こんにちはー。
最近、ずっと更新しておりませんでしたが、また勉強がてら、いろいろ書いていこうかと思っています。
はじめに
私は支援型リーダーを目指しておりまして、エンジニアチームを育てていくに当たって、チームに対して「問う力(質問力)」が必要であると感じはじめました。
「問う」ことにより、メンバーやチームに対して、問題を聞き出したり、内省を促したり、新たな発見を促進することができるのです。
「問う力」を身に付けるに当たって、まずは、こちらの書籍を読みました。
さらに、この著者の方、たびたび、オンラインでのセミナーをやって頂いてまして、そちらにも参加してきました。(結構前になりますが💦)
これらから学んだ事とおよび、私自身の持論(チームのメンバーや、会社の同僚などと対話した結果)などを交えながら、この記事にまとめていきたいと思います。なので、全てが、上記の書籍で書かれていることではないという事をご理解ください。
「機能する問い」と「機能しない問い」
言葉の定義ですが、問う相手に、狙い通りの思考を引き出すことが出来た問いの事を「機能する問い」と呼び、逆に狙い通りの思考を引き出せなかった問いの事を「機能しない問い」と呼びます。
普段の仕事の打ち合わせの場面で、先輩や上司から、質問され、「これはいったい何を聞き出したいと思っての質問なのだろうか?」と考えてしまったことはないでしょうか?そのように思わせてしまう問いは「機能しない問い」となるわけです。
3種類の「問う力」
問いの種類を3種類に分割できます。「1人称の問い」「2人称の問い」「3人称の問い」の3つです。
「機能する問い」を作っていくためには、まずは、「1人称の問い」から練習し、「2人称の問い」「3人称の問い」と順に訓練していく必要があります。
「1人称の問い」というのは、自分自身に対しての問いで、内省や自己分析に利用するする問いです。
「2人称の問い」というのは、1人の相手に対して、行動や判断を聞き出したり、サポートするための問いです。
「3人称の問い」というのは、複数人の相手に対して、同時に行う問いです。
5W1Hで自分の頭を整理(「1人称の問い」作り)
5W1Hとは、「Who(誰が)」「When(いつ)」「Where(どこで)」「What(何を)」「Why(なぜ)」「How(どのように)」のことで、英文の疑問詞ですね。これを用いて情報を整理するのです。
特に、「Why」を何度か繰り返すことで、思考を掘り下げていくという「なぜなぜ分析」の手法は内省の場面ではよく用いられます。
「2人称の問い」作り
ここからが本番です。
1人称の問いでは、問う相手が自分自身なので、認識違いなどはありえませんでしたが、2人称の問いでは、相手が1人いるわけですからそうはいきません。油断すると、すぐに「機能しない問い」になってしまうのです。
相手に問おうとしているものは何なのか?
↓で整理できます。「ジョハリの窓」みたいなやつですね。
自分(問う側)が、この中のどこについて問おうとしているのか認識しておく必要があります。
ただし、こちら、問おうとする対象が、「B(自分は知らないが相手は知っている)」「D(自分も相手も知らない事)」のような自分がしらないことを聞き出したいとう事であった場合、それを単刀直入にいきなり聞いたとしても、答え辛く、「機能しない問い」になってしまうかもしれません。なので、まずは、「A(相手も自分も知っている)」のような、既に分かっていること(例えば「今日の天気は暑いですねぇ」みたいな世間話)や、または、「B(自分は知らないが相手は知っている)」の中でも答え易いもの(例えば「今日はどうやってここまで来たのですか?」など)から入り、DやCといっただんだんと「聞き出したい核心」や「伝えたい事」「学んで欲しい事」に迫っていくとよいそうです。A→B→D→Cの順ですね。
主語や主体を明示することで思考の領域を明確にする
例えば、「SDGsを達成するために、何ができるのか?」という問いをされた場合、それは、「国として何ができるのか?」を聞きたいのか、それとも、「あなた(個人)として何ができるのか?」を聞きたいのか?という所が曖昧なのです。この曖昧さを「解釈の揺らぎ」と呼びます。
そうなると聞かれる側はどう答えてよいのか分からず、考え込んでしまうかもしれません。
なので、主語、主体を省略してしまった場合、相手にどのように聞こえるのだろうか?と考える癖をつけ、「解釈の揺らぎ」が発生しうる場合には、主語や主体を明示すべきなのです。
会話の質(深度)
氷山モデルで表すことできます。
この深度が深ければ深いほど、相手への自己開示を本能的に拒む傾向にあります。相手に問う際には、どのレベルの情報を聞き出そうとしているのかを認識しましょう。そして、そこまで辿り着くためには、いくつかのステップを置かないといけないこともあるということを覚悟しておく必要があるのです。
「水平の問い」と「垂直の問い」
「水平の問い」とは話題を変える問いです。「垂直の問い」とは話題を深堀る問いです。
これをうまく使い分けることで、相手の話したい話題を引き出し、そこから、相手の感情(深度3の情報)や価値観(深度4の情報)まで情報を得ることができるのです。
2人称の問いにおける5W1H
2人称の問いにおいても「5W1H」は有効に活用できますが、最も注意しないといけないことは、「Why(なぜ)」の使い所です。これは、↓のような感じで様々なコミュニケーション系の情報記事でも取り上げられてます。
上司が部下に対して、「Why(なぜ)」を使うと、尋問のようになってしまい、部下側は、「すいません。。。」となって委縮してしまうことなり、建設的な話ができない可能性が大です。
傾聴
傾聴というのは、1対1での対話の場面で、手を止めて相手の話に集中して積極的に聴く事にあります。
「傾聴8割、質問2割」と言われるだけあって、相手から何かを聞き出すためには、傾聴は重要です。
よく、傾聴のポイントで、「相手の言葉をすぐに否定せず、聞き入れましょう」と言われるのですが、私はこれは必ずしもそうではないと思っています。場合によっては、すぐに否定しても良い事もあると思っています。その場合というのは、**「調べて白黒がすぐにはっきりする場合」です。**この場合の否定であれば、相手側も間違いをすぐに認めたうえで、本質の話題に入れるのではないでしょうか?
逆に、白黒がはっきりしない事(例えば、個人の感想や認識について)をすぐに否定されてしまうと、委縮してしまい。それ以上は話さなくなってしまうなどということにもなりえるので、注意しなければなりません。
「3人称の問い」作り
「3人称の問い」というのは、複数の相手に対して同時に問うものです。
会議や講師がいるような学習の場がそれにあたります。
3つに分けて捉える
「全体の問い」・・・複数人で取り組むべき主題です。
「分割された問い」・・・「全体の問い」を達成するためにいくつかのステップに分割した問いです。
「介入の問い」・・・補足や意見の整理、方向づけが必要な場面で、途中に間に入って問うことで議論をコントロールする問いです。
「全体の問い」の作り方
会議のテーマでは、「〇〇〇について」などと書かれている場合が多いですが、この書き方だと、何を決めたいのか?何が決まれば終わりなのかのゴール感がわかりません。
なので、「〇〇〇に人を集めるために今からできることは何か?」といったように具体的に書くことで、何を決めたいのか、何がゴールなのかが明確になるため、議論がぶれ難く、活発化しやすくなるのです。
「分割された問い」の作り方
こちらも「全体の問い」と作り方は同じで具体的に何を決めたいのかをテーマにしてしまい、アジェンダのように一覧化するとよいでしょう。
「介入の問い」の作り方
以下3種類を身に付けておくと良さそうです。
・論点を整理する問い
→対立する意見が出された場合など、論点を整理することで、実は対立する意見ではなく、論点の異なる意見であることを示すことができる。
→例:「①の意見は、こういった観点からの意見で、②の意見はこっちの観点からの意見となります。」といった整理
・意見を引き出す問い
→議論が偏っている場合などに、別観点や別の立場の方に意見を求めることで、偏りを無くすことができる。
→例:「〇〇さん、〇〇〇部の立場からのご意見を頂きたいのですが如何ですか?」など
・話を元に戻す問い
→話が脱線してしまったときに、相手を不快にさせることなく、論点を戻させるような問いです。
→例:「〇〇さん、貴重なご意見ありがとうございます。ところで、〇〇〇の観点からはいかがでしょうか?」
ICEアプローチ
Ideas(考え)、Connections(つながり)、Extensions(応用)の3つにレベルに分けたものの考え方です。
このレベルに応じた問いを考えることで段階的に分割された問いを作り出せるのです。
Ideas・・・「教えられたものをその通りに思い出せるレベル」
Connections・・・「知識や経験など、自分の既に知っていることと結びつけて説明できるレベル」
Extensions・・・「新たに学んだこともとに、私(たち)に何ができるか?という問いに答えられるレベル」
「守破離」にもちょっと似てますね。
思考コード
こちらも「ICEアプローチ」や「守破離」に似たレベルの考え方です。
知識・理解×単純・・・「習った事をそのまま説明できるレベル」
応用・論理×複雑・・・「システムを理解したうえで、退避・適用した説明が出来るレベル」
批判・創造×変容・・・「ディベートのようにクリティカルで創造的な思考を求められるレベル」
ARCSモデル
こちらも分割された問いの考え方です。
ポジティブな自己分析にも使えそうな整理手法です。
Attention(注意)・・・面白そう好奇心が刺激されたもの
Relevance(関連)・・・自分の興味・関心・経験と関連性があるもの
Confidence(自信)・・・自分でもできそうだと自信がついたもの
Satisfaction(満足)・・・実践してよかったものまた次も挑戦してみたいもの
ARCSモデルの解説や事例は↓のサイトが参考になります。
ORID
「KPT」のようにプロジェクト後の振り返りで利用したり、ワークショップ後の振り返りなどで使えそうな手法です。
Objective(事実)・・・どのような出来事があったのか?
Reflective(反応)・・・そのときどのような感情になったのか?
Interpretative(解釈)・・・どのような学びがあったと思うか?
Decision(決断)・・・ワークショップのあと、どのようなことに取り組みたいか?
ORIDの解説や事例は↓のサイトが参考になります。
最後に
今回、書籍『「問う力」が最強の思考ツールである』をベースにこの記事を書いておりますが、他にもここでは書ききれなかったフレームや、事例を紹介しており、とても読み易い良書なので、是非、買って読んでみる価値のある本です。おススメします。
ただ、読んで理解しただけでは、意味がなく、使いこなすためには実際の現場で意識して使おうとしなければなりません。日々チャレンジですね。がんばります。