ここに紹介する岩波新書は、内容がよいものだけを集めたわけではない。範囲、幅を確保するために、深さはばらばらである。
よいものだけを読んでも、判断力は養われないかもしれない。
現実に、様々な意見が存在し、そこから、自分にとって必要な技術にとって必要な幅と深さを得るとよい。
古い本をいっぱい紹介している。少なくとも50年働く可能性がある人は、50年前からの歴史を知っておくとよい。50年前と今の比較ができれば、今と50年後の予測ができるかもしれない。
プログラミングは言語を操り、画面を操る。文字と映像と音響の3つの視点があるとよい。
ゲーム、Web、通信、機械学習、どの分野でも。
日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書) 2011/10/21 原 研哉
https://www.amazon.co.jp/dp/4004313333
https://bookmeter.com/books/4258488
「デザインのデザイン」著者第二弾。図書に2009年9月から2年連載した文章の単行本化。展覧会JAPAN CARの企画の顛末が不思議。「東日本大震災から」という章では、日本デザインセンターなどの取組。http://bit.ly/11Tqh0z 「311 SCALEというプロジェクトを始めました。演出しない/主張しない/世界の人々に分かりやすく/可能な限り正確にを基本姿勢とし、東日本大震災のデータ(地震・津波・放射線・電力消費等)を可視化する活動」岩波新書百一覧掲載http://bit.ly/10CJ7MZ
上の図は凡例が地図にかかってみにくい。下の図は地図からはみ出ていてい分からない。WEBデザインについて、もう少し検討して欲しいかも。
http://311scale.jp
ぼくらの言葉塾 (岩波新書)25 ねじめ 正一 岩波書店(2009/10/21)
https://www.amazon.co.jp/dp/product/4004312159/
良さげな標題に目が奪われ,手に取りました。 読み進むと期待通り。 言葉を語るのに、詩を題材にしている。 発見!自分の言葉 言葉の関節を外す こわして作る 声で遊ぶ 詩の秘密 子どもの秘密
ITリスクの考え方 (岩波新書)82 佐々木 良一 岩波書店(2008/08/20)
https://www.amazon.co.jp/dp/4004311470
プライバシーとセキュリティというITにおける重要な危険。参考文献は公式のものを網羅。課題は技術的な視点が十分でない。必要な作業の見積もりや予測がしづらい。枠組みとして有益。具体的技術課題を書き足すとよいかもしれない。2000年問題を復習しているのはとてもよい。日本で技術者の発言を取り上げていないことを指摘している。コンピュータの専門家に取材していない情報媒体が多い。リスクは,診断(assessment)と管理(management)を説明。
感想歌 短歌 zero RISK正のリスクを洗い出すでなきゃ導入しなければよい 経済学均衡理論に基づこう貸借対照表は対称 材料はよく吟味され味付けもうまいんだけど調理法どう?
仕事道楽―スタジオジブリの現場 (岩波新書) 2008/7/18 鈴木 敏夫
https://www.amazon.co.jp/dp/4004311438
https://bookmeter.com/books/578442
映画の制作秘話(making)を見るような感じです。 スタジオジブリを支える力を知りました。 自分が仕事をする際も、お客さんを支えることがすべてであることを知りました。 よい映画は、多くの人達の作業の成果だということもわかりました。 報われればよい方向に進むことがわかりました。 報われなかった時に、どこからたちなおしていくかを感じることができました。岩波新書百一覧掲載http://bit.ly/10CJ7MZ
ユビキタスとは何か―情報・技術・人間 (岩波新書)81 坂村 健 岩波書店(2007/07/20)
https://www.amazon.co.jp/dp/4004310806
いたるところでデジタル情報を利用しようとする意図はわかりました。 成功例はアップルのiPodであることも分かりました。 最終章の日本が見るべき夢がつながりませんでした。 いたるところで何がしたいのだろう
感想歌 短歌 ユビキタスIoTと同じこと実現方法具体化にちげ Ucode, UIDの抽象度ソースコードで議論したいね 概念と市場の擦れをどう捌く市場中心個人中心
メディア社会―現代を読み解く視点 (岩波新書) 2006/6/20 佐藤 卓己
https://www.amazon.co.jp/dp/4004310229
https://bookmeter.com/books/557307
標題を変えよう, 「メディア社会2005」とか,時代を限定していることに価値がある。 メディア社会の原理は,国境を超えることにある。 インタネットにしても,CNNにしても。 分かりきったことが書いてないのが残念。岩波新書百一覧掲載http://bit.ly/10CJ7MZ
インターネット (岩波新書) 1995/11/30 村井 純
https://www.amazon.co.jp/dp/4004304164
https://bookmeter.com/books/514651
日本のインタネットの発端を知るにはよい本。 また、原理だけでなく、経緯を知るのにもよい。 理論どおりでない現状は、過去の経緯があるためだろう。岩波新書百一覧掲載http://bit.ly/10CJ7MZ
ボランティア―もうひとつの情報社会 (岩波新書) 1992/7/20 金子 郁容
https://www.amazon.co.jp/dp/4004302358
顔写真がある。人の顔が分かるボランティア活動の大切さ。 ボランティアは人ありきだ。 ボランティアという言葉の意味として奉仕活動家、篤志家、志願者であるという日本語説明があるとよい。 最後にPDS(パブリックドメインソフトウェア)と、日本IBM,富士ゼロックスの取り組みを書いている。分かりにくい。 パブリックドメインソフトウェア(PDS)とオープンソースソフトウェア(OSS)は方向性が異なる。 PDSは社会所有ソフトで、OSSは情報公開ソフト。
ワープロ徹底入門 (岩波新書)84 木村 泉 岩波書店(1988/03/22)
https://www.amazon.co.jp/dp/product/4004300169/
今は昔、日本語ワープロ専用機があったころの話。 なぜ、日本語ワープロ専用機がなくなったのだろう。 安価で,とても便利だったのに。 データの互換性、操作の互換性が課題だったろうか。 日本国内に限定した商品であることなど、メーカの努力が不足していたのだろうか。 一部が、記述の中に見つかるかもしれない。
技術革新 (1975年) (岩波新書)87 星野 芳郎
https://www.amazon.co.jp/dp/B000JA26BM/
危機の歴史的根源と新しい技術への模索について、次のように書いている。 1 現代技術の方法には限界がある。機械の信頼性よりも人間の信頼性を高めることの方が重要である。 2 従来のシステムや工学理論の先入観にとらわれてはならない。従来の方法も軽視することなく方法を煮詰めていって、基本的な壁の所在を明確にする。 3 地域と人間の自主的な発展に役立つ限りにおいて、画一的な形態をとるべきではない。
言語と社会 (岩波新書 青版 C-99) 1975/12/22 P.トラッドギル
https://www.amazon.co.jp/dp/4004120993
英語を中心に、言語と社会、地理、性、民族、国家などとの関係を説いている。 英語についての知識がないと、やや難しい。 逆に、英語についての知識がないと、たいへん勉強になり、英語についての勉強の幅が広がるきっかけになるかもしれない。
日本語をさかのぼる (1974年) (岩波新書)23 大野 晋 岩波書店(1974/11/25)
https://www.amazon.co.jp/dp/product/4004120926/
おきな(おとこ)とおみな(おんな)で、「き」がおとこで、「み」がおんなを意味したという。きとみの次が、「お」と「め」だとのこと。 おんどり(雄鶏)とめんどり(雌鳥)の例を示している。 日本の古典を読む際に参考になる情報が満載である。 P212に、「従来の比較言語学的的報告の少なからぬ部分は、日本語への浅い把握にもとづく誤りに陥っている」という記述がある。常に自戒の念を持って接する必要があると思う。 アイヌ語「カムイ」を日本語から取り入れたという説明193ページhttp://bit.ly/10CJ7MZ
ことばと文化 (岩波新書)4 鈴木 孝夫 岩波書店(1973/05/21)
https://www.amazon.co.jp/dp/product/4004120985/
一つの言葉に一つの意味。 一つの言葉が、文化の違いによって、 複数の言葉に対応するとしても。 breakは、何かを力によって分けることを意味する。 日本語だと壊す,割る,折る,切るに対応することがある。 意味と対応する他の言語の用語は一つとは限らない。 それが文化の違い。 人称代名詞について詳しく解説している。 1973年に初版がでている。「おたく」についての記載が在る。自分で「おたく」という言葉を耳にしたのは1970年。
知的生産の技術 (岩波新書) 1969/7/21 梅棹 忠夫
https://www.amazon.co.jp/dp/4004150930
https://bookmeter.com/books/545599
こざね法「紙きれを用意する。その紙きれにいまの主題に関係のあることがらを単語,句または短い文章で一枚に一項目づつかいて」「おもいつくまま、順序かまわず、どんどんかいてゆく。すでにたくわえられているカードも、きりぬき資料も本からの知識もつかえそうなものはすべて一ど、この紙きれにかいて」「つながりのある紙きれがほかにないかさがす。あれば、それをいっしょにならべる。分類するのではなく,論理的につながりがありそう」すごい。KJ法B型による文章化ともいう。岩波新書百一覧掲載
デタラメの世界 (1969年) (岩波新書)98 増山 元三郎 岩波書店(1969/02/20)
https://www.amazon.co.jp/dp/product/B000JA3ELS/
短歌 確率・統計 でたらめを測定実験計画法正三角形二十面体 ばらつきの取り扱いについて、数学の専門家でない人が、処理できるようになるきっかけを与えてくれる。むつかしい証明や、理論をなるべく控え、具体的な計算で結果を求めようとしている。工場での品質管理の仕事をしたり、作業の標準化を進めようとする人は、視点を変えた、ばらつきについての基本的な理解を得るのによい。
科学の方法 (岩波新書 青版 313)88 中谷 宇吉郎 岩波書店(1958/06/17)
https://www.amazon.co.jp/dp/product/4004160502/
科学は再現できることが重要だという。 しかし、ビッグバンや、将来起こることの予測は、再現できるとは限らない。 1度しかおきない可能性のあることも、事前に予測し、それがおきれば、 そのための道具として有用だと思う。 道具として数学を使うあたりが、科学の肝ではないか。 抽象的にまとめることによって、常に真でありつづける学問。
##岩波新書 on 岩波新書
岩波新書の歴史―付・総目録1938‾2006 (岩波新書)22 鹿野 政直 岩波書店(2006/05/19)
岩波新書の50年 (岩波新書)15 岩波書店(1988/02/05)
岩波新書をよむ―ブックガイド+総目録 (岩波新書)26 岩波書店(1998/01/20)
#参考資料(reference)
岩波新書100冊
https://researchmap.jp/jo86plfj3-45644/
岩波新書愛好会
https://bookmeter.com/communities/333752
#文書履歴(document history)
ver. 0.01 初稿 4冊 20190811 午後
ver. 0.02 参考資料追記 20190811 夕
ver. 0.03 追記 20190819
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