※ 本章は「データ一覧表示の最適化」シリーズとなります

■ はじめに：カスタムタグの応用が“実務の質”を変える

Struts2のカスタムタグは単なるテンプレート記述の省力化にとどまらず、
**「共通UI部品」**として設計することで、保守性・再利用性・チーム開発効率が大きく向上します。

本記事では、Struts2のタグライブラリ機能を活用した実務向け拡張パターンをご紹介します。

■ カスタムタグの構成復習（最低限ここだけ押さえる）

要素	役割
`.tag`ファイル	実際に出力されるUI部品のテンプレート
TLDファイル	カスタムタグの定義情報（属性・名前空間など）
`TagSupport`拡張クラス（必要に応じて）	高度な動的ロジックを扱う場合に使用

※ .tag のみでも多くの共通化は実現可能です

✅ パターン①：よく使う「ラベル＋入力欄」UIの共通タグ化

📌 目的

同じような入力UIが各画面に散在している
必須マークや幅・エラー対応がバラバラ

✅ 例：`labelInput.tag`

<div class="form-group">
  <label for="${id}">
    ${label}<s:if test="required"> <span class="required">*</span></s:if>
  </label>
  <s:textfield name="${name}" id="${id}" cssClass="form-control"/>
</div>

✅ 使用例（JSP側）

<my:labelInput name="username" label="ユーザー名" required="true"/>

✅ パターン②：エラー付きフォーム部品の共通タグ化

📌 目的

入力欄に対して個別に <s:fielderror> を毎回書くのが面倒
スタイリングやマークアップが統一されていない

✅ 例：errorInput.tag

<div class="form-group <s:if test="hasFieldErrors('${name}')">has-error</s:if>">
  <label for="${name}">${label}</label>
  <s:textfield name="${name}" id="${name}" cssClass="form-control"/>
  <s:fielderror fieldName="${name}" />
</div>

✅ パターン③：繰り返しUI部品（リストアイテムのタグ化）

📌 目的

<s:iterator> で表示するリスト内の構造が毎回複雑
投稿一覧、コメント、通知など、見た目とロジックが類似している

✅ 例：postItem.tag

<div class="post">
  <div class="post-header">${post.userName} さん</div>
  <div class="post-body">${post.content}</div>
  <div class="post-footer">${post.timestamp}</div>
</div>

✅ 使用例（JSP側）

<s:iterator value="postList" var="post">
  <my:postItem post="%{#post}" />
</s:iterator>

💡 共通タグ設計のポイント＆落とし穴

🔹 属性数が多すぎると逆に使いにくくなる
🔹 ロジックと表示の責務を分ける（カスタムタグはUI専用に）
🔹 JSPで読みやすさ・書きやすさを両立する命名規則を持つ

📝 まとめ：業務効率に直結する「共通UI部品化」のすすめ

フォームや表示UIの「見た目」や「構造」をタグ化することで、
保守性・再利用性・チーム開発効率が劇的に改善されます。
UIの仕様変更にも強く、プロジェクト全体の品質向上にもつながります。