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REST APIに関して(期初整理)

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現代のITシステム開発において、REST APIはウェブサービス設計の中核アーキテクチャとして定着しています。単なるHTTPインターフェースを超え、拡張性・保守性・セキュリティを兼ね備えた安定したシステム構築の基盤となっています。本コラムではREST APIの基本概念から設計の深堀り、実務適用時の注意点まで幅広く解説し、皆様のAPI設計スキル向上に寄与したいと思います

1. REST APIとは?

REST(Representational State Transfer)は、2000年にロイ・フィールディング博士が提唱したアーキテクチャスタイルです。ウェブベースの分散システム設計における原則と制約条件を定め、クライアントとサーバー間の資源(リソース)の表現を効率的にやり取りする手法を示します

REST APIはHTTPプロトコルを用い、リソースをURIで明確に識別し、HTTPメソッド(GET、POST、PUT、PATCH、DELETE)でリソースに対する操作を表現する方式です。したがって、REST APIは単なるAPI呼び出し以上に、ウェブエコシステムに最適化された設計哲学と言えます

2. RESTの6つのアーキテクチャ制約条件

RESTが成功した設計原則として支持されるのは、以下6つの制約条件に基づいています

  • クライアント・サーバーの分離 (Client-Server)
    UIとデータ処理の分離により独立開発や拡張が可能

  • ステートレス (Stateless)
    サーバーは各リクエストを独立処理し、クライアントが状態を保持。サーバーのスケーラビリティや障害復旧に優れる

  • キャッシュ可能 (Cacheable)
    レスポンスにキャッシュ可否を明示し、ネットワーク効率とパフォーマンス向上

  • 階層化システム (Layered System)
    クライアントは中間サーバーの存在を意識しない。セキュリティや負荷分散が可能

  • 統一インターフェース (Uniform Interface)
    URI、HTTPメソッド、メッセージフォーマット等を統一し、開発の標準化を実現

  • コードオンデマンド (Code on Demand、任意)
    サーバーがクライアントに実行可能なコードを送ることで機能拡張可能(実務では稀)

3. REST API設計の深掘りポイント

3.1 URI設計

  • リソースは名詞で表現し、操作はHTTPメソッドに任せる
    例)/users/orders/123

  • 階層的関係の表現:/projects/{projectId}/tasks/{taskId}

  • バージョン管理は必須:URIにバージョンを含める(/v1/users)か、Acceptヘッダーで指定

  • クエリパラメータでフィルタリング・ページング・ソートを実装:
    GET /orders?status=paid&page=2&sort=createdAt

3.2 HTTPメソッドと冪等性

メソッド 用途 冪等性 主な特徴
GET リソース取得 あり 安全でキャッシュ可能
POST リソース作成、非冪等 なし 重複作成を防ぐロジックが必要
PUT リソース全体更新・作成 あり リクエストの繰り返しで結果は同じ、全体上書き
PATCH リソース部分更新 場合によりあり 一部のフィールドのみ変更、変更範囲最小化
DELETE リソース削除 あり 削除の再試行が可能
  • PUTとPATCHの違い:PUTはリソースの全体を置き換え、PATCHは一部だけを修正する用途。PUTはフィールドを省略すると削除扱いになることがあるため注意

3.3 HTTPステータスコードの活用

  • 成功:200 OK、201 Created、204 No Content
  • クライアントエラー:400 Bad Request、401 Unauthorized、403 Forbidden、404 Not Found、409 Conflict
  • サーバーエラー:500 Internal Server Error、503 Service Unavailable

適切なステータスコードの使用は、クライアントとの明確なコミュニケーションに必須

3.4 メッセージ表現と標準

  • JSONフォーマットが事実上の標準で、各種言語から扱いやすい

  • ヘッダーの活用例:Content-TypeAcceptCache-Controlなど

  • エラーメッセージは標準的な形式を推奨:

{
  "error": {
    "code": "INVALID_PARAM",
    "message": "パラメータ 'id' は必須です。"
  }
}

4. 実務でのREST API設計における注意点

4.1 ステートレスの徹底

  • サーバーは状態を持たず、必要な状態(トークン等)はクライアントから渡す
  • 例)JWT認証

4.2 HATEOAS(Hypermedia as the Engine of Application State)

  • APIレスポンスに次の可能な操作リンクを含め、クライアントが動的に操作を探索可能にする
  • 実務では複雑化のため部分的な実装または省略も多い

4.3 APIバージョン管理

  • 非互換な変更時は必須。
  • URIバージョン(/v1/)かAcceptヘッダーでの管理
  • クライアント影響を最小化することが重要

4.4 認証と権限管理

  • OAuth 2.0、JWT、APIキーなど標準方式を利用
  • HTTPS必須。
  • 最小権限の原則、APIゲートウェイ・WAF連携

4.5 パフォーマンス最適化

  • HTTPキャッシュ戦略(ETag、Cache-Control)活用
  • ページング・フィルタリングで返却データを制御
  • CDNやAPIゲートウェイ利用
  • リクエスト・レスポンスの圧縮(gzip等)

5. REST以外の最新APIトレンドとの比較

APIスタイル 利点 欠点 主な利用ケース
REST 標準化、単純、多様なクライアント対応 HATEOASの複雑さ、過不足のデータ 多くのウェブAPI
GraphQL クライアントに最適化されたデータ取得 サーバー複雑、キャッシュ困難 SPA、複雑データ関係処理
gRPC 高性能、型安全 HTTP/2必須、汎用性低い マイクロサービス間の内部通信
WebSocket リアルタイム双方向通信 実装複雑、状態保持必要 リアルタイムチャット、通知

6. 運用と管理

  • ドキュメント化: OpenAPI/Swagger、Postman活用
  • テスト: ユニット・統合テスト自動化、契約テスト必須
  • モニタリング: レイテンシ、エラー率、トラフィック監視
  • ログ管理: 集中ログ管理システム構築
  • デプロイ: CanaryやBlue-Green方式推奨
  • セキュリティ: レートリミット、IP制限、WAF適用

7. まとめ:REST API設計成功のポイント

  • 設計初期に明確なAPI契約書とバージョンポリシーを策定
  • ステートレスの遵守でサーバー拡張性と復旧力を確保
  • HTTP標準・ステータスコードを守りクライアントと明瞭に連携
  • 過度な複雑化を避け、実用的にHATEOASを活用
  • セキュリティ最優先で設計・実装
  • 継続的な監視と自動化テストで安定稼働を維持

REST APIは単なる技術ではなく、堅牢なアーキテクチャ思想であり、実務に必須の設計パターンです。本稿が皆様のプロジェクト成功に寄与し、より安定的で拡張性の高いシステム構築に役立つことを願っています

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