ブロックチェーンと騒がれてしばらくたつのに、これといって何ができるのか分からない。
何がすごいのかわからない...
と考えている人は多いのではないでしょうか?
この記事では、そのような疑問をお持ちの方々に「ブロックチェーンの何がすごいのか?」「実世界でどう役に立つのか?」ということを理解できる手助けになればいいなと思います。
技術的な要素は全て割愛するため、技術が苦手な方でも安心して読んでいただければと思います。
ちなみに、私は大学の研究室でブロックチェーンの活用をテーマに日々、研究しています。
ブロックチェーンって何がすごいの?
P2P(Peer to Peer)を知る
ブロックチェーンのすごさを理解するためには、まず「P2P(Peer to Peer)」という概念を知る必要があります。Peerを直訳すると「仲間、対等な人」という意味になります。
何らかの取引をするときに、全員が対等に取引ができるような関係のことをP2Pと呼びます。
図にすると以下のような感じです。
参照:クライアントサーバーとP2Pネットワークの大きな違いとは?
P2Pがレコード会社を破産に追いやった。
実はP2Pという仕組み自体にビジネス的に大きな可能性が潜んでいるのです。なぜなら、P2Pでの取引は仲介者を必要としないからです。P2Pによって業界に大きな変化が起きた例としてレコード会社が挙げられます。従来のレコード会社の役割は、アーティストの歌や演奏を録音し、それを様々なメディア(テープ、CDなど)で音楽レコードを制作し、マーケティングを行い、レコード店やデパートを介して販売することでした。レコード会社の役目は歌や演奏を届ける人とそれを消費する人をつなげる仲介だったのです。ですが、「Napster」と言われるP2Pで音楽ファイルをやりとりできるようにしたサービスの登場により、アーティストや消費者が直接やり取りできるようになり、従来のレコード会社は存在意義を失いました。(P2Pが可能になった背景には、個人がインターネットに接続する時代が来たことや音楽をデジタル情報に置き換えられるようになったことがあります。)
P2Pを支えるためのブロックチェーン
Napsterのケースは「仲介者をP2Pのやり取りに置き換える」ということを実現したことで音楽業界を大きな変化をもたらしました。この例から仲介者を無くし、ダイレクトに取引ができることによる「中抜き」のインパクトが大きいことが理解していただけたかと思います。
ここで、P2P内での取引を安心してできるようにすることを保証する仕組みとして登場するのが「ブロックチェーン」という技術です。つまり、ブロックチェーンは「中抜き」を達成するのに役立つ手段にすぎません。
これが**「ブロックチェーンって何がすごいの?」**という疑問が多くなる原因だと考えます。
今話題のAIを例にとると、**「AIって何がすごいの?」**という疑問はあまり多くないように感じます。なぜなら、AI技術は「たくさんの患者のレントゲンを学習させることでがんの判定をする」等の分かりやすい課題解決ができるため、直感的に理解しやすいからです。
ブロックチェーンと仮想通貨の関係
ブロックチェーン技術活用の最大の成功例が仮想通貨です。
これまでは、政府や銀行がお金の仲介役として機能していました。
これは、政府や銀行に十分な信用があったために成立していたことです。ですが、これが仕組みによって信用が担保されるとなったらどうでしょう?もはやお金の仲介役としての政府や銀行は必要なくなります。
そしてそれを達成したのがブロックチェーンなのです。
ブロックチェーン技術によって下支えされた通貨(仮想通貨)により、お金のやり取りが信用できる環境(記録の改竄ができない環境)でP2Pでできるようになりました。
まだ、ギャンブル的要素が強い仮想通貨ですが、多くの人が参加するようになれば世界共通通貨としてお金のやり取りがP2Pでできるようになり、もっと効率的で便利な世の中がやってくるのではないかと考えています。
「中抜き」を達成するための、ブロックチェーンと考えると色々な可能性が見えてくるのではないでしょうか?
今後は、ブロックチェーンが仮想通貨のほかにどのように使われる余地があるのかを紹介したいと思います。
【参考文献】
「徹底理解 ブロックチェーン ゼロから着実に分かる次世代技術の原則」, インプレス, (2018/7/1)