Gradleをもっと使いたい（ビルドをGradleに移行）

前記事で、LinuxにGradleを導入してJavaプロジェクトをビルドしました。今回は、既存のTomcat(JavaEE）のプロジェクトにGradleを適用したいと存じます。

既存ビルドがやっていること

・コンパイル→Warファイルを作成して終了（環境へのデプロイは手動）
・環境ごとに設定ファイルに差異があるため、Mavenビルド時に差し替える

いずれは、リリースまで全て自動化したいとは思いますが
まずは現状のビルドをGradleに変えるところまで実施します。

プロジェクト構成

現状の構成は以下のような形です
ファイル階層

gradle_war
｜ーenv
｜｜ーtest
｜｜｜ーapp.properties
｜｜ーproduction
｜｜｜-app.properties
｜ーsrc

WEB-INF/app.propertiesに設定内容を記載していて、環境ごとに差異があり、それぞれの環境向け設定ファイルは「env」以下の環境名ディレクトリに入っています。今回は、このプロジェクトにGradleを導入して、環境依存をファイル置き換えで解決するような、ビルドスクリプトを作成します。

Gradleの導入

インストール手順は、以前に書いたものを参照してください。
プロジェクト直下に、build.gradle（ビルドスクリプト）を作成する。

ファイル階層（ビルドスクリプト追加）

gradle_war
｜ーbuild.gradle←追加
｜ーenv
｜｜ーtest
｜｜｜ーapp.properties
｜｜ーproduction
｜｜｜-app.properties
｜ーsrc

スクリプト内容は以下のようにしました
ビルドスクリプト

test_gradle/buld.gradle

buildscript {
 //ビルドスクリプト中に必要なモジュールを、参照する先を指定する
 repositories {
  jcenter()
 }

　　//ビルド時に必要なもの（依存関係）
 dependencies {
  classpath 'com.bmuschko:gradle-tomcat-plugin:2.0'
 }
}

apply plugin: 'war'
apply plugin: 'com.bmuschko.tomcat'
repositories {
 mavenCentral()
}

//APサーバは、Tomcatで動かすため、コンパイルでも同環境を指定する
dependencies {
 providedCompile 'javax:javaee-web-api:6.0'
 compile 'org.slf4j:slf4j-api:1.7.18'
 testCompile 'junit:junit:4.11'

 def tomcatVersion = '8.0.32'
 tomcat "org.apache.tomcat.embed:tomcat-embed-core:${tomcatVersion}",
         "org.apache.tomcat.embed:tomcat-embed-logging-juli:${tomcatVersion}"
 tomcat("org.apache.tomcat.embed:tomcat-embed-jasper:${tomcatVersion}") {
 　exclude group: 'org.eclipse.jdt.core.compiler',module: 'ecj'
 }
}

//warファイル作成時のみ、環境依存ファイルを差し替える処理
war {
 webInf{
  from("env/${env}/app.properties")
 }
}

ビルドコマンド

#プロジェクト直下に移動して
$ gradle -Penv=test(-Penv=production) build

ビルドコマンド時に、envという変数にtest/productionという文字列を渡しておき、warファイル作成時に、環境名のディレクトリから環境依存ファイルを取得して、WEB-INFディレクトリ以下にコピーするという動きとなります。Mavenで実施していることをそのまま書き写しただけですが、当初の目的である、MavenのビルドをGradleに置き換えました。