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ソースコードの著作権は誰のもの?

Last updated at Posted at 2024-11-04

はじめに

個人的にqiitaへの投稿数が増えてきて、法律を意識するようになってきました。

実際のシステム開発の現場でもソースコードの一部をQiitaに上げ、数千万の損害賠償が発生したというケースも聞きます。
今回はそれらのインシデント対策も兼ねて著作権についてまとめます。

著作権の帰属先について

A社は、B社と著作物の権利に関する特段の取決めをせず、A社の要求仕様に基づいて、販売管理システムのプログラム作成をB社に委託しました。この場合のプログラム著作権の原始的帰属はどれか。
(ア)A社とB社が話し合って決定する。
(イ)A社とB社の共有となる。
(ウ)A社に帰属する。
(エ)B社に帰属する。

基本情報技術者平成30年春期 午前問79より引用

正解は、










正解:エでした!

ん?なんでA社に依頼されたのに著作権はB社にあるの?」と疑問に思った方もいるでしょう。

解説はこちらのページよりご確認ください。

著作権は「著作物を創作した者」に対して与えられる権利ですので、委託開発で作られたプログラムの著作権は、原則として委託者(発注者)ではなく制作者(受注者)に帰属します。
...
本問では、A社からB社にプログラム作成業務が委託されているので、著作権の原始的帰属先はプログラムを作成したB社となります。

また、著作権についてより詳しく知りたい方のために、抜粋して以下にまとめました。

著作権法より抜粋

著作物の例示

第十条 この法律にいう著作物を例示すると、おおむね次のとおりである。
一小説、脚本、論文、講演その他の言語の著作物
二音楽の著作物
三舞踊又は無言劇の著作物
四絵画、版画、彫刻その他の美術の著作物
五建築の著作物
六地図又は学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物
七映画の著作物
八写真の著作物
九プログラムの著作物
2事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道は、前項第一号に掲げる著作物に該当しない。
3第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。
一プログラム言語プログラムを表現する手段としての文字その他の記号及びその体系をいう。
二規約特定のプログラムにおける前号のプログラム言語の用法についての特別の約束をいう。
三解法プログラムにおける電子計算機に対する指令の組合せの方法をいう。

上記は著作権法第十条(著作物の例示)の内容です。九プログラムの著作物に記載されている通り、ソースコードも著作物に該当します。

著作物に該当しないもの

以下はプログラムの著作物には含まれません。

  • プログラム言語
  • 規約
  • 解法・アルゴリズム

3第一項第九号に掲げる著作物に対するこの法律による保護は、その著作物を作成するために用いるプログラム言語、規約及び解法に及ばない。この場合において、これらの用語の意義は、次の各号に定めるところによる。

職務上作成する著作物の著作者

第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。
2法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

職務でプログラムを作成した場合、著作権は作成者が所属する法人に帰属します。

ただし以下の場合などは、プログラムの発注者に著作権が帰属します。

  • 製作者が発注者に対して著作権を譲渡することに合意した場合
  • プログラムの発注者の指示に基づいて作成された場合
  • プログラムの作成が、発注者の業務の一環として行われた場合

より複雑なケース

発注者(客先)からの指示を受けていないかつプログラムに関する契約合意をしていない

例えば、常駐先などで開発を行わない業務を行なっていて、自分がプログラムを作成したとします。
その場合、会社と自分のどちらに著作権が帰属するのか?

結論から言うと、ケースバイケースです。

一般的には、プログラムの作成者が著作権を保有します。
しかし、以下の要素によって状況が変わる場合もあります。

  1. 作成の目的
    • プログラムを作成した目的が、あくまでも個人のスキルアップや趣味であったか、それとも**発注者の業務に役立てること(業務効率化など)**を目的としていたか
  2. 使用機器
    • 発注者のコンピュータやネットワークを使用して作成されたか
    • 発注者が提供したデータや情報を用いて作成されたか
  3. 成果物の帰属
    • 作成したプログラムが、発注者の成果物とみなされるか

対策

  1. 記録を残す
    • プログラムの作成経緯、目的、使用した機器などを記録しておくと、将来の紛争に備えることができます
  2. 発注者との話し合い
    • 作成したプログラムについて、発注者と事前に話し合い、著作権に関する取り決めをしておくことが望ましいです
  3. 契約内容を見直す
    • プログラムの作成に関する契約合意をしていたかどうかなど、書面などを読み返しておくと将来のトラブルを未然に防げる可能性が高まります

おわりに

法律を知るということは、自分や会社の権利を守るためにあります。

qiitaで自分の投稿が評価されると誰しも嬉しいものですが、それは一時的なものです。
ドーパミンがどんどん放出されているだけです。
それ以上に、自分が無知であるために不当な扱いやトラブルに巻き込まれたくはないと思います。

エンジニアである私たちも例に漏れず、日々スキルアップしていく中でこういった法律面の知識も学んでいければと思います。

参考記事

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