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「秘伝のタレ」化した管理者パスワード、もう限界!特権アクセス管理(PAM)が組織を救う理由とは?

Last updated at Posted at 2025-07-13

はじめに

エンジニアや情報システム担当者の皆さん、こんにちは!
日々のシステム運用、本当にお疲れ様です。

ところで、皆さんの組織では 「特権ID」(サーバーのroot, クラウドの管理者アカウント等、システムの生殺与奪を握るID)のパスワードをどのように管理していますでしょうか。

あなたの組織、こんな「ヒヤリハット」に心当たりはありませんか?

  • 「あの本番サーバーの管理者パスワード、誰が知ってるんだっけ…?」とSlackで聞いたら、DMでパスワードが平文で飛んできた
  • 退職したエースエンジニアのAさん。彼が設定したシステムのパスワードが分からず誰も手を出せないブラックボックス化した聖域が生まれている
  • 緊急の障害対応のため、委託先のエンジニアに画面共有でコンソールを見せながら、口頭でrootパスワードを伝えてしまった
  • パスワード管理に使っているExcelファイル。誰かが更新すると別名で保存するため、「server_password_v3_final_20250714_最新.xlsx」 のようなファイルが乱立し、どれが正なのか誰も分からない

一つでも「ウチのことだ…」と頭を抱えた方、その管理体制は、もはや「性善説」という名の砂上の楼閣かもしれません。その「秘伝のタレ」のように属人化し、ブラックボックス化したパスワード管理が、ある日突然、ランサムウェア被害、重大な情報漏洩、サービス停止といった事業継続を揺るがすインシデントの引き金になりかねないのです。

本記事では、こうした根深い課題を根本から解決する 「特権アクセス管理(PAM)」 がなぜ今、企業の規模を問わず「必須」のセキュリティ対策なのか、そして次世代のPAMソリューションがもたらす未来について、過去に私が見聞きした失敗談と成功体験を交えながら解説します。

この記事を読んで欲しい方
✅ チームの特権アクセス管理・ID管理に、限界と危機感を感じている方
✅ PAM製品の導入を本格的に検討し始めた方
✅ すでにPAM製品を導入済みだが、形骸化していたり、もっと活用したいと考えている方
✅ 組織のセキュリティとガバナンスを本気で向上させたい全ての責任者・担当者

そもそも「特権アクセス管理(PAM)」とは何か?

PAM(Privileged Access Management)を改めて一言で表すなら、
「最強の鍵(特権ID)」の利用に関するすべてを統制し、可視化するためのセキュリティ基盤」
です。

単なるパスワード管理ツールではありません。システムの特権を扱う際のあらゆるプロセスに介在し、セキュリティとガバナンスを強制する。いわば 「デジタル世界の、24時間365日稼働の鍵の金庫番兼コンシェルジュ」 のような存在です。

具体的に、この「金庫番」は4つの重要な機能を提供します。

機能 概要 これで解決できる悩み
① アクセス制御 誰が、どのリソースに、いつ、どのようにアクセスできるかを厳格に定義し、強制する。 「この人には本番DBの読み取り権限だけを与えたい」「夜間は特権アクセスを禁止したい」といった、柔軟かつ厳格な権限管理が実現できる。最小権限の原則が徹底される。
② パスワード管理/隠蔽 特権IDのパスワードを人間から完全に隠蔽し、PAMシステム自身が管理・払い出し・自動変更を行う。 利用者はパスワードを覚える必要も、知る必要もなくなる。使い回しや、退職者によるパスワードの持ち出しリスクが物理的に消滅する。
③ セッション管理 特権IDによるすべての操作セッションを監視・記録・録画する。 「いつ、誰が、どんなコマンドを実行したか」が動画とテキストで克明に残る。リアルタイムでの不審な操作の検知や、強制切断も可能になる。
④ 監査・レポート いつ、誰が、どの特権を使ったかの完全な監査証跡(ログ)を自動で生成・保管する。 監査の際に「誰がやったか不明」という事態は起こらない。不正の「動かぬ証拠」として機能し、レポート提出も簡単に可能。

よくあるExcel管理では、これらのうち一つとして実現できません。PAMは、性善説に頼ったアナログな管理から、ゼロトラストなシステム統制へと移行するための、決定的な一手となります。

なぜ今、PAMが「必須」なのか?看過できない3つの現実

「うち中小企業だから」「今まで問題がなかったから大丈夫」という考えは、もはや通用しません。PAMが「あったら良いな」から「なくてはならない」に変わった3つの現実的な理由を解説します。

1. 現実のリスク:内部不正と「うっかり」が事業を破壊する

Verizonの「2023年データ侵害調査報告書」によると、全侵害の約20%に内部関係者が関与しています。これは決して無視できない数字です。悪意を持った退職者が顧客情報を持ち出したり、腹いせにサーバーのデータを削除したりする事件は後を絶ちません。

しかし、それ以上に恐ろしいのが、悪意のないヒューマンエラーです。本番環境と開発環境を間違えてデータ更新してしまったり、権限が強すぎるアカウントで操作したために影響範囲を広げてしまったり…。こうした「うっかりミス」は、PAMによる厳格な権限分離と操作監視がなければ、防ぐことが極めて困難です。

2. 攻撃の高度化:サイバー攻撃の最終目的は「特権IDの窃取」

近年のランサムウェア攻撃は、単にファイルを暗号化するだけではありません。まず従業員のPCなどを足がかりに社内ネットワークへ侵入し、そこから数週間から数ヶ月かけて、Active Directoryのドメイン管理者など、システム全体の支配権を握れる特権IDを静かに狙います

この特権IDを奪うためのラテラルムーブメントを許してしまうと、バックアップも含めて根こそぎ破壊され、事業継続が不可能になるほどの致命的なダメージを受けます。
PAMは、このラテラルムーブメントを検知・ブロックし、万が一侵入されても被害を最小限に食い止めるための 「最後の砦」 として、極めて重要な役割を担います。

3. 社会的要請:避けられない監査と高まるコンプライアンス要求

ISO 27001 (ISMS) の管理策「A.9.2.3 特権的アクセス権の管理」やクレジットカード情報を扱う企業向けの基準であるPCI DSSでは、特権アクセスの最小化、利用者ごとの一意なIDの利用、そして すべてのアクセスと操作の記録 が明確に要求されています。

監査の場で、Excelの管理表を提示して「これで管理しています」と説明するのは、もはや通用しません。「いつ、誰が、何をしたか」を客観的かつ改ざん不可能な形で証明できるPAMの監査ログは、社会的責任を果たす上で不可欠な要素となっています。

【実録】Excel管理地獄からの脱出!PAM導入の劇的ビフォーアフター

これは、中小企業でシステム管理者を務める友人の話です。

【Before】負のスパイラルに陥っていた過去

  • カオスなパスワード管理 : パスワード管理表はサーバー上にありましたが、ローカルにコピーする者、印刷して机に貼る者など、ルールは形骸化していました

  • 夜遅くまで監査対応 : 半期に一度の監査前は各サーバーにログインしてコマンド履歴を抽出し、申請書と突き合わせ、Excelに手作業で転記…。レポート完成まで、チーム2人がかりで夜遅くまで残業するのが恒例行事でした

  • 拭えない委託先への不信感 : 外部の協力会社にサーバーアクセスを許可する際、パスワードを直接渡していました。契約終了後にパスワードを変更するルールでしたが、徹底されているか常に不安を抱えてました

【After】PAM導入で手に入れた「安心」と「時間」

PAM製品(SaaS型)を導入し、働き方は劇的に変わりました。

✅ 【定量的効果】監査工数が95%以上削減!
これまで丸2日(約16時間)かかっていた監査レポート作成が、わずか30分で完了するように。レポートはボタン一つで出力され、客観的な証拠として信頼性があります。

✅ 【定性的効果①】「攻めのIT」へのシフト
運用保守や監査対応といった「守り」の業務から解放され、チームは新しい技術の検証や、ビジネスに貢献する「攻め」のIT施策に時間を使えるようになりました。何より、「何か起きるかもしれない」という心理的な負担から解放されました。

✅ 【定性的効果②】信頼に基づくパートナーシップ
委託先には、必要な期間・必要なサーバーへのみアクセスできる一時的なアカウントを発行。すべての操作が録画・記録されるため、お互いに安心して業務を任せられるようになり、より健全なパートナーシップを築けるようになりました。

後悔しないPAM製品の選び方と「KeeperPAM」という賢い選択肢

PAM導入を決意しても、製品選びで間違うと宝の持ち腐れになります。自社に最適な製品を選ぶための比較ポイントと、SaaS型・オンプレミス型の違いを見てみましょう。

基本的な比較ポイント

比較観点 チェックポイント
機能性 アクセス制御、パスワード管理、セッション監視/録画、監査、API連携、対応プロトコル(RDP, SSH, DB, CLI)など、必須要件を満たしているか?
運用性 UIは直感的か? 専任者でなくても使えるか? 導入や設定変更は容易か? サポート体制は手厚いか?
対応環境 オンプレミス、マルチクラウド(AWS, Azure, GCP)、ハイブリッド環境など、自社の環境に柔軟に対応できるか?
コスト ライセンス体系(ユーザー数、ノード数など)は分かりやすいか? 初期費用だけでなく、運用・保守を含めたTCO(総所有コスト)で比較しているか?

SaaS型 vs オンプレミス型

比較観点 SaaS型 オンプレミス型(自社運用)
導入スピード 速い (数日〜数週間) 時間がかかる(数ヶ月〜)
初期コスト 低い 高い (サーバー、ライセンス)
運用負担 少ない(ベンダーが管理) 大きい(自社で全て管理)
カスタマイズ性 限定的 高い
おすすめの組織 迅速に始めたい、運用負荷を下げたい、多くのクラウドサービスを利用している組織 厳しい要件で自社管理が必要な組織

この比較を踏まえ、私が今、最も注目しているのが 「KeeperPAM」 です。Keeperは世界中で利用されるパスワードマネージャーのリーディングカンパニーですが、その技術力とノウハウを注ぎ込んだKeeperPAMは、従来製品の課題を解決する多くの魅力を備えています。

KeeperPAMが「次世代」と言われる理由

🚀 圧倒的な導入スピードとUX(ユーザー体験)
SaaS型であるため、契約後すぐに利用を開始できます。複雑なサーバー構築は一切不要です。そして特筆すべきは、その洗練されたUI/UX。ブラウザ拡張機能やデスクトップアプリから、まるでブックマークをクリックするように、パスワードレスでサーバーに接続できます。この手軽さは、PAMの利用を形骸化させず、組織全体に浸透させる上で極めて重要な要素です。

🛡️ 「ゼロトラスト」と「ゼロ知識」による最高レベルのセキュリティ
KeeperPAMは、全てのアクセス要求を検証する「ゼロトラスト」モデルを前提に設計されています。さらに、Keeperの代名詞とも言える 「ゼロ知識」アーキテクチャ を採用。これは、ユーザーデータが常にユーザーのデバイス上で暗号化・復号され、暗号化されたデータしかKeeperのサーバーには保管されない仕組みです。つまり、Keeperの従業員ですら、あなたの組織のいかなるパスワードや情報も見ることは物理的に不可能です。これは、クラウドサービスを選定する上で、この上ない安心材料となります。

💰 すべてが揃った「オールインワン」による優れた費用対効果
従来のPAM市場では、「パスワード管理」「セッション管理」「シークレット管理(APIキー等の管理)」などが別々の製品・ライセンスとして高額で提供されることが一般的でした。KeeperPAMは、これら特権アクセス管理に必要なすべての機能を、一つのプラットフォーム、一つのライセンスで提供します。これにより、多機能・高セキュリティな環境を、驚くほど優れたTCO(総所有コスト)で実現できます。これは、これまで予算の壁でPAM導入を躊躇していた多くの企業にとって、まさにゲームチェンジャーと言えると思います。

▼ まずは触ってみるのが一番です。
KeeperPAM 無料トライアル

まとめ

特権アクセスの管理は、もはや一部の大企業や金融機関だけのものではありません。それは、あなたの組織の事業と信頼という最も重要な資産を守るための、現代における必須のセキュリティ投資です。

「何から手をつければいいか分からない」という方は、まず以下のスモールスタートから始めてみてください!

  • 【Step 1: 棚卸し】 まずは、社内にある最重要システム(顧客DB、基幹システム、クラウドのルートアカウント等)を3〜5個リストアップする

  • 【Step 2: 可視化】 それらのシステムにアクセスできる特権IDと、そのIDを知っている人物をすべて洗い出す

  • 【Step 3: 評価】 その管理方法に、この記事で挙げたようなリスクがないか評価してみる

この簡単な棚卸しだけでも、自社の脆弱性がきっと見えてくるはずです。

「秘伝のタレ」は、継ぎ足し続ければいつか腐敗します。
セキュリティ投資は、信頼という最大の資産を守るための、最も賢明な経営判断です。未来の安心を手に入れるため、今日から、その一歩を踏み出しましょう!

参照

Verizon: 2023年データ侵害調査報告書
ISO 27001 (ISMS) の管理策「A.9.2.3 特権的アクセス権の管理」

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