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非エンジニアが、複数モデルの事業と組織と業務の立ち上げをSalesforceをテコに目指した話

Last updated at Posted at 2023-12-19

自己紹介

この記事は株式会社ビットキー 情シス Advent Calendar 2023 の19日目の投稿です。

はじめまして。株式会社ビットキーの中瀬です。
2019年入社に入社し、現在では本アドカレを主催する情シス系の部門において主に業務DX領域でマネジメントを務める1人です。

現在ではという言い方をしたのですが、本記事の主旨に私のキャリアが多分に関わるため、簡単に紹介させて下さい。

  • 【 前職 】
    • 自社プロダクトを持つITベンダーの1セールスパーソン
    • 営業企画系の部門立ち上げに際し、社内にSalesforce(SalesCloud)を導入するプロジェクトリーダーとなって営業活動以外の仕事に人生で初めて触れる
    • 約半年間で全国複数拠点数百人の営業メンバー陣がSalesforceを業務実行・管理の基盤にしてくれるようになった
  • 【 ビットキー時代 】
    • 【2018年8月1日】ビットキー創業
    • ビジネスを管理する基盤として、Salesforceを導入してみては、という話が出てきた
    • 【2019年】中瀬が呼ばれて、入社と同時にSalesforceを立ち上げてみた
    • なんやかんやある
      ※実はここの仕事の方がビットキー時代で最長なのだが本記事とは関係無いので割愛※
    • 【2023年】今の組織・今の立場に就く

前提と想定読者

さて、少々自己紹介が長くなってしまいましたが、本記事の内容は、上述の通り2018年8月に創業され、2019年頃にビットキーで初めてのビジネスが立ち上がっていくその最中、営業出身の私がビジネス部門の業務基盤とするべくSalesforceを立ち上げた昔話をするというものになります。

※ 本記事では少々昔の話に限るため、一部記事公開後の現在では記載されている通りのシステム設計や運用ではなくなっている箇所が多々あり、また挿入資料内の計画日付通りには実現されなかった部分がある旨、予めお断りさせていただきます。 ※

私はエンジニアだ、という方々へ

皆様のエンジニアリング能力に対し、私のそれは足元にも及びません..
(具体的には、新卒研修で知識ゼロから半年Javaなどを学んでWebアプリのおもちゃを作ったくらいと思ってください)
逆に、エンジニアの皆さんにご活躍いただく前提となるビジネスと業務の立ち上げに取り組んだのが本記事で触れる時代のお話になるので、非エンジニア(ビジネスサイドの人間)がやると、こんな気持ちなんだとか、非エンジニアがやるとここまでしかできないから、自分はこんな価値発揮できるじゃんなんてことを再発見していただけたら幸甚です。

私はエンジニアではない、という方々へ

世の中には私と同じようにSalesforceを非エンジニアながら構築している方々がたくさんいらっしゃいますし、これからその立場に就く方もどんどん出てこようかと思います。
後述しますが、ビットキーという会社は創業期から多角的で複雑なビジネスを実現してきており、つまりそれを支える業務基盤システムの実現難度は高いと思っているので、スタートアップにおいて、非エンジニアだとしてもこんな感じでやれることがあるんだとか、自分も自力で手を伸ばせることが実はまだあるかもしれないなんてことを感じていただけたら幸甚です。

0.「力を貸してくれ」から始まった、ビットキービジネス

< 2019年1月9日 >
まだ日本にないようなマーケからCSかつBとC合わせたCXのシステムを設計したいと思ってる
力を貸してくれ

COOの福澤から、SNSでなにやら不思議な連絡をもらいました。
(福澤は、私にとって前職時代からの大先輩です)
と同時に、何かとてもワクワクするお話が始まりそうだと感じたことを鮮明に覚えています。

2023年現在、ビットキーには

  • Home事業
  • Workspace事業
  • Experience事業

という複数事業があり、これらのビジネス構造/商流は、
例えばHome事業なら、【BtoB】もあれば【BtoC】もあるし、
【BtoB】は【BtoBtoC】でもあるし、【BtoパートナーtoB(toC)】だったりもします。
【BtoC】は自社サイトでの販売もあるし、Amazon.co.jpでの販売もあります。
(※ 以上で全てかつ完全に正確な表現というわけではありません。)
こうしたビジネスモデルの多角性は、Workspace事業などでも同じようなことが起こっています(起こしています)。

創業の頃から、2023年現在と全く同じ事業構造のデザインとまでは言わないものの、当時から同じようなビジネスの拡がりをイメージし、一気にそこに向けた立ち上げを行おうとしていた、ということを福澤が私にくれた連絡が証明しています。
そしてまた、そのイメージを現在に至るまでに現実のものにしてきました。

もちろん、今後もさらなる成長を目指しているのですが、
上記でお伝えしたいのは、
"プロダクトがマーケットにフィットしたことを分析して、ニッチな領域での収益性を実現しつつビジネスを横展開する。それに対して順次システム対応の幅も拡げていけばいい。"
なんて悠長に聞こえることを言っている場合じゃなかったぜいということになります。

具体的な業務システム要件の例を上げると..

  1. ユーザーの定義は、一意には決まりません
  2. 法人ユーザー(クライアント)について管理したい情報や管理運用は、複数パターンの実現を要します
  3. 立ち上げた瞬間で要件が固まっているわけではなく、高速で変化/増加していきます

これを、Salesforceで実現が求められる要件の例へ置き換えていきましょう。

  1. 取引先オブジェクトで言えば、個人取引先としてもこのオブジェクトを使う方式を初っ端から設計して、
    cf. 【Salesforce サポート】個人取引先の有効化
  2. なおかつ(法人)取引先については、初期段階からレコードタイプを複数設計したうえでページレイアウトでUIに昇華させ、
  3. どんどんビジネスが成長するに合わせて変化/増加する要件(項目フロー設計 etc.)への対応を上記の全方位に対して成し遂げる必要があった

という感じになります。

私の入社時点では、社内にSalesforceを構築し運用確立した経験者はゼロでした。
(もしかしたら居たのかもだが、アサインできる余裕など一切なかったことは間違いない)

さぁ、やってみようではありませんか。

はじめから多角化を描き、同時かつスピーディーな立ち上げを目指した

1.初受注するぞ、そんでもって、「問い合わせが来ちゃう」ぞ

私が入社するのと時を同じくして、Makuakeでのプロジェクトが開始しました。
今となっては社内でも知る人ぞ知るプロジェクトになりつつあるのですが、ここでの販売活動の結果、当社として初の"受注"が生まれています。
(当時のお客様、誠にありがとうございます。)

受注するということは、その前後でお客様とのコミュニケーションが発生します。
クラウドファンディング形式であり、出荷までは多少の日が空きますが、お客様対応業務は、受注する前から発生するのです。

さらには、受注経路としては、Makuakeプロジェクトのみならず、"初期の自社ECサイト"の立ち上げプロジェクトも始まっており、お客様(と、お問合せ)流入経路の多角化がさっそく始まろうとしていました。

さあ、どうやって対応する?どうやって管理する?

Salesforceプロジェクトとしては珍しく(?)、「お問合せ対応業務」が初めの実現対象だった

2.CS採用は進んでるぞ、でも「業務が無い」ぞ

私が入社した時点で、カスタマーサクセス(世の中ではカスタマーサポートと呼称される場合もあります)業務を専任で担ってくれる人材の採用は、少しずつ進んでいました。
彼ら彼女らは、お客様対応業務の経験者ではあるものの、"ビットキーとしてどのような業務設計で対応を行うのか"については、本当の意味での立ち上げ期ですから、当然ながら確定事項が何一つありません。
"あるべき"も、まだありません。人がいても、業務が無いのです。
考えてみれば当たり前です。会社というもの、ビジネスというものは無から始まるのですから。

無から有をつくっていく活動がはじまります。

※ これは当然難しい作業ではありますが、一方で、在籍4年を超えた今振り返ってみると、必ずしも既存業務(や、それを支えるシステム)がある状態に比べて、あらゆる面において難しいわけではないということを感じます。基本的に抑えなければいけない前提というものがなく、既存の業務実行者との合意形成やチェンジマネジメントの過程が無いからです。 ※

システムの前に業務が無い。だから、つくる。

3.事業と業務と組織とSalesforceを「一気に」立ち上げるぞ

無いものはつくるしかありません。
主に以下のような立場の仲間に提案し、ともに協議し、合意し、形にしていく営みです。
【 ステークホルダー 】
 ・カスタマーサクセス部門と組織の立ち上げ役
 ・カスタマーサクセス部門メンバー
 ・自社ECサイトと、その基盤となる基幹システムを構築するエンジニア
 ・経営層

「これについて考えないといけないんじゃない?」
「これについて合意しないといけないんじゃない?」
もちろん論点を洗い出して、WBSを引いて進めていきますが、"前進させること"に全力を注ぎます。

ひたすら、考えにならない考えを絵にしてみます。書いてはボツにします。直します。見せます。話します。耕します。
231219_salesforce_1.png
いま過去の資料を掘り起こしてみると、赤ちゃんみたいなデザインだなぁと感じてしまうものもありますが、でもいいのです。これで大事なことが決まっていくのなら。進みましょう。

商流を捉え、業務の流れを捉え、データの流れを決め、システムの構造を決めていきます。
事業が見えてきます。業務が見えてきます。組織が形になっていきます。つくるべき業務システムが、固まっていきます。

これを、細かな設計に反映させていきます。

  • オブジェクト構造
  • 各オブジェクト設計
    • 項目
    • 入力規則
    • ページレイアウト
  • 制御系(フロー)
  • etc.

環境の立ち上げ順序としては、先述の通り「お問合せ対応」を成り立たせることが最優先であることから、Salesforce製品群のなかでも、ServiceCloud領域からの立ち上げとなりました。
ところが、ビットキー入社時点での私の経験歴は、

営業企画系の部門立ち上げに際し、社内にSalesforce(SalesCloud)を導入する

に留まっていました。
当然キャッチアップが必要です。

一方で、上記の立ち上げの営みに着手してから、初のお問合せが発生するまでの猶予期間は、だいたい3週間くらいでした。
そこで、インプリベンダーを選定し、月20時間くらいの稼働(要件整理協力やシステムコンサルティング)に加えて、以下のような各種実装の作業代行もお願いしました。

  • Lightningコンソール設定
  • 個人取引先、ケースの画面項目設定
  • webToケースの設定支援
  • メールToケースの設定支援
  • amazonConnectとのCTI連携設定
  • メール送信用各種設定支援
  • SPF設定支援、自動応答メールテンプレート設定
  • LiveAgent設定
  • ナレッジ設定

こうしたかたちで、オンスケで電話やメールなどでのお問合せ対応を実行し管理する基盤の立ち上げに成功するに至りました。
業務が生まれ、はじまったのです(始まってからのほうがよっぽどタイヘン).....

自分に知識と経験がなくても仮説をぶつけて合意を作り、的確に周りに頼って前進させることに執着した

さて、ビットキービジネスの特徴として、

例えばHome事業なら、【BtoB】もあれば【BtoC】もある

と、ご紹介しました。もうお腹いっぱいですか?
いいえ。同時並行で考えていきましょう。想定し、設計していきましょう。現場を、巻き込んでいきましょう。
231219_salesforce_2.png

以下のご説明をしたとおり、

取引先オブジェクトで言えば、個人取引先としてもこのオブジェクトを使う方式を初っ端から設計して、

  • BtoC ・ BtoBのモデルで多角的に、
  • カスタマーサクセス領域と(マーケティング/)セールス領域で幅広く、
  • しかし一方で矛盾や齟齬や事故が無きように成すべく、

両手にプロジェクトを携え、仲間とともに業務とシステムを整理していきました。
ここが当社の特色の1つであり、説明する面白みがある取り組みなのです。

が、本日の記事を書いている私が、お腹いっぱいになってしまいました。
どこかでまたご紹介させてください。

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