個人開発をしているエンジニアにとって、成功した個人開発者(Indie Hacker)について調べることは多くの学びがあります。
この記事では、世界の有名な個人開発者がどのような考えを持ってプロダクトを立ち上げ、ユーザーと収入を得たのかを紹介します。
Pieter Levels(ピーターレべルズ)
Pieter Levelsは、Nomad Listを個人開発したエンジニアとして有名です。Nomad Listは、世界中の都市をリモートワーカーやデジタルノマドにとっての魅力度でランク付けするウェブサイトです。
ピーターのアプローチ
一人でビジネスを成長させるのは非常に難しいです。個人開発者は不確実なものと向き合わなければならず、プロジェクトを立ち上げる際には時間や資金などのリソースが不足していることがよくあります。ピーターは以下の3点に焦点を当ててそのリソース不足を回避しました。
- スピード:彼は Nomad List をすぐに立ち上げて、それが注目を集めるかどうかを確認し、プロジェクトの成功に関する不確実性を減らしました。Nomad Listは最初、Twitterで公開されたスプレッドシートとして開始しました。その後、このサービスに需要があると考えたピーターは、Nomad Listの最初のバージョンを1 か月で開発し、MVPを立ち上げました。
- シンプルさ:彼は、最初はコードを使用せずに、非常にシンプルなソリューションを構築することで、リソースの不足を克服しました。
彼の成功の3つ目の要素は、彼が開発したプロジェクトの量でした。
Nomad Listは実は2014 年に彼が立ち上げた唯一のプロダクトではありませんでした。この年、彼は資金が不足し始めていたため、新しいビジネスですぐに生活できるように、実際に12か月で12個のスタートアップを立ち上げることに決め、実行しています。
このような挑戦を行うことのメリットは、ターゲット市場に向けて複数のアイデアに迅速に対峙するのに役立ち、立ち上げたプロジェクトの一部が注目を集めれば、長期的にはそのプロジェクトに集中できることです。
その年、彼は最終的に合計8つを立ち上げました。彼は最初に自分が持っていた5つのプロジェクトのアイデアをテストし、Nomad Listが注目を集めると、それに焦点を当て、それと相乗効果のある他のプロダクトを開発しました。
Pieter Levelさんの成功は、個人開発として始まったプロダクトとしては多額の収入を得ているため印象的かもしれませんが、そこに到達するためには多くのプロジェクトを立ち上げる必要があり、注目を集めたのはほんのわずかだったということです。
Andrey Azimov(アンドレーアシモフ)
アンドレーは2018年のProductHuntメイカー・オブ・ザ・イヤーに選出されたウクライナ出身の個人開発者です。彼は仕事を辞め、毎月1000ドルの収入を得ることを目標に7つのプロダクトを立ち上げました。
プロダクトの成功確率を高めるために
この記事でアンドレーはプロダクトの成功確率を高めるために以下の3点が重要だと言っています
- 自身の問題を解決する製品を作成する:自身の問題を解決するプロダクトを開発することは、楽しみながら自分がユーザーとしてプロダクトを使用できるメリットがあります。これにより、少なくとも1人のユーザー(つまり自身)が確保できます。
- 既存の市場で製品を作成する:これは、アイデアがすでに検証されていることを意味します。その市場のニッチな問題をより良く解決する製品を作ることを目指します。これは上記同様、自身が直面している問題であるべきです。
- 自分自身が製品を使い、友人と共有する:もし製品が友人たちにとって価値があると考えたら、彼らが実際にそれを使うかどうかを見ることが重要です。
また、アンドレーが個人開発者として多くの人の支持を得るのは、彼が努力を重視し自分の状況を変えることができると信じていること、そして正直に自分の考えや失敗する姿も見せていることが挙げられます。エンジニア野中には自分の失敗する姿を公開したり、開発したものについて友人に厳しい意見を求めたりすることを避けたいと思っている人が多いと思います。(これをできる人はなかなかいないと思いますが)
しかし限られた個人のリソースで良いプロダクトを作るためには、自分の持っているものを最大限利用し、より早いサイクルで改善することが重要だと分かります。
Jon Yongfook(ジョンヨンフック)
ジョンは、Bannerbearという自動画像生成を可能にするAPIの開発者として有名です。彼は英国ケント大学を卒業し、GLADDのウェブディレクターやGoodgeckoのチーフプロデューサーなどの職を経験しています。現在はBannerbearとBeatrixの創設者として活動しています。
顧客獲得計画
最近は更新していないようですが、彼のブログには個人開発者が疑問に思うであろうことが簡潔に述べられており、多くのことを学ぶことができます。特に多くの人が関心を持つのは、ジョンが顧客を獲得するためにどのように考えを持っているのか、ということです。
スタートアップや個人開発者のような、リソースが少なく不確定性を多く持つプロダクト開発には基本的に 3つの課題があります。
- 何を構築するか
- どのように構築するか
- 人々に使ってもらう方法
プロダクトは、アイデアがどれだけ素晴らしいかによって生死が決まるわけではありません。プロダクトが生きるか死ぬかは、自分たちで市場を見つけるか創造できるかどうかにかかっています。
顧客獲得計画についてジョンはいくつかの厳しい意見を述べています。
- プレス/デモイベントでスタートアップを立ち上げることは、顧客獲得計画ではありません。
- Appleなどの有名なメディアがあなたのアプリを紹介してくれることを期待することは、顧客獲得計画ではありません。
- あなたのアプリをとても「素晴らしい」ものにして、人々がそのアプリについて友人に知らせることを意図することは、顧客獲得計画ではありません。
- 新聞やニュースに載ることは顧客獲得計画ではありません。
- ユーザーの連絡先リストにスパムを送信することは顧客獲得計画ではありません。
開発するプロダクトの大きさに関わらず、収入を得るために顧客を獲得する必要がある場合、次のような顧客獲得計画を述べることができることができなければいけません。
「私はしばらく前からこのアイデアを持っていました。それは私が熟知しているこの業界と深く関係していて、今は独立して立ち上がる準備ができています。すでに5人のクライアントにこのプロダクトを先行販売しており、もう少し規模を拡大できるときを待って、さらに10人のクライアントが候補にあります。」
続けて彼は以下のように述べています。
アイデアとコードはプロジェクトと呼ばれます。
アイデア、コード、計画がスタートアップです。
これらはスタートアップの顧客獲得についてのジョンの考えですが、個人開発でも突き詰めていくと同じように適用できると思います。不確定性を多く持つスタートアップ・個人開発において自分でコントロールできるマーケティングに関しては、妄想や運の問題にしてはいけないということです。具体的な顧客獲得計画をもち、いろいろなことを試してみて、何が自分に合っているのかを見極めることが重要だということです。
まとめ
この記事では3人の個人開発者を紹介しました。プロダクト開発に挑戦している人は彼らのブログや記事を読めばもっとたくさんの学びを得ることができるはずです。この記事が少しでもそんな人のきっかけになれば嬉しいです。
追記
個人開発のプロダクトを発表したり、レビューできるサイトを運営しています。興味のある人はぜひ覗いたりてみてください。(プロダクトを投稿してもらえれば、少なくとも僕が使ってみてレビューします笑)
記事はこちら→https://zenn.dev/keiichiro/articles/055c24757ed7bf