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ウェブクルーAdvent Calendar 2019

Day 6

傷つきやすいあなたに捧げるレジリエンスの技術

Last updated at Posted at 2019-12-06

この記事は ウェブクルー Advent Calendar 2019 6日目の記事です。
昨日は @verdoyant さんの「 ScalaTest入門 」でした。

はじめに

Tech的なことも色々やってきたのですが(Box apiとかSalesforce apiとか)、Qiitaさんにその手の知識は多分に溢れているので、趣向を変えてここ1年位追っているビジネスマンに使える心理学系から「レジリエンス」を取り上げてみました。

レジリエンスとは何か

レジリエンスとは、元は英名でresilience、和訳すると「弾力、弾性」や「回復力」という意味をもちます。

現代心理学においては「不利な状態・状況からの回復するための再気力」という意味で使われ、近年のネジネス用語としては「逆境から立ち直るだけでなく、それを糧に成功を手にする力」という意味ももちます。

ものすごくざっくり言うならば、

もうダメだ〜orz
↓
あしたも仕事がんばろう(๑•̀ㅂ•́)و✧

におけるの根源となる力のことです。

レジリエンスは生まれつき?

レジリエンスは、往々にして「生まれつきあの人はメンタルが強いから」と言われるような遺伝的要素の強い属人的なスキルだと思われてきました。
しかし、ハーバード・メディカルスクールの60年に及ぶ研究の結果、「レジリエンスが明らかに向上したグループが存在している」ことが判明しました。

更に「もともとレジリエンスが生まれつき備わっている人よりも、そうでない人のほうがよりレジリエンスを強化しやすい」という研究結果もでてくるようになりました。

つまり、「メンタルや打たれ強さは正しい訓練によって強化可能」 ということです。

なぜレジリエンスが必要とされているのか

人生における悲劇は誰にでも起こりうる。
そして日常生活においても、
さまざまなプレッシャーが押し寄せる。

そんなとき、どうやって自分を立て直すか。

上記は参考文献の装丁文言から抜粋した文言です。
これだけでも我々がレジリエンスが習得すべき理由が凝縮されていますが、然るべき研究から具体的は理由をあげていきます。

フィードスマック ~なぜフィードバックにショックを受けてしまうのか~

最新の研究から、批判的なフィードバックをうけた時に受ける精神的ショックを フィードスマック(feedsmacked) と命名しています。

フィードスマックの体験談集計から、「表現の厳しさ・穏やかさに関わらず、フィードスマックを感じる度合いは変わらない」ことが判明。
さらに批判的フィードバックを感じた直後の感情として、90%が「ショックだった・頭が真っ白になった」、重ねて40%が「傷ついた・自信を失った」とということも判明しました。
人間の脳は「ネガティブな感情(怒りなどの負の感情)にさらされた被験者は、扁桃体や海馬傍回などの記憶や情報の処理に関係する脳の部位の活動が低下した」という研究結果からもわかるように、ネガティブな感情・体験にとても影響を受けやすいです。

つまり、「どんなに穏やかに伝えたつもりでも、聞き手が批判的なフィードバックだと感じた場合ネガティブな感情が発生し、生産性・満足度の低下につながる」 ということです。
これはメンバー個人にとっても組織にとっても由々しき事態です。

批判から立ち直る

では、フィードスマックによる生産性・満足度の低下を防ぐために個人・組織として何をすべきなのでしょうか?
「フィードバックの伝え方を変えればいい」と考える人もいるとおもいますが、研究では明確にその意見を否定しています。

私は長年、人が厳しいフィードバックを受け入れるのを助ける最善の方法は、そのフィードバックの伝え方を変えることだと考えていた。
だがいまは、それは間違いだったと確信している。
肝心なのは、物事を「正しく」伝える方法を考えることではなく、どのように伝えられようと、厳しいフィードバックの中から真実を見出せるようになることだ。

つまり、「メンバー」は「厳しいフィードバックの中から立ち直り、真実を見出す力を身につけること」、
「組織」は「メンバーが真実を見出す力を育めるような状態を作ること」が求められます。
「厳しいフィードバックの中から立ち直り、真実を見出す力」がレジリエンスなのです。
※レジリエンスがあればフィードバックの伝え方を軽視してよいというわけではないことは明言しておきます。

どのようにレジリエンスを身につけるのか

研究によって諸説ありますが、ここではレジリエンスのカギを握る3つの要素を紹介して、最終的にレジリエンスの鍛え方を提示します。

3つの要素

レジリエンスの高い人の特徴として、以下の3つの共通点があることがわかりました。

  1. 現実をしっかりと見据える力
  2. 「人生には何らかの意味がある」という強い価値観によって支えられた、確固たる信念
  3. 超人的な即興力

現実をしっかりと見据える力

「現実をしっかりと見据える」ことのできる人は多くはないでしょう。
実際に参考書籍内でも「現実に向き合うのはまったくもって難しい」と明言されています。
ただし、この力は「現実を覆す力」である必要はありません。
自分が苦しんでいる現実をじっと見据えることで、自分が何に苦しんでいるのかを理解することができればいいのです。

「人生には何らかの意味がある」という強い価値観によって支えられた、確固たる信念

「夜と霧」で有名なヴィクトール・フランクルはアウシュヴィッツ矯正収容所に囚われ、極限状態で生き抜くためには何が必要なのかを考え、
以下の考えにたどり着きました。

どうしようもない状況にあっても、変えようもない運命に直面しても。我々は人生に意味を見いだせることを忘れるベきではない。

状況や仕事に苦しむこともあるかもしれませんが、人生に意味を見出すのはあくまで個人ということです。
忙しいと往々にして、状況や仕事の成果によって一喜一憂していまいますが、そうではなく自分で自分の意味を見出す価値観をもつ必要性を訴えています。

ブリコラージュ

これはフランスの人類学者クロード・レヴィ=ストロースが提言した言葉です。
「ブリコラージュ」とは「問題解決に対する即興力」を意味しており、ゆるく解釈するなら「圧倒的即興力」とも言いかえれます。

ブリコラージュカの高い人は、可能性を想像しながら、自分の人生をより良くすることが可能です。

レジリエンスの鍛え方

では、お待ちかね具体的なレジリエンスの鍛え方を説明します。
仕事などで辛いことがあったときや、フィードバックを受けたとき、その他感情が揺さぶれるようなときに、
以下の一連の手段を取ることによってリジリエンスを鍛えることができます。

  1. ポジティブなものに目を向ける
  2. 記録する
  3. 定期的に見返す
  4. 人を巻き込む

ポジティブなものに目を向ける

まずはその中でもポジティブなものに目を向けていきます。
私たちがレジリエンスを発揮するには最低限のポジティブな感情が必要だからです。
まずは、自分で自分を癒すことを行いましょう。

例えば、期末におけるフィードバックの結果がイマイチだったとしましょう。
上司から「もっと頑張りなさい」と言われたりして、ショックを受けてしまうかもしれません。
しかし、そんなネガティブな要素だからこそポジティブなものに目を向ける必要があるのです。

仮に辛辣なフィードバックがあったとしても、行った仕事がなんの価値もないということはありえません。
そこで出た成果、プロセスを振り返りまずは自分で自分を慰めてみましょう。

記録する

この「記録する」が個人的には一番の肝だと思っています。
ポジティブになったら、その事象に対してポジティブなもの・ネガティブなものを記録しましょう。
記録する媒体はなんでもよいですが、個人的には紙媒体がおすすめです。
ちなみにネガティブな感情を紙に書き出すことでメンタルが強くなり、ストレスが減るエクスプレッシブ・ライティングという手法が存在します。
https://toyokeizai.net/articles/-/224866

まずは感情ベースで記録をつけます。
先に目を向けたポジティブな感情、もともと持っていたネガティブな感情をそれぞれ書き、感情の切り分けを行います。
感情の切り分けができれば感情と課題の切り離しができるので、次に課題について記録をしていきます。

次に課題ベースの記録をつけます。
これはフィードバックや課題に対して原因と解決方法を自分なりに考えて記録を取ります。
課題に関しては「why・what・how」で整理すると原因から解決方法の流れがスッキリまとめられるのでおすすめです。  

この記録のフェーズを経ることで前述した「現実をしっかりと見据える力」や「ブリコラージュ」を大きく鍛えることができます。

定期的に見返す

ここで取った記録は貯金のようなものです。
最初はわからないかもしれませんが、溜まっていくと「あのときこんなこともあったけれど、なんやかんやどうにかなっている。解決しようとしている。頑張っている」という実績が積み重なっていきます。
積み重なった記録を読み返すことで、自分の感情やプロセス、成果を客観視してみることができます。
また記録に書かれたポジティブな出来事を振り返ることは単純に自分がポジティブな方向に向かっていきますし、それはレジリエンス向上にも繋がります。

人を巻き込む

ここは正直おまけのようなものです笑
そもそも日々の日常で傷つかないような状態であることが一番なのです!
なので、自分のレジリエンスが十分に高まったと思ったら今度は周りを少しずつ巻き込んでいきましょう!

別に周りに「レジリエンスやってみよう」と言えということではありません。(なんの準備もなしに言っても白い目でみられかねませんし。)
自分のストレスで他人に当たらないとか、少し親切にするとかそうゆうことから始めればいいんです。
またはフィードスマックやレジリエンスという概念に対して少しずつ情報を共有してみるなど、情報発信でも良いと思います。

手段は色々ありますが、究極「ネガティブな人をポジティブな方向に持っていくお手伝いをする」ような感じで十分でしょう。

まとめ

レジリエンスについて色々書きましたが、私自身正直レジリエンスに関して完全理解・習得しているとは言い難いです。
しかし、冒頭でも書いたとおり 「メンタルや打たれ強さは正しい訓練によって強化可能」 という事実がある意味価値のあるものだと思うので今回アドベントカレンダーでアウトプットしてみました。
人生いいことだらけではありませんが、それでも「一つでも幸せな生き方・働き方がしたい」と思っている方の助けになれば幸いです。


明日は@hiro_mori による「デザイン思考を浸透させる」です!
乞うご期待!!


参考文献

[EIシリーズ] レジリエンス (ハーバード・ビジネス・レビュー EIシリーズ)

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