知識ゼロから本を1冊作ることになりました。
私が本を作るために学んだことを書いていきます。
前回は、一つの原稿が書籍となり、知らない誰かが手にして読むという過程から湧いた疑問「本のカバーデザインや本文レイアウトで大切なこと」について考えました。
その結果、本のジャンルによって、本のレイアウトの中で配慮すべきポイントは違うことが分かりました。今回から実際の依頼内容をもとに具体的にジャンルやブックデザインのコンセプトを考えていきます。
特に、コンセプトは書籍を作る上で関わる人とも共通した認識を持つことが大切になるので、この辺りも意識して、まとめます。
実際の依頼内容をもとに整理する
今回の依頼は、詩集です。ジャンルは文芸。
詩集と言われると、谷川俊太郎さんの『二十億光年の孤独』など思い浮かべるかもしれません。
今回は、フランスの詩人 アルチュール・ランボーの自由訳した詩集を制作します。
その前に、ランボーがどんな詩人だったのか?
新潮社に彼の短い生涯と詩人としての人柄のわかるプロフィールがあります
ランボーが活躍した時代は、ゴッホやゴーギャンが活躍した時代と重なります。
また日本では、ランボーの詩集を堀口大學や中原中也など複数の作家が翻訳をしています。
岩波書店のサイトによると中原中也は短い生涯の間に3冊も翻訳詩集を出しており、ランボーの影響強く受けた詩人の1人です。
今回制作する詩集について依頼内容をもとに情報を収集してみると
翻訳する詩人について、そして日本語に翻訳した人、活躍した時代などが把握できました。
ジャンルの特性から言えること
文芸書の特性を踏まえて、書体や構成、レイアウトを考える必要はあります。今回は翻訳対象の詩人、翻訳方法に特徴があるので、ブックデザインを考える上ではここも大きな要素になります。
コンセプトについて考える
本の制作をする上でコンセプトをしっかり決める意味は二つあります
- デザインの方向性を決め、本全体を統一したものにする
- 制作に関わる人の考え、意図をできる限り一致させる
このことを踏まえて、コンセプトを決めるために考えた項目は以下の通りです。
1. 本の目的
2. ターゲット層
3. 読者に伝えたいメッセージや主張は何か
4. メッセージをどんなデザインで可視化するか
5. 装丁に求めるポイント
6. 本全体の構成において重視したいこと
7. 世界観やテーマ
8. ブランディング
次回
コンセプトをもとに考えたテーマ、デザインについて
次回からは、制作役割や作業の流れを記載していきます