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HaskellAdvent Calendar 2019

Day 20

Inline-c:C++のネームスペースやテンプレートの対応について

Last updated at Posted at 2019-12-20

目的

HaskellからC++のネームスペースやテンプレートを扱うためにInline-cとInline-c-cppの改良を行ってきました。
既存の問題とInline-C以外のC++を扱うための方法の紹介したあと、今回行った改良について述べます。
inline-cの0.9.0.0とinline-c-cppの0.4.0.0のバージョンから使えるようになっています。

既存の問題

HaskellからCの関数を呼ぶためにForeign_Function_Interfaceが用意されています。
これはC言語から作ったライブラリのシンボル名を直接指定して、ghcがビルドするときにC言語のライブラリとリンクしてます。

例えば、以下のmy_funcというCの関数をHaskellから呼ぶ場合を考えます。
foreignで始まる文をHaskell側に書いてCのプログラムをライブラリしてghcでリンクします。

double my_func (int v) {
  return v*2.1;
}
foreign import ccall "my_func" myFunc :: Int -> IO Double

main = do
  v <- myFunc 123
  print v

C言語の場合はmy_funcの関数名とCのライブラリのシンボルが一致しますが、
C++の場合は一致しません。C++は同じ関数名で異なる引数の関数をサポートするためにライブラリのシンボルが修飾されています。

例えばC++のdouble my_func(int)の関数は修飾されると_Z7my_funciになります。
そのシンボルを下記のように指定すればHaskellからC++の関数を呼べますが、難しいです。

foreign import ccall "_Z7my_funci" myFunc :: Int -> IO Double

そのため、修飾をさけるためにextern "C"をつけることでHaskell側でmy_funcのシンボルで呼び出せるようにします。

extern "C" {
  double my_func (int v) {
    return v*2.1;
  }
}

しかし、いちいちC++の関数をextern "C"で囲むのは面倒です。

この問題に対応するためにHaskellは下記のパッケージがあります。

  • inline-c
    • Haskellの中にC/C++のコードを埋め込みTemplateHaskellでコンパイル時にC++と接続する関数を生成するパッケージ
    • Pros
      • C/C++のコードが自由に書ける。
    • Cons
      • C++のテンプレートやネームスペースに対応してない。
      • GCに対応してない。
  • fficxx
    • HaskellのDSNでC++のIFを書きC++とHaskellのコード生成を行うパッケージ
    • Pros
      • C++のクラス、テンプレート、ネームスペースに対応している。
    • Cons
      • HaskellでC++のIFのためのDSLを書くのが大変。
      • DSL内のIFしか生成できない。
      • GCに対応してない。

#今回行った改良

テンプレートとネームスペースへの対応

これまでinline-cはstd::vector<int>std::stringのようなシンボルが扱えませんでした。理由はそのパーサーがC言語用のものになっていてパースエラーが発生していました。

今回inline-cを改良してC言語用のパーサーをC++のネームスペースやテンプレートへの対応できるようにしました。
改良のPRはこちらです。

使い方は、まず空のdataを用意します。ただのクラスの場合はdata <クラス名>、テンプレートの場合はdata <クラス名> a
の用に宣言します。

import qualified Language.C.Inline.Cpp as C

data Test -- C++のクラスをいれるデータ
data Vector a -- C++のstd::vector<..>をいれるデータ
data Array a -- C++のstd::array<..>をいれるデータ

次にC++のシンボルとのマッピングを定義します。クラス名の場合はそのまま書き、テンプレートの場合は<..>を除いた部分を記述します。
たとえば下記のようになります。

C.context $ C.cppCtx `mappend` C.cppTypePairs [
  ("Test::Test", [t|Test|]),
  ("std::vector", [t|Vector|]),
  ("std::array", [t|Array|])
  

Haskellの中でC++の関数を呼び出す場合は下記のようになります。C.block|のあとに戻り値のC++型(std::array<int,10>*)を書き、C.blockのHaskellの戻り値の型はIO (Ptr (Array '(C.CInt,10)))のようになります。
HaskellでC++のポインタをptの変数を受け取ったあと、それをC++に送るには$(<C++の型> <Haskellの変数>)のようなものを書きます。

main = do
      pt <- [C.block| std::array<int,10>* {
          return new std::array<int,10>();
        } |] :: IO (Ptr (Array '(C.CInt,10)))
      [C.block| void {
          (*$(std::array<int,10>* pt))[0]=true;
          std::cout << (*$(std::array<int,10>* pt))[0] << std::endl;
        } |]

#まとめ

Haskellからネームスペースやテンプレート付きのC++の関数を呼べるようにinline-cを改良しました。
inline-cの0.9.0.0とinline-c-cppの0.4.0.0のバージョンから使えるようになっています。

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