Struts2では、MVCモデルに基づいてアプリケーションを構築します。
この章では、その中でも「Controller」に該当する Actionクラス の役割について解説します。
✅ Controller（コントローラ）の役割とは？
MVCモデルにおけるコントローラは、ユーザーの入力（リクエスト）を受け取り、それに応じた処理（ビジネスロジック）を実行し、適切な画面（View）に遷移する責任を持っています。
Struts2では、この「コントローラ」に該当するのが Actionクラス です。
🧱 Struts2におけるActionクラスの構成
Struts2のActionクラスは、以下のような構成で実装します。
public class LoginAction extends BaseAction {
private String userId;
private String password;
@Override
public String mainProc() {
// 認証ロジック
if (loginSuccess) {
return SUCCESS;
} else {
return ERROR;
}
}
// getter/setter（JavaBeansとして扱われる）
}
💡 ポイント
-
BaseAction はプロジェクト共通の処理（ログインチェック、セッション管理など）を担う基底クラスです。
-
各Actionクラスでは、共通化された mainProc() メソッドをオーバーライドして、個別の処理を実装します。
-
mainProc() は BaseAction クラスで共通定義されたメソッドであり、各 Action クラスはこのメソッドをオーバーライドして、個別の処理を実装します。この仕組みにより、例外処理やログ出力などの共通処理を一元管理できます。
-
フォームから送信された値は、JavaBeans形式でgetter/setter経由で受け渡されます。
📎 BaseActionの詳細はこちら👇
📘 Vol.6：BaseActionクラスの詳細解説【Struts2の要】
📂 本プロジェクトでのActionクラスの場所
本プロジェクトでは、Actionクラス（コントローラ）は以下のパス配下に配置されています。
📎 GitHub リンクはこちら👇
Action クラス一覧（GitHub）
Bulletinboard/
└── src/
└── main/
└── java/
└── com/
└── company/
└── bulletinboard/
└── action/
├── LoginAction.java
├── CreateUserAction.java
└── ...
🧭 struts.xmlとの連携
ActionクラスとURLの対応付け、画面遷移の制御などは、struts.xml によって設定します。
<!-- ログイン用のアクション -->
<action name="login"
class="com.company.bulletinboard.action.login.LoginAction">
<result name="login">/login.jsp</result>
<result name="admin">/view/ManagementMenu.jsp</result>
<result name="user">/view/userPortal.jsp</result>
<result name="input">/login.jsp</result> <!-- バリデーションエラー時にログイン画面に戻る -->
</action>
このように、URL「login.action」にアクセスがあった場合に LoginAction クラスの mainProc() メソッドが実行され、
処理結果に応じて以下の画面に遷移します。
-
login → /login.jsp （未ログインなどの状態）
-
admin → /view/ManagementMenu.jsp （管理者ログイン成功）
-
user → /view/userPortal.jsp （一般ユーザーログイン成功）
-
input → /login.jsp （入力バリデーションエラー）
📌 struts.xml の詳細については、次回のVol.7.3で詳しく解説予定です。
✍️ まとめ
-
Struts2におけるControllerは Actionクラス であり、ユーザーのリクエストに応じた処理を行う。
-
共通の基底クラス BaseAction を継承し、mainProc() メソッドをオーバーライドして処理を記述するのが本プロジェクトの実装方針。
-
struts.xml によりActionとURL・遷移先のビューを定義できる。
📘 次回予告：
📘 Vol.7.3：Struts2 における struts.xml の書き方と役割
Struts2の核ともいえる struts.xml の設定内容やルールについて、具体的なコード例を交えて詳しく解説します。
🧭 Vol.1〜7 関連リンク
| 回 | タイトル | 主な内容 |
|---|---|---|
| Vol.1 | プログラミングとの再会 – 「画面ありき」で変わった学び方 | プログラミング再入門と、画面駆動の学習法というユニークなアプローチの紹介。最初に「画面」から考えることでモチベーションを継続。 |
| Vol.2 | 画面駆動設計に基づく設計書の具体例：画面フローからUI設計・処理定義まで | 実際に描いた画面遷移図・UI設計・処理定義書を公開し、画面中心の設計手法を解説。 |
| Vol.3 | 詳細設計編：ER図で見るデータ構造と実装の土台 | 実装前提で設計された ER図（Entity Relationship 図） をもとに、データ構造と整合性を設計。 |
| Vol.4 | Struts2とMavenの基礎と設定ファイルの役割 | Struts2の構成とMavenでの管理、web.xml や pom.xml の役割を丁寧に解説。 |
| Vol.5 | 環境構築編：掲示板アプリケーションの実行準備 | TomcatとEclipseでの動作環境構築。 |
| Vol.6 | BaseActionクラスの詳細解説【Struts2の要】 | すべてのアクションに共通する基底クラス BaseAction を定義し、ログ出力や共通処理を集約。 |
| Vol.6.1 | BaseAction の活用例【共通基底クラスでセッション管理を簡素化】 | BaseAction を継承する具体的なアクション例を紹介し、セッションやログ処理の統合例を実践。 |
| Vol.7 | Struts2 における MVC モデルの全体像 | Model-View-Controller の各要素が Struts2 でどう分担されるかを体系的に解説。 |
| Vol.7.1 | Struts2 における Model（モデル）について | JavaBeansベースのModelクラス（User, Thread, Post など）設計とその役割を明確化。 |
| Vol.7.3 | Struts2 における struts.xml の書き方と役割 | URLマッピング、結果遷移、アクション定義の方法を丁寧に記述。初心者の詰まりやすいポイントを回避。 |
| Vol.7.4 | struts.xmlの高度な設定と実践活用（Struts2） | namespaceの活用や画面単位での分離設計、開発時の保守性向上テクニックを紹介。 |