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Adventurer4 メッシュキャリブレーションがうまく動かない

Last updated at Posted at 2022-03-15

はじめに

2か月ほど前に入手したFlashforge Adventurer4ですが、運用する中でうまく印刷できないケースに遭遇しました。
かなり時間をかけて検証作業をしたので、その知見をインターネットに還元したく、記事に起こそうと思います!

なお、完全な解決には至っていません。
情報あれば追記していこうと思います。

Adventurer4の特徴・選定理由

初の3DP導入ということで、まずは10万前後のラインから試験することになりました。
そこで私がAdventurer4を選定した理由、他機種と差別化ポイントされている部分について触れていきます。

  • 20cm四方以上の造形ができること
  • 筐体で覆われていること
  • ヒートベッド機能を搭載していること
  • キャリブレーション機能が搭載されており、多少の建付け悪さを校正できること
  • 国内に代理店があり、アフターサポートが期待できる

一旦スマホを内蔵したプロダクトの完成を目指していたため、それを出力できる造形サイズを有していることは必須でした。
そこからいろいろ身近に使える治具や小物を作り、3Dプリンタへの理解を進めていこうという方針です。

メッシュキャリブレーションとは

大型造形するには、位置決め精度や制御よりも3Dプリンタ自体の組付け精度が求められます。その点、Adventurer4のようなプラスチック筐体で水平調整機構のない機種には厳しいはずです。
そこで、多少の建付け悪さも補正できる、魔法の仕組み。メッシュキャリブレーションです。
当該機能の名称表記は公式内でもぶれており、以下の言葉で表現されています。

  • インテリジェントレベリングシステム
  • メッシュキャリブレーション
  • 9点校正
  • 「校正」-「基本モード」(Adventurer4本体画面での表記)

image.png

大きな造形物を印刷してみた

Adventurer4が到着してから2週間ほどは3DBenchyのタグボード等、スライス設定の実験を行うために小さな造形物ばかり出力していました。
ノズル温度や冷却ファンなどのプロファイルを調整し、出力精度と強度のバランスが取れたところで、いざ大きいモデル!
プラットフォーム幅いっぱい使うモデルを印刷してみると・・・

IMG_20220131_182212.jpg
こんなことになっちゃいました・・・1層目です。。。
右手の方はノズルクリアランスが足りずに薄く、左手はクリアランスが広すぎてプラットフォームに乗ってるだけという状態です。
また、中央より右手に行くとノズルとプラットフォームが接触し、ノズルが押し付けられることでフィラメントが吐出せず、エクストルーダーがガタガタと脱調し始めます・・・

この時のメッシュキャリブレーションの校正値はこんな感じです。
image.png

ちなみにファームウェアは、2022/2/22現在最新の、V2.0.9-2.1です。

校正で右側だけ上げてみる

ノズルがプラットフォームに接触するなら、校正で右側だけ上げたらいいよね!
そう考えて、右側の校正値を0.3上げてみました。
image.png
※校正作業時、数値を正の方向に変えるとノズルが上にあがります

結果。。。

左手から右手の方に印刷が進んでゆき…
中央を超えたあたりで、左右の軸がひどい音を出して脱調しました…
右手に行くにつれノズルを上げる校正にしたはずが、右手に行くと下に下がり、ヘッドが動かなくなるほどプラットフォームに押し付けられたのです。。。

怖くなり速攻電源を切り、焦った僕は写真を撮り忘れました…

サポートに問い合わせてみた

これまでの現象を報告したところ、サポートからの回答概要はこんな感じ

  • 再度校正を実施してください
    • ただし、付属のキャリブレーションカードは薄すぎるので、コピー用紙2枚で
  • ノズルを上に補正したい場合は、正の方向に補正で合っている
  • 9点校正には バイリニア補間法 を用いている
    • 4点ので囲まれた領域ごとに平均を出して調整するため、サポートでは使用を推奨していない
    • また、校正品質にばらつきがあり、また調整に時間がかかるため

うーん。。。そうじゃない。
ノズルが動かなくなるほどということは、0.2mm以上の単位で精度がないということです。校正品質の問題ではない。
何度も実験しましたが、校正結果のばらつきはそれほどありません。

再び実験。

バイリニア補間法を用いているというあたりから考察すると、以下のことが分かります。

  • 多少のひねりであれば、校正することができる
    • プラットフォームのひねりがひどいと、線形補間で対応しきれない(計測点と計測点の中間でずれが大きくなる)
    • ただし、Adventurer4のプラットフォームの品質はかなり高く、歪み・ひねり・凸凹は見られない
  • プラットフォーム平面(XY平面)とZ軸の直交校正には使える(はず!)
    • そして今回の問題の原因は、この直交が出ていないことによるはず

サポートの回答、理屈から考えると、メッシュキャリブレーションで対応できるはずです。

そもそも、XY平面とZ軸の直交はちゃんと出ているのか、データを取ってみました。
9点すべての校正値を-1.6に設定すると、校正がない状態のノズルクリアランスが見られるはずです。
この設定で、シックネスゲージを用いて9点それぞれのクリアランスを計測しました。
image.png

このデータから、左端に比べて右端が0.4mm下がっていることが分かります。
若干前後方向の傾きや、ねじれも見られるように思いますが、印刷結果を見るに大きな影響は出ていないようです。

最後まで印刷できたとしても、右と左で0.4mm高さが違うことになります…

改善策の検討

ノズルを上げるように校正した結果、印刷時にはノズルが下がり、プラットフォームに衝突する結果となりました。
これはどう考えてもバグだと思うのですが、、、
サポートに問い合わせもしているのですが、建設的な回答は得られていません。未公開のテストファームも頂きましたが、改善は見られませんでした。
精度の問題でもなく、上に上げたら下に下がる動作をするので、ハードの問題ではなくソフトのバグです。。。

ただ、Adventurer4の構造を見ると、物理解決できる気もします。
プラットフォームとY軸ガイドは、六角ボルトで固定されているだけのようです。
右側のY軸ガイドとプラットフォームの間に、0.4mm程度のシートを挟むだけで解決する可能性もあります。
(保証も残ってる中で自力改造するのは怖いので、まだチャレンジしていません…)

小さいものを造形する分には問題ないので、しばらくはこのまま運用しようと思います。

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