はじめに
私はこの5年間で計4名の部下を新人のころから教育してきました。
私自身、それまで教育の経験はなく、はじめは何をどう教えていいかもわからない状態からのスタートでした。
今では、新人の頃から教えてきた3名の部下たち(1人は会社を去ることになりました)も、4年目、5年目と一人前に成長し、現在では、同じチームメンバーとして、日々業務をこなしています。
また、3名とも顧客から評価されお仕事をもらえているという点で、私の教育は満点ではないにしろ及第点は取れたのではないか、と思っています。
初めて部下を持ってから5年経ち、私の教育担当としての立場も一段落したため、このタイミングで、教育に明け暮れた5年間を振り返ってみようと思います。
私と同じように「新人や部下の教育を初めて任された方」や「部下の教育に悩んでいる方」へ向けて、少しでも役に立てればと思っています。
教育の難しさ
悩み苦しみの連続
振り返って1番に思うことは、この5年間は悩み苦しみの連続だった、ということです。
チームでは私が一番上の立場だったこともあり、身近に相談できる人はおらず1人で悩むことや試行錯誤することが多かったです。
また、自分の業務もやりつつ、部下の仕事の面倒をみる必要があり、特に新人教育の際は肉体面、精神面ともに本当に疲れました。
さらに、部下によっても教え方・接し方・言い方などなど、変える必要があり、教育の難しさを痛感していました。
ちょっとした成長の兆しが見えた!と思えば、また同じようなミスを繰り返し振り出しに戻ってしまう。ほんとに何度もメンタル崩壊しそうでしたね笑
正解は3年後
教育で一番難しい点は、結果がすぐに出ないことだと考えています。
最初の3年間に学ぶことというのはとても重要であり、そこで何を教えるべきかの選択はとても責任のある決断であるにも関わらず、それが正しいのかどうかの結果がわかるのは2年後、3年後です。
教育方針があっているのかもわからない中で、部下に厳しく指導したり、課題を与えるのは、そういう点で最初の頃はとてもしんどかったですね。
教育において大切にしたこと
基準値を高くすること
新人や若手の頃に学んだことというのは、そ後の社会人人生において重要な基準値になると考えています。
そのため、なるべくその基準値が高くなることを意識しました。
例えば、
- やったことがないことでも意欲的に手を挙げる
- 自分の言ったことに責任を持ち必ずやり遂げる
- 個人学習を習慣化する
- 自社や顧客の利益を常に考え行動する
- 心理的安全性の高いチームをつくる
- PDCAサイクルを回すことの重要さを伝える
- 他のメンバーがやっていることなどプロジェクトを横断的に見る視点を持つ
など、仕事への取り組み方や、自社の文化の醸成、学習習慣の確立、コミュニケーションの取り方など、社会人として身につけておくべきマインドセットを自ら模範となるよう実践し、それを身近で見ている部下の基準値となるように意識して動きました。
正直かなり大変な部分もありますが、自分がここで苦労して教えたことは、今後、部下の下の世代にまで継承され受け継がれていき、ゆくゆくは自分の身にも非常に大きな成果となって返ってくると信じているので、効果は非常に高いと考えています。
"自分のレベル"を高めること
自分が部下に教えられるのは”自分のレベル”までが限界であり、当たり前ですが、自分ができないことを部下に教えることはできません。
言いかえれば"自分のレベル"が高ければ高いほど"部下のレベル"が高くなります。
なので、教育と並行して"自分のレベル"を上げることを意識しました。
例えば、
- マネジメントスキル
- リーダーシップ
- テクニカルスキル
- コミュニケーションスキル
など、総合値(よくレーダーチャートの五角形の図で表現されることが多いもの)のそれぞれの値を伸ばしていくイメージで取り組みました。
主に取り組んだ内容としては、今まであまり経験がなかったマネジメントやリーダーシップに関する書籍に目を通し、一般的に良いとされている手法をさまざまな観点で学びました。
- エレガントパズル
- GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた
- 対話型マネジャー 部下のポテンシャルを引き出す最強育成術
- とにかく仕組み化――人の上に立ち続けるための思考法
- 改訂新版 小さな会社の人を育てる人事評価制度のつくり方
- フィードバック入門 耳の痛いことを伝えて部下と職場を立て直す技術
- スモール・リーダーシップ チームを育てながらゴールに導く「協調型」リーダー
自分が頑張っている状態であること
部下との1on1やFBの中で「頑張ろうぜ」と言葉をかける場面は多いです。
このとき「頑張っている上司」と「頑張っていない上司」がいたと仮定して、部下はどちらの言うことに従うでしょうか?
「頑張っている上司」ですよね。
私の場合「頑張っていない上司」からのアドバイスなんて説得力がないためまったく聞く気になりません。
また、上司が頑張っている姿を見せると、部下も「自分も頑張ろう」と思うきっかけを与えられるかもしれません。
なので、自己満な感じもありますが、業務や個人学習など、なんでもいいのですが、上司である自分が頑張っている状態か?というのは常に意識し、何かしら頑張っている状態であるように取り組みました。
一例を上げると、2022年の春から2024年の現在に至るまで、IPAの高度試験を毎回欠かすことなく受験するようにしました。また、試験の都度、みんなに受験することを宣言し、日々、資格試験合格へ向けて勉強するようにしています。
最後に
冒頭で、この5年間を振り返り「つらかった・・・」と感想を述べましたが、それと同時にたくさんの学びを得ることができました。
また、自分を成長させるためのいくつもの気付きや経験を得ることができました。
結論としては、この5年間は自分にとって、とても有意義で成長の機会をたくさんもらえた貴重な時間でした。
部下がいなかったらこんなに頑張っていなかっただろうし成長できていなかったと思います。
そういう意味では、教育を通して一番学び成長したのは部下ではなく自分なんだなと思っています。
これからも教育の機会があれば積極的に関わっていきたいと思っていますし、部下が今後どのように成長していくのかも楽しみで仕方ありません。
現在、教育の現場で同じように悩み苦しんでいる人に向けて言えることとしてはこんなところでしょうか。
教育はいいぞ。