
3 前二項に規定する外国転出時課税の規定とは、外国における第六十条の二第一項に規定する国外転出に相当する事由その他政令で定める事由が生じた場合に同項から同条第三項までの規定に相当する当該外国の法令の規定によりその有している有価証券等又は契約を締結している未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引の譲渡又は決済があつたものとみなして外国所得税を課することとされている場合における当該外国の法令の規定をいう。
4 第一項及び第二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した資産の取得費等)
第六十一条 山林所得の基因となる山林が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた山林である場合には、その山林に係る山林所得の金額の計算上控除する必要経費は、その山林の昭和二十八年一月一日における価額として政令で定めるところにより計算した金額とその山林につき同日以後に支出した管理費、伐採費その他その山林の育成又は譲渡に要した費用の額との合計額とする。
2 譲渡所得の基因となる資産(次項及び第四項に規定する資産を除く。)が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた資産である場合には、その資産に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、その資産の昭和二十八年一月一日における価額として政令で定めるところにより計算した金額(当該金額がその資産の取得に要した金額と同日前に支出した設備費及び改良費の額との合計額に満たないことが証明された場合には、当該合計額)とその資産につき同日以後に支出した設備費及び改良費の額との合計額とする。
3 譲渡所得の基因となる資産が昭和二十七年十二月三十一日以前から引き続き所有していた資産で、第三十八条第二項(使用又は期間の経過により減価する資産の取得費)の規定に該当するものである場合には、その資産に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、その資産の昭和二十八年一月一日における価額として政令で定めるところにより計算した金額(当該金額がその資産の取得に要した金額と同日前に支出した設備費及び改良費の額との合計額を基礎として政令で定めるところにより計算した同日におけるその資産の価額に満たないことが証明された場合には、当該価額)とその資産につき同日以後に支出した設備費及び改良費の額との合計額から、その資産を同日において当該計算した金額をもつて取得したものとみなした場合に計算される同項各号に掲げる金額の合計額を控除した金額とする。
4 有価証券につき譲渡所得の金額を計算する場合において、譲渡所得の金額の計算上控除する有価証券の取得費の計算の基礎となる金額のうちに昭和二十七年十二月三十一日以前に取得した有価証券の取得に要した金額が含まれているときは、その取得した有価証券の昭和二十八年一月一日における価額として政令で定めるところにより計算した金額(当該金額がその有価証券の取得に要した金額に満たないことが証明された場合には、その取得に要した金額)をもつて、その取得した有価証券の取得に要した金額とする。
(生活に通常必要でない資産の災害による損失)
第六十二条 居住者が、災害又は盗難若しくは横領により、生活に通常必要でない資産として政令で定めるものについて受けた損失の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)は、政令で定めるところにより、その者のその損失を受けた日の属する年分又はその翌年分の譲渡所得の金額の計算上控除すべき金額とみなす。
2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
第六款 事業を廃止した場合等の所得計算の特例
(事業を廃止した場合の必要経費の特例)
第六十三条 居住者が不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業を廃止した後において、当該事業に係る費用又は損失で当該事業を廃止しなかつたとしたならばその者のその年分以後の各年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額が生じた場合には、当該金額は、政令で定めるところにより、その者のその廃止した日の属する年分(同日の属する年においてこれらの所得に係る総収入金額がなかつた場合には、当該総収入金額があつた最近の年分)又はその前年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。
(資産の譲渡代金が回収不能となつた場合等の所得計算の特例)
第六十四条 その年分の各種所得の金額(事業所得の金額を除く。以下この項において同じ。)の計算の基礎となる収入金額若しくは総収入金額(不動産所得又は山林所得を生ずべき事業から生じたものを除く。以下この項において同じ。)の全部若しくは一部を回収することができないこととなつた場合又は政令で定める事由により当該収入金額若しくは総収入金額の全部若しくは一部を返還すべきこととなつた場合には、政令で定めるところにより、当該各種所得の金額の合計額のうち、その回収することができないこととなつた金額又は返還すべきこととなつた金額に対応する部分の金額は、当該各種所得の金額の計算上、なかつたものとみなす。
2 保証債務を履行するため資産(第三十三条第二項第一号(譲渡所得に含まれない所得)の規定に該当するものを除く。)の譲渡(同条第一項に規定する政令で定める行為を含む。)があつた場合において、その履行に伴う求償権の全部又は一部を行使することができないこととなつたときは、その行使することができないこととなつた金額(不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入される金額を除く。)を前項に規定する回収することができないこととなつた金額とみなして、同項の規定を適用する。
3 前項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項の譲渡をした資産の種類その他財務省令で定める事項を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。

第七款 収入及び費用の帰属の時期の特例

第六十五条 削除

(工事の請負に係る収入及び費用の帰属時期)

第六十六条 居住者が、長期大規模工事(工事(製造及びソフトウエアの開発を含む。以下この条において同じ。)のうち、その着手の日から当該工事に係る契約において定められている目的物の引渡しの期日までの期間が一年以上であること、政令で定める大規模な工事であることその他政令で定める要件に該当するものをいう。以下この条において同じ。)の請負をしたときは、その着手の日の属する年からその目的物の引渡しの日の属する年の前年までの各年分の事業所得の金額の計算上、その長期大規模工事の請負に係る収入金額及び費用の額のうち、当該各年分の収入金額及び費用の額として政令で定める工事進行基準の方法により計算した金額を、総収入金額及び必要経費に算入する。
2 居住者が、工事(その着手の日の属する年(以下この項において「着工の年」という。)中にその目的物の引渡しが行われないものに限るものとし、長期大規模工事に該当するものを除く。以下この条において同じ。)の請負をした場合において、その工事の請負に係る収入金額及び費用の額につき、着工の年からその工事の目的物の引渡しの日の属する年の前年までの各年において政令で定める工事進行基準の方法により経理したときは、その経理した収入金額及び費用の額は、当該各年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額及び必要経費に算入する。ただし、その工事の請負に係る収入金額及び費用の額につき、着工の年の翌年以後のいずれかの年において当該工事進行基準の方法により経理しなかつた場合には、その経理しなかつた年の翌年分以後の年分の事業所得の金額の計算については、この限りでない。
3 第一項又は前項の規定の適用を受ける居住者が死亡した場合における長期大規模工事又は工事の請負に係る収入金額及び費用の額の処理の特例その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
(小規模事業者等の収入及び費用の帰属時期)
第六十七条 青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者で不動産所得又は事業所得を生ずべき業務を行うもののうち小規模事業者として政令で定める要件に該当するもののその年分の不動産所得の金額又は事業所得の金額(山林の伐採又は譲渡に係るものを除く。)の計算上総収入金額及び必要経費に算入すべき金額は、政令で定めるところにより、その業務につきその年において収入した金額及び支出した費用の額とすることができる。
2 雑所得を生ずべき業務を行う居住者のうち小規模な業務を行う者として政令で定める要件に該当するもののその年分の当該雑所得を生ずべき業務に係る雑所得の金額(山林の伐採又は譲渡に係るものを除く。)の計算上総収入金額及び必要経費に算入すべき金額は、政令で定めるところにより、その業務につきその年において収入した金額及び支出した費用の額とすることができる。
3 前二項の規定の適用を受けるための手続その他前二項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第八款 リース取引
(リース取引に係る所得の金額の計算)
第六十七条の二 居住者がリース取引を行つた場合には、そのリース取引の目的となる資産(以下この項において「リース資産」という。)の賃貸人から賃借人への引渡しの時に当該リース資産の売買があつたものとして、当該賃貸人又は賃借人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する。
2 居住者が譲受人から譲渡人に対する賃貸(リース取引に該当するものに限る。)を条件に資産の売買を行つた場合において、当該資産の種類、当該売買及び賃貸に至るまでの事情その他の状況に照らし、これら一連の取引が実質的に金銭の貸借であると認められるときは、当該資産の売買はなかつたものとし、かつ、当該譲受人から当該譲渡人に対する金銭の貸付けがあつたものとして、当該譲受人又は譲渡人である居住者の各年分の各種所得の金額を計算する。
3 前二項に規定するリース取引とは、資産の賃貸借(所有権が移転しない土地の賃貸借その他の政令で定めるものを除く。)で、次に掲げる要件に該当するものをいう。
一 当該賃貸借に係る契約が、賃貸借期間の中途においてその解除をすることができないものであること又はこれに準ずるものであること。
二 当該賃貸借に係る賃借人が当該賃貸借に係る資産からもたらされる経済的な利益を実質的に享受することができ、かつ、当該資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているものであること。
4 前項第二号の資産の使用に伴つて生ずる費用を実質的に負担すべきこととされているかどうかの判定その他前三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第九款 信託に係る所得の金額の計算
第六十七条の三 居住者が法人課税信託(法人税法第二条第二十九号の二ロ(定義)に掲げる信託に限る。)の第十三条第一項(信託財産に属する資産及び負債並びに信託財産に帰せられる収益及び費用の帰属)に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含むものとし、清算中における受益者を除く。第四項第一号において「受益者等」という。)となつたことにより当該法人課税信託が同法第二条第二十九号の二ロに掲げる信託に該当しないこととなつた場合(同号イ又はハに掲げる信託に該当する場合を除く。)には、その受託法人(第六条の三(受託法人等に関するこの法律の適用)に規定する受託法人をいう。第三項及び第四項第一号において同じ。)からその信託財産に属する資産及び負債をその該当しないこととなつた時の直前の帳簿価額を基礎として政令で定める金額(第三項において「帳簿価額相当額」という。)により引継ぎを受けたものとして、当該居住者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
2 前項の居住者が同項の規定により資産及び負債の引継ぎを受けたものとされた場合におけるその引継ぎにより生じた収益の額は、当該居住者のその引継ぎを受けた日の属する年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。
3 第一項の場合において、同項の法人課税信託が特定法人課税信託であるときは、その受託法人の信託財産に属する特定株式については、前二項の規定にかかわらず、当該特定株式を第一項に規定する該当しないこととなつた時における価額(当該価額が帳簿価額相当額に満たない場合には、当該帳簿価額相当額)により取得したものとみなして、同項の居住者の各年分の各種所得の金額を計算するものとし、当該特定株式の当該帳簿価額相当額は、当該居住者のその取得した日の属する年分の各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しない。
4 前項及びこの項において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 特定法人課税信託 その受託法人の信託財産に属する特定株式に係る発行法人等が委託者となる第一項に規定する法人課税信託で、当該特定株式の発行法人の役員(法人税法第二条第十五号に規定する役員をいう。以下この項において同じ。)又は従業員の勤続年数、業績その他の基準を勘案して、当該役員又は従業員(役員又は従業員であつた者を含む。)がその受益者等となるべき者として指定されるものをいう。
二 特定株式 譲渡についての制限その他の条件が付されている株式として政令で定めるもの以外の株式をいう。
三 発行法人等 特定株式の発行法人、当該発行法人の役員等(役員若しくは従業員又は株主をいう。以下この号において同じ。)又は当該役員等と政令で定める特殊の関係のある個人及び法人をいう。
5 信託(第十三条第一項ただし書に規定する集団投資信託、退職年金等信託又は法人課税信託を除く。以下この条において同じ。)の委託者(居住者に限る。以下この項において同じ。)がその有する資産を信託した場合において、当該信託の受益者等となる者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに受益者等となる者であるときは、当該資産を信託した時において、当該信託の委託者から当該信託の受益者等となる者に対して贈与(当該受益者等となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該信託の委託者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
6 信託に新たに受益者等が存するに至つた場合(前項及び第八項の規定の適用がある場合を除く。)において、当該信託の新たな受益者等となる者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに受益者等となる者であり、かつ、当該信託の受益者等であつた者が居住者であるときは、当該新たに受益者等が存するに至つた時において、当該信託の受益者等であつた者から当該新たな受益者等となる者に対して贈与(当該受益者等となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該信託の受益者等であつた者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
7 信託の一部の受益者等が存しなくなつた場合において、既に当該信託の受益者等である者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに当該信託に関する権利について新たに利益を受ける者となる者であり、かつ、当該信託の一部の受益者等であつた者が居住者であるときは、当該信託の一部の受益者等が存しなくなつた時において、当該信託の一部の受益者等であつた者から当該利益を受ける者となる者に対して贈与(当該利益を受ける者となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託に関する権利に係る資産の移転が行われたものとして、当該信託の一部の受益者等であつた者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
8 信託が終了した場合において、当該信託の残余財産の給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者(法人に限る。以下この項において同じ。)が適正な対価を負担せずに当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者であり、かつ、当該信託の終了の直前において受益者等であつた者が居住者であるときは、当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となつた時において、当該受益者等であつた者から当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者に対して贈与(当該給付を受けるべき、又は帰属すべき者となる者が対価を負担している場合には、当該対価の額による譲渡)により当該信託の残余財産(当該信託の終了の直前においてその者が当該信託の受益者等であつた場合には、当該受益者等として有していた当該信託に関する権利に相当するものを除く。)の移転が行われたものとして、当該受益者等であつた者の各年分の各種所得の金額を計算するものとする。
9 第五項から前項までに規定する受益者等とは、第十三条第一項に規定する受益者(同条第二項の規定により同条第一項に規定する受益者とみなされる者を含む。)をいう。
10 第一項の規定による引継ぎにより生じた損失の額がある場合の所得の金額の計算、第五項に規定する信託に関する権利が当該信託に関する権利の全部でない場合における同項の規定の適用その他第一項から第八項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第十款 贈与等により取得した資産に係る利子所得等の金額の計算
第六十七条の四 居住者が第六十条第一項各号(贈与等により取得した資産の取得費等)に掲げる事由により利子所得、配当所得、一時所得又は雑所得の基因となる資産を取得した場合における当該資産に係る利子所得の金額、配当所得の金額、一時所得の金額又は雑所得の金額の計算については、別段の定めがあるものを除き、その者が引き続き当該資産を所有していたものとみなして、この法律の規定を適用する。
第十一款 各種所得の範囲及びその金額の計算の細目
(各種所得の範囲及びその金額の計算の細目)
第六十八条 この節に定めるもののほか、各種所得の範囲及び各種所得の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。

第三節 損益通算及び損失の繰越控除

(損益通算)

第六十九条 総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額を計算する場合において、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、政令で定める順序により、これを他の各種所得の金額から控除する。
2 前項の場合において、同項に規定する損失の金額のうちに第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産に係る所得の金額(以下この項において「生活に通常必要でない資産に係る所得の金額」という。)の計算上生じた損失の金額があるときは、当該損失の金額のうち政令で定めるものは政令で定めるところにより他の生活に通常必要でない資産に係る所得の金額から控除するものとし、当該政令で定めるもの以外のもの及び当該控除をしてもなお控除しきれないものは生じなかつたものとみなす。

(純損失の繰越控除)

第七十条 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年(その年分の所得税につき青色申告書を提出している年に限る。)において生じた純損失の金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び第百四十二条第二項(純損失の繰戻しによる還付)の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある場合には、当該純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該確定申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
2 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた純損失の金額(前項の規定の適用を受けるもの及び第百四十二条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)のうち、当該各年において生じた次に掲げる損失の金額に係るもので政令で定めるものがあるときは、当該政令で定める純損失の金額に相当する金額は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
一 変動所得の金額の計算上生じた損失の金額
二 被災事業用資産の損失の金額
3 前項第二号に掲げる被災事業用資産の損失の金額とは、棚卸資産又は第五十一条第一項若しくは第三項(資産損失の必要経費算入)に規定する資産の災害による損失の金額(その災害に関連するやむを得ない支出で政令で定めるものの金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金額を除く。)で前項第一号に掲げる損失の金額に該当しないものをいう。
4 第一項又は第二項の規定は、これらの規定に規定する居住者が純損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、それぞれその後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。
5 第一項及び第二項の規定による控除は、純損失の繰越控除という。

(特定非常災害に係る純損失の繰越控除の特例)

第七十条の二 確定申告書を提出する居住者のうち次に掲げる要件のいずれかを満たす者(特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律(平成八年法律第八十五号)第二条第一項(特定非常災害及びこれに対し適用すべき措置の指定)の規定により特定非常災害として指定された非常災害(第四項及び第七十一条の二第二項(特定非常災害に係る雑損失の繰越控除の特例)において「特定非常災害」という。)に係る同法第二条第一項の特定非常災害発生日の属する年(以下この項、次項及び第四項において「特定非常災害発生年」という。)の年分の所得税につき青色申告書を提出している者に限る。)が特定非常災害発生年純損失金額(その者の当該特定非常災害発生年において生じた純損失の金額をいう。)又は被災純損失金額(当該特定非常災害発生年において生じたものを除く。以下この項において同じ。)を有する場合には、当該特定非常災害発生年純損失金額又は当該被災純損失金額の生じた年の翌年以後五年内の各年分における前条の規定の適用については、同条第一項中「純損失の金額(」とあるのは「純損失の金額で特定非常災害発生年純損失金額(次条第一項に規定する特定非常災害発生年純損失金額をいう。以下この項において同じ。)及び被災純損失金額(同条第一項に規定する被災純損失金額をいう。次項において同じ。)以外のもの(」と、「がある」とあるのは「並びに当該居住者のその年の前年以前五年内において生じた特定非常災害発生年純損失金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び同条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)がある」と、「当該純損失の金額」とあるのは「当該純損失の金額及び当該特定非常災害発生年純損失金額」と、同条第二項中「純損失の金額(」とあるのは「純損失の金額で被災純損失金額以外のもの(」と、「のうち、」とあるのは「のうち」と、「政令で定めるもの」とあるのは「政令で定めるもの及び当該居住者のその年の前年以前五年内において生じた被災純損失金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び同条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)」と、「純損失の金額に」とあるのは「純損失の金額及び当該被災純損失金額に」とする。
一 事業資産特定災害損失額の当該居住者の有する事業用固定資産でその者の営む事業所得を生ずべき事業の用に供されるものの価額として政令で定める金額に相当する金額の合計額のうちに占める割合が十分の一以上であること。
二 不動産等特定災害損失額の当該居住者の有する事業用固定資産でその者の営む不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供されるものの価額として政令で定める金額に相当する金額の合計額のうちに占める割合が十分の一以上であること。
2 確定申告書を提出する居住者のうち前項各号に掲げる要件のいずれかを満たす者(同項の規定の適用を受ける者を除く。)が特定非常災害発生年特定純損失金額又は被災純損失金額(特定非常災害発生年において生じたものを除く。以下この項において同じ。)を有する場合には、当該特定非常災害発生年特定純損失金額又は当該被災純損失金額の生じた年の翌年以後五年内の各年分における前条の規定の適用については、同条第一項中「純損失の金額(」とあるのは「純損失の金額で被災純損失金額(次条第二項に規定する被災純損失金額をいう。次項において同じ。)以外のもの(」と、同条第二項中「純損失の金額(」とあるのは「純損失の金額で特定非常災害発生年特定純損失金額(次条第二項に規定する特定非常災害発生年特定純損失金額をいう。以下この項において同じ。)及び被災純損失金額以外のもの(」と、「のうち、」とあるのは「のうち」と、「政令で定めるもの」とあるのは「政令で定めるもの並びに当該居住者のその年の前年以前五年内において生じた特定非常災害発生年特定純損失金額(この項の規定により前年以前において控除されたものを除く。)及び被災純損失金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び同条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)」と、「純損失の金額に」とあるのは「純損失の金額並びに当該特定非常災害発生年特定純損失金額及び当該被災純損失金額に」とする。
3 確定申告書を提出する居住者(前二項の規定の適用を受ける者を除く。)が被災純損失金額を有する場合には、当該被災純損失金額の生じた年の翌年以後五年内の各年分における前条の規定の適用については、同条第一項中「純損失の金額(」とあるのは「純損失の金額で被災純損失金額(次条第三項に規定する被災純損失金額をいう。次項において同じ。)以外のもの(」と、同条第二項中「純損失の金額(」とあるのは「純損失の金額で被災純損失金額以外のもの(」と、「のうち、」とあるのは「のうち」と、「政令で定めるもの」とあるのは「政令で定めるもの及び当該居住者のその年の前年以前五年内において生じた被災純損失金額(この項の規定により前年以前において控除されたもの及び同条第二項の規定により還付を受けるべき金額の計算の基礎となつたものを除く。)」と、「純損失の金額に」とあるのは「純損失の金額及び当該被災純損失金額に」とする。
4 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 被災純損失金額 その者のその年において生じた純損失の金額のうち、被災事業用資産特定災害損失合計額(棚卸資産特定災害損失額、固定資産特定災害損失額及び山林特定災害損失額の合計額で、前条第二項第一号に掲げる損失の金額に該当しないものをいう。)に係るものとして政令で定めるものをいう。
二 事業資産特定災害損失額 その者の棚卸資産特定災害損失額及びその者の事業所得を生ずべき事業の用に供される事業用固定資産の特定非常災害による損失の金額(特定非常災害に関連するやむを得ない支出で政令で定めるものの金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金額を除く。以下この項において同じ。)の合計額をいう。
三 事業用固定資産 土地及び土地の上に存する権利以外の固定資産等(固定資産その他これに準ずる資産で政令で定めるものをいう。第七号において同じ。)をいう。
四 不動産等特定災害損失額 その者の不動産所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される事業用固定資産の特定非常災害による損失の金額の合計額をいう。
五 特定非常災害発生年特定純損失金額 その者の特定非常災害発生年において生じた純損失の金額のうち、前条第二項各号に掲げる損失の金額に係るものとして政令で定めるものをいう。
六 棚卸資産特定災害損失額 その者の有する棚卸資産について特定非常災害により生じた損失の金額をいう。
七 固定資産特定災害損失額 その者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産等について特定非常災害により生じた損失の金額をいう。
八 山林特定災害損失額 その者の有する山林について特定非常災害により生じた損失の金額をいう。
(雑損失の繰越控除)
第七十一条 確定申告書を提出する居住者のその年の前年以前三年内の各年において生じた雑損失の金額(この項又は第七十二条第一項(雑損控除)の規定により前年以前において控除されたものを除く。)は、政令で定めるところにより、当該申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額の計算上控除する。
2 前項の規定は、同項の居住者が雑損失の金額が生じた年分の所得税につき確定申告書を提出し、かつ、その後において連続して確定申告書を提出している場合に限り、適用する。
3 第一項の規定による控除は、雑損失の繰越控除という。

(特定非常災害に係る雑損失の繰越控除の特例)

第七十一条の二 確定申告書を提出する居住者が特定雑損失金額を有する場合には、当該特定雑損失金額の生じた年の翌年以後五年内の各年分における前条の規定の適用については、同条第一項中「雑損失の金額(」とあるのは「雑損失の金額で特定雑損失金額(次条第一項に規定する特定雑損失金額をいう。以下この項において同じ。)以外のもの(」と、「除く。)は」とあるのは「除く。)及び当該居住者のその年の前年以前五年内において生じた特定雑損失金額(この項又は同条第一項の規定により前年以前において控除されたものを除く。)は」とする。
2 前項に規定する特定雑損失金額とは、雑損失の金額のうち、居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する次条第一項に規定する資産について特定非常災害により生じた損失の金額(当該特定非常災害に関連するその居住者によるやむを得ない支出で政令で定めるものの金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補塡される部分の金額を除く。)に係るものをいう。

第四節 所得控除

(雑損控除)

第七十二条 居住者又はその者と生計を一にする配偶者その他の親族で政令で定めるものの有する資産(第六十二条第一項(生活に通常必要でない資産の災害による損失)及び第七十条第三項(被災事業用資産の損失の金額)に規定する資産を除く。)について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合(その災害又は盗難若しくは横領に関連してその居住者が政令で定めるやむを得ない支出をした場合を含む。)において、その年における当該損失の金額(当該支出をした金額を含むものとし、保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。以下この項において「損失の金額」という。)の合計額が次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に掲げる金額を超えるときは、その超える部分の金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額(損失の金額のうち災害に直接関連して支出をした金額として政令で定める金額をいう。以下この項において同じ。)が五万円以下である場合(その年における災害関連支出の金額がない場合を含む。) その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の十分の一に相当する金額
二 その年における損失の金額に含まれる災害関連支出の金額が五万円を超える場合 その年における損失の金額の合計額から災害関連支出の金額のうち五万円を超える部分の金額を控除した金額と前号に掲げる金額とのいずれか低い金額
三 その年における損失の金額がすべて災害関連支出の金額である場合 五万円と第一号に掲げる金額とのいずれか低い金額
2 前項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。
3 第一項の規定による控除は、雑損控除という。
(医療費控除)
第七十三条 居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る医療費を支払つた場合において、その年中に支払つた当該医療費の金額(保険金、損害賠償金その他これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く。)の合計額がその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の五に相当する金額(当該金額が十万円を超える場合には、十万円)を超えるときは、その超える部分の金額(当該金額が二百万円を超える場合には、二百万円)を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2 前項に規定する医療費とは、医師又は歯科医師による診療又は治療、治療又は療養に必要な医薬品の購入その他医療又はこれに関連する人的役務の提供の対価のうち通常必要であると認められるものとして政令で定めるものをいう。
3 第一項の規定による控除は、医療費控除という。
(社会保険料控除)
第七十四条 居住者が、各年において、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料を支払つた場合又は給与から控除される場合には、その支払つた金額又はその控除される金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2 前項に規定する社会保険料とは、次に掲げるものその他これらに準ずるもので政令で定めるもの(第九条第一項第七号(在勤手当の非課税)に掲げる給与に係るものを除く。)をいう。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)の規定により被保険者として負担する健康保険の保険料
二 国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)の規定による国民健康保険の保険料又は地方税法の規定による国民健康保険税
二の二 高齢者の医療の確保に関する法律(昭和五十七年法律第八十号)の規定による保険料
三 介護保険法(平成九年法律第百二十三号)の規定による介護保険の保険料
四 労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号)の規定により雇用保険の被保険者として負担する労働保険料
五 国民年金法の規定により被保険者として負担する国民年金の保険料及び国民年金基金の加入員として負担する掛金
六 独立行政法人農業者年金基金法の規定により被保険者として負担する農業者年金の保険料
七 厚生年金保険法の規定により被保険者として負担する厚生年金保険の保険料
八 船員保険法の規定により被保険者として負担する船員保険の保険料
九 国家公務員共済組合法の規定による掛金
十 地方公務員等共済組合法の規定による掛金(特別掛金を含む。)
十一 私立学校教職員共済法の規定により加入者として負担する掛金
十二 恩給法第五十九条(恩給納金)(他の法律において準用する場合を含む。)の規定による納金
3 第一項の規定による控除は、社会保険料控除という。
(小規模企業共済等掛金控除)
第七十五条 居住者が、各年において、小規模企業共済等掛金を支払つた場合には、その支払つた金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2 前項に規定する小規模企業共済等掛金とは、次に掲げる掛金をいう。
一 小規模企業共済法(昭和四十年法律第百二号)第二条第二項(定義)に規定する共済契約(政令で定めるものを除く。)に基づく掛金
二 確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)第三条第三項第七号の二(規約の承認)に規定する企業型年金加入者掛金又は同法第五十五条第二項第四号(規約の承認)に規定する個人型年金加入者掛金
三 第九条第一項第三号ハ(年金等の非課税)に規定する政令で定める共済制度に係る契約に基づく掛金
3 第一項の規定による控除は、小規模企業共済等掛金控除という。
(生命保険料控除)
第七十六条 居住者が、各年において、新生命保険契約等に係る保険料若しくは掛金(第五項第一号から第三号までに掲げる契約に係るものにあつては生存又は死亡に基因して一定額の保険金、共済金その他の給付金(以下この条において「保険金等」という。)を支払うことを約する部分(第三項において「生存死亡部分」という。)に係るものその他政令で定めるものに限るものとし、次項に規定する介護医療保険料及び第三項に規定する新個人年金保険料を除く。以下この項及び次項において「新生命保険料」という。)又は旧生命保険契約等に係る保険料若しくは掛金(第三項に規定する旧個人年金保険料その他政令で定めるものを除く。以下この項において「旧生命保険料」という。)を支払つた場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 新生命保険料を支払つた場合(第三号に掲げる場合を除く。) 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ その年中に支払つた新生命保険料の金額の合計額(その年において新生命保険契約等に基づく剰余金の分配若しくは割戻金の割戻しを受け、又は新生命保険契約等に基づき分配を受ける剰余金若しくは割戻しを受ける割戻金をもつて新生命保険料の払込みに充てた場合には、当該剰余金又は割戻金の額(新生命保険料に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額に限る。)を控除した残額。以下この号及び第三号イにおいて同じ。)が二万円以下である場合 当該合計額
ロ その年中に支払つた新生命保険料の金額の合計額が二万円を超え四万円以下である場合 二万円と当該合計額から二万円を控除した金額の二分の一に相当する金額との合計額
ハ その年中に支払つた新生命保険料の金額の合計額が四万円を超え八万円以下である場合 三万円と当該合計額から四万円を控除した金額の四分の一に相当する金額との合計額
ニ その年中に支払つた新生命保険料の金額の合計額が八万円を超える場合 四万円
二 旧生命保険料を支払つた場合(次号に掲げる場合を除く。) 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ その年中に支払つた旧生命保険料の金額の合計額(その年において旧生命保険契約等に基づく剰余金の分配若しくは割戻金の割戻しを受け、又は旧生命保険契約等に基づき分配を受ける剰余金若しくは割戻しを受ける割戻金をもつて旧生命保険料の払込みに充てた場合には、当該剰余金又は割戻金の額(旧生命保険料に係る部分の金額に限る。)を控除した残額。以下この号及び次号ロにおいて同じ。)が二万五千円以下である場合 当該合計額
ロ その年中に支払つた旧生命保険料の金額の合計額が二万五千円を超え五万円以下である場合 二万五千円と当該合計額から二万五千円を控除した金額の二分の一に相当する金額との合計額
ハ その年中に支払つた旧生命保険料の金額の合計額が五万円を超え十万円以下である場合 三万七千五百円と当該合計額から五万円を控除した金額の四分の一に相当する金額との合計額
ニ その年中に支払つた旧生命保険料の金額の合計額が十万円を超える場合 五万円
三 新生命保険料及び旧生命保険料を支払つた場合 その支払つた次に掲げる保険料の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額(当該合計額が四万円を超える場合には、四万円)
イ 新生命保険料 その年中に支払つた新生命保険料の金額の合計額の第一号イからニまでに掲げる場合の区分に応じそれぞれ同号イからニまでに定める金額
ロ 旧生命保険料 その年中に支払つた旧生命保険料の金額の合計額の前号イからニまでに掲げる場合の区分に応じそれぞれ同号イからニまでに定める金額
2 居住者が、各年において、介護医療保険契約等に係る保険料又は掛金(病院又は診療所に入院して第七十三条第二項(医療費控除)に規定する医療費を支払つたことその他の政令で定める事由(第六項及び第七項において「医療費等支払事由」という。)に基因して保険金等を支払うことを約する部分に係るものその他政令で定めるものに限るものとし、新生命保険料を除く。以下この項において「介護医療保険料」という。)を支払つた場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年中に支払つた介護医療保険料の金額の合計額(その年において介護医療保険契約等に基づく剰余金の分配若しくは割戻金の割戻しを受け、又は介護医療保険契約等に基づき分配を受ける剰余金若しくは割戻しを受ける割戻金をもつて介護医療保険料の払込みに充てた場合には、当該剰余金又は割戻金の額(介護医療保険料に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額に限る。)を控除した残額。以下この項において同じ。)が二万円以下である場合 当該合計額
二 その年中に支払つた介護医療保険料の金額の合計額が二万円を超え四万円以下である場合 二万円と当該合計額から二万円を控除した金額の二分の一に相当する金額との合計額
三 その年中に支払つた介護医療保険料の金額の合計額が四万円を超え八万円以下である場合 三万円と当該合計額から四万円を控除した金額の四分の一に相当する金額との合計額
四 その年中に支払つた介護医療保険料の金額の合計額が八万円を超える場合 四万円
3 居住者が、各年において、新個人年金保険契約等に係る保険料若しくは掛金(生存死亡部分に係るものに限る。以下この項において「新個人年金保険料」という。)又は旧個人年金保険契約等に係る保険料若しくは掛金(その者の疾病又は身体の傷害その他これらに類する事由に基因して保険金等を支払う旨の特約が付されている契約にあつては、当該特約に係る保険料又は掛金を除く。以下この項において「旧個人年金保険料」という。)を支払つた場合には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 新個人年金保険料を支払つた場合(第三号に掲げる場合を除く。) 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ その年中に支払つた新個人年金保険料の金額の合計額(その年において新個人年金保険契約等に基づく剰余金の分配若しくは割戻金の割戻しを受け、又は新個人年金保険契約等に基づき分配を受ける剰余金若しくは割戻しを受ける割戻金をもつて新個人年金保険料の払込みに充てた場合には、当該剰余金又は割戻金の額(新個人年金保険料に係る部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額に限る。)を控除した残額。以下この号及び第三号イにおいて同じ。)が二万円以下である場合 当該合計額
ロ その年中に支払つた新個人年金保険料の金額の合計額が二万円を超え四万円以下である場合 二万円と当該合計額から二万円を控除した金額の二分の一に相当する金額との合計額
ハ その年中に支払つた新個人年金保険料の金額の合計額が四万円を超え八万円以下である場合 三万円と当該合計額から四万円を控除した金額の四分の一に相当する金額との合計額
ニ その年中に支払つた新個人年金保険料の金額の合計額が八万円を超える場合 四万円
二 旧個人年金保険料を支払つた場合(次号に掲げる場合を除く。) 次に掲げる場合の区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ その年中に支払つた旧個人年金保険料の金額の合計額(その年において旧個人年金保険契約等に基づく剰余金の分配若しくは割戻金の割戻しを受け、又は旧個人年金保険契約等に基づき分配を受ける剰余金若しくは割戻しを受ける割戻金をもつて旧個人年金保険料の払込みに充てた場合には、当該剰余金又は割戻金の額(旧個人年金保険料に係る部分の金額に限る。)を控除した残額。以下この号及び次号ロにおいて同じ。)が二万五千円以下である場合 当該合計額
ロ その年中に支払つた旧個人年金保険料の金額の合計額が二万五千円を超え五万円以下である場合 二万五千円と当該合計額から二万五千円を控除した金額の二分の一に相当する金額との合計額
ハ その年中に支払つた旧個人年金保険料の金額の合計額が五万円を超え十万円以下である場合 三万七千五百円と当該合計額から五万円を控除した金額の四分の一に相当する金額との合計額
ニ その年中に支払つた旧個人年金保険料の金額の合計額が十万円を超える場合 五万円
三 新個人年金保険料及び旧個人年金保険料を支払つた場合 その支払つた次に掲げる保険料の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額(当該合計額が四万円を超える場合には、四万円)
イ 新個人年金保険料 その年中に支払つた新個人年金保険料の金額の合計額の第一号イからニまでに掲げる場合の区分に応じそれぞれ同号イからニまでに定める金額
ロ 旧個人年金保険料 その年中に支払つた旧個人年金保険料の金額の合計額の前号イからニまでに掲げる場合の区分に応じそれぞれ同号イからニまでに定める金額
4 前三項の規定によりその居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する金額の合計額が十二万円を超える場合には、これらの規定により当該居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する金額は、これらの規定にかかわらず、十二万円とする。
5 第一項に規定する新生命保険契約等とは、平成二十四年一月一日以後に締結した次に掲げる契約(失効した同日前に締結した当該契約が同日以後に復活したものを除く。以下この項において「新契約」という。)若しくは他の保険契約(共済に係る契約を含む。第七項及び第八項において同じ。)に附帯して締結した新契約又は同日以後に確定給付企業年金法第三条第一項第一号(確定給付企業年金の実施)その他政令で定める規定(次項において「承認規定」という。)の承認を受けた第四号に掲げる規約若しくは同条第一項第二号その他政令で定める規定(次項において「認可規定」という。)の認可を受けた同号に規定する基金(次項において「基金」という。)の第四号に掲げる規約(以下この項及び次項において「新規約」と総称する。)のうち、これらの新契約又は新規約に基づく保険金等の受取人のすべてをその保険料若しくは掛金の払込みをする者又はその配偶者その他の親族とするものをいう。
一 保険業法第二条第三項(定義)に規定する生命保険会社又は同条第八項に規定する外国生命保険会社等の締結した保険契約のうち生存又は死亡に基因して一定額の保険金等が支払われるもの(保険期間が五年に満たない保険契約で政令で定めるもの(次項において「特定保険契約」という。)及び当該外国生命保険会社等が国外において締結したものを除く。)
二 郵政民営化法等の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成十七年法律第百二号)第二条(法律の廃止)の規定による廃止前の簡易生命保険法(昭和二十四年法律第六十八号)第三条(政府保証)に規定する簡易生命保険契約(次項及び第七項において「旧簡易生命保険契約」という。)のうち生存又は死亡に基因して一定額の保険金等が支払われるもの
三 農業協同組合法(昭和二十二年法律第百三十二号)第十条第一項第十号(共済に関する施設)の事業を行う農業協同組合の締結した生命共済に係る契約(共済期間が五年に満たない生命共済に係る契約で政令で定めるものを除く。)その他政令で定めるこれに類する共済に係る契約(次項及び第七項において「生命共済契約等」という。)のうち生存又は死亡に基因して一定額の保険金等が支払われるもの
四 確定給付企業年金法第三条第一項に規定する確定給付企業年金に係る規約又はこれに類する退職年金に関する契約で政令で定めるもの
6 第一項に規定する旧生命保険契約等とは、平成二十三年十二月三十一日以前に締結した次に掲げる契約(失効した同日以前に締結した当該契約が同日後に復活したものを含む。)又は同日以前に承認規定の承認を受けた第五号に掲げる規約若しくは認可規定の認可を受けた基金の同号に掲げる規約(新規約を除く。)のうち、これらの契約又は規約に基づく保険金等の受取人のすべてをその保険料若しくは掛金の払込みをする者又はその配偶者その他の親族とするものをいう。
一 前項第一号に掲げる契約
二 旧簡易生命保険契約
三 生命共済契約等
四 前項第一号に規定する生命保険会社若しくは外国生命保険会社等又は保険業法第二条第四項に規定する損害保険会社若しくは同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した疾病又は身体の傷害その他これらに類する事由に基因して保険金等が支払われる保険契約(第一号に掲げるもの、保険金等の支払事由が身体の傷害のみに基因することとされているもの、特定保険契約、当該外国生命保険会社等又は当該外国損害保険会社等が国外において締結したものその他政令で定めるものを除く。)のうち、医療費等支払事由に基因して保険金等が支払われるもの
五 前項第四号に掲げる規約又は契約
7 第二項に規定する介護医療保険契約等とは、平成二十四年一月一日以後に締結した次に掲げる契約(失効した同日前に締結した当該契約が同日以後に復活したものを除く。以下この項において「新契約」という。)又は他の保険契約に附帯して締結した新契約のうち、これらの新契約に基づく保険金等の受取人のすべてをその保険料若しくは掛金の払込みをする者又はその配偶者その他の親族とするものをいう。
一 前項第四号に掲げる契約
二 疾病又は身体の傷害その他これらに類する事由に基因して保険金等が支払われる旧簡易生命保険契約又は生命共済契約等(第五項第二号及び第三号に掲げるもの、保険金等の支払事由が身体の傷害のみに基因するものその他政令で定めるものを除く。)のうち医療費等支払事由に基因して保険金等が支払われるもの
8 第三項に規定する新個人年金保険契約等とは、平成二十四年一月一日以後に締結した第五項第一号から第三号までに掲げる契約(年金を給付する定めのあるもので政令で定めるもの(次項において「年金給付契約」という。)に限るものとし、失効した同日前に締結した当該契約が同日以後に復活したものを除く。以下この項において「新契約」という。)又は他の保険契約に附帯して締結した新契約のうち、次に掲げる要件の定めのあるものをいう。
一 当該契約に基づく年金の受取人は、次号の保険料若しくは掛金の払込みをする者又はその配偶者が生存している場合にはこれらの者のいずれかとするものであること。
二 当該契約に基づく保険料又は掛金の払込みは、年金支払開始日前十年以上の期間にわたつて定期に行うものであること。
三 当該契約に基づく第一号に定める個人に対する年金の支払は、当該年金の受取人の年齢が六十歳に達した日以後の日で当該契約で定める日以後十年以上の期間又は当該受取人が生存している期間にわたつて定期に行うものであることその他の政令で定める要件
9 第三項に規定する旧個人年金保険契約等とは、平成二十三年十二月三十一日以前に締結した第六項第一号から第三号までに掲げる契約(年金給付契約に限るものとし、失効した同日以前に締結した当該契約が同日後に復活したものを含む。)のうち、前項各号に掲げる要件の定めのあるものをいう。
10 平成二十四年一月一日以後に第六項に規定する旧生命保険契約等又は前項に規定する旧個人年金保険契約等に附帯して第五項、第七項又は第八項に規定する新契約を締結した場合には、当該旧生命保険契約等又は旧個人年金保険契約等は、同日以後に締結した契約とみなして、第一項から第五項まで、第七項及び第八項の規定を適用する。
11 第一項から第四項までの規定による控除は、生命保険料控除という。
(地震保険料控除)
第七十七条 居住者が、各年において、自己若しくは自己と生計を一にする配偶者その他の親族の有する家屋で常時その居住の用に供するもの又はこれらの者の有する第九条第一項第九号(非課税所得)に規定する資産を保険又は共済の目的とし、かつ、地震若しくは噴火又はこれらによる津波を直接又は間接の原因とする火災、損壊、埋没又は流失による損害(以下この項において「地震等損害」という。)によりこれらの資産について生じた損失の額をてん補する保険金又は共済金が支払われる損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料又は掛金(政令で定めるものを除く。以下この項において「地震保険料」という。)を支払つた場合には、その年中に支払つた地震保険料の金額の合計額(その年において損害保険契約等に基づく剰余金の分配若しくは割戻金の割戻しを受け、又は損害保険契約等に基づき分配を受ける剰余金若しくは割戻しを受ける割戻金をもつて地震保険料の払込みに充てた場合には当該剰余金又は割戻金の額(地震保険料に係る部分の金額に限る。)を控除した残額とし、その金額が五万円を超える場合には五万円とする。)を、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
2 前項に規定する損害保険契約等とは、次に掲げる契約に附帯して締結されるもの又は当該契約と一体となつて効力を有する一の保険契約若しくは共済に係る契約をいう。
一 保険業法第二条第四項(定義)に規定する損害保険会社又は同条第九項に規定する外国損害保険会社等の締結した保険契約のうち一定の偶然の事故によつて生ずることのある損害をてん補するもの(前条第六項第四号に掲げるもの及び当該外国損害保険会社等が国外において締結したものを除く。)
二 農業協同組合法第十条第一項第十号(共済に関する施設)の事業を行う農業協同組合の締結した建物更生共済又は火災共済に係る契約その他政令で定めるこれらに類する共済に係る契約
3 第一項の規定による控除は、地震保険料控除という。
(寄附金控除)
第七十八条 居住者が、各年において、特定寄附金を支出した場合において、第一号に掲げる金額が第二号に掲げる金額を超えるときは、その超える金額を、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から控除する。
一 その年中に支出した特定寄附金の額の合計額(当該合計額がその者のその年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額の百分の四十に相当する金額を超える場合には、当該百分の四十に相当する金額)
二 二千円
2 前項に規定する特定寄附金とは、次に掲げる寄附金(学校の入学に関してするものを除く。)をいう。
一 国又は地方公共団体(港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)
二 公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附金(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したもの
イ 広く一般に募集されること。
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
三 別表第一に掲げる法人その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(出資に関する業務に充てられることが明らかなもの及び前二号に規定する寄附金に該当するものを除く。)
3 居住者が、特定公益信託(公益信託ニ関スル法律第一条(公益信託)に規定する公益信託で信託の終了の時における信託財産がその信託財産に係る信託の委託者に帰属しないこと及びその信託事務の実施につき政令で定める要件を満たすものであることについて政令で定めるところにより証明がされたものをいう。)のうち、その目的が教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものの信託財産とするために支出した金銭は、前項に規定する特定寄附金とみなして第一項の規定を適用する。
4 第一項の規定による控除は、寄附金控除という。

(障害者控除)

第七十九条 居住者が障害者である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から二十七万円(その者が特別障害者である場合には、四十万円)を控除する。
2 居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が障害者である場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その障害者一人につき二十七万円(その者が特別障害者である場合には、四十万円)を控除する。
3 居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が特別障害者で、かつ、その居住者又はその居住者の配偶者若しくはその居住者と生計を一にするその他の親族のいずれかとの同居を常況としている者である場合には、前項の規定にかかわらず、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その特別障害者一人につき七十五万円を控除する。
4 前三項の規定による控除は、障害者控除という。

(寡婦控除)

第八十条 居住者が寡婦である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から二十七万円を控除する。
2 前項の規定による控除は、寡婦控除という。
(ひとり親控除)
第八十一条 居住者がひとり親である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から三十五万円を控除する。
2 前項の規定による控除は、ひとり親控除という。
(勤労学生控除)
第八十二条 居住者が勤労学生である場合には、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から二十七万円を控除する。
2 前項の規定による控除は、勤労学生控除という。
(配偶者控除)
第八十三条 居住者が控除対象配偶者を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。
一 その居住者の第二条第一項第三十号(定義)に規定する合計所得金額(以下この項、次条第一項及び第八十六条第一項(基礎控除)において「合計所得金額」という。)が九百万円以下である場合 三十八万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、四十八万円)
二 その居住者の合計所得金額が九百万円を超え九百五十万円以下である場合 二十六万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、三十二万円)
三 その居住者の合計所得金額が九百五十万円を超え千万円以下である場合 十三万円(その控除対象配偶者が老人控除対象配偶者である場合には、十六万円)
2 前項の規定による控除は、配偶者控除という。
(配偶者特別控除)
第八十三条の二 居住者が生計を一にする配偶者(第二条第一項第三十三号(定義)に規定する青色事業専従者等を除くものとし、合計所得金額が百三十三万円以下であるものに限る。)で控除対象配偶者に該当しないもの(合計所得金額が千万円以下である当該居住者の配偶者に限る。)を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。
一 その居住者の合計所得金額が九百万円以下である場合 その居住者の配偶者の次に掲げる区分に応じそれぞれ次に定める金額
イ 合計所得金額が九十五万円以下である配偶者 三十八万円
ロ 合計所得金額が九十五万円を超え百三十万円以下である配偶者 三十八万円からその配偶者の合計所得金額のうち九十三万一円を超える部分の金額(当該超える部分の金額が五万円の整数倍の金額から三万円を控除した金額でないときは、五万円の整数倍の金額から三万円を控除した金額で当該超える部分の金額に満たないもののうち最も多い金額とする。)を控除した金額
ハ 合計所得金額が百三十万円を超える配偶者 三万円
二 その居住者の合計所得金額が九百万円を超え九百五十万円以下である場合 その居住者の配偶者の前号イからハまでに掲げる区分に応じそれぞれ同号イからハまでに定める金額の三分の二に相当する金額(当該金額に一万円未満の端数がある場合には、これを切り上げた金額)
三 その居住者の合計所得金額が九百五十万円を超え千万円以下である場合 その居住者の配偶者の第一号イからハまでに掲げる区分に応じそれぞれ同号イからハまでに定める金額の三分の一に相当する金額(当該金額に一万円未満の端数がある場合には、これを切り上げた金額)
2 前項の規定は、同項に規定する生計を一にする配偶者が、次に掲げる場合に該当するときは、適用しない。
一 当該配偶者が前項に規定する居住者として同項の規定の適用を受けている場合
二 当該配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書又は従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として第百八十五条第一項第一号若しくは第二号(賞与以外の給与等に係る徴収税額)又は第百八十六条第一項第一号若しくは第二項第一号(賞与に係る徴収税額)の規定の適用を受けている場合(当該配偶者が、その年分の所得税につき、第百九十条(年末調整)の規定の適用を受けた者である場合又は確定申告書の提出をし、若しくは決定を受けた者である場合を除く。)
三 当該配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として第二百三条の三第一号から第三号まで(徴収税額)の規定の適用を受けている場合(当該配偶者がその年分の所得税につき確定申告書の提出をし、又は決定を受けた者である場合を除く。)
3 第一項の規定による控除は、配偶者特別控除という。

(扶養控除)

第八十四条 居住者が控除対象扶養親族を有する場合には、その居住者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から、その控除対象扶養親族一人につき三十八万円(その者が特定扶養親族である場合には六十三万円とし、その者が老人扶養親族である場合には四十八万円とする。)を控除する。
2 前項の規定による控除は、扶養控除という。
(扶養親族等の判定の時期等)
第八十五条 第七十九条第一項(障害者控除)又は第八十条から第八十二条まで(寡婦控除等)の場合において、居住者が特別障害者若しくはその他の障害者、寡婦、ひとり親又は勤労学生に該当するかどうかの判定は、その年十二月三十一日(その者がその年の中途において死亡し、又は出国をする場合には、その死亡又は出国の時。以下この条において同じ。)の現況による。ただし、その居住者の子がその当時既に死亡している場合におけるその子がその居住者の第二条第一項第三十一号イ(定義)に規定する政令で定める子に該当するかどうかの判定は、当該死亡の時の現況による。
2 第七十九条第二項又は第三項の場合において、居住者の同一生計配偶者又は扶養親族が同項の規定に該当する特別障害者(第百八十七条(障害者控除等の適用を受ける者に係る徴収税額)、第百九十条第二号ハ(年末調整)、第百九十四条第一項第三号(給与所得者の扶養控除等申告書)、第二百三条の三第一号ト(徴収税額)及び第二百三条の六第一項第五号(公的年金等の受給者の扶養親族等申告書)において「同居特別障害者」という。)若しくはその他の特別障害者又は特別障害者以外の障害者に該当するかどうかの判定は、その年十二月三十一日の現況による。ただし、その同一生計配偶者又は扶養親族がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。
3 第七十九条から前条までの場合において、その者が居住者の老人控除対象配偶者若しくはその他の控除対象配偶者若しくはその他の同一生計配偶者若しくは第八十三条の二第一項(配偶者特別控除)に規定する生計を一にする配偶者又は特定扶養親族、老人扶養親族若しくはその他の控除対象扶養親族若しくはその他の扶養親族に該当するかどうかの判定は、その年十二月三十一日の現況による。ただし、その判定に係る者がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。
4 一の居住者の配偶者がその居住者の同一生計配偶者に該当し、かつ、他の居住者の扶養親族にも該当する場合には、その配偶者は、政令で定めるところにより、これらのうちいずれか一にのみ該当するものとみなす。
5 二以上の居住者の扶養親族に該当する者がある場合には、その者は、政令で定めるところにより、これらの居住者のうちいずれか一の居住者の扶養親族にのみ該当するものとみなす。
6 年の中途において居住者の配偶者が死亡し、その年中にその居住者が再婚した場合におけるその死亡し、又は再婚した配偶者に係る同一生計配偶者及び第八十三条の二第一項に規定する生計を一にする配偶者並びに扶養親族の範囲の特例については、政令で定める。
(基礎控除)
第八十六条 合計所得金額が二千五百万円以下である居住者については、その者のその年分の総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。
一 その居住者の合計所得金額が二千四百万円以下である場合 四十八万円
二 その居住者の合計所得金額が二千四百万円を超え二千四百五十万円以下である場合 三十二万円
三 その居住者の合計所得金額が二千四百五十万円を超え二千五百万円以下である場合 十六万円
2 前項の規定による控除は、基礎控除という。
(所得控除の順序)
第八十七条 雑損控除と医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除又は基礎控除とを行う場合には、まず雑損控除を行うものとする。
2 前項の控除をすべき金額は、総所得金額、山林所得金額又は退職所得金額から順次控除する。
第八十八条 削除
第三章 税額の計算
第一節 税率
(税率)
第八十九条 居住者に対して課する所得税の額は、その年分の課税総所得金額又は課税退職所得金額をそれぞれ次の表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額と、その年分の課税山林所得金額の五分の一に相当する金額を同表の上欄に掲げる金額に区分してそれぞれの金額に同表の下欄に掲げる税率を乗じて計算した金額を合計した金額に五を乗じて計算した金額との合計額とする。
百九十五万円以下の金額
百分の五
百九十五万円を超え三百三十万円以下の金額
百分の十
三百三十万円を超え六百九十五万円以下の金額
百分の二十
六百九十五万円を超え九百万円以下の金額
百分の二十三
九百万円を超え千八百万円以下の金額
百分の三十三
千八百万円を超え四千万円以下の金額
百分の四十
四千万円を超える金額
百分の四十五
2 課税総所得金額、課税退職所得金額又は課税山林所得金額は、それぞれ、総所得金額、退職所得金額又は山林所得金額から前章第四節(所得控除)の規定による控除をした残額とする。

(変動所得及び臨時所得の平均課税)

第九十条 居住者のその年分の変動所得の金額及び臨時所得の金額の合計額(その年分の変動所得の金額が前年分及び前前年分の変動所得の金額の合計額の二分の一に相当する金額以下である場合には、その年分の臨時所得の金額)がその年分の総所得金額の百分の二十以上である場合には、その者のその年分の課税総所得金額に係る所得税の額は、次に掲げる金額の合計額とする。
一 その年分の課税総所得金額に相当する金額から平均課税対象金額の五分の四に相当する金額を控除した金額(当該課税総所得金額が平均課税対象金額以下である場合には、当該課税総所得金額の五分の一に相当する金額。以下この条において「調整所得金額」という。)をその年分の課税総所得金額とみなして前条第一項の規定を適用して計算した税額
二 その年分の課税総所得金額に相当する金額から調整所得金額を控除した金額に前号に掲げる金額の調整所得金額に対する割合を乗じて計算した金額
2 前項第二号に規定する割合は、小数点以下二位まで算出し、三位以下を切り捨てたところによるものとする。
3 第一項に規定する平均課税対象金額とは、変動所得の金額(前年分又は前前年分の変動所得の金額がある場合には、その年分の変動所得の金額が前年分及び前前年分の変動所得の金額の合計額の二分の一に相当する金額を超える場合のその超える部分の金額)と臨時所得の金額との合計額をいう。
4 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定の適用を受ける旨の記載があり、かつ、同項各号に掲げる金額の合計額の計算に関する明細を記載した書類の添付がある場合に限り、適用する。
第九十一条 削除
第二節 税額控除
(配当控除)
第九十二条 居住者が剰余金の配当(第二十四条第一項(配当所得)に規定する剰余金の配当をいう。以下この条において同じ。)、利益の配当(同項に規定する利益の配当をいう。以下この条において同じ。)、剰余金の分配(同項に規定する剰余金の分配をいう。以下この条において同じ。)、金銭の分配(同項に規定する金銭の分配をいう。以下この条において同じ。)又は証券投資信託の収益の分配(第九条第一項第十一号(元本の払戻しに係る収益の分配の非課税)に掲げるものを含まない。以下この条において同じ。)に係る配当所得(外国法人から受けるこれらの金額に係るもの(外国法人の国内にある営業所、事務所その他これらに準ずるものに信託された証券投資信託の収益の分配に係るものを除く。)を除く。以下この条において同じ。)を有する場合には、その居住者のその年分の所得税額(前節(税率)の規定による所得税の額をいう。以下この条において同じ。)から、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定める金額を控除する。
一 その年分の課税総所得金額が千万円以下である場合 次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額
イ 剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配及び金銭の分配(以下この項において「剰余金の配当等」という。)に係る配当所得 当該配当所得の金額に百分の十を乗じて計算した金額
ロ 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得 当該配当所得の金額に百分の五を乗じて計算した金額
二 その年分の課税総所得金額が千万円を超え、かつ、当該課税総所得金額から証券投資信託の収益の分配に係る配当所得の金額を控除した金額が千万円以下である場合 次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額
イ 剰余金の配当等に係る配当所得 当該配当所得の金額に百分の十を乗じて計算した金額
ロ 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得 当該配当所得の金額のうち、当該課税総所得金額から千万円を控除した金額に相当する金額については百分の二・五を、その他の金額については百分の五をそれぞれ乗じて計算した金額の合計額
三 前二号に掲げる場合以外の場合 次に掲げる配当所得の区分に応じそれぞれ次に定める金額の合計額
イ 剰余金の配当等に係る配当所得 当該配当所得の金額のうち、当該課税総所得金額から千万円とロに掲げる配当所得の金額との合計額を控除した金額に達するまでの金額については百分の五を、その他の金額については百分の十をそれぞれ乗じて計算した金額の合計額
ロ 証券投資信託の収益の分配に係る配当所得 当該配当所得の金額に百分の二・五を乗じて計算した金額
2 前項の規定による控除をすべき金額は、課税総所得金額に係る所得税額、課税山林所得金額に係る所得税額又は課税退職所得金額に係る所得税額から順次控除する。この場合において、当該控除をすべき金額がその年分の所得税額をこえるときは、当該控除をすべき金額は、当該所得税額に相当する金額とする。
3 第一項の規定による控除は、配当控除という。
(分配時調整外国税相当額控除)
第九十三条 居住者が各年において第百七十六条第三項(信託財産に係る利子等の課税の特例)に規定する集団投資信託の収益の分配の支払を受ける場合には、当該収益の分配に係る分配時調整外国税(同項に規定する外国の法令により課される所得税に相当する税で政令で定めるものをいう。)の額で同項又は第百八十条の二第三項(信託財産に係る利子等の課税の特例)の規定により当該収益の分配に係る所得税の額から控除された金額のうち当該居住者が支払を受ける収益の分配に対応する部分の金額として政令で定める金額に相当する金額(次項において「分配時調整外国税相当額」という。)は、その年分の所得税の額から控除する。
2 前項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書に同項の規定による控除の対象となる分配時調整外国税相当額、控除を受ける金額及び当該金額の計算に関する明細を記載した書類その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、同項の規定により控除される金額は、当該明細を記載した書類に当該分配時調整外国税相当額として記載された金額を限度とする。
3 前条第二項の規定は、第一項の規定により控除する金額について準用する。
4 前二項に定めるもののほか、第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
5 第一項の規定による控除は、分配時調整外国税相当額控除という。
第九十四条 削除

(外国税額控除)

第九十五条 居住者が各年において外国所得税(外国の法令により課される所得税に相当する税で政令で定めるものをいう。以下この項及び第九項において同じ。)を納付することとなる場合には、第八十九条から第九十三条まで(税率等)の規定により計算したその年分の所得税の額のうち、その年において生じた国外所得金額(国外源泉所得に係る所得のみについて所得税を課するものとした場合に課税標準となるべき金額に相当するものとして政令で定める金額をいう。)に対応するものとして政令で定めるところにより計算した金額(以下この条において「控除限度額」という。)を限度として、その外国所得税の額(居住者の通常行われる取引と認められないものとして政令で定める取引に基因して生じた所得に対して課される外国所得税の額、居住者の所得税に関する法令の規定により所得税が課されないこととなる金額を課税標準として外国所得税に関する法令により課されるものとして政令で定める外国所得税の額その他政令で定める外国所得税の額を除く。以下この条において「控除対象外国所得税の額」という。)をその年分の所得税の額から控除する。
2 居住者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税の額がその年の控除限度額と地方税控除限度額として政令で定める金額との合計額を超える場合において、その年の前年以前三年内の各年(以下この条において「前三年以内の各年」という。)の控除限度額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額(以下この条において「繰越控除限度額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、その繰越控除限度額を限度として、その超える部分の金額をその年分の所得税の額から控除する。
3 居住者が各年において納付することとなる控除対象外国所得税の額がその年の控除限度額に満たない場合において、その前三年以内の各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額のうちその年に繰り越される部分として政令で定める金額(以下この条において「繰越控除対象外国所得税額」という。)があるときは、政令で定めるところにより、当該控除限度額からその年において納付することとなる控除対象外国所得税の額を控除した残額を限度として、その繰越控除対象外国所得税額をその年分の所得税の額から控除する。
4 第一項に規定する国外源泉所得とは、次に掲げるものをいう。
一 居住者が国外事業所等(国外にある恒久的施設に相当するものその他の政令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)を通じて事業を行う場合において、当該国外事業所等が当該居住者から独立して事業を行う事業者であるとしたならば、当該国外事業所等が果たす機能、当該国外事業所等において使用する資産、当該国外事業所等と当該居住者の事業場等(当該居住者の事業に係る事業場その他これに準ずるものとして政令で定めるものであつて当該国外事業所等以外のものをいう。以下この条において同じ。)との間の内部取引その他の状況を勘案して、当該国外事業所等に帰せられるべき所得(当該国外事業所等の譲渡により生ずる所得を含み、第十五号に該当するものを除く。)
二 国外にある資産の運用又は保有により生ずる所得
三 国外にある資産の譲渡により生ずる所得として政令で定めるもの
四 国外において人的役務の提供を主たる内容とする事業で政令で定めるものを行う者が受ける当該人的役務の提供に係る対価
五 国外にある不動産、国外にある不動産の上に存する権利若しくは国外における採石権の貸付け(地上権又は採石権の設定その他他人に不動産、不動産の上に存する権利又は採石権を使用させる一切の行為を含む。)、国外における租鉱権の設定又は非居住者若しくは外国法人に対する船舶若しくは航空機の貸付けによる対価
六 第二十三条第一項(利子所得)に規定する利子等及びこれに相当するもののうち次に掲げるもの
イ 外国の国債若しくは地方債又は外国法人の発行する債券の利子
ロ 国外にある営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下この項において「営業所」という。)に預け入れられた預金又は貯金(第二条第一項第十号(定義)に規定する政令で定めるものに相当するものを含む。)の利子
ハ 国外にある営業所に信託された合同運用信託若しくはこれに相当する信託、公社債投資信託又は公募公社債等運用投資信託若しくはこれに相当する信託の収益の分配
七 第二十四条第一項(配当所得)に規定する配当等及びこれに相当するもののうち次に掲げるもの
イ 外国法人から受ける第二十四条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当若しくは剰余金の分配又は同項に規定する金銭の分配若しくは基金利息に相当するもの
ロ 国外にある営業所に信託された投資信託(公社債投資信託並びに公募公社債等運用投資信託及びこれに相当する信託を除く。)又は特定受益証券発行信託若しくはこれに相当する信託の収益の分配
八 国外において業務を行う者に対する貸付金(これに準ずるものを含む。)で当該業務に係るものの利子(債券の買戻又は売戻条件付売買取引として政令で定めるものから生ずる差益として政令で定めるものを含む。)
九 国外において業務を行う者から受ける次に掲げる使用料又は対価で当該業務に係るもの
イ 工業所有権その他の技術に関する権利、特別の技術による生産方式若しくはこれらに準ずるものの使用料又はその譲渡による対価
ロ 著作権(出版権及び著作隣接権その他これに準ずるものを含む。)の使用料又はその譲渡による対価
ハ 機械、装置その他政令で定める用具の使用料
十 次に掲げる給与、報酬又は年金
イ 俸給、給料、賃金、歳費、賞与又はこれらの性質を有する給与その他人的役務の提供に対する報酬のうち、国外において行う勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として国外において行う勤務その他の政令で定める人的役務の提供を除く。)に基因するもの
ロ 外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で第三十一条第一号及び第二号(退職手当等とみなす一時金)に規定する法律の規定による社会保険又は共済に関する制度に類するものに基づいて支給される年金(これに類する給付を含む。)
ハ 第三十条第一項(退職所得)に規定する退職手当等のうちその支払を受ける者が非居住者であつた期間に行つた勤務その他の人的役務の提供(内国法人の役員として非居住者であつた期間に行つた勤務その他の政令で定める人的役務の提供を除く。)に基因するもの
十一 国外において行う事業の広告宣伝のための賞金として政令で定めるもの
十二 国外にある営業所又は国外において契約の締結の代理をする者を通じて締結した保険業法第二条第六項(定義)に規定する外国保険業者の締結する保険契約その他の年金に係る契約で政令で定めるものに基づいて受ける年金(年金の支払の開始の日以後に当該年金に係る契約に基づき分配を受ける剰余金又は割戻しを受ける割戻金及び当該契約に基づき年金に代えて支給される一時金を含む。)
十三 次に掲げる給付補塡金、利息、利益又は差益
イ 第百七十四条第三号(内国法人に係る所得税の課税標準)に掲げる給付補塡金のうち国外にある営業所が受け入れた定期積金に係るもの
ロ 第百七十四条第四号に掲げる給付補塡金に相当するもののうち国外にある営業所が受け入れた同号に規定する掛金に相当するものに係るもの
ハ 第百七十四条第五号に掲げる利息に相当するもののうち国外にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に相当するものに係るもの
ニ 第百七十四条第六号に掲げる利益のうち国外にある営業所を通じて締結された同号に規定する契約に係るもの
ホ 第百七十四条第七号に掲げる差益のうち国外にある営業所が受け入れた預金又は貯金に係るもの
ヘ 第百七十四条第八号に掲げる差益に相当するもののうち国外にある営業所又は国外において契約の締結の代理をする者を通じて締結された同号に規定する契約に相当するものに係るもの
十四 国外において事業を行う者に対する出資につき、匿名組合契約(これに準ずる契約として政令で定めるものを含む。)に基づいて受ける利益の分配
十五 国内及び国外にわたつて船舶又は航空機による運送の事業を行うことにより生ずる所得のうち国外において行う業務につき生ずべき所得として政令で定めるもの
十六 第二条第一項第八号の四ただし書に規定する条約(以下この号及び第六項から第八項までにおいて「租税条約」という。)の規定により当該租税条約の我が国以外の締約国又は締約者(第七項及び第八項において「相手国等」という。)において租税を課することができることとされる所得のうち政令で定めるもの
十七 前各号に掲げるもののほかその源泉が国外にある所得として政令で定めるもの
5 前項第一号に規定する内部取引とは、居住者の国外事業所等と事業場等との間で行われた資産の移転、役務の提供その他の事実で、独立の事業者の間で同様の事実があつたとしたならば、これらの事業者の間で、資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引(資金の借入れに係る債務の保証、保険契約に係る保険責任についての再保険の引受けその他これらに類する取引として政令で定めるものを除く。)が行われたと認められるものをいう。
6 租税条約において国外源泉所得(第一項に規定する国外源泉所得をいう。以下この項において同じ。)につき前二項の規定と異なる定めがある場合には、その租税条約の適用を受ける居住者については、これらの規定にかかわらず、国外源泉所得は、その異なる定めがある限りにおいて、その租税条約に定めるところによる。
7 居住者の第四項第一号に掲げる所得を算定する場合において、当該居住者の国外事業所等が、租税条約(当該居住者の同号に掲げる所得に対して租税を課することができる旨の定めのあるものに限るものとし、同号に規定する内部取引から所得が生ずる旨の定めのあるものを除く。)の相手国等に所在するときは、同号に規定する内部取引には、当該居住者の国外事業所等と事業場等との間の利子(これに準ずるものとして政令で定めるものを含む。)の支払に相当する事実その他政令で定める事実は、含まれないものとする。
8 居住者の国外事業所等が、租税条約(居住者の国外事業所等が事業場等のために棚卸資産を購入する業務及びそれ以外の業務を行う場合に、その棚卸資産を購入する業務から生ずる所得が、その国外事業所等に帰せられるべき所得に含まれないとする定めのあるものに限る。)の相手国等に所在し、かつ、当該居住者の国外事業所等が事業場等のために棚卸資産を購入する業務及びそれ以外の業務を行う場合には、当該国外事業所等のその棚卸資産を購入する業務から生ずる第四項第一号に掲げる所得は、ないものとする。
9 居住者が納付することとなつた外国所得税の額につき第一項から第三項までの規定の適用を受けた年の翌年以後七年内の各年において当該外国所得税の額が減額された場合におけるその減額されることとなつた日の属する年のこれらの規定の適用については、政令で定めるところによる。
10 第一項の規定は、確定申告書、修正申告書又は更正請求書(次項において「申告書等」という。)に第一項の規定による控除を受けるべき金額及びその計算に関する明細を記載した書類、控除対象外国所得税の額を課されたことを証する書類その他財務省令で定める書類(以下この項において「明細書」という。)の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、第一項の規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となる控除対象外国所得税の額その他の財務省令で定める金額は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除くほか、当該明細書に当該金額として記載された金額を限度とする。
11 第二項及び第三項の規定は、繰越控除限度額又は繰越控除対象外国所得税額に係る年のうち最も古い年以後の各年分の申告書等に当該各年の控除限度額及び当該各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額を記載した書類の添付があり、かつ、これらの規定の適用を受けようとする年分の申告書等にこれらの規定による控除を受けるべき金額及び繰越控除限度額又は繰越控除対象外国所得税額の計算の基礎となるべき事項を記載した書類その他財務省令で定める書類の添付がある場合に限り、適用する。この場合において、これらの規定による控除をされるべき金額の計算の基礎となる当該各年の控除限度額及び当該各年において納付することとなつた控除対象外国所得税の額その他の財務省令で定める金額は、税務署長において特別の事情があると認める場合を除くほか、当該各年分の申告書等にこの項前段の規定により添付された書類に当該計算の基礎となる金額として記載された金額を限度とする。
12 第一項から第三項までの規定の適用を受ける居住者は、当該居住者が他の者との間で行つた取引のうち、当該居住者のその年の第一項に規定する国外所得金額の計算上、当該取引から生ずる所得が当該居住者の国外事業所等に帰せられるものについては、財務省令で定めるところにより、当該国外事業所等に帰せられる取引に係る明細を記載した書類その他の財務省令で定める書類を作成しなければならない。
13 第一項から第三項までの規定の適用を受ける居住者は、当該居住者の事業場等と国外事業所等との間の資産の移転、役務の提供その他の事実が第四項第一号に規定する内部取引に該当するときは、財務省令で定めるところにより、当該事実に係る明細を記載した書類その他の財務省令で定める書類を作成しなければならない。
14 第九十二条第二項前段(配当控除)の規定は、第一項から第三項までの規定による控除をすべき金額について準用する。
15 第九項から前項までに定めるもののほか、第一項から第八項までの規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
16 第一項から第三項までの規定による控除は、外国税額控除という。
(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例に係る外国税額控除の特例)
第九十五条の二 国外転出(第六十条の二第一項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例)に規定する国外転出をいう。以下この項及び次項において同じ。)の日の属する年分の所得税につき同条第一項から第三項までの規定の適用を受けた個人で第百三十七条の二第一項(国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予)(同条第二項の規定により適用する場合を含む。)の規定による納税の猶予を受けているもの(その相続人を含む。)が、その納税の猶予に係る同条第一項に規定する満了基準日までに、当該国外転出の時から引き続き有している有価証券等(第六十条の二第一項に規定する有価証券等をいう。以下この項及び次項において同じ。)又は決済していない未決済信用取引等(第六十条の二第二項に規定する未決済信用取引等をいう。以下この項及び次項において同じ。)若しくは未決済デリバティブ取引(第六十条の二第三項に規定する未決済デリバティブ取引をいう。以下この項及び次項において同じ。)に係る契約の譲渡(第六十条の二第四項に規定する譲渡をいう。以下この項及び次項において同じ。)若しくは決済又は限定相続等(第六十条の二第八項に規定する限定相続等をいう。以下この項及び次項において同じ。)による移転をした場合において、当該譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転により生ずる所得に係る外国所得税(前条第一項に規定する外国所得税をいい、個人が住所を有し、一定の期間を超えて居所を有し、又は国籍その他これに類するものを有することにより当該住所、居所又は国籍その他これに類するものを有する国又は地域において課されるものに限る。以下この項において同じ。)を納付することとなるとき(当該外国所得税に関する法令において、当該外国所得税の額の計算に当たつて第六十条の二の規定の適用を受けたことを考慮しないものとされている場合に限る。)は、当該外国所得税の額のうち当該有価証券等又は未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転により生ずる所得に対応する部分の金額として政令で定めるところにより計算した金額は、その者が当該国外転出の日の属する年において納付することとなるものとみなして、前条の規定を適用する。
2 前項の規定は、国外転出の日の属する年分の所得税につき第六十条の二第一項から第三項までの規定の適用を受けるべき個人でその国外転出の時までに国税通則法第百十七条第二項(納税管理人)の規定による納税管理人の届出をしているものが、同日の属する年分の所得税に係る確定申告期限までに、同日から引き続き有している有価証券等又は決済していない未決済信用取引等若しくは未決済デリバティブ取引に係る契約の譲渡若しくは決済又は限定相続等による移転をした場合について準用する。
3 第一項(前項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定の適用がある場合における前条第一項に規定する控除限度額の計算の特例その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
第四章 税額の計算の特例
第九十六条から第百一条まで 削除

(年の中途で非居住者が居住者となつた場合の税額の計算)

第百二条 その年十二月三十一日(その年の中途において死亡した場合には、その死亡の日)において居住者である者でその年において非居住者であつた期間を有するもの又はその年の中途において出国をする居住者でその年一月一日からその出国の日までの間に非居住者であつた期間を有するものに対して課する所得税の額は、前二章(課税標準及び税額の計算)の規定により計算した所得税の額によらず、居住者であつた期間内に生じた第七条第一項第一号(居住者の課税所得の範囲)に掲げる所得(非永住者であつた期間がある場合には、当該期間については、同項第二号に掲げる所得)並びに非居住者であつた期間内に生じた第百六十四条第一項各号(非居住者に対する課税の方法)に掲げる非居住者の区分に応ずる同項各号及び同条第二項各号に掲げる国内源泉所得に係る所得を基礎として政令で定めるところにより計算した金額による。

(確定申告書の提出がない場合の税額の特例)

第百三条 第百二十条第一項(確定所得申告)、第百二十五条第一項(年の中途で死亡した場合の確定申告)又は第百二十七条第一項(年の中途で出国をする場合の確定申告)の規定による申告書を提出する義務がない居住者に対して課する所得税の額は、前二章(課税標準及び税額の計算)及び前条の規定により計算した所得税の額によらず、その者のその年分の所得税に係る第百二十条第二項に規定する予納税額及びその年分の所得税につき源泉徴収をされた又はされるべき税額の合計額による。ただし、その者が確定申告書を提出した場合は、この限りでない。

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