はじめに
最近触っていたいくつかのAIエージェント(Codex / Zencoder / Devin / CodeRabbit)を、小さなプロジェクトの中で軽く使い分けてみた記録です。
対象は、HTML+JavaScriptの2ファイルだけで動くミニアプリ。
アプリ自体は簡単なものですが、その分ツールごとの「ちょっとした違い」が見えてきた気がします。
使用したAIエージェント一覧
ツール名 | 主な役割 | 補足 |
---|---|---|
Gemini | 初期生成 | Gemini Canvasで作成。APIキーは自動付与 |
Zencoder | 初期修正 | GitHub Pages対応などの調整を担当 |
Codex | コード改善 | ChatGPT Plus内のファイルタブから利用 |
CodeRabbit | レビュー支援 | GitHub PRに自動でレビューコメント |
Codexの使用感
- ChatGPT Plusのファイルタブ内に登場
- UIはDevinやJulesに近く、チャットで自然にタスクを依頼できる
- PRは専用のUIで安定して作成できるのが好印象
他のエージェント(JulesやFine.devなど)では、GitHubリモートへの push
に失敗することが多かったのですが、CodexはPR作成専用のボタンを別で用意していて、スムーズに作成できました。
PRは自分のアカウント名義で作成されるため、CodeRabbitで指摘をもらったあとにCodexへフィードバックを渡す必要がありますが、CodeRabbit側で「エージェントに渡す用の文」を自動で生成してくれるので、そこまで手間ではありません。
Devinとの比較
- Devinは自分名義ではなく、AI自身のアカウント名義でPRを作成
- GitHub上のレビューコメントにも自動で反応してくれる
- フィードバックのループが完全にAI主導で回るのが強み
ただし、Devinは設計からレビュー対応まで全部を巻き取る前提の作りなので、
今回のような軽量な修正には少しオーバースペックにも感じました。
Zencoderの印象
- コンテキスト保持が比較的しっかりしていて、Roo Codeに近い感触
- 小さなタスクを安心して任せられる安定感あり
- Gemini Canvasで作られたアプリのGitHub Pages対応修正を依頼しました
Gemini Canvasでは、APIキーが裏で自動付与されているため、
1ファイル完結で動くアプリが簡単に作れます。
ただし、そのコードをGitHub Pagesに貼り付けても動かず、
Zencoderにお願いして、明示的にAPIキーを扱えるよう調整してもらいました。
⚠ Gemini APIキーとセキュリティ上の注意点
Gemini APIの公式ドキュメントでは、あくまでAPIキーをテストする目的で、クエリパラメータにAPIキーを含めてアクセスする例が紹介されていますが、実装する場合にはAPIキーの取り扱いに注意が必要だと注記されていて、実装時にはGoogle GenAI SDKを使用するように記載されています。しかし、Geminiで生成されたコードはAPIキーをクエリパラメータに含める形で書かれていて、このまま公開するのは危険だと思いました。
// Geminiが実際に生成したコード
const apiKey = ""; // Gemini APIキー (Canvas環境では自動的に提供される想定)
const apiUrl = `https://generativelanguage.googleapis.com/v1beta/models/gemini-2.0-flash:generateContent?key=${apiKey}`;
この方法には以下のようなリスクがあります:
- URLにキーが含まれるため、リファラやアクセスログに残る可能性
- GitHub Pagesのような静的ホスティング環境ではキーが丸見え
- 結果として、APIキーの漏洩・不正利用につながる危険性
Gemini Canvasのように、キーを裏側で付与してくれる仕組みはとても便利でしたが、
自分でホスティングする場合にはAPIキーの扱いに注意が必要だと改めて感じました。
CodeRabbitの便利さ
- GitHub PRに自動でレビューコメントを投稿
- Codexのような「人間名義のPR」に対しても、AIエージェントに渡す用のフィードバック文を自動生成してくれる
CodexとCodeRabbitを組み合わせることで、
「コード修正 → PR作成 → レビュー → 再修正」の流れをスムーズに回せたのは大きな収穫でした。
試してみたまとめ
シーン | 向いていたツール |
---|---|
最初のコード生成 | Gemini |
簡単な修正・適用 | Zencoder |
PRを安定して出したい | Codex |
レビュー・コメント支援 | CodeRabbit |
PR起点の自動開発 | Devin(やや重めだけど強力) |
おわりに
今回は小さなアプリを使って、複数のAIエージェントを軽く試してみました。
ツールによってできること・得意なことが違っていて、「どのタイミングで誰にお願いするか」を考えるのが意外と楽しかったです。
Codexの登場でChatGPT Plusユーザーの選択肢が増えたこと、そしてGemini Canvasのような手軽な開発環境の便利さと落とし穴——ちょっとした検証のつもりでしたが、学びが多い時間になりました。
成果物はしばらく以下で見られるようにしておきます。