Blazor は C# でフルスタック Web アプリケーションを実装することのできる、オープンソースのフレームワークです。
2024年12月現在において、その Blazor を学ぶために役立つ教材や書籍、および、最新情報源を追跡するのに有益なインターネット上のリソースのいくつかを紹介してみます。
Blazor を学ぶにあたってお勧めできる教材・書籍
C#ユーザーのためのWebアプリ開発パターン - ASP.NET Core Blazorによるエンタープライズアプリ開発
https://www.amazon.co.jp/dp/B0D3V9D8ZF (2024年5月リリース)
実のところ、Blazor を学ぶことのできる日本語で読める書籍は、これといった定番がなかなかない状況でした。それが 2024年5月にようやく、本書の発刊により、自信をもって「とりあえずこの本を置いておくといいよ!」といえる状況になりました。マイクロソフト社員の方による安定の執筆内容で、網羅度も高く、自信をもってお勧めできる一冊です。
ただ、Amazon のレビューを見て見ますと、初学者には難しいかも、とのコメントもあるようです。たしかに、C# そのものや .NET に ASP.NET Core 基盤、Entity Framework Core といったデータアクセス技術などに馴染みが薄いと、難しいと思います。C#/.NET や HTML/CSS/JavaScript の初学者レベルは脱したあとで、いよいよ実際に本格的な Blazor アプリケーションを習得に向かうときに、本書が大変役に立つと思います。
Blazor WebAssembly アプリケーションプログラミング自習書
https://github.com/jsakamoto/self-learning-materials-for-blazor-jp (2024年5月 最終更新)
こちらは拙作の Blazor 自習書テキストで、GitHub 上で PDF 形式で配付しています。また、このテキストを通して作成する Blazor WebAssembly アプリケーションのソースコードは、同 GitHub リポジトリ上にあわせて掲載しており、テキストのステップごとにコミット履歴を積んであります。
この自習書テキストは、内容の網羅度は低い代わりに、あくまでも "入門" "評価" を狙いとしてとてもコンパクトにできています。まずは Blazor に入門してみたい、あるいは、まずは Blazor がどんなものか感触を得てみたい、という場合にお勧めできます。PDF テキストの内容も、本体部分はたかだか 70 ページ少々であり、テキストをなぞるのにかかる時間もそうはかかりません。また、GitHub Codespaces による自習環境も用意してあります。つまり、GitHub アカウントさえあれば、自分の PC に何かインストールしたりする必要なく、ブラウザとインターネット接続だけで、すぐに Blazor 入門を開始できるようになっています。「Blazor にガッツリ取り組むつもりはないが、C# で SPA を実装できるってどういうことよ?」という疑問を解消したい知識欲勢にもお勧めできます。
なお、本自習書テキストは、実は未だ .NET 9 対応ができていません。というのも自分は 12月現在、Blazor Qiita Advent Calendar の記事投稿に忙しいためです。落ち着いたら .NET 9 対応を済ませる予定です。
なお、本自習書テキストも、HTML/CSS/JavaScript の知識に加えて、C# や ASP.NET Core についての知識・経験があることが前提となっています。その点はご注意ください。
Web Development with Blazor - A practical guide to building interactive UIs with C# 12 and .NET 8 - 3rd Edition
https://www.amazon.com/dp/B0CW16SQC2 (2024年4月 第3版リリース)
こちらは、英文になってしまいますが、界隈では "アライグマ本" として有名な、Blazor 学習に最適な書籍の1冊です。執筆したのは、スウェーデンはストックホルム在住の Microsoft MVP 受賞者である Jimmy Engström さんです。
先に紹介の日本語書籍「C#ユーザーのためのWebアプリ開発パターン」は、日本語で読めたり、Blazor というよりは ASP.NET Core を基盤としたエンタープライズアプリケーション構築を狙いとした広範な内容となっている反面、Blazor そのものに対する深掘りは浅い印象があります。
その点、こちらの「Web Development with Blazor (a.k.a アライグマ本)」は、より "Blazor" の切り口・視点で具体例を掘り下げる内容となっています。英文という点がひっかかるかもしれませんが、それを除けば、こちらの切り口のほうがしっくりくるタイプの人も多いのでないかと感じています。こちらも自信をもってお勧めできる一冊です。
インターネット上の情報源
Zenn 上で Kazuki Ota さんをフォロー
日本マイクロソフトのかずきさんは、Zenn 上でも精力的に技術記事を投稿されています。上記リンク先から Zenn 上のかずきさんのアカウントをフォローしておくとよいでしょう。
かずきさんの投稿の内訳は、実のところ、Blazor に関する記事が多いわけではなく、C# や .NET、Azure などなど、様々な分野の技術記事が投下されます。実際面として Blazor で何か作ろうとしたときには、Blazor の知識だけではなく、.NET を中心に総合的な知識が求められますが、そこで、それらかずきさんの広範な .NET 関連の技術記事が役に立つわけです。かずきさん、ありがとうございます。
Bluesky
Blazor に関する SNS 上の "溜まり場" は、𝕏 (旧ツイッター) であったり Facebook であったり Reddit であったりと、いくつかあるのですが、最近急上昇中なのが Bluesky (https://bsky.app/) です。
Bluesky のアカウントをお持ちでしたら、上記リンク先の Bluesky の "Blazor Starter Kit" を開き、"Follow all" ボタンをクリックして、Blazor Starter Kit に登録されているアカウントとフィードのすべてをフォローしておくと、Blazor に関する最新情報が流れてくることでしょう。
Blazor Qiita Advent Calendar 2019~
一種のナレッジベースとして、Blazor Qiita Advent Calendar もお勧めです。今回を含め、かれこれ 6 年やっていることになります。以下に各年のリンクを掲載します。
これら Blazor Qiita Advent Calendar に投稿された記事を眺め直していると、「へぇ、そんなことが」とか「ああ、自分もこれで困ってたんだ、こうやるのか」などといった新たな発見があったりします。もちろん、Qiita や Zenn などで "Blazor" のタグの更新通知を購読するほうが、Blazor 関連の技術情報を随時キャッチアップするにはいいでしょう。しかし、改めてカレンダー形式で 1 年 x 25 記事の表題をいちどきに見渡すと、それはそれで新たな視点で身につくものもあると思われました。
以上です。