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xlwingsを使ってPythonからExcel VBAマクロを呼び出す

Last updated at Posted at 2020-05-25

xlwingsのUDFの実用的な使い方として、PythonからExcel VBAマクロを呼び出す方法を説明します。「xlwingsとは何ぞや?」という方には、PythonのインストールからxlwingsのUDFの基本的な使い方までを以下で投稿していますので、そちらをご覧ください。
VBAユーザーのためのPython入門 ~xlwingsでExcelからPythonを呼び出す~

1. 背景

脱Excel VBAを目指してPythonで社内EUCツールを作り始めたとしても、社内には先人たちが作ったExcel VBAツールが山のようにあり、それらも使用しなければならないということがあると思います。VBAが嫌いだからと言って捨てる訳にも行かず、いっそのことPythonで書き直そうかと思っても忙しいし量が多くてそれもできず。結局はVBAからは逃れられないのかと頭を抱えます。

そして、一連の作業で複数のExcel VBAツールを使う場合は、たいてい都度ファイルを開きマクロを実行して、終わったら次のファイルという流れになるかと。じゃあ、自動的にVBAマクロを次々と実行するプログラムをVBAで作ればいいじゃんとなるかもしれません。

いや、やっぱり止めましょうVBA。それ、Pythonでできますから。

本記事では、PythonからExcel VBAマクロを実行する方法を説明します。この方法なら、既存のVBA資産を活かしつつ、Pythonで快適にコーディングできるようになります。

2. 環境

以下の環境で試しています。

  • OS: Windows 10 version 1909
  • Python: version 3.7.5
  • xlwings: version 0.18.0
  • エディター: VSCode version 1.45.1 & Python拡張機能 version 2020.5.80290

3. 基本

公式ドキュメント(Python API)を参考に、PythonからExcel VBAマクロを呼び出してみましょう。

適当なフォルダーで、VBA_example.xlsmというファイルを作成し、Alt+F11でVBAエディターを開きます。適当なモジュール(とりあえずModule1とします)を追加し、以下を記述します。

VBA_example.xlsm!Module1
Sub hello_VBA()
    MsgBox "Hello VBA from Python."
End Sub

次に、同じフォルダーをVisual Studio Codeで開き、call_VBA.ipynbというファイルを作成します。call_VBA.ipynbで以下を(できれば一行ずつ)実行します。

call_VBA.ipynb
import xlwings as xw             # 1. xlwingsをインポート
wb = xw.Book('VBA_example.xlsm') # 2. ブックを開く
macro = wb.macro('hello_VBA')    # 3. マクロを取得
macro()                          # 4. マクロを実行

コードの説明すると、

  1. xlwingsをインポートします。as xwとしていますので、以下xwでxlwingsを呼び出します。
  2. 同じフォルダーにあるブックならxw.Bookで開けます。
  3. ブック内のマクロhello_VBAを変数macroに格納します。VBAユーザーだとここで??となるかもしれませんが、Pythonは関数も変数に格納することができます。
  4. macroを実行します。VBAだとCall macroとかになるかもしれませんが、Callは不要です。引数が必要なマクロの場合は、括弧内に引数を入れます。

となります。

これをVSCodeで実行中の画面は以下のとおりです:
ipynb実行画面.png

最後のセルを実行したとき止まりますが、Excelのウィンドウをアクティブにすると、次の画面が表示されます:
Hello VBA.png

ちゃんとVBAマクロが実行されてますね。

4. 応用(VBAマクロの連続実行)

UDFを使った実用的な例です。あるExcelファイルのボタンから、他のExcelファイルのVBAマクロを連続で実行できるようにしてみます。

適当なフォルダーでVBA_caller.xlsmを作成します。ワークシートの内容は次のようにします:
VBA_caller.png

  • シート名はVBA_caller
  • テーブルT.VBA_callerを作成(ホームタブのテーブルとして書式設定から。場所はどこでもOK。)
  • テーブルには列フォルダーファイルマクロを含むこと。

Alt+F11でVBAエディターの画面を開き、参照設定でxlwingにチェックを入れます。Module1を作成し、以下を貼り付けます:

VBA_caller.xlsm!Module1
Sub main()
  Dim rg_target As Range
  Set rg_target = Worksheets("VBA_caller").ListObjects("T.VBA_caller").Range
  
  Application.DisplayAlerts = False
  var_log = xlwings_udfs.call_vba(rg_target)
  Application.DisplayAlerts = True
End Sub

Pythonのスクリプトを準備します。同じフォルダーに以下の内容のファイルVBA_caller.pyを作成します。

VBA_caller.py
import os
from pathlib import Path

import numpy as np
import pandas as pd
import xlwings as xw


os.chdir(Path(__file__).parent.absolute().resolve())

@xw.sub
@xw.arg('df_target', pd.DataFrame, index=False, header=True)
def call_vba(df_target: pd.DataFrame):

    def call_vba_single(row):
        #設定読み込み
        wb_path, wb_name, macro_name = row['フォルダー'], row['ファイル'], row['マクロ']

        #マクロ実行用Excelインスタンス生成し、ブックを開く
        app = xw.apps.add()
        xl_path  = (Path() / wb_path / wb_name).resolve()
        wb = app.books.open(str(xl_path))

        #マクロ実行
        app.display_alerts = False #マクロ実行中に、Excelから「別のプログラムでOLEの操作が完了するまで待機します。」というメッセージが表示され、実行が止まるため
        wb.macro(macro_name)()
        app.display_alerts = False #呼び出し先でTrueに戻されることがあるので、再びFalseに設定

        #ブックを保存し、マクロ実行用ExcelインスタンスをKill
        wb.save() 
        wb.close()
        app.kill()

    for _, row in df_target.iterrows():
        call_vba_single(row)

@xw.sub
def kill_excel():
    os.system('taskkill /f /im excel.exe')

#デバッグ用
if __name__ == '__main__':
    xw.serve()

VBA_caller.py作成後、VBA_caller.xlsmに戻り、xlwingsタブのImport Functionsボタンを押し、VBA_caller.pyの内容をUDFとして取り込みます。これで、呼び出し元の準備は終了です。

実験用に、呼び出し先のExcelファイルも準備してみましょう。

フォルダー構成
┌example1
│ └example1.xlsm
├example2
│ ├example2.xlsm
│ └example3
│   └example3.xlsm
├VBA_caller.py
└VBA_caller.xlsm

example1.xlsmexample3.xlsmには標準モジュールに以下を保存しておきます:

example1.slsm~example3.xlsm!Module1
'プロシージャ‐名とMsgBoxの文字列は適宜変更
Sub example1()
    MsgBox "example1"
End Sub

これで準備ができました。

実行してみます。VBA_caller.xlsmAlt+F8を押し、mainを選択し、実行ボタンを押します。新しいExcelインスタンスでexample1.xlsmが開き、メッセージボックスにexample1と表示されれば成功です。OKボタンを押すと、example2.xlsm、example3.xlsmのマクロが次々実行されます。

5. さらに応用(VBAマクロの同時連続実行)

ここまでの内容なら、VBAでもほぼ同じことができます。しかし、VBA_caller.pyを少し書き換えると、複数マクロの同時実行もできるようになります。

修正その1: imoprt文の最後に以下を追加します。

VBA_caller.py
import joblib

修正その2: 以下のforループを削除し、

VBA_caller.py
    for _, row in df_target.iterrows():
        call_vba_single(row)

joblibを使った呼び出しに変更します。

VBA_caller.py
    joblib.Parallel(n_jobs=-1, verbose=10)([
        joblib.delayed(call_vba_single)(row) for _, row in df_target.iterrows()
    ])

修正(?)その3: (2までで上手く行かなかったら試してください)xlwingsタブのInterpreterにpython.exeのパスを入力します。Anacondaをデフォルト設定でインストールしていれば、C:\ProgramData\Anaconda3\python.exeになります。

VBA_caller.xlsmに戻り、再度Alt+F8からmainを実行してみましょう。今度は複数のExcelが同時に立ち上がり、マクロが同時実行されます。これはVBAには(たぶん)できないことであり、複数のマクロを同時実行することで、全体の処理時間を短くすることができます。

joblibはPythonで簡単に並列処理をできるようにするためのライブラリーで、詳しい説明はこちらなどをご覧ください。

おわりに

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今回は基本的な使い方ということで、引数が必要になるようなVBAマクロの呼び出しについては書きませんでしたが、必要でしたらその旨コメントいただければと思います。

参考

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