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建設とITの類似性の考察

Last updated at Posted at 2022-12-06

ITではエンジニアのことをDeveloperと言いますが、建設業者のこともDeveloperと言います。
なんとなくオフィスの中でパソコンとにらみ合う仕事と、かたや青空のもとで動き回る仕事と、イメージはかけ離れている中で、英語の呼び方が一緒というのは、意外な共通点ではないでしょうか。(ぼくは気づいたときに意外だと思いました)
Developはとても古い単語なので、ITエンジニアのことよりもずっと昔から、建設業者に用いられていたと思います。

建設業の中には施工管理という領域があります。施工とは工事を実施することで、施工を管理するから、施工管理です。
業務内容はIT業界で言うところの、広義のプロジェクト管理ととても近いと思います。

施工管理は大きくわけるとこの様に分類できます。

  • 原価管理
  • 工程管理
  • 品質管理
  • 安全管理

安全管理は建設業ならではですが、それ以外はほとんど同じことをIT業界でもやっています。

呼び名も同じで、管理方法も似ている業界なので、特にプロジェクト管理の部分の類似性について考察を行っていきたいと思います。

原価管理

お見積りの業務のことを原価管理といいます。
案件に応じて、工数見積を行って人工(ITの人日と同じ)で計算したり、水道管の長さで計算したりします。この積み上げの作業を積算と言って、ITの工数見積もりに似ています。
開発工数のバラつきは少ないためだと思いますが、ボトムアップ型の見積もりになっています。
ITと同じように、工数が読みにくいトンネルや橋などの難工事は、別の見積もり手法が用いられているかもしれません。

エンドに提示する見積もりは、原価に対して一定のマージンを乗せる方法が主流です。こちらもITとよくにています。
受注側がリスクをとる、請負契約(建築請負契約)が多いです。調査したことはないですが、ITだと発注側がリスクをとるほうが多い印象です。

建設は請負契約から引き渡しまで、半年〜1年は平気でかかる業界ですが、部材(建材・建具など)は必要なタイミングで都度発注します。通常は請負契約直後に部材を押さえるということはしません。場所も取りますし途中でお施主様からの仕様変更もありますし、そのあたりの効率やリスクヘッジを考えてこのやり方になっているものと推察します。
請負契約では、契約時に金額まで確定するので、引き渡しまでの半年〜1年の間に部材の価格が急速に値上がりした場合(直近2022年がまさにそう)、赤字工事になります。
受注側が赤字を引き受けて請負金額のまま引き渡しまで行うケースと、どうしても差額が大きい場合は施主に追加費用のご相談をするケースがあります。

ITの場合は、当初の見積もり以上に工数がかかって赤字プロジェクトということが多いと思います。
住宅の工事は工数が大きくずれるということは少ないですが、橋やトンネルのような難工事ではありえます。

工事は金額が大きいので、この原価管理で失敗すると、「忙しく仕事しているが何故か利益が残らない」ということにも繋がります。とても大切な業務です。

似ていないところは、関係する専門職の種類です。1つの住宅を建設するときには30業種(工種とも。専門用語です。職人さんの種類だと思ってください。)と多様な職人さんが関係してきます。ITと比べて圧倒的に多いです。
それもあるのか、ITでは原価管理のための特別なシステムはあまりありませんが、建設業では原価管理のための特別なシステムが多数存在します。

工程管理

工程管理はITと全く同じ呼び方ですね。利用される帳票もガントチャートになります。
ガントチャートもWikipediaによると、ダムや高速道路で使われたとのことで、もともとは建設領域で使われていたもののようです。
ITとの違いは以下のようになります。

  • 人だけでなくモノや重機のアサインも管理が必要
  • 移動時間も重要な要素
    • Aさんが1日で3現場回れるなら、1日で3プロジェクトに登場できます。
  • 工種が多岐にわたる
    • 一度パスが乱れるとかなり複雑な予定調整が必要になります
    • そのため、工程管理は手配、差配に多くの時間を割く業務といえます。

このあたりの業務は、ITで解決できる事が多いですが、利用者側にもITリテラシーが求められるという制約があります。
IT業界向けのプロジェクト管理は、利用者が高いITリテラシーを持っていることもあって、IT業界以外が使うことが出来ないサービスが多く、ガラパゴス化してきています。

機能だけ見ると、BacklogやAsanaなどのプロジェクト管理ツールは、ほとんどそのまま建設業でも利用可能です。実際に海外ではAsanaを建設業の用途で利用しているケースがあるようです。
海外サービスは日本語訳がわかりにくいこともあり、ITリテラシーが低い人にはまだまだ使うのが難しいサービスだと思います。

わたしは車輪の再発明をしたくないと常々思っていますが、ITと建設業は共通点が多いため、いずれ全く同じプロジェクト管理ツールが使われることになると思っています。

プロジェクト管理ツールに携わられている方で、同じ考えをお持ちの方は、ぜひ情報交換を行いましょう!

品質管理

ITで言えば、単体テストや結合テストやテストコードや自動化テストやいろいろありますが、こちらも似ています。
品質をチェックするためのチェックリストがあり、工程に応じてチェックを行い、記録を残します。

パネル工法やプレキャストコンクリートやプレハブ工法など、工場で製造して、運んで、現場で組み立てるケースは、工場で単体テストを実施して、現場で結合テストをするイメージになります。
場合によっては工場の中で一度完全に組み立てのテストまでやってから、再度バラして現場で組み立てるようなこともするので、テスト環境やステージング環境で結合テストをやってから本番リリースをするのにも似ています。

安全管理

建設では安全管理がとても大切な業務です。
決められた手順で行っているか、衛生環境は清潔に保たれているか、健康やストレスはどうか、といったことをしっかり管理します。
それこそ人命に関わってくるので、安全管理者の選任や配置に関する条件は、法律で定められています。

ITでは安全管理はあまり言われることはありません。通常の労務管理以上には特段規制もありません。
それでも、過労などの問題も起きがちな業界ではあるので、建設から学ぶことはまだまだたくさんあるのかもしれません。

まとめ

  • ITと建設業界はDeveloper仲間。呼び方もやってることも実は似ている。
  • 建設業界のほうが古く、IT業界はまだまだ学ぶことは多い。
  • 工程管理のはIT業界が優れたサービスを利用している。将来はITも建設業も同じシステムを使えたら良いな

類似性の高い建設業界とIT業界が、もっと近くなるともっと面白い相乗効果があると思っています。

弊社マイホムは、テックドリブンで住宅業界をより良くしていきたいと思っています。
優れたエンジニアと優れた住宅業界出身者が集まって、ユーザーファーストの良いチームが作れているので、ご興味をお持ちの方はぜひ遊びに来てください。

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