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【Play超入門】Play FrameworkでWeb APIを作る ~導入編~【Scala】

Last updated at Posted at 2019-09-09

Play Framework(Scala)の入門記事です。


(19/12/07 20:38追記)

作業環境をWindowsからLinux(Linux Mint)に変更しました。
そのため、既存のPowerShell箇所のコマンド・出力をBashに変更しました。


最近Play Frameworkを勉強し始めたので、アウトプットがてらやったことを書き記して行こうと思います。
今回はとりあえずひな形をインストールして、GET/POSTでアクセスできるようになるまでです。

#はじめに
##Play Frameworkとは
軽量・ステートレス・非同期処理が特徴の、ScalaおよびJava用のWebフレームワークです。
Play Framework - Build Modern & Scalable Web Apps with Java and Scala

##作りたいもの
Play Frameworkを使用し、簡単なWeb APIを作ります。
サーバーサイドレンダリングは行いません。

##想定対象読者

  • Scalaの基本的な文法を理解している方。
  • Webの基本的な用語(GET/POST、リクエストヘッダー、Content-Typeなど)を理解している方。

##前提条件
自身のマシンに以下のものをインストールしておく必要があります。

  • JDK(1.8またはそれ以降)
  • ビルドツール(sbt または Gradle)

##動作環境
以下の環境で検証(テスト)しています。
また動作環境はテストが通ることを確認でき次第、随時更新していきます。

エディタはIntelliJ IDEAを使用していますが、できるだけIDEに依存しない書き方をするつもりです。
お好きなエディタを使ってください。

それと途中経過を(自分用に)保存するために、Gitで途中途中コミットしています。

なおOSがWindows10のため、コマンド類はPowerShellで実行しています。
MacやLinuxの方は適宜読み替えてください。

(19/12/07 追記) Linuxに変更したためbashの記述に書き換えました。

また、各ファイルの文字コードはUTF-8で統一します。

#インストール・初期化
##インストール
sbtを使い、Play Frameworkのひな形をインストールします。
便宜上、ホームディレクトリ配下のxxxフォルダにインストールします。
実際には好きなフォルダを使ってください。
インストール用のコマンドは以下のとおりです。

~/xxx$ sbt new playframework/play-scala-seed.g8

上記コマンドを実行すると、nameとorganizationを求められます。
nameはここではplay-api-sampleとします。
organizationは空欄のままEnterを押します(デフォルト値として「com.example」が設定されます)。

This template generates a Play Scala project

name [play-scala-seed]: play-api-sample
organization [com.example]:
  • 補足

    上記操作をWindowsのPowerShell上で行った場合、sbt 1.3.0以降ではnameへの入力値が表示されません(不具合?)。

    入力自体はされているので、一通り入力してからEnterを押していただければ先に進めます。

なおWindowsの場合下記のようなエラーが出るようですが、調べた限りでは無視して良いようです。
参考: Play Frameworkハンズオン環境構築 - Qiita

[error] java.io.IOException: Unable to delete file: C:\Users\xxx\AppData\Local\Temp\giter8-***\src\main\g8\.gitignore
[error]         at org.apache.commons.io.FileUtils.forceDelete(FileUtils.java:2400)
...

play-api-sampleフォルダができているので、そのまま移動します。
~/xxx$ cd play-api-sample/
~/xxx/play-api-sample$ 

以降、カレントディレクトリを表す~/xxx/play-api-sampleの部分は省略します。
フォルダ・ファイル構成としては以下のようになっています。

$ tree
.
├── app
│   ├── controllers
│   │   └── HomeController.scala
│   └── views
│       ├── index.scala.html
│       └── main.scala.html
├── build.sbt
├── conf
│   ├── application.conf
│   ├── logback.xml
│   ├── messages
│   └── routes
├── project
│   ├── build.properties
│   └── plugins.sbt
├── public
│   ├── images
│   │   └── favicon.png
│   ├── javascripts
│   │   └── main.js
│   └── stylesheets
│       └── main.css
└── test
    └── controllers
        └── HomeControllerSpec.scala

11 directories, 14 files

###主要なフォルダ・ファイル
上記のフォルダ・ファイルの内、押さえておきたいものだけ説明します。
下記を含めた全体像を見たい場合は 公式ドキュメント で確認してください。

  • build.sbt: ビルドスクリプト
  • app: アプリケーションのソースフォルダ
  • conf: アプリケーションの設定ファイル用フォルダ
    • application.conf: スレッドプール、データベース、セキュリティなど、アプリケーションの基本的な設定ファイル
    • routes: HTTPメソッド、リクエストパスに応じたルーティング設定ファイル
  • project: sbt 設定ファイル群
    • build.properties: 使用する sbt のバージョンを宣言する指標的なファイル
    • plugins.sbt: Play 自身の定義を含む sbt プラグイン
  • test: 単体、および機能テスト用のソースフォルダ

##初回実行
一度この状態で起動してみます。
sbt runコマンドを実行し、ブラウザでlocalhost:9000にアクセスします。

$ sbt run

(中略)

--- (Running the application, auto-reloading is enabled) ---

[info] p.c.s.AkkaHttpServer - Listening for HTTP on /0:0:0:0:0:0:0:0:9000

(Server started, use Enter to stop and go back to the console...)

image.png

正常にアクセスできました。
Ctrl + C」でsbtを終了します。

この時点で一度コミットしておきます。
なお、コミットメッセージに日本語を使うと表記がずれる可能性がありますが、Gitに関しては今回の主題ではないため取り上げません。

$ git init
Initialized empty Git repository in /home/xxx/play-api-sample/.git/
$ git add .
$ git commit -m "初回インストール"
[master (root-commit) b5f3afb] 初回インストール
 19 files changed, 305 insertions(+)
...

##インポート(※IntelliJ IDEAを使用する場合のみ)
IntelliJをお使いの方は、以下の手順でプロジェクトをインポートしてください(お使いでない方はこの部分は飛ばしてください)。

① 「Import Project」を選択し、play-api-sampleフォルダを指定
無題.png

② 「Import Project from external model」からsbtを選択してNext
image.png
③ そのままFinish
image.png

##初期化
###バージョンの指定
Scala、sbt、Play Frameworkのバージョンが動作環境であげたものでなければ変更します。
基本的にインストールsbt newしたときに自動で設定されるバージョンをそのまま使っていますが、タイミングによってはより新しいバージョンでインストールされる可能性があります。
そのまま使っていただいても構いませんが、当記事で記述したコードに対する動作確認は取れていないため、その旨ご了承ください。

build.sbt
name := """play-api-sample"""
organization := "com.example"

version := "1.0-SNAPSHOT"

lazy val root = (project in file(".")).enablePlugins(PlayScala)

scalaVersion := "2.13.1"

libraryDependencies += guice
libraryDependencies += "org.scalatestplus.play" %% "scalatestplus-play" % "5.0.0" % Test
project/build.properties
sbt.version=1.3.8
project/plugins.sbt
addSbtPlugin("com.typesafe.play" % "sbt-plugin" % "2.8.0")
addSbtPlugin("org.foundweekends.giter8" % "sbt-giter8-scaffold" % "0.11.0")

###不要なファイルの削除
インストールした時点でサンプルコードがいくつか存在していますが、それらは今回使わないため削除します。

まず、ルーティングを初期化するためにconf/routesファイルの中身を空にします。

$ truncate -s0 conf/routes

次に、コントローラーのサンプルファイルとテストファイルを削除します。

$ rm ./app/controllers/HomeController.scala \
 ./test/controllers/HomeControllerSpec.scala

合わせて、Web APIには不要なフォルダを削除します。
/app/viewsフォルダはサーバーサイドレンダリングに使用するフォルダで、/publicフォルダは公開アセット(画像ファイル・CSS・JavaScriptなど)を格納するフォルダです。
どちらも今回は使用しないため削除します。

$ rm -r ./app/views ./public

#最初の開発
ここからソースを編集していきます。

まず最初に、/helloパスにGETでアクセスできるようにしてみます。

##テストコード実装
テストファーストの精神にのっとって、先にテストコードから書くことにします。
テストフレームワークにはScalaTestをPlayFramework用に統合したscalatestplus-playを使用しています。1
test/controllers配下にHelloControllerSpec.scalaを作成し、以下のように記述します。

$ touch ./test/controllers/HelloControllerSpec.scala
test/controllers/HelloControllerSpec.scala
package controllers

import org.scalatestplus.play._
import org.scalatestplus.play.guice._
import play.api.test._
import play.api.test.Helpers._

class HelloControllerSpec extends PlaySpec with GuiceOneAppPerTest {

  "HelloController GET" must {

    "「/hello」にGETメソッドでアクセスできる" in {
      val request  = FakeRequest(GET, "/hello")
      val response = route(app, request).get

      status(response) mustBe OK
    }
  }
}

FakeRequestオブジェクトを使うことで、HTTPメソッドとパスを指定して擬似的なリクエストを作成できます。
routeで、指定したパスの処理を呼びだしています。
statusで、レスポンスのHTTPステータスコードを取得しています。
OKは単なる数値の200を定数にしたもので、HTTPステータスコード200を表しています。
mustBeメソッドで両者が同じものかどうかをテストしています。
(参考:Testing your application with ScalaTest)

ここではとりあえず200が返ってきさえすれば良しとします。
sbt testでテストを実行してみます。

$ sbt test

(中略)

[info] HelloControllerSpec:
[info] HelloController GET

(※java9以降ではおそらくここでIllegal reflective accessの
 警告が出力されますが、本筋ではなく実害もないため省略します)

[info] - must 「/hello」にGETメソッドでアクセスできる *** FAILED ***
[info]   404 was not equal to 200 (HelloControllerSpec.scala:19)
[info] ScalaTest
[info] Run completed in 2 seconds, 264 milliseconds.
[info] Total number of tests run: 1
[info] Suites: completed 1, aborted 0
[info] Tests: succeeded 0, failed 1, canceled 0, ignored 0, pending 0
[info] *** 1 TEST FAILED ***


...

テストが失敗しました。
HTTPステータスが200ではなく404(NotFound)だと言われています。
このテストが通るように処理を記述します。

##プロダクションコード実装
/helloにアクセスできるよう、conf/routesを下記のように編集します。

conf/routes
GET     /hello                      controllers.HelloController.hello

左から順に、HTTPメソッドパスそのパスにそのHTTPメソッドでアクセスした際に呼び出されるScalaのメソッドです。2

パッケージはappフォルダ配下から始まるため、ここではapp/controllers/HelloController.scalahelloメソッドが呼び出されます。
なお、ここのパス名とメソッド名は一致していなくとも構いません。

app/controllers/helloメソッドを持つHelloController.scalaを作成し、最低限動くように以下の記述をします。

$ touch ./app/controllers/HelloController.scala
app/controllers/HelloController.scala
package controllers

import javax.inject.Inject
import play.api.mvc._

class HelloController @Inject() (cc: ControllerComponents)
    extends BaseControllerHelpers {

  override protected def controllerComponents: ControllerComponents = cc

  def hello(): Action[AnyContent] = {
    val actionBuilder: ActionBuilder[Request, AnyContent] =
      controllerComponents.actionBuilder

    actionBuilder.apply(new Status(200))
  }
}

Play FrameworkでControllerに指定するクラスは、BaseControllerHelpersトレイトを継承します。
BaseControllerHelpersトレイトを継承したクラスは、controllerComponentsメソッドを実装する必要があります。

Controller.scala
trait BaseControllerHelpers extends ControllerHelpers {

  protected def controllerComponents: ControllerComponents

(以下略)

controllerComponentsメソッドはControllerComponents型の値を返します。
HelloControllerクラスでは、 @Inject()(cc: ControllerComponents)でDIされたオブジェクトをそのまま返しています。3
参考: Dependency Injection

helloメソッドが、実際に/helloにGETでアクセスしたときに呼び出されるメソッドです。

app/controllers/HelloController.scala
  def hello(): Action[AnyContent] = {
    val actionBuilder: ActionBuilder[Request, AnyContent] =
      controllerComponents.actionBuilder

    actionBuilder.apply(new Status(200))
  }

conf/routesで指定されたメソッドは、 Action型の値を返す必要があります(そうでない場合コンパイルエラーになります)。
Action型の値を作るため、ActionBuilderトレイトのapplyメソッドを使用します。
ここでは、ControllerComponentsトレイトに定義されているactionBuilderメソッド経由でapplyメソッドを呼び出しています。

Controller.scala
trait ControllerComponents {
  def actionBuilder: ActionBuilder[Request, AnyContent]
  ...

controllerComponents.actionBuilderの部分は直接cc.actionBuilderと書くのと同じですが、後で少し加工するためにcontrollerComponentsメソッドを噛ませています。

new Status(200)でHTTPステータスコード200を生成しています。
このStatusクラスはResultクラスを継承しており、ActionBuilder#applyResult型の値からActionを生成します。

この状態で、一度テストを実行してみます。

なお、毎回sbt testと入力するとその度にsbtの起動から始まり時間がかかってしまうので、一度sbtシェルを立ち上げ、今後はこちらからテストを実行することとします。

$ sbt

(中略)

[play-api-sample] $ test

(中略)

[info] HelloControllerSpec:
[info] HelloController GET
(警告略)
[info] - must 「/hello」にGETメソッドでアクセスできる
[info] ScalaTest
[info] Run completed in 2 seconds, 157 milliseconds.
[info] Total number of tests run: 1
[info] Suites: completed 1, aborted 0
[info] Tests: succeeded 1, failed 0, canceled 0, ignored 0, pending 0
[info] All tests passed.
...

テストが成功した(HTTPステータスコード200が返ってきた)ことがわかります。

#冗長な部分の省略
実は先のHelloController.scalaは、説明用にかなり冗長に書いています。
なので、簡略化出来る部分を簡略化していきます。

##継承元の変更
継承元をBaseControllerHelpersトレイトからAbstractControllerクラスに変更します。
AbstractControllerクラスはBaseControllerトレイトを継承しており、BaseControllerトレイトがBaseControllerHelpersトレイトを継承しています。

Controller.scala
abstract class AbstractController(protected val controllerComponents: ControllerComponents) extends BaseController

trait BaseController extends BaseControllerHelpers {
...

AbstractControllerクラスは、抽象メソッドであるcontrollerComponentsメソッドを、controllerComponentsフィールド経由で実装しています。4

controllerComponentsフィールドは、HelloControllerクラスからDI経由で渡されています。
そのため、HelloControllerクラス内でcontrollerComponentsメソッドを実装する必要がなくなります。

##Actionメソッドの使用
BaseControllerトレイトには、controllerComponents.actionBuilderと同じ処理を行うActionという名前のメソッドが定義されています。

Controller.scala
trait BaseController extends BaseControllerHelpers {
  def Action: ActionBuilder[Request, AnyContent] = controllerComponents.actionBuilder
}

そのため、helloメソッドは、下記のように書き換えられます。

app/controllers/HelloController.scala
  def hello(): Action[AnyContent] = Action.apply(new Status(200))

ここで、左辺のAction[AnyContent]と右辺のActionが全く別物であることを理解しておいてください。
左は戻り値の型ですが、右は単なるcontrollerComponents.actionBuilderのラッパーメソッドです。

Scalaにおいてapplyメソッドは省略可能なので、合わせてそちらも省略します。

app/controllers/HelloController.scala
  def hello(): Action[AnyContent] = Action(new Status(200))

また、ステータスコード200は既にOkという定数オブジェクトがResults.scalaに定義されているため、そちらを使います。
200だけでなく、主要なステータスコードは全て定義されています。5

app/controllers/HelloController.scala
  def hello(): Action[AnyContent] = Action(Ok)

まとめると、`HelloController`は下記のように書き換えられます。
app/controllers/HelloController.scala
package controllers

import javax.inject.Inject
import play.api.mvc._

class HelloController @Inject() (cc: ControllerComponents)
    extends AbstractController(cc) {

  def hello(): Action[AnyContent] = Action(Ok)
}

sbtシェルでテストを再度実行し上記のコードでも動くことを確認します。

[play-api-sample] $ test

(中略)

[info] HelloControllerSpec:
[info] HelloController GET
(警告略)
[info] - must 「/hello」にGETメソッドでアクセスできる
[info] ScalaTest
[info] Run completed in 2 seconds, 247 milliseconds.
[info] Total number of tests run: 1
[info] Suites: completed 1, aborted 0
[info] Tests: succeeded 1, failed 0, canceled 0, ignored 0, pending 0
[info] All tests passed.
...

問題なく成功しました。
今後はこちらの書き方をベースに進めていきます。

この時点で一度コミットしておきます。
sbtシェルが立ち上がっているので、別のターミナルからコミットします。

$ cd ~/xxx/play-api-sample/
$ git add .
$ git commit -m  "「/hello」にGETメソッドでアクセスできる"
[master 9cfe817] 「/hello」にGETメソッドでアクセスできる
 11 files changed, 29 insertions(+), 110 deletions(-)
...

これで、Play Frameworkを通してWeb APIにアクセスすることが出来るようになりました。

#レスポンスの指定
##文字列の取得
先程の処理ではHTTPステータスコードだけを指定していましたが、実際にはそれ以外にも何かしらのレスポンス(htmlやjsonなど)が返ってくるのを期待すると思います。
まずは、恒例の"Hello World"文字列を取得できるようにします。

###テストコード実装
HelloControllerSpecクラスのテストメソッドを、下記のように編集します。

test/controllers/HelloControllerSpec.scala
package controllers

import org.scalatestplus.play._
import org.scalatestplus.play.guice._
import play.api.test.Helpers._
import play.api.test._

class HelloControllerSpec extends PlaySpec with GuiceOneAppPerTest {

  "HelloController GET" must {

    "「/hello」にGETメソッドでアクセスすると「Hello World」が返る" in {
      val request  = FakeRequest(GET, "/hello")
      val response = route(app, request).get

      status(response) mustBe OK
      contentType(response) mustBe Some("text/plain")
      contentAsString(response) mustBe "Hello World"
    }
  }
}

ステータスコードだけでなく、Content-Typeと中身の文字列(レスポンスボディ)もテストするようにしました。
この状態で実行すると、下記のように失敗します。

[play-api-sample] $ test

(中略)

[info] HelloControllerSpec:
[info] HelloController GET
(警告略)
[info] - must 「/hello」にGETメソッドでアクセスすると「Hello World」が返る *** FAILED ***
[info]   None was not equal to Some("text/plain") (HelloControllerSpec.scala:17)
[info] ScalaTest
[info] Run completed in 2 seconds, 174 milliseconds.
[info] Total number of tests run: 1
[info] Suites: completed 1, aborted 0
[info] Tests: succeeded 0, failed 1, canceled 0, ignored 0, pending 0
[info] *** 1 TEST FAILED ***
...

中身の文字列以前に、Content-Typeが指定されていないために失敗していることがわかります。

###プロダクションコード実装
テストが通るよう、HelloControllerクラスを編集します。

app/controllers/HelloController.scala
package controllers

import javax.inject.Inject
import play.api.mvc._

class HelloController @Inject() (cc: ControllerComponents)
    extends AbstractController(cc) {

  def hello(): Action[AnyContent] = {
    val result: Result = Ok("Hello World")
    Action(result.as("text/plain"))
  }
}

先ほどと違い、Okオブジェクトに"Hello World"という文字列を渡しています。6
さらに、Result#asメソッドによってContent-Typeを指定した上で、Actionを生成しています。

この状態でテストが通るかどうか確認してみます。

[play-api-sample] $ test

(中略)

[info] HelloControllerSpec:
[info] HelloController GET
(警告略)
[info] - must 「/hello」にGETメソッドでアクセスすると「Hello World」が返る
[info] ScalaTest
[info] Run completed in 2 seconds, 195 milliseconds.
[info] Total number of tests run: 1
[info] Suites: completed 1, aborted 0
[info] Tests: succeeded 1, failed 0, canceled 0, ignored 0, pending 0
[info] All tests passed.
...

無事通りました。
Content-Typeがtext/plainであること、およびレスポンスボディが"Hello World"だったことが確認できました。

なお、実はレスポンスのContent-Typeは、レスポンスボディとして指定された値から自動的に推論されます。
そのため、as("text/plain")の部分は省略可能です。

app/controllers/HelloController.scala
package controllers

import javax.inject.Inject
import play.api.mvc._

class HelloController @Inject() (cc: ControllerComponents)
    extends AbstractController(cc) {

  def hello(): Action[AnyContent] = Action(Ok("Hello World"))
}
[play-api-sample] $ test

(中略)

[info] HelloControllerSpec:
[info] HelloController GET
(警告略)
[info] - must 「/hello」にGETメソッドでアクセスすると「Hello World」が返る
[info] ScalaTest
[info] Run completed in 2 seconds, 152 milliseconds.
[info] Total number of tests run: 1
[info] Suites: completed 1, aborted 0
[info] Tests: succeeded 1, failed 0, canceled 0, ignored 0, pending 0
[info] All tests passed.
...

##JSONの取得
昨今のWebサイトはSPA + Web APIで構成されることも増え、その場合Web API側はJSONを返すことが多いかと思います。
/helloにPOSTメソッドでアクセスしたときはJSON(今回は固定値)が返ってくるようにしてみます。

###テストコード実装
HelloControllerSpecに新たなテストを追加します。

test/controllers/HelloControllerSpec.scala
package controllers

import org.scalatestplus.play._
import org.scalatestplus.play.guice._
import play.api.libs.json.Json
import play.api.test.Helpers._
import play.api.test._

class HelloControllerSpec extends PlaySpec with GuiceOneAppPerTest {

  "HelloController GET" must {

    "「/hello」にGETメソッドでアクセスすると「Hello World」が返る" in {
      val request  = FakeRequest(GET, "/hello")
      val response = route(app, request).get

      status(response) mustBe OK
      contentType(response) mustBe Some("text/plain")
      contentAsString(response) mustBe "Hello World"
    }
  }

  "HelloController POST" must {

    "「/hello」にPOSTメソッドでアクセスするとJsonが返る" in {
      val request  = FakeRequest(POST, "/hello")
      val response = route(app, request).get

      status(response) mustBe OK
      contentType(response) mustBe Some("application/json")
      contentAsJson(response) mustBe Json.obj(
        "hello"    -> "world",
        "language" -> "scala"
      )
    }
  }
}

「/hello」にPOSTメソッドでアクセスするとJSONが返る というテストを追加しました。
JSONなのでContent-Typeはapplication/jsonとなるはずです。
返ってくるJSONの中身については今回は固定値とします。

JSONを扱うために、今回はplay.api.libs.jsonのJSON用ライブラリを使います。
Json.objメソッドを使い、JSONに変換可能なオブジェクト(JsValue)を生成します。
また、レスポンスボディにcontentAsJsonメソッドを適用することで、レスポンスボディから同じJSON用オブジェクトを生成します。

テストを実行すると、JSON以前に/helloにPOSTメソッドでアクセスした際のルーティングが指定されてないと言われます。

[play-api-sample] $ test

(中略)

[info] HelloControllerSpec:
[info] HelloController GET
(警告略)
[info] - must 「/hello」にGETメソッドでアクセスすると「Hello World」が返る
[info] HelloController POST
[info] - must 「/hello」にPOSTメソッドでアクセスするとJsonが返る *** FAILED ***
[info]   404 was not equal to 200 (HelloControllerSpec.scala:29)
[info] ScalaTest
[info] Run completed in 2 seconds, 286 milliseconds.
[info] Total number of tests run: 2
[info] Suites: completed 1, aborted 0
[info] Tests: succeeded 1, failed 1, canceled 0, ignored 0, pending 0
[info] *** 1 TEST FAILED ***
...

###プロダクションコード実装
conf/routesに、/helloにPOSTメソッドでアクセスした際のルーティング先を記述します。
ここでは、HelloControllerのhelloJsonメソッドに紐付けることにします。

GET     /hello                      controllers.HelloController.hello
POST    /hello                      controllers.HelloController.helloJson

HelloControllerにhelloJsonメソッドを追加します。

app/controllers/HelloController.scala
package controllers

import javax.inject.Inject
import play.api.libs.json._
import play.api.mvc._

class HelloController @Inject() (cc: ControllerComponents)
    extends AbstractController(cc) {

  def hello(): Action[AnyContent] = Action(Ok("Hello World"))

  def helloJson(): Action[AnyContent] = Action {
    val json: JsValue =
      Json.obj("hello" -> "world", "language" -> "scala")

    Ok(json)
  }
}

テストコードと同様に固定値のJSONを返しています。
Content-Typeの記載はありませんが、レスポンスボディがJsValue型の値の場合は自動的にapplication/jsonが推論されます。

なお、ここではActionの引数としてResult型を返すブロック式を渡しています。
これまでのようにブロック式の最後でAction(Ok(json))としても良いのですが、OkNotFoundのようなステータスと比べ最後にActionで包むのは半ば規定事項のため、このように引数部分だけをブロック式にした方がスッキリします。
今後は基本的にこの書き方で進めていきます。

この状態でテストを実行してみます。

[play-api-sample] $ test

(中略)

[info] HelloControllerSpec:
[info] HelloController GET
(警告略)
[info] - must 「/hello」にGETメソッドでアクセスすると「Hello World」が返る
[info] HelloController POST
[info] - must 「/hello」にPOSTメソッドでアクセスするとJsonが返る
[info] ScalaTest
[info] Run completed in 2 seconds, 246 milliseconds.
[info] Total number of tests run: 2
[info] Suites: completed 1, aborted 0
[info] Tests: succeeded 2, failed 0, canceled 0, ignored 0, pending 0
[info] All tests passed.
...

無事、JSONを取得することが出来ました。

###HTTPieによる確認
値がちゃんとJSONになっているかどうか確かめるために、テストではなく実際に動かしてみます。
sbtシェルでrunコマンドを実行します。

[play-api-sample] $ run

--- (Running the application, auto-reloading is enabled) ---

[info] p.c.s.AkkaHttpServer - Listening for HTTP on /0:0:0:0:0:0:0:0:9000

(Server started, use Enter to stop and go back to the console...)

別のターミナルを立ち上げ、HTTPieを使って実験します。7

まず下記のようにURLのみ指定した場合、デフォルトでGETメソッドとしてリクエストされます。

$ http localhost:9000/hello
HTTP/1.1 200 OK
Content-Length: 11
Content-Type: text/plain; charset=UTF-8

(中略)

Hello World

sbtシェルでテストした場合と同じく、レスポンスボディにHello Worldが取得できていることがわかります。

次に、POSTメソッドでアクセスしてみます。

$ http POST localhost:9000/hello
HTTP/1.1 200 OK
Content-Length: 36
Content-Type: application/json

(中略)

{
    "hello": "world",
    "language": "scala"
}
...

レスポンスボディがJSON形式で返ってきていることが確認できました。

ここまでの成果を、一度コミットしておきます。

$ git add .
$ git commit -m "「/hello」にGETとPOSTでアクセスできる"
[master 3202dc6] 「/hello」にGETとPOSTでアクセスできる
 3 files changed, 26 insertions(+), 4 deletions(-)

#最後に
とりあえず今回までで、指定のURLにリクエストを送信し、レスポンスを取得することはできました。
とはいえ、まだ現時点ではパラメータを渡したり、DBに接続してもいないので、実用性は皆無と言えます。
今後はそういった点を一つずつ実装していこうと思います。

また、現時点のソースをGitHubに上げてあります。
こちらも今後の実装に伴い都度更新していく予定です。
https://github.com/ka2kamaboko/play-api-sample.git

最後までお読み頂きありがとうございました。
質問や不備についてはコメント欄かTwitterまでお願いします。

  1. 最初にPlayFrameworkをインストールした時点で既にbuild.sbtに依存性が追加されています。

  2. それぞれの項目が離れているのは単に今後ルーティングが増えた際に見た目を揃えるためだけです。最低空白が1つあれば動作上は問題ありません。

  3. DI自体の説明は やはりあなた方のDependency Injectionはまちがっている。 がわかりやすかったです。

  4. scalaの(private[this]でない)フィールドは実際はメソッド呼び出しなので、こういった記法が可能です。(参考: Scalaのvalとvarとdef)

  5. このOkオブジェクトはHelloControllerSpecに出てきた定数OKとは別物です。後者は単なる数値型で、前者は後者をフィールドに持つStatusクラスのインスタンスです。

  6. これは実際にはOk.apply("Hello World")の略記法です。

  7. curlコマンドでも構いません。

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