Qsync とは
QNAP製のNASを買うと入ってるやつです.
Dropboxのように全自動でデバイス間のファイルを同期するサービスで,NASがサーバーになります.
/home/.Qsync/ がSMBで参照できない問題
NASを多人数が個別に使用する場合,ユーザーごとに自動生成されるホームディレクトリを活用するのがかんたんです.
ホームディレクトリは /homes/ユーザ名/
,またはログイン中のユーザなら単に /home/
という名前で自分のホームディレクトリにアクセスできます.
例えば,別のPCからSMB(Windowsファイル共有)で自分のデータにアクセスする場合は,アカウント認証を経て \\NASのアドレス\home\
に行けばいいわけです.
SMBでホームディレクトリにアクセスできるのはわかったのですが,Qsyncではホームディレクトリを同期させてくれません.
その代わりに/home/.Qsync/
というフォルダが各ユーザーに割り当てられるので,このフォルダを同期することになります.
/home/.Qsync/
というパスからわかるとおり,これはホームディレクトリ内にある隠しフォルダです.見えないだけで実際そこにあります.
ところがSMBで \\NASのアドレス\home\.Qsync\
にアクセスしようとしても,できません.
smb.conf を弄ってみる
まずNASのシェルにadminユーザーとしてログインします.NASにキーボードをつなぐなりSSHするなり.
/home/.Qsync/
を使えなくする設定は, /etc/config/smb.conf
ファイルの中に書かれています.
...
veto files = /.AppleDB/.AppleDouble/.AppleDesktop/:2eDS_Store/Network Trash Folder/Temporary Items/TheVolumeSettingsFolder/.@__thumb/.@__desc/:2e*/.@__qini/.Qsync/.@upload_cache/.qsync/.qsync_sn/.@qsys/.streams/.digest/
...
拒否ファイルに .Qsync
と .qsync
が入っているのがわかります.これらを消してからsmbdを再起動してみます.
# /etc/init.d/smb.sh restart
おや? 状況は変わりません.一体どうなっているのでしょう.
veto_file.conf を弄ってみる
もういちど /etc/config/smb.conf
を開いてみると,内容が編集前に戻っています.どうやら残像を掴まされていたようです.smbdを起動するごとにsmb.confは上書き再構成されるのです.
ではどのように再構成されているのでしょう.smbdの起動スクリプトを見てみましょう.
...
DEFAULT_VETO_FILE="/etc/default_config/veto_file.conf"
...
このファイルが大元のようです.
[global]
veto files = /.AppleDB/.AppleDouble/.AppleDesktop/:2eDS_Store/Network Trash Folder/Temporary Items/TheVolumeSettingsFolder/.@__thumb/.@__desc/:2e*/.@__qini/.Qsync/.@upload_cache/.qsync/.qsync_sn/.@qsys/.streams/.digest/
.Qsync
と .qsync
を消してからSMBを再起動してみます.
# /etc/init.d/smb.sh restart

\\NASのアドレス\home\.Qsync\
が現れました.隠しフォルダを非表示にしていると見えないかもしれませんが,アドレス直打ちでアクセスできると思います.
注意点
デフォルトで /home/.Qsync/
へのアクセスを拒否する設定になっているということは,SMBでアクセスしてほしくない理由があるということです.
ここで紹介した方法を試したところ,SMB経由で /home/.Qsync/
に加えた変更がQsyncサービスに検知され,実際に別のPCへ同期されるまでには,かなりの時間を要しました.実際に試す場合は注意してください.