まず環境を整える
例えばとあるメンバーが期日までに成果物を提出できなかったとします
理由を尋ねるとこう返ってきました
「すみません他のタスクで手一杯で忘れていました」
1度だけなら本当にたまたま忘れたのかもしれませんが、何度も繰り返すのであればそうさせてしまう環境等を見直すべきだと私は考えています。
「言い訳するな!!」
と言いたい気持ちはわかりますが、ここはグッとこらえて何故そうなってしまったのか理由を考えましょう
例えば忘れた理由は
- 差し込みのタスクが多く、タスク管理が難しくなっていた
- その成果物を作成する意義を感じておらず、優先度が低めになっていた
- 以前アラートを出しても聞いてくれず、言い出しにくかった
などが考えられます。
これらはタスク管理方法、認識の齟齬を生むコミュニケーション不足だと考えられ、じゃあ今度はこうやってタスク管理をしてみよう。と具体的な再発防止策を決めることができます。
「次からは気をつける」は対策をうっていないのと同じと思っています。
何が言いたいのかというと、
「すみません他のタスクで手一杯で忘れていました」という言い訳の中に改善のヒントがある
ってことです。
どこでどんな仕事をするにしても、仕事の進め方に対して一定のルールや慣習が存在しているのですが、それが効率的なものかというと必ずしもそうでもありません。
ルールを制定したときはそれが必要だったが今は必要ない、またルールを作ることが目的となっておりそもそも現場に合ったルールではないのかもしれません。
なので、ルールや仕事の進め方は定期的に見直し、改善していくのが大事だと考えております。
定期的にそういった仕事を進める上で障害になっていること(言い訳)を拾い集めて、いきなりベストにならないにしても、少しずつベターに近づけていこうという取り組みです。
今回は取り組んでいることや経験則を交えて記載していきます。皆様のご参考になれば幸いです。
※チームで行うことを前提で文章を書いていきますが、個人でもできます。
環境改善の手法について
以下4つの事項に分けて紹介します。
これらは独立したものではなく、それぞれ関連しているものです。
- タスクの整理・洗い出し
- タスクボードの使用
- 朝会の実施
- ふりかえり会の実施
1)タスクの整理・洗い出し
タスクを洗い出します。ここでいう「タスク」とは仕事の最小単位のことです。
タスクは大きいままで管理するとブレや認識齟齬がうまれやすくなり、そのタスクの進捗具合がわかりにくくなります。
例えば、とある開発案件があったとします。
それを「○○開発」といった形で管理するのではなく、それらを分解します。「要件定義」「設計」「実装」などですね。
さらに「要件定義」でも長期間時間がかかる場合はさらに「××機能要件定義」などと切り分けるとよいかもしれません。
洗い出したタスクは以下の項目を明確にすると良いでしょう。
使用するタスク管理ツールによっては関連タスクや作業時間見込を記入する箇所があります。全部記入するのは中々骨が折れるので、最低限何を入れるかはチームに合わせて変えていきましょう。
- 担当者
- 期日
- なにをやるのか
- タスクの終了条件
自分が今どれくらいタスクを抱えているのか、目に見えている方が安心して仕事ができるのはなんとなく理解してもらえると思います。
タスクを振る側としても、メンバーが今どれくらいタスクを抱えているのかわかるほうが良いですよね。
それをよりわかりやすくするのが次の「タスクボードの使用」です。
2)タスクボードの使用
洗い出したタスクたち整理するためにステータス別にタスクを分類したボードを使用します。よく使用されているのはJIRAなどですね。
チームによって承認ステップ等が異なり、ステータス分類はさまざまですが、最低限以下が必要になります
- TODO
- DOING
- DONE
その他にも、例えば私は社内SEとして働いているのですが、他部署に確認等を依頼してタスクボード上は自分の担当だけど手が離れている状態も出現します。
その場合DOINGの中を細分化して、「依頼中タスク」のような状態を作成しても良いでしょう。相手側が依頼を忘れている場合でもこちら側でそれに気付いてリマインドを出すこともできます。
DOINGに何個もタスクを入れても良いのか?
DOINGにいくつもタスクがあると同時に複数のことを考える必要があり、作業切り替えのスイッチングコストがかかります。
職務内容や状況により、マルチタスクが避けられない状況になることはありますが、例えばチームのルールで同時に取り掛かるタスクはn個以内を推奨とし、それ以上になるとキャパオーバーとして他メンバーにタスクを拾ってもらう仕組みにしてしまうのもよいかもしれません。
気をつけていてもDOINGに何個もタスクがはいってしまうのであれば、そもそもタスクの切り分けが大きすぎるのかもしれません。
また、どうしても差し込みで緊急で対応しないといけないタスクが発生することもあります。
タスクボードにはそれとすぐにわかるように「最優先」のようなものを作成してそこにタスクをぶち込むのも効果的です。そこにタスクが入っている人は緊急事態モードに入っていることを他メンバーに周知できる効果もあります
まぁそのうち最優先にタスクがどんどんぶち込まれて最優先の最優先なんて使い方されるのはあるあるなんですけどねHAHAHA
3)朝会の実施
タスクの整理ができたら今度はそれを積極的に共有したり、自分なりに整理する場を設けましょう。朝会の出番です。
メンバーで集まり、以下の事柄について話すと良いでしょう。
- 昨日までやったこと
- 今日やること
- 仕事を進める上の障害等
現在の状況を言語化してみることで思考の整理になり、昨日やったことを思い出すことで1日単位でのふりかえりの機会になります。
昨日やるといっていたタスクができなかった場合、それは何故なのか。今日やる予定のタスクはチーム全体の優先度と合致しているのかなども確認できます。
Slack等チャットツールが発達した今、非効率的だと思うかもしれませんが、コミュニケーションの機会にもなるというのは大きい効果があると個人的には思っています。
ポイントは長時間やらないことです。メンバー全員で15分以上かかるのであれば、人数を区切ってやると良いです。パパパっと集まってサクッと終わりましょう。
4)ふりかえり会の実施
挙げた4つのうち一番重要だと思うのがこの「ふりかえり会の実施」です。
短い個人個人のふりかえりは朝会で行えておりますが、こっちはもう少し長い目でみてチームの課題や問題点、よかった点、今後取り組んでいきたいことを挙げていきます。ルールやお作法のある反省会みたいな感じですかね。
- 仕事の進め方を検証する
- 日々変化する仕事を取り巻く環境に対応する
先月まで良いと思っていたやり方も来月以降良いとは限らない。
今月までやっていたこともよく考えたら必要ないかもしれない。
ふりかえり手法のフレームワークはいくつかありますが、
ここでは現在社内で行なっているKPTを紹介します。
KPT法
"Keep Problem Try"の頭文字をとってKPTです。
Keepはやってみてよかったこと
Problemは仕事を行う上での問題点
そしてじゃあそれらを解決するためにどういう取り組みをしようか、というのがTryです
最初にKeepとProblemを洗い出していきます。
同時に編集できるアプリを使用して皆で一気に書いても良いし、人数が少ない場合は一人一人順番に発表するのも良いです。ただしその場合は注意が必要です(後述)
その後、挙げられたKeepやProblemを参考にそれらの緊急度や重要度を見定め、チームの練度等も考慮して取り組むべき事項を皆で意見を出していきます。
まだメンバーが慣れていない時はTryどうする?とざっくり聞いてもなかなか意見も出てこないものです。
その場合は司会がうまく誘導して議論が活発になるように頑張りましょう
そして二回目以降のふりかえりでは、以前決めたTryの結果はどうだったのかを含めて皆で話し合います。
Tryに効果があれば前回のProblemから変化があるはずだし、なければProblemはそのままのはずです。
そうやって試行と検証を繰り返し仕事の進め方をカイゼンしていくことを目的とした会です。
意見を引き出す時に大事なこと。心理的安全性について
司会が気をつけないといけないのは、ふりかえりを行なっている最中は発言しやすい空気を作ることです。例えば誰かがproblemを挙げた時に「言い訳するな!チームじゃなくてお前の問題だろ!」などというと、萎縮し意見が出にくくなります。また、意見を言う時に個人名を挙げて攻撃することはご法度です。
開催する時にちゃんと個人攻撃しない!ProblemやKeepを挙げているときは口を挟まない!などをメンバーに理解してもらうようにしてください。
開催頻度について
3ヶ月に1度などにすると前回のTryを忘れてしまうし、毎日だとTryの結果が得にくいことが考えられます。
まず2週間や1ヶ月に一度くらいからはじめてみてはいかがでしょうか。
さいごに
どこからの目線でしゃべってんねんて感じで環境について話しましたが、僕は環境のせいにするのは決して悪いことではないと思っています。
ただし、それは環境が悪いのであればどういうふうに改善していこうか?という前向きな姿勢がセットの場合です。
改善の余地があるなら変えていけば良いし、現実それが無理な環境なら辞めればいい。
子供と違い大人は環境を変えたり改善しやすい立場にあります。この特権を生かしていきましょう!
仕事の進め方というのはチームの経験値、職種や性格等で全く異なり絶対的な正解があるものではありません。あくまで参考程度の情報として受け取ってください