はじめに
現在、弊社ではオフショア開発としてベトナムに拠点を構える会社と共同で、システム開発を行なっています。
月並みな発言ではありますが、言語も文化も異なり、おまけに物理的に遠いメンバーと共同開発する、というのは非常に難しいものがあります。
ベトナムメンバーとは約半年ほどお付き合いさせていただいているのですが、まだまだ課題が多い状況です。
今回は、自分のこれまでの経歴とこの半年の経験をもとに、外国人との英語コミュニケーションのコツを記事にします。
筆者の英語力
筆者は、ネイティブ並の英語スキルは保持しておりません。
参考として、TOEICは800点程度です。
後半の便利な英単語・フレーズ
も、「正しい英語」という意味では参考にならないかもしれないのでご注意ください。
筆者の外国人とのコミュニケーション経験
学生時代、7ヶ月ほどカナダで語学留学をしておりました。
また、イギリスで短期留学も経験しております。
この留学経験では、英語力以上に、外国人とのコミュニケーションのコツを学べたと思っています。
業務経験という点では、前職が国際事業部であったことから、海外出張したり、電話会議したりという経験は多少あります。
現在は、前述の通り、ベトナムメンバーとの共同開発をしております。
対象読者
英語の学習は、学校の勉強程度であり、外国人とのコミュニケーション経験がほぼ0の人。
ある程度、外国人とのコミュニケーション経験があり、自信のある人は対象外としています。
英語で外国人とコミュニケーションする上での心得
要点以外は伝わらないことを自覚しよう
まず、初心者が最初に理解しなくてはいけないこと。
それは、母国語でもない言葉で「自分が言いたいことを細かいニュアンスまで正確に理解してもらうなんて不可能である」ということです。
プロの翻訳家でさえ、翻訳で意味が削れてしまっているのに、ド素人の私たちが損失なしで正確に意味を伝えようなんて驕りです。
よく英語にして欲しいと頼まれて英文を作って返してあげると、
「○○って単語(orフレーズ)あるけど、それとは若干ニュアンスが違うんだよなぁ」と言われることがあります。
そういう場合、「そんな細かいニュアンスの違いが重要なコミュニケーションをするな」と返しています。
どうしても、その細かいニュアンスの違いが重要なのであれば、言語で解決するのではなく、図や動画、ジェスチャーといった別の手段で伝えるようにしましょう。
英語はとにかく簡潔に
長い文にすればするほど伝わらない
長い文はそれだけでリスクだと考えましょう。完璧でない英語で長文にすると誤解を産む可能性が高まります。
思いついた日本語をそのまま英語にしない
これは直訳しない、という意味ではありません。(直訳は当然NG)
日本語から英語に翻訳するなら、元の日本語について見直してから翻訳しましょう、という意味です。
そもそも、日本語から英語に翻訳するプロセス自体が良くないのですが、英語に慣れないうちは難しいと思うのでそれでもいいと思います。
しかし、ここで作る日本語はしっかり見直ししなければなりません。
理由は2つ。
- 普段はお互いが日本語ネイティブであり、適切な単語を使わなくても通じてしまう。
- 日本語特有の曖昧さや回りくどさがある。
なので、まずは言いたいことを整理し、要点だけまとめましょう。
「つまり」で言い換えられるかチェックしよう
日本人は、相手への印象を配慮したりなどで直接的な表現を避ける傾向がある気がします。
自分でも気づかずやってしまいがちなので、「つまり」を意識するといいでしょう。
簡潔にする例
外国人メンバーが作ってれたAPI設計書についてレビューしたところ、
エンドポイント`/api/hoge`に入れるパラメータ`a`の存在理由がわかりませんでした。
I reviewed the API document you designed.
However, I couldn't understand why parameter `a` exists in the `/api/hoge`.
Can you please tell me why you designed so?
I have a question about your API design.
What is the purpose of the parameter `a` in the endpoint `/api/hoge`?
ポイント
- 「質問がある」と最初に言いましょう。
- レビューをしました、とかどうでもいいです。
- 「理解できなかったこと」が言いたことではないはず。「つまり」の部分が大事です。
a
の存在価値がないと思うのなら、回りくどく質問なんかせず、こちらの方がストレートでいいかもしれません。
About your API design, I don't think paramter `a` is necessary for the endopoint `/api/hoge`.
言いたいことを言うのではなく、言えることを言う
これ超大事です。
自分の英語力にともわない無理した表現は、大抵伝わりません。
「言いたいこと」を前提として、頑張って翻訳するのではなく、「言える」範囲でどう伝えるかを考えましょう。
自信がない人は非同期コミュニケーションにしよう
「会話」は一瞬にして理解し、一瞬で文を作らないといけないので難しいです。
その点、何度も読み直し、書き直せる非同期コミュニケーションは難易度が下がります。
会話するのが難しい場合、遠慮せず「Slackでお願いします」と伝えましょう。
相手の英語力も考慮した英語を使おう
ベトナムでのオフショア開発だとそうなのですが、相手も英語のネイティブではありません。
なので、無理して調べた適切な英単語を使っても、相手が理解してくれるとは限りません。
単語やフレーズは相手のレベルも考えた上で使いましょう。
自分の理解を言って、誤解ないか確認する
これは日本語のコミュニケーションでも同じですが、相手の言っていることの理解に自信がない場合、自分はこういう理解だけど合ってますか?と聞きましょう。
ただし、ここで複雑な英語使っては、また誤解が産まれるかもしれないので、絶対に要点だけ簡潔に書きましょう。
単語検索する際は、例文を必ずチェックしよう
個人的に、日本語 -> 英語 の辞書の正確性はかなり怪しいと思っています。
コンテキストの考慮なしでピッタリ当てはまる単語ってごくわずかだと思います。
なので、調べる際は、例文もしっかり見ましょう。
業務上でのコミュニケーションのコツ
依頼する際は、満たしてもらいたい要件を事細かくまとめる
言語も文化も違う人同士で、「暗黙の了解」を共有しようなんて無理があります。
何かを依頼した際は、満たしてもらいたい要件をこれでもかというほど細かくまとめましょう。
正直、「暗黙の了解」って自分でも気づきにくいので難しいのですが、意識するだけで違うと思います。
また、レビューする際も、この要件満たしていないから直せ、と言いやすくなります。
仕事以外の会話もして仲良くなろう
バカにしたくなるかもしれませんが、これが一番重要だと思います。(日本人同士でも同じですが)
そして、英語が苦手だと、積極的に会話しようとしない日本人は多く、結構おろそかになっている気がします。
ハッキリ言って、言語も文化も違う人と一緒に仕事すると相当ストレスが溜まります。
認識相違は日常茶飯事ですし、私たちにとって当然のことが相手にとっては当然ではないため、苛立つこともたくさんあります。
その際、相手と仲がいいと悪いとでは、その後の関係性が天と地ほど違います。
英語が苦手でも積極的に会話して仲良くなりましょう。
出張して直接顔を合わせることも重要です。
[番外編] 日本人が注意すべき文法
否定疑問文の返答の仕方
基本的に多少の文法の誤りが問題になることはないのですが、「否定疑問文」の返答の仕方は日本人が間違いやすく、クリティカルな誤りになるので注意しましょう。
Don't you like my idea?
私の提案に賛成できませんか?
日本語の場合
- はい -> 賛成できない
- いいえ -> 賛成する
英語の場合
- Yes -> 賛成する
- No -> 賛成できない
日本語と英語では、意味が逆になってしまうので注意しましょう!
[番外編] 便利な英単語・フレーズ
私の所感ですが、日本での学校英語は、「英語 -> 日本語」にする経験が多いことから、多くの日本人は「日本語 -> 英語」に該当するライティングの力が弱いと思っています。
リーディングであれば、これくらいわかるよ、って表現でも、いざライティングになると表現できないってケースは多いのではないかと思います。
なお、「言いたいこと -> 日本語で表現 -> 英語に翻訳」というプロセスは悪手であり、「言いたいこと -> 英語で表現」にしなければなりません。
今回は、私が現場で時々使う英語フレーズを紹介したいと思います。
エンジニアでよく使う単語・フレーズ
日本語 | 英語 |
---|---|
要件 | requirements |
仕様 | specification |
〜に対応する | support ~ |
エラーが出てるよ | error has come out |
〜のページに行って | Please navigate to ~ |
〜って可能ですか? | Would ~ be possible? |
予想してた以上に難しそうです | It seems to be more difficult than I thought it would be. |
詳細は添付のドキュメントをご参照ください。 | For further information, please refer to the attached document |
ただし、「対応する」という日本語は万能すぎてsupportが適切でない場合も多々あるので注意
エンジニアに限らず業務で使いそうなフレーズ
日本語 | 英語 |
---|---|
〜は空いているよ | I'm available at ~ |
〜の担当 | in charge of ~ |
〜の代わりに | on behalf of ~ |
検討した結果、〜 | After consideration, ~ |
〜を考慮すると | considering ~, |
依頼・質問された時の返答に便利なフレーズ
日本語 | 英語 |
---|---|
それいいね! | It sounds good! |
順調だよ | it's going well |
スケジュールが押し気味 | we're slightly behind the schedule |
確認するね | Let me confirm |
考えさせて | Let me think |
後でやるよ | I'll do it later |
終わりに
以上、英語コミュニケーションのコツを自分なりにまとめてみました。
自分の現場でも、まだまだ課題だらけなので、決して上記を実践したからといってコミュニケーションの課題を解決できるわけではありませんが、未経験の方にはぜひ心の中に留めていただけると良いと思います。