ちゅらデータの秋山です。仕事でもプライベートでも Google Cloud を使うことが多いので、去年末あたりからゆるゆると Google Cloud 認定資格 (Associate Cloud Engineer, Professional Machine Learning Engineer, Professional Cloud Architect) を取得してきました。
最近 Google Cloud 認定資格のラインアップに、データ系サービスに重点を置いた Associate Data Practitioner ベータ版というのが加わったようです。
(※このベータ試験の受付は2024年11月30日で終了し、2025年1月に正式版となる予定だそうです)
これを無料で受験できるバウチャーをいただけたので、さっそく2024年11月11日に受験してきました。
Associate Data Practitioner ベータ版の試験は英語しかなく、日本語の 認定資格 ページにもまだ記載されていない試験なので、この記事が日本語最速の感想記事になるのではないかと思います。
資格の位置付け
Associate Data Practitioner は、以前からある Associate Cloud Engineer と並ぶアソシエイト認定資格で、「Google Cloud をいくらか触ったことがある」という人におすすめの資格ということになるでしょう。
以前からある Associate Cloud Engineer は、「クラウドソリューション」の構築と運用を実施できる人として定義されており、Google Cloud の広範なプロダクトに関する広く浅い知識が要求されていました。そして、その延長線上に Professional Cloud Architect がある、というような関係で説明されることがありました。実際、出題される分野は共通部分が多く、Associate Cloud Engineer を取得した状態からなら Professional Cloud Architect の取得は比較的容易だろうと感じました。
今回加わった Associate Data Practitioner は、クラウド上でデータ処理・管理・分析を担う人として定義されるようです。 Associate Cloud Engineer とは重なる部分もありますが、データの取り扱いを掘り下げた延長線上には Professional Data Engineer と Professional Machine Learning Engineer があるのだろうと思われます。Associate Data Practitoner の受験対策を行うことは、Professional Data Engineer と Professional Machine Learning Engineer の受験対策にも繋がっていそうな印象がありました。
Associate Data Practitioner の出題範囲
出題分野については公式の 試験ガイド に詳しく書かれていますので、その中からプロダクトの例を列挙してみます。
- データストレージ
- Cloud Storage
- BigQuery
- Cloud SQL
- Firestore
- Bigtable
- Spanner
- AlloyDB
- データ処理
- Cloud Data Fusion
- Dataflow
- Dataproc
- Dataform
- データ分析と可視化
- BigQuery
- Jupyter notebooks (Colab Enterprise)
- Looker
- Looker Studio
- 機械学習
- BigQuery ML
- AutoML
- 事前学習済み LLM
- Model Registry
- データ共有とガバナンス
- Analytics Hub
- オーケストレーションとスケジューリング
- Cloud Composer
- Cloud Scheduler
- Workflows
- モニタリングとロギング
- Cloud Logging
- Cloud Monitoring
- イベント駆動型サービス
- Pub/Sub
- Eventarc
- Cloud Functions
- Cloud Run
- セキュリティとアクセス管理
- Identity and Access Management (IAM)
- Cloud Key Management Service (Cloud KMS)
実際に受けた試験では、これらのほとんどが問題中に出現していました。ただ、それぞれの使い方に精通していなければならないわけではなく、概要を理解していればある程度回答できる問題が多いです。
また、こうした Google Cloud のプロダクト特有の内容に加え、SQL(ウィンドウ関数やアグリゲーション関数を使うクエリ)や機械学習(MLOps のライフサイクル、モデル選定)に関する内容も少し出題されました。
Associate Data Practitioner の対策方法
私の場合、Associate Cloud Engineer と Professional Machine Learning Engineer を既に取得していたので、今回は Professional Data Engineer の前哨戦だと思って対策していました。すなわち、Professional Data Engineer の 公式の模擬試験 を解きながら出題されているプロダクトのドキュメントを読み、試験に臨みました。
Google Cloud 認定資格を既に持っている方は、公式の 試験ガイド に出てくるキーワードをドキュメント等で確認しておく程度でも問題ないと思います。各プロダクトの概要と特徴を把握し、類似プロダクトと比較したときどのような基準で選定されるべきかを理解していれば、ある程度の設問には回答できるでしょう。
もっと手軽に対策したい方向けの特化した教材は、同じアソシエイト認定資格の Associate Cloud Engineer については書籍や動画セミナーなどが存在しますが、Associate Data Practitioner にはまだそういった特化した教材が存在しません。代わりに Google Cloud Skills Boost の学習プログラムで学ぶことができるようになっているので、ちゃんと学びたい方はこれを利用するとよいでしょう。
Skills Boost には Google Cloud のコンソール上での操作を実際に体験する「ラボ」が含まれており、このラボの多くは有料コンテンツとして提供されています。Google Cloud パートナー向けに提供される Skills Boost for Partners では、同様な内容を無料で学べるようになっているようです。
ベータ版試験の特徴
ベータ版は受験にあたっての条件が正式版と少し異なり、説明によると下記のようなことが書かれています。
- 受験料
- 受験料が正式版より安い (40% OFF)
- 人によっては受験料が無料になるバウチャーが発行されることも
- 受験回数
- 1回しか受験できない
- 不合格となった場合、正式版の受験回数制限(4回まで)に算入されない
- 言語
- 英語のみ
- 合否結果
- すぐには通知されず、ベータ期間終了後6〜8週間で通知
ベータ版特有の条件としては書かれていませんが、実際に受験してみると下記のような特徴があることもわかりました。
- ボリューム
- 設問数
- 通常の試験(50〜60問)よりも多い(70問程度)
- 今回受験した際は70問を少し超えていました
- 試験時間
- 通常の試験(2時間)よりも長い(2.5時間)
- 設問数
- 解答欄
- 通常の多肢選択式の解答欄に加え、フィードバックを記入できるコメント欄があります
ベータ版の試験ではなるべく多くの問題を解いてもらって受験者からのフィードバックを収集し、ブラッシュアップして正式版の試験問題にしていくのかもしれませんね。
この試験のための学習は、データエンジニアや機械学習エンジニアとしての実務に直結する価値あるものになるでしょう。しかし、この新しい試験はまだ教材も限られ、英語でしか受けられず、設問数も多く、世間にも認知されていないという相当タフな状況です。状況からして今すぐ受験をおすすめできるものではありませんが、今後正式版が公表された後には、Associate Cloud Engineer と並ぶ定番の認定資格になることを期待しています。