🎯 本記事の目的
本記事では、Struts2フレームワークとMavenを中心に、掲示板アプリ開発の基盤となる仕組みについて説明します。
Vol.4で紹介した詳細設計を元に、
- なぜこの技術を使うのか？
- 構成ファイルがどのように機能しているのか？
について理解を深めていきます。
🏗 Struts2とは？
Struts2は、JavaでWebアプリケーションを開発するためのMVCフレームワークです。
MVCモデルは、以下のように役割を分離することで保守性・拡張性を高めます：
- Model（業務ロジック）
- View（画面表示）
- Controller（制御）
🔧 主な構成ファイル
web.xml
- Webアプリのエントリーポイント
- Struts2の
FilterDispatcher（現StrutsPrepareAndExecuteFilter）を設定
struts.xml
- Struts2の中核設定ファイル
- 各アクション（Actionクラス）と画面（JSP）とのマッピングを定義
struts.properties（任意）
-
struts.xmlで指定できない細かい設定を記述 - 多くのプロジェクトでは未使用
⚙️ Struts2における制御の流れ
- 画面（JSP）からのリクエスト
- Actionクラスに制御が移る
- 業務ロジックを処理
- 処理結果に応じてJSPにフォワード
このように、Struts2はMVCアーキテクチャをベースに設計されています。
📦 Mavenとは？
Mavenは、Javaプロジェクトにおけるビルドツール兼ライブラリ管理ツールです。
主な役割：
- 依存ライブラリの自動管理
- ビルド処理の自動化
- 環境の統一
✅ Mavenを利用する理由
-
pom.xmlに依存関係を記述するだけで自動でダウンロード＆設定 - WARファイル作成やコンパイルも簡単
- チーム開発において環境構築が容易になる
📂 pom.xmlの役割
- Struts2などの必要なライブラリを依存関係として定義
- Javaのコンパイルバージョン、WARファイルの出力などを設定
- ビルド時のプラグインを定義
📝 pom.xmlの記述例（Struts2関連抜粋）
<dependencies>
<!-- Struts2 本体 -->
<dependency>
<groupId>org.apache.struts</groupId>
<artifactId>struts2-core</artifactId>
<version>2.5.26</version>
</dependency>
<!-- JSPやServlet API（providedスコープ） -->
<dependency>
<groupId>javax.servlet</groupId>
<artifactId>javax.servlet-api</artifactId>
<version>4.0.1</version>
<scope>provided</scope>
</dependency>
</dependencies>
<build>
<plugins>
<!-- Javaコンパイル設定 -->
<plugin>
<groupId>org.apache.maven.plugins</groupId>
<artifactId>maven-compiler-plugin</artifactId>
<version>3.8.1</version>
<configuration>
<source>1.8</source>
<target>1.8</target>
</configuration>
</plugin>
<!-- WARファイル作成 -->
<plugin>
<groupId>org.apache.maven.plugins</groupId>
<artifactId>maven-war-plugin</artifactId>
<version>3.3.1</version>
</plugin>
</plugins>
</build>
🧰 Struts2 × Maven 連携のポイント
-
pom.xmlにStruts2関連の依存関係を記述するだけでOK
-
手動でJARをダウンロード＆配置する手間は不要
-
mvn packageで簡単にWARファイルを生成できる
-
WARファイルをTomcatのwebappsに配置すればすぐに起動可能
-
src/main/resources/struts.xml にStrutsのルーティング設定を記述
🗂 Mavenの標準ディレクトリ構成
project-root/
├── src/
│ ├── main/
│ │ ├── java/ # Javaコード（Actionクラスなど）
│ │ ├── resources/ # 設定ファイル（struts.xmlなど）
│ │ └── webapp/ # Webリソース（JSP, HTML, CSSなど）
│ │ └── WEB-INF/
│ │ └── web.xml # Webアプリの設定ファイル
├── target/ # Mavenのビルド成果物（WARなど）
└── pom.xml # プロジェクト構成ファイル
✅ まとめ
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| Struts2 | JavaのMVC Webフレームワーク。業務ロジック、画面、制御を分離 |
| Maven | 依存管理とビルドを自動化し、開発効率と環境統一を支援 |
| 構成ファイル |
web.xml, struts.xml, pom.xmlが中心 |
| 推奨構成 | Maven標準ディレクトリ構成を守るとビルドと管理がスムーズ |
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📄 掲示板アプリケーション環境構築手順書（PDF）
▶️ 次回 Vol.5 環境構築編：掲示板アプリケーションの実行準備
🧭 Vol.1〜7 関連リンク
| 回 | タイトル | 主な内容 |
|---|---|---|
| Vol.1 | プログラミングとの再会 – 「画面ありき」で変わった学び方 | プログラミング再入門と、画面駆動の学習法というユニークなアプローチの紹介。最初に「画面」から考えることでモチベーションを継続。 |
| Vol.2 | 画面駆動設計に基づく設計書の具体例：画面フローからUI設計・処理定義まで | 実際に描いた画面遷移図・UI設計・処理定義書を公開し、画面中心の設計手法を解説。 |
| Vol.3 | 詳細設計編：ER図で見るデータ構造と実装の土台 | 実装前提で設計された ER図（Entity Relationship 図） をもとに、データ構造と整合性を設計。 |
| Vol.5 | 環境構築編：掲示板アプリケーションの実行準備 | TomcatとEclipseでの動作環境構築。 |
| Vol.6 | BaseActionクラスの詳細解説【Struts2の要】 | すべてのアクションに共通する基底クラス BaseAction を定義し、ログ出力や共通処理を集約。 |
| Vol.6.1 | BaseAction の活用例【共通基底クラスでセッション管理を簡素化】 | BaseAction を継承する具体的なアクション例を紹介し、セッションやログ処理の統合例を実践。 |
| Vol.7 | Struts2 における MVC モデルの全体像 | Model-View-Controller の各要素が Struts2 でどう分担されるかを体系的に解説。 |
| Vol.7.1 | Struts2 における Model（モデル）について | JavaBeansベースのModelクラス（User, Thread, Post など）設計とその役割を明確化。 |
| Vol.7.2 | Struts2 における Controller（コントローラ）の責務 | Actionクラスを軸に、入力処理・分岐処理・画面遷移の中核を担うControllerの実装指針を提示。 |
| Vol.7.3 | Struts2 における struts.xml の書き方と役割 | URLマッピング、結果遷移、アクション定義の方法を丁寧に記述。初心者の詰まりやすいポイントを回避。 |
| Vol.7.4 | struts.xmlの高度な設定と実践活用（Struts2） | namespaceの活用や画面単位での分離設計、開発時の保守性向上テクニックを紹介。 |