🧭 はじめに

Struts2 のバリデーション処理は、ユーザー入力の正当性を保つ重要な機能ですが、
そのロジックが複雑になるほど テストによる品質担保が必要不可欠です。

本記事では、以下の観点から「バリデーションの単体テスト方法」を実務ベースで解説します。

✅ 本記事で扱う内容

validate()メソッドのテスト方法
独自バリデータ（FieldValidator）の単体テスト
input への遷移確認やエラーメッセージ表示のテスト
テストパターン設計の実例

🔍 1. テストパターン設計（実務の流れ）

まず最初に行うのが、「どんな入力パターンをテストすべきか」の パターン洗い出し です。
これは、仕様書や画面設計書をもとに以下のような観点で整理します。

観点	テスト例
必須チェック	ユーザー名が空
桁数制限	ユーザーIDが20文字超
形式指定	パスワードが数字だけ／英字だけ
相関チェック	パスワードと確認用パスワードが一致していない
数値範囲	年齢がマイナス値

👀 実際のプロジェクトではこのように ExcelやPDF形式 でまとめて整理しています：

📄 入力値テストケース（ログイン画面）

🧪 2. validate() のテスト例（JUnit）

Struts2の Action クラスで validate() をオーバーライドしている場合、
JUnit で以下のように単体テスト可能です。

@Test
public void testValidate_emptyFields() {
    LoginAction action = new LoginAction();
    action.setUserId("");
    action.setPassword("");
    
    action.validate();
    
    assertTrue(action.hasFieldErrors());
    assertEquals(2, action.getFieldErrors().size());
    assertTrue(action.getFieldErrors().get("userId").contains("ユーザーIDは必須です"));
}

hasFieldErrors() でエラー発生の有無を確認
getFieldErrors().get("フィールド名") で具体的なエラーメッセージ確認

🧩 3. 独自バリデータ（Custom Validator）のテスト例

FieldValidatorSupport を継承したクラスも、テスト可能です。

@Test
public void testCustomValidator() throws ValidationException {
    MyCustomValidator validator = new MyCustomValidator();
    validator.setFieldName("userId");
    validator.setDefaultMessage("不正な形式です");

    ValidatorContextMock context = new ValidatorContextMock();
    validator.setValidatorContext(context);

    // 無効な値
    validator.validate("abc!!");

    assertTrue(context.hasFieldErrors());
}

🛠 MockContext を使うことで、validate() 単体をテストできます。

🔁 4. input 遷移の検証（ActionProxy 利用）

Struts2 本体の挙動（inputへの遷移や結果判定）も以下のように確認できます。

@Test
public void testLoginAction_inputTransition() throws Exception {
    ActionProxy proxy = getActionProxy("/login");
    LoginAction action = (LoginAction) proxy.getAction();

    action.setUserId(""); // エラー条件
    action.setPassword("test");

    String result = proxy.execute();

    assertEquals("input", result); // inputに遷移すること
    assertTrue(action.hasFieldErrors());
}

✔ ActionProxy で実行すると、Struts2の結果遷移も含めてテストできます。

🧱 5. テスト設計のベストプラクティス

複数画面やフォームを扱う場合、テスト構成を以下のように整理しておくと便利です。

src/test/java/
└── validation/
    ├── BaseValidationTest.java
    ├── LoginValidationTest.java
    ├── UserFormValidationTest.java
    └── CustomValidatorTest.java

✅ まとめ

観点	内容
テストパターン設計	観点を洗い出し、仕様に沿ったテストケースを作成
validate() のテスト	`hasFieldErrors()` で結果を確認
独自バリデータの検証	単体で `validate()` を呼び出してテスト可能
input 遷移の確認	`ActionProxy` を使って実際の画面遷移結果を検証

Struts2 のバリデーション処理は非常に柔軟である一方、
その動作確認を パターンごとに丁寧にテスト することで、
品質と保守性が格段に向上します。

🧭 次回予告：Vol.9.10

次回は、画面側のUX向上編！

<s:fielderror> の高度な使い方
エラー時の入力欄装飾（赤枠表示、ツールチップ）
JavaScriptと連携したリアルタイムバリデーション

バリデーションの「見せ方」を工夫して、より使いやすいUIを実現していきましょう！

✨ シリーズまとめ（Vol.9.x バリデーション編）