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線分の交差判定と交点特定

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はじめに

二つの折れ線グラフがある時、そのグラフの交点を探したいことがあります。こんな感じです。

intersection.png

典型的には異なるサイズのBinder比の交点を見つける時とかに必要です。で、そのためには「二つの線分の交差判定」をするコードと「交差する二つの線分の交点」を求めるコードが必要になるのですが、なんかこれ、必要になる度に毎回書いている気がするので、以下では交差判定と交点を求めるアルゴリズムを真面目に導出して、それをコードに落としてCC0で公開しました。

https://github.com/kaityo256/find_intersection

なお、線分直上に点があったり、二つの線分が平行だったりといった条件は考慮していないので注意。また、やや冗長に書いているので、高速化が必要な場合は適宜修正してください。

二つの線分の交差判定

4つの点、$P_1$, $P_2$, $P_3$, $P_4$があるとしましょう。点$P_i$の座標を$(x_i, y_i)$とします。この時、線分$P_1 P_2$と$P_3 P_4$は交点を持つか、交点を持つならその交点の座標を知りたいとします。

まず、線分$P_1 P_2$を通る直線の式を求めましょう。この直線の傾き$a$は

a = \frac{y_2 - y_1}{x_2 - x_1}

です。これが点$(x_1, y_1)$を通るので、

y - y_1 = a (x - x_1)

が求める直線の式です。分母を払って整理すると

(x_2 - x_1)(y - y_1) - (y_2 - y_1) (x-x_1) = 0

となります。さて、この式の左辺を$f_{12}(x, y)$としましょう。点$P_3$と点$P_4$が、この直線を挟んで反対側にあるためには、$f_{12}(x_3, y_3)$と$f_{12}(x_4, y_4)$が異符号でなければなりません。

つまり、

f_{12}(x_3, y_3) f_{12}(x_4, y_4) < 0

が成り立つ必要があります。

fig1.png

同様に、線分$P_3 P_4$が作る直線の式を$f_{34}(x,y) = 0$とすると、

f_{34}(x_1, y_1) f_{34}(x_2, y_2) < 0

が成り立つ必要があります。もし線分が交差していない場合は、同符号になる組み合わせが出てきます。例えば以下は、線分$P_3 P_4$が作る直線は線分$P_1 P_2$と交点を持つのに対し、線分$P_1 P_2$が作る直線は線分$P_3 P_4$とは交点を持たない例です。点$P_3$と$P_4$が直線の同じ側にあるため、$f_{12}(x_3, y_3)$と$f_{12}(x_4, y_4)$が同符号になります。

fig2.png

さて、上記の判定アルゴリズムをそのままコードに落としましょう。まずは点を表すStructを作るんですかね。

Point = Struct.new(:x, :y)

線分$P_1 P_2$が作る直線を$f_{12}(x, y) = 0$として、そこに点$P_3$を代入した時の値を返す関数をf(p1, p2, p3)として定義しましょう。

def f(p1, p2, p3)
  (p2.x - p1.x) * (p3.y - p1.y) - (p2.y - p1.y) * (p3.x - p1.x)
end

これを使うと、線分$P_1 P_2$と$P_3 P_4$が交差しているかの判定は以下のように書けます。

def intersect?(p1, p2, p3, p4)
  t1 = f(p1, p2, p3)
  t2 = f(p1, p2, p4)
  t3 = f(p3, p4, p1)
  t4 = f(p3, p4, p2)
  t1 * t2 < 0.0 and t3 * t4 < 0.0
end

二つの線分の交点

二つの線分$P_1 P_2$と$P_3 P_4$が交差していることがわかったとします。次に、交点を求めましょう。

線分$P_1 P_2$上の点$X$が、線分を$t$対$1-t$に分割したとします$(0 < t < 1)$。すると、点$X$の座標は

t
\begin{pmatrix}
x_1 \\
y_1
\end{pmatrix}
+
(1-t)
\begin{pmatrix}
x_2 \\
y_2
\end{pmatrix}

と書けます。また、$X$は線分$P_3 P_4$上の点でもあるので、パラメータ$s (0<s<1)$を用いて

s
\begin{pmatrix}
x_3 \\
y_3
\end{pmatrix}
+ 
(1-s)
\begin{pmatrix}
x_4 \\
y_4
\end{pmatrix}

とも書けます。

fig3.png

したがって、

t
\begin{pmatrix}
x_1 \\
y_1
\end{pmatrix}
+
(1-t)
\begin{pmatrix}
x_2 \\
y_2
\end{pmatrix}
=
s
\begin{pmatrix}
x_3 \\
y_3
\end{pmatrix}
+ 
(1-s)
\begin{pmatrix}
x_4 \\
y_4
\end{pmatrix}

です。これを$t, s$について整理すると、

\begin{pmatrix}
x_1-x_2 \\
y_1-y_2
\end{pmatrix}
t
-
\begin{pmatrix}
x_3-x_4 \\
y_3-y_4
\end{pmatrix}
s
= 
\begin{pmatrix}
x_4-x_2 \\
y_4-y_2
\end{pmatrix}

となります。これを、

A
\begin{pmatrix}
t \\
s
\end{pmatrix}
=
b

という連立一次方程式の形に書き直すと、

\begin{pmatrix}
x_1-x_2 & x_4 - x_3 \\
y_1-y_2 & y_4 - y_3
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
t \\
s
\end{pmatrix}
=
\begin{pmatrix}
x_4-x_2 \\
y_4-y_2
\end{pmatrix}

です。$t, s$について解く(両辺に$A^{-1}$をかける)と、

\begin{pmatrix}
t \\
s
\end{pmatrix}
=
\frac{1}{|A|}
\begin{pmatrix}
y_4-y_3 & x_3 - x_4 \\
y_2-y_1 & x_4 - x_3
\end{pmatrix}
\begin{pmatrix}
x_4-x_2 \\
y_4-y_2
\end{pmatrix}

となります。ただし、$|A|$は$A$の行列式で、

|A| = (x_1-x_2)(y_4-y_3) - (x_4-x_3)(y_1-y_2)

です。以上から、

t = \frac{(y_4-y_3)(x_4-x_2) + (x_3-x_4) (y_4-y_2)}{|A|}

です。点$X$の座標は

\begin{pmatrix}
t x_1 + (1-t) x_2 \\
t y_1 + (1-t) y_2 \\
\end{pmatrix}

と求まりました。

上記をそのままコードに落としましょう。

def intersection(p1, p2, p3, p4)
  det = (p1.x - p2.x) * (p4.y - p3.y) - (p4.x - p3.x) * (p1.y - p2.y)
  t = ((p4.y - p3.y) * (p4.x - p2.x) + (p3.x - p4.x) * (p4.y - p2.y)) / det
  x = t * p1.x + (1.0 - t) * p2.x
  y = t * p1.y + (1.0 - t) * p2.y
  return x, y
end

まぁ、そのままですね。

折れ線グラフの交点

なんかデータがこんな感じで与えられているとしましょう。

-0.00929403432032172 10.06733812455202
1.059235593057012 11.146562883395475
2.064831028312785 14.24963231445969
2.968107972293056 18.723725728939
4.0981278592926005 26.724011540146748
5.099077600475496 36.01584720448775
5.960053040855195 45.56438755538092
6.9441326742759495 58.20967188095562
8.050356615496234 74.89595746961379
9.02282603720683 91.33504895073239

こんなファイルを二つ読み込んで、交点を返す関数find_intersectionはこんな感じに書けるでしょう。

def read_file(filename)
  File.read(filename).split(/\n/).map do |n|
    x, y = n.split(/\s+/)
    Point.new(x.to_f, y.to_f)
  end
end

def find_intersection(file1, file2)
  puts "reading #{file1}"
  data1 = read_file(file1)
  puts "reading #{file2}"
  data2 = read_file(file2)
  (data1.size - 1).times do |i|
    p1 = data1[i]
    p2 = data1[i + 1]
    (data2.size - 1).times do |j|
      p3 = data2[j]
      p4 = data2[j + 1]
      if intersect?(p1, p2, p3, p4)
        return intersection(p1, p2, p3, p4)
      end
    end
  end
end

要するにすべての線分の組み合わせについて交差判定をして、最初に見つけた組の交点を返す関数です。$O(N^2)$になってますが、点の数が多くなければ問題ないと思います。また、複数の交点を持つ場合は想定していません。

まとめ

線分の交差判定と交点を求めるアルゴリズムを導出して、コードに落としました。ネットにも似たようなコードが落ちているんですが、ライセンスが不明瞭だったりして、自分の公開コードに埋め込みづらかったりするんですよね。

上記のコードはCC0で公開しているので、「線分 交点」「線分 交差」等のキーワードでググってこの記事にたどり着いた人は好きに使ってください。コードはCC0なので好きに修正してくださってかまいませんが、それを公開する時には適切なライセンスを付与してもらえるとうれしいなぁ。

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