環境情報

Personal Environment(Version 11.21.0 (Build 39357))
Service Studio(Version 11.54.13)

サンプル

HousesoftSampleReactiveのバージョン1.0.19。
ChangeInputValueWithJS Screenを参照。

NG例：JavaScriptでinput.valueの値を変更

まずはダメなケースの実装を確認する。

以下のコードをJavaScript要素に書いてもうまくいかない。
なお、Input WidgetのIdはJavaScript要素のInput Parameterとして渡している。

document.getElementById($parameters.InputId).value = "JavaScriptでinput.valueを更新"

以下のように、Input Widgetに表示されている値は変わっているが、Input WidgetのVariableに設定した変数の値は変わらない。

原因を検討：恐らくReactのせい

OutSystemsのReactive/Mobileはフロントエンドの仕組みとして、Reactを利用している。
したがって、クライアント側でこういう不思議なことが起こるときは、Reactが怪しい。

というわけで、Reactをキーワードに入れて探すと、以下のページが見つかった。
Changing a React Input Value from Vanilla Javascript

React overrides the native Javascript onChange behavior. Triggering an onChange event does nothing to change the input field value in React’s eyes.

「ReactがJavaScript自身が持っているonChangeのふるまいを変えているため、onChangeイベントを発生させるだけだと、Reactの観点からは値が変わったように見えない。」

対策①_valueTrackerを使う

「原因を検討」で引用したページで示されていた対策。
Platform Server v11.12.0により、Reactのバージョンは16。よって引用したページの対策のうち、_valueTrackerを使う方法を利用する。

JavaScript要素に記述するコードは以下の通り。

// see: https://chuckconway.com/changing-a-react-input-value-from-vanilla-javascript/
// 1
let element = document.getElementById($parameters.InputId);
// 2 
let lastValue = element.value;
element.value = "JavaScriptでinput.valueを更新してdispatchEvent（_valueTracker利用）";

let ev = new Event ("input", { bubbles: true });
// 3
let tracker = element._valueTracker;
if (tracker) {
    tracker.setValue(lastValue);
}
// 4
element.dispatchEvent(ev);

Input Widgetに対応するinput要素を取得
変更前の値を保存し、.valueプロパティを経由して値を変更
_valueTrackerの値を変更前の値に設定
inputイベントを発生させる

という流れ。この中の「3」のステップが肝になっている。
ただし、プレフィックスに「_」がついているのであんまり公然と使うものでもなさそう。

この方法で変更すると、以下の通り変数の値も更新される。

方法②inputのsetterを直接呼ぶ

Reactが本来のsetter関数を書き換えるのであれば、書き換えられる前のsetter関数を使って値を設定すればよい、というアイデア。
What is the best way to trigger change or input event in react jsのacceptedな回答で示されていた方法。

// see: https://stackoverflow.com/questions/23892547/what-is-the-best-way-to-trigger-change-or-input-event-in-react-js#46012210
// 1
let element = document.getElementById($parameters.InputId);
// 2
let nativeSetter = Object.getOwnPropertyDescriptor(window.HTMLInputElement.prototype, "value").set;
nativeSetter.call(element, "JavaScriptでinputのsetterを呼んでdispatchEvent");

// 3
let ev = new Event ("input", { bubbles: true });
element.dispatchEvent(ev);

Input Widgetに対応するinput要素を取得
input要素のsetter関数（PropertyDescriptorのsetから取得）を使って値を更新
input Eventを発生させる

Input Masks LibraryというForgeコンポーネントもこの方法を使っている。

適用に当たって

VanillaなJavaScriptのみで実現している方法②をとりたい。
ただし、OutSystemsのバージョンアップ (にともなうReactのバージョンアップやフロントエンドフレームワーク事態の変更）に伴って使えなくなることにも備えたい。

そこで、こういう習性は共通部品のBlockやClient Actionに分離し、必要になったら簡単に置き換えられるようにしよう。