3
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

コンテクストとストーリー:仕様を超えたエンジニアリング

Last updated at Posted at 2023-12-12

Abstract

主に自社サービスエンジニアを念頭に置いています

  • エンジニアも、施策のコンテクストとストーリーを把握しよう
  • コードにおける機能の位置付けを把握してコード設計をしよう
  • 時にはエンジニアからも代案を出そう

はじめに

仕様の把握。これはエンジニア側にとっても、企画側にとっても大事です。

しかし仕様は、単に「作りたいもの」を示すに過ぎません。自社サービスのエンジニアという、同じコードベースで開発をし続ける立場としては、単に仕様を把握するだけでは、全くもって不十分です。

「良いコード設計を行うには、施策の仕様だけでなく、その施策のコンテクストとストーリーを深く理解することが不可欠である。」

今回はそんな話をします。

コンテクストとストーリー

では、コンテクストストーリーとは、一体何なのでしょうか。

施策のコンテクスト: 課題背景を把握する

コンテクストとは、その施策が生まれた文脈や背景です。

施策を企画した人は、サービスに対して何かしらの課題感を抱いているはずです。あるいは、チームとして注力している課題があるかもしれません。

  • どのような課題を解決したいのか
  • どのような動機で、その課題を解決したいのか

などを理解し、「どのような背景でその施策が生まれたのか」を把握します。

施策のストーリー: 仮説を把握する

ストーリーとは、企画した人が考える、その施策の未来予想図です。

施策には、動かしたい数値というものがあります。また、成功や失敗があります。

  • どの数値が、どれくらい動きそうか
  • どれくらいポジティブ/ネガティブに動けば、成功/失敗なのか
  • 施策が成功/失敗した場合、次のステップとして何を考えているのか

などを理解し、「今の施策や次の施策がどちらの方向に進んでいくか」を把握します。

コードにおける機能の位置付け

コンテクストとストーリーを把握することで、サービス全体におけるその施策の位置付けが明確になります。

サービスにおける施策の位置付けが分かれば、コードにおけるその機能の位置付けも明確になります。これはコードの設計方針に大きく影響します。

高い位置付けの場合

コードにおける位置付けが高いと判断された場合、将来においても変更が容易な、柔軟性の高い設計にする必要があります。

高い位置付けの機能は、今後も触られ続ける可能性が高いです。したがって、少しばかり工数が増えたとしても、将来を見据えた実装を優先する方が、サービスにとってプラスになるということです。場合によっては、関連するコードのリファクタリングまで検討してもよいかもしれません。

低い位置付けの場合

コードにおける位置付けが低いと判断された場合、他への影響を最小化した設計にする必要があります。

例えば、期間限定キャンペーン施策であれば、キャンペーン終了後は容易に元に戻せる形で作ります。確度の低い施策であれば、DBやAPIレスポンスに変更を加えるのは避け、既存のもので代用するか、あるいはハードコードで済ませます。

より高い位置付けのコードに影響することがないよう、できるだけ「そこだけに閉じ込める」気持ちで作ります。

エンジニア側からの提案

時には、仕様通りに実装することが難しい場合もあります。

また、実装自体は可能だとしても、既存のコード設計と噛み合わない場合もあります。これをそのまま実装してしまうと、将来的に技術的負債になる可能性があります。

そのような場合は、エンジニア側から仕様の代案を出すことが重要です。

その際に重要となるのが、コンテクストとストーリーの理解です。コンテクストとストーリーを把握することで、仕様の代案を検討する際に、より適切な案を提示することができます。ビジネスサイドとのコミュニケーションも円滑になります。

サービスを継続的に発展させるためには、技術的負債を回避し、コード設計を適切に行うことが重要です。そのためには、エンジニア側からの提案が不可欠です。

結論

効果的なコード設計には、単なる仕様の理解を超えた、施策の深い理解が求められます。

コンテクストやストーリーを理解し、よりよいエンジニアリングを目指しましょう。


ちなみに、「コンテクスト」や「ストーリー」という用語は、私が普段、便宜上使っているだけです。「課題背景」や「仮説」も同様です。あくまで頭の整理に便利なので、適当に名前を付けています。(字面の格好良さもあります。)

もし企画職の方がこれを読んでいて、「用語の使い方が違う」と思ったら、遠慮なくコメントしてください。

3
0
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
3
0

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?