📕読書100：『医者が教えるサウナの教科書』から学ぶ科学的に『ととのう』方法と具体的アクションプラン

💡 はじめに

「最近、なんだか頭が疲れている感じがする…」
「ストレスが溜まって、夜もぐっすり眠れない…」
「もっと集中力を高めて、仕事の効率を上げたい！」

現代社会で働く私たちは、日々多くの情報にさらされ、マルチタスクに追われ、気づかないうちに 「脳疲労」 やストレスを溜め込んでいるかもしれません。そんな時、手軽に心身をリフレッシュし、パフォーマンスを高める方法があれば嬉しいですよね。

近年、ブームとなっている 「サウナ」。そして、サウナ愛好家たちの間で語られる 「ととのう」 という独特の感覚。なんとなく「気持ちよさそう」「健康に良さそう」というイメージはあるけれど、「具体的に何がどう良いの？」「自己流で入っているけど、正しい入り方ってあるの？」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、医師でありながら日本サウナ学会の代表理事も務める加藤容崇さんの著書『医者が教えるサウナの教科書―ビジネスエリートはなぜ脳と体をサウナでととのえるのか？』です。本書は、サウナが私たちの心と体に与える驚くべき効果を、最新の医学的・脳科学的な知見に基づいて解き明かし、その効果を最大限に引き出すための「正しい入り方」 を、初心者にも分かりやすく解説してくれる一冊です。

「サウナについて詳しく知りたい」という方はもちろん、「日々の疲れを効果的に癒したい」「集中力や生産性を高めたい」「心身のコンディションを整えたい」と願うすべてのビジネスパーソンにとって、非常に有益で実践的な情報が満載だと感じました。

📚 書籍の概要

本書の中心的なメッセージは、サウナは単なる気晴らしや昔ながらの健康法ではなく、現代人の抱える様々な心身の不調（特に「脳疲労」）を解消し、自律神経を整え、パフォーマンスを向上させるための、科学的根拠に基づいた極めて有効な手段である、ということです。

著者は、サウナ→水風呂→外気浴（休憩）という一連の温冷交代浴によってもたらされる、深いリラックス状態とクリアな覚醒感が共存する、あの独特の感覚＝「ととのう」状態に注目します。そして、この「ととのう」が、決して気のせいではなく、

• 自律神経（交感神経と副交感神経）のダイナミックな切り替わり
• 血流の変化
• β-エンドルフィン、オキシトシン、セロトニンといった脳内物質の分泌
  などによって引き起こされる、明確な生理的変化であることを、医学的な知見に基づいて解説します。

さらに本書では、単にサウナの効能を説明するだけでなく、その効果を最大限に引き出し、かつ安全に楽しむための「正しい入り方」 が、非常に具体的に指南されています。

• サウナ室の適切な温度・湿度
• 最適な入浴時間
• 水風呂の効果的な入り方（温度と時間）
• 「ととのう」ための最重要プロセスである「休憩（外気浴）」のポイント
• 推奨される入浴サイクル数
• 水分補給の重要性
  など、科学的な根拠に基づいた実践的なノウハウが満載です。

著者の加藤容崇氏は、がん治療を専門とする医師でありながら、サウナに関する研究と普及活動にも情熱を注ぐ「サウナ専門医」。その専門性と分かりやすい解説が、本書の信頼性と魅力を高めています。

✨ 重要なポイント/学び

本書で解説されているサウナの医学的効果と「正しい入り方」の中から、特に「なるほど！」と感じた、重要で実践的なポイントを3つご紹介します。

1. 現代人の疲れの正体は「脳疲労」？ サウナが脳を強制リセット！

「なんだか分からないけど、すごく疲れている…」その原因は、肉体的な疲労ではなく 「脳疲労」 かもしれません。私たちの脳は、意識的に何かを考えていない時でも、デフォルト・モード・ネットワーク（DMN） と呼ばれる神経回路が常に活動し、過去の反省や未来への不安などを巡らせて、エネルギーを消費し続けているそうです。

本書によれば、サウナの 「高温」 と水風呂の 「低温」 という、日常ではありえない強烈な物理的刺激は、このDMNの活動を強制的にシャットダウンさせる効果があるとのこと。まるで脳の「強制瞑想」 のような状態を作り出し、頭の中の雑念（ぐるぐる思考）をリセットしてくれるのです。これが、サウナ後に多くの人が感じる 「頭がスッキリする」「クリアになる」 という感覚の正体の一つと考えられています。

なぜこれが重要か？
これは、サウナの効果を 「脳機能の改善」という新しい視点から捉えることを可能にします。「集中力が続かない」「良いアイデアが浮かばない」「理由もなくイライラする」といった悩みが、実は「脳疲労」に起因している可能性を示唆し、サウナがその具体的な解決策となり得ることを教えてくれます。情報過多でストレスの多い現代社会において、意識的に脳を休ませる手段を持つことの重要性を感じさせられます。

• あなたならどう考えますか？：あなたは、PCの電源を落とすように、自分の「脳のスイッチ」を意識的にオフにする時間を持っていますか？ サウナが脳の「再起動」に役立つとしたら、試してみたいと思いますか？

2. 「ととのう」は科学！自律神経と脳内物質のハーモニー

サウナ好きが口にする 「ととのう」 という言葉。あの、何とも言えない心地よさ、リラックス感と覚醒感が同居するような不思議な感覚は、一体何なのでしょうか？

本書は、そのメカニズムを自律神経と脳内物質の変化から解き明かします。

• サウナ（高温）→ 水風呂（低温）: 体は生命の危機と判断し、交感神経（興奮・緊張モード） が優位になります。血圧が上がり、心拍数が増え、血管が収縮・拡張し、血流が促進されます。アドレナリンなどのホルモンも分泌されます。
• 外気浴（休憩）: 危機が去ったと判断した体は、今度は副交感神経（リラックス・回復モード） を一気に優位にします。血管が拡張し、血圧が下がり、心拍数が落ち着き、深いリラックス状態へ。
• 脳内物質: この急激な変化の過程で、脳内ではβ-エンドルフィン（幸福感）、オキシトシン（安心感）、セロトニン（精神安定） といった、心地よさや幸福感に関わる神経伝達物質が放出されると考えられています。

この自律神経のダイナミックなシーソーゲームと、脳内麻薬とも呼ばれる物質の放出が組み合わさることで、あの独特の「ととのう」感覚が生まれるのです。

なぜこれが重要か？
「ととのう」という主観的な体験に、科学的な裏付けが与えられることで、その効果への納得感が高まります。そして、このプロセスが自律神経のバランスを整える訓練にもなっていることが分かります。現代人はストレスなどから交感神経が優位になりがちですが、サウナによって強制的に副交感神経を働かせることで、ストレス軽減、不眠改善、集中力向上、免疫力調整など、様々な心身への好影響が期待できるのです。

• あなたならどう考えますか？：あなたが「ととのった」と感じるとき、それはどんな気分ですか？（例：「ふわふわする」「頭が冴える」「穏やかな気持ちになる」など） その感覚が、実は体の中で起こっているダイナミックな生理的変化の結果だと知ると、サウナ体験がさらに面白くなりませんか？

3. 効果を最大化する「型」を知る：サウナ・水風呂・休憩の作法

サウナの効果を最大限に引き出し、「ととのう」体験を深めるためには、自己流ではなく、「正しい入り方」を知ることが重要だと本書は説いています。以下はそのポイントです。

• サウナ室:
  • 温度だけでなく湿度も意識する（湿度が低いドライサウナでは長めに、湿度が高いスチームサウナなどでは短めに）。
  • 無理は禁物。苦しくなる前に出る。時間（目安：6～12分） よりも心拍数（平常時の2倍程度） を目安にするのも良い。
• 水風呂:
  • 汗を流してから入るのがマナー。
  • 冷たくても息を止めずに、ゆっくり長く吐きながら入る。
  • 1分程度を目安に入る（短すぎると深部体温が下がらず、長すぎると体が冷えすぎる）。
• 休憩（外気浴）:
  • 「ととのう」ための最重要プロセス！ 体の水分をよく拭き取ってから、外気に触れられる場所で休憩する。
  • 椅子に深く座るか、可能であれば横になるのがベスト。
  • 最低でも5～10分は安静にし、体が自然にリラックスしていくのを感じる。
• サイクル:
  • この 「サウナ→水風呂→休憩」のセットを、通常3～4回繰り返す。
• 水分補給:
  • サウナ前、セット間、サウナ後に、こまめに水分（水、お茶、イオン飲料など）を補給する。脱水は非常に危険です。

なぜこれが重要か？
これらのステップには、それぞれ医学的な意味があります（体温変化、自律神経の切り替え、血流など）。正しい手順と時間配分を守ることで、サウナの効果を最大限に引き出し、かつ安全に楽しむことができます。特に、水風呂や休憩の重要性を知らずに自己流で入っていると、「ととのう」感覚が得られにくかったり、体に負担をかけてしまったりする可能性があります。

• あなたならどう考えますか？：あなたのいつものサウナの入り方と比べて、本書の「正しい入り方」で特に違う点はありましたか？ 例えば、「水風呂は苦手だから入らない」「休憩はそこそこに次のセットへ」といった入り方をしていませんか？

🚀 具体的アクションプラン

本書『医者が教えるサウナの教科書』を読んで、「サウナ、試してみたい！」「もっと効果的な入り方をしたい！」と思った方へ。今日からできる具体的なアクションプランを3つ提案します。

1. 【「正しい入り方」でサウナを体験する】
   次にサウナに行く機会があれば、本書で推奨されている「サウナ→水風呂→休憩」のサイクルと、それぞれの時間の目安（サウナ6-12分、水風呂1分、休憩5-10分）を意識して入ってみましょう。特に、水風呂に1分間チャレンジし、その後の休憩時間をしっかり確保してみてください。これまでとの違いを感じられるかもしれません。

2. 【水分補給を徹底する】
   サウナに入る際は、「サウナ前」「セットの合間」「サウナ後」 に、合計で500ml～1L程度の水分をこまめに補給することを徹底しましょう。水、麦茶、スポーツドリンクなどがおすすめです。脱水症状は「ととのう」どころか、健康を害するリスクがあります。

3. 【「ととのいやすい環境」を探求する】
   サウナ施設によって、サウナ室の温度・湿度、水風呂の温度、休憩スペースの環境は様々です。色々な施設を試してみて、自分にとって最もリラックスでき、「ととのいやすい」と感じる環境を見つけるのも、サウナの楽しみ方の一つです。外気浴ができるスペースがあると、より深い「ととのい」が得やすいかもしれません。

✅ まとめ

加藤容崇さんの『医者が教えるサウナの教科書』は、近年ブームとなっている「サウナ」を、単なる流行りや気持ちの良いものとしてだけでなく、私たちの脳と体を最適化するための、科学的根拠に基づいた極めて有効なツールとして、その価値と可能性を再定義してくれる一冊でした。

脳疲労を解消し、自律神経を整え、睡眠の質を高め、集中力を向上させる…。サウナがもたらすこれらの効果、そしてその根底にある医学的・脳科学的なメカニズムを知ることで、サウナ体験はより深く、意味のあるものになるでしょう。

そして何より、効果を最大限に引き出すための「正しい入り方」を知り、実践することで、あの至福の「ととのう」感覚を、誰もが安全かつ効果的に手に入れることができるようになります。

サウナ初心者の方はもちろん、長年のサウナ愛好家の方にとっても、日々の疲れを癒し、最高のコンディションを手に入れたいと願うすべての人にとって、まさに必携の「教科書」です。

この記事が、皆さんのサウナライフをより豊かに、そして健康的な毎日を送るための一助となれば幸いです。さあ、あなたも科学的に「ととのって」、最高のパフォーマンスを手に入れてみませんか？

あなたは「サウナ」や「ととのう」ことに、どのようなイメージや経験がありますか？ また、本書を読んで、サウナへの見方や入り方にどのような変化がありそうだと感じましたか？ ぜひ、皆さんのご意見やサウナ体験などをコメントで共有していただけると嬉しいです。

---

タグ:
読書 書評 ビジネススキル 読書100 サウナ