はじめに
本記事では、ArcGIS onlineのMap viewer classic及びMap viewer において、外部にて作成したベクトルタイルを表示したいと思います。
こちらの記事を参考にさせていただいています。
使用した素材
使用するベクトルタイルとスタイルはこちらの記事で作成したものです。
以前に作成した地図はこちらから見られます。
参考記事の解説
参照記事において、さらに参考とされている記事はこちらです。
概要は以下のとおりです。
・VectorTileServerというフォルダの下にタイル情報を記載したindex.jsonを置くこと
・スタイルファイルはMapboxの仕様に従い、
/VectorTileServer/resources/styles/root.jsonに置かれる必要があること
・ArcGIS Online (AGOL)もしくは Portal に"tile layer"として登録すること。こちらが例です。
・Esriの標準ベースマップと該当ベクトルタイルレイヤを組み合わせたWeb地図も作成できること。こちらが例です。
・ArcGIS Online (AGOL)に"tile layer"を登録する方法は、new web mapをクリックし、「Add > Add Layer from Web」として、「ArcGIS Server Web Service」を選び、URLにVectorTileServerフォルダのURLを記載する。
・ArcGIS Online (AGOL)に"tile layer"をitemとして追加するためには、Save Layerとする。
・ArcGIS Online (AGOL)にベクトルタイルレイヤをitemとして直接加えることは出来ない。なぜなら、GeoServices REST API specに不備があるから。
・tile layer と web map のitemがコンテンツセクションに表示される。（Web mapも作成出来るとのことですが、私が試したところできませんでした。なぜだか不明です。）
ArcGIS REST API（ArcGIS ServerのAPI）
ArcGIS Online (AGOL)はベクトルタイルをそのまま参照出来ないため、ArcGIS REST APIを使用する必要があります。後述されるように、ArcGIS Onlineは、ArcGIS Server でホストされたサービスと通信します。
VectorTileServerを返すサーバを作成します。
関連する文書の概要以下のとおりです。
Vector Tile Service
VectorTileServerの下にindex.jsonを置きます。タイル情報、空間参照、範囲などを記載します。
Vector Tile
URLは以下の通りです。
VectorTileServer/tile/<level>/<row>/<column>.pbf
levelはz、rowはx（東方向）、columnはy（南方向）に対応します。
タイルが見つからない場合は、404 (Not found)を返します。
Vector Tile Style
VectorTileServer/resources/styleにファイルを置きます。Mapbox version8のスタイルを返します。sprite と glyphs(フォント)の相対パスを含むとありますが、絶対パスでも大丈夫なようです。
Vector Tile Font
以下にフォントファイルを置きます。
VectorTileServer/resources/fonts/<fontstack>/<range>.pbf
実際にはstyleファイルでパスを定義しているのだと思います。
Vector Tile Sprite
以下にspriteファイルを置きます。
VectorTileServer/resources/sprites/sprite.json
こちらも実際にはstyleファイルでパスを定義しているのだと思います。
Vector Tile Resource Info
VectorTileServer/resources/info
でリソースの場所を返します。参照ページではfontとspriteのパスをリストしていますが、なくても良いようです。
Vector Tilemap
サーバに存在しないタイルのリクエストを避けるためのものです。
[<node>,<node>,<node>,<node>]の形式で順序は NW, NE, SW, SE です。
•1: 子ノードを持たないタイル（リーフタイルと呼ばれる）。
•0: タイルが存在しない
•2: 異なるインデックスファイルで定義されたサブツリー（インデックスが大きくなりすぎるのを防ぐため）。
2は良く分かりません。
{"index":[[1,0,1,1],0,0,0]}
これはLOD1を表します。
[1,0,1,1]が北西(NW)、その他の0はNE, SW, SEを表します。
[1,0,1,1]はLOD2の北西 (NW)、北東 (NE)、南西 (SW)、南東 (SE) を表します。
この情報により、クライアントは存在しないタイル（０のノード）をリクエストせず、無駄なデータ転送を回避できます。
コードの解説
こちらのコードを参考にさせていただいています。自身で修正したコードはこちらです。また、重要なファイルは以下の2つです。
index.json
Esriのページに記載がある通り、「VectorTileServer」のパスにファイルを置きます。タイル情報、空間参照、範囲などを記載します。
{
"currentVersion": 10.9,
"name": "VT Test 3",
"capabilities": "TilesOnly",
"copyrightText": "SymbolタイプのMaputnikでの表示",
"type": "indexedFlat",
"defaultStyles": "resources/styles",
"tiles": [
"https://k96mz.github.io/20240830symbol/Data/VTpractice/{z}/{x}/{y}.pbf"
],
"exportTilesAllowed": false,
"initialExtent": {
"xmin": -2.0037507842788246e7,
"ymin": -2.0037508342787e7,
"xmax": 2.0037507842788246e7,
"ymax": 2.0037508342787e7,
"spatialReference": {
"wkid": 102100,
"latestWkid": 3857
}
},
"fullExtent": {
"xmin": -2.0037507842788246e7,
"ymin": -2.0037508342787e7,
"xmax": 2.0037507842788246e7,
"ymax": 2.0037508342787e7,
"spatialReference": {
"wkid": 102100,
"latestWkid": 3857
}
},
"minScale": 2.958287637957775e8,
"maxScale": 4513.9887055,
"tileInfo": {
"rows": 512,
"cols": 512,
"dpi": 96,
"format": "pbf",
"origin": {
"x": -2.0037508342787e7,
"y": 2.0037508342787e7
},
"spatialReference": {
"wkid": 102100,
"latestWkid": 3857
},
"lods": [
{
"level": 0,
"resolution": 78271.516964,
"scale": 2.958287637957775e8
},
{
"level": 1,
"resolution": 39135.75848199995,
"scale": 1.479143818978885e8
},
{
"level": 2,
"resolution": 19567.87924100005,
"scale": 7.39571909489445e7
},
{
"level": 3,
"resolution": 9783.93962049995,
"scale": 3.6978595474472e7
},
{
"level": 4,
"resolution": 4891.96981024998,
"scale": 1.8489297737236e7
},
{
"level": 5,
"resolution": 2445.98490512499,
"scale": 9244648.868618
},
{
"level": 6,
"resolution": 1222.992452562495,
"scale": 4622324.434309
},
{
"level": 7,
"resolution": 611.496226281245,
"scale": 2311162.2171545
},
{
"level": 8,
"resolution": 305.74811314069,
"scale": 1155581.1085775
},
{
"level": 9,
"resolution": 152.874056570279,
"scale": 577790.5542885
},
{
"level": 10,
"resolution": 76.4370282852055,
"scale": 288895.2771445
},
{
"level": 11,
"resolution": 38.2185141425366,
"scale": 144447.638572
},
{
"level": 12,
"resolution": 19.1092570712683,
"scale": 72223.819286
},
{
"level": 13,
"resolution": 9.55462853563415,
"scale": 36111.909643
},
{
"level": 14,
"resolution": 4.777314267817075,
"scale": 18055.9548215
},
{
"level": 15,
"resolution": 2.388657133974685,
"scale": 9027.977411
},
{
"level": 16,
"resolution": 1.19432856698734,
"scale": 4513.9887055
}
]
},
"maxzoom": 16,
"resourceInfo": {
"styleVersion": 8,
"tileCompression": "gzip",
"cacheInfo": {
"storageInfo": {
"packetSize": 128,
"storageFormat": "compactV2"
}
}
},
"minLOD": 0,
"maxLOD": 5,
"maxExportTilesCount": 100000,
"supportedExtensions": ""
}
・ "currentVersion": 10.9,
このバージョンはArcGIS Serverのバージョンです。10.4 のリリースで、初めて「ベクター タイル サービスを公開する機能」が含まれるようになりました。
こちらのサイトにバージョンに関する記載があります。ArcGIS Serverのバージョンが11以上だとArcGIS Onlineと完全な互換性を持つそうです。Map viewerでうまく表示が出来ないときはこのバージョンを上げるとうまくいくかもしれません。
・ "type": "indexedFlat",
"indexedVector" と "indexedFlat" は、ベクタタイルデータの構造と配信方法に関連する設定を示しています。chatGPTによると違いは以下のとおりです。
これを見ると、indexedVectorの方が良さそうに見えるので、今後はそのように設定してもいいかもしれません。
出来たファイルはGitHubにアップして、GitHubページから公開しました。以下のどのURLにアクセスしても同じファイルがみられます。
https://k96mz.github.io/20250114VTtest3/VectorTileServer/index.json
https://k96mz.github.io/20250114VTtest3/VectorTileServer
https://k96mz.github.io/20250114VTtest3/VectorTileServer?f=pjson
https://k96mz.github.io/20250114VTtest3/VectorTileServer?f=json
root.json
こちらもEsriのページに記載がある通り、「VectorTileServer/resources/styles」のパスにファイルを置きます（Esriページではstyleとなっていますが、stylesとしています）。Mapbox version8のスタイルを返します。 sprite と glyphs の情報も含みます。
{
"version": 8,
"name": "Empty Style",
"metadata": { "maputnik:renderer": "mlgljs" },
"sources": {
"v": {
"type": "vector",
"url": "https://k96mz.github.io/20250114VTtest3/VectorTileServer",
"minzoom": 0,
"maxzoom": 3
}
},
"sprite": "https://k96mz.github.io/20240830symbol/sprite/sprite",
"glyphs": "https://k96mz.github.io/20240830symbol/font/{fontstack}/{range}.pbf",
"layers": [
{
"id": "bg",
"type": "background",
"maxzoom": 3,
"paint": { "background-color": "rgba(147, 154, 255, 1)" }
},
{
"id": "landmass",
"type": "fill",
"source": "v",
"source-layer": "landmass",
"maxzoom": 3,
"paint": { "fill-color": "rgba(137, 243, 195, 1)" }
},
{
"id": "coastl",
"type": "line",
"source": "v",
"source-layer": "coastl",
"maxzoom": 3
},
{
"id": "bndl",
"type": "line",
"source": "v",
"source-layer": "bndl",
"maxzoom": 3
},
{
"id": "popp",
"type": "circle",
"source": "v",
"source-layer": "popp",
"maxzoom": 3,
"paint": { "circle-color": "rgba(203, 140, 140, 1)" }
},
{
"id": "loc",
"type": "symbol",
"source": "v",
"source-layer": "loc",
"maxzoom": 3,
"layout": {
"icon-image": "public_building",
"text-field": "{name}",
"text-font": ["sans"]
}
}
],
"_ssl": true
}
"sources"の中の"url"には、index.jsonを返すエンドポイントを記載します。
"https://k96mz.github.io/20250114VTtest3/VectorTileServer"
最後にスラッシュがあるとエラーが出るそうなので、なくしています
sslの記載は標準的な Mapbox Style Specification や MapLibre GL JS の仕様には含まれていないカスタム設定です。そのため、必要かどうか不明です。削除してもいいかもしれません。
ArcGIS Onlineで読み込む
該当コードを自身のGithubにアップロードします。
職場のアカウントで、ArgGIS Onlineを開き確認します。
Map viewer classic
Map viewer classicで、以下のURLを入力します。
https://k96mz.github.io/20250114VTtest3/VectorTileServer
以下の通り、レイヤが読み込まれています。
レイヤを保存します。
そうすると、以下のように追加したレイヤのページを表示することが出来ます。
上記画像では見えませんが、右下の方のURLには、先程指定したURLが表示されます。
https://k96mz.github.io/20250114VTtest3/VectorTileServer/
右上のOpen in Map Viewerをクリックすると、Map Viewerでも地図が以下のように見られました。
まとめ
本記事では、ArcGIS onlineのMap viewer classic及びMap viewer において、外部にて作成したベクトルタイルを表示する方法を記載しました。tilemapの構成等まだまだ分かっていない部分があるので、今後勉強していきます。
Reference